塩田千春「沈黙から」@ 神奈川県民ホール


首都圏初の塩田千春の大型個展。
面識はないものの、彼女は僕の先輩に当たります。96年に京都精華大学洋画学科を卒業し、そのままドイツに渡り、アブラモヴィッチやレベッカ・ホーンなど、大御所に師事しながら、もう10年以上ドイツに住んでいる作家です。
2001年に横浜トリエンナーレに出品した13mもの泥のドレスを5体吊るした大型インスタレーション「皮膚からの記憶」で日本でもいよいよ注目の存在となった彼女。その横浜で再び大きな衝撃を与えています。
彼女の作品に漂うのは「不安」や「不在」といったものの緊張感や緊迫感。
まさに「鬼気迫る」とはこのことといった作品達。
2年前、大学でやった個展では、塩田千春ワールド全開で、見慣れたギャラリーがどこなのかわからなくなりました。今回も同様、市民ホールという、現代美術にはあまり不向きと思われる空間をもろともせず、彼女の世界は続いていくのです。
まず第一展示室は「During Sleep」の映像と貴重なメイキング。
この作品は、フランスの教会のような場所で、ベッドをいくつか置いて、その辺り一面を黒い糸が張り巡らされている。その中で何人かの女性がひたすら眠り続けるというパフォーマンス作品。その異様な空間を作るメイキングもまた異様笑 手慣れたもんで、すごい早さで毛糸を張り巡らせるスタッフたちの姿は圧巻。1回やってみたい。
その隣の部屋ではスタジオで撮影された映像「落ちる砂」。昔ケンジタキで見たけどこれはあまり好きじゃない。
そして、次の部屋へ。今回のメインとなる会場。
もうチケット売り場の時点で横目で見えてニヤッとしてしまいそうになったんだけど、吹き抜けの空間を利用したそれは本当に圧巻。真ん中に焼けたピアノと焼けた椅子が置かれていて、それが空間びっしりに張り巡らせた糸によって覆われている。会場の壁までどこまでも這うような毛糸は本当に異常。アートコンプレックスと題し、ここでコンサートやパフォーマンスを会期中にやったようで、その模様がモニターに映し出されていた。ピアノやヴァイオリンのコンサートはかなりかっこよかった。あと、詩の朗読を聴けるようになってたんだけど、これはかなり微妙・・・外国語を無理矢理日本語にしましたって感じ。途中で断念。
その側では1000枚以上の、塩田さん自身が集めたという東ベルリンの窓のインスタレーション。相変わらずすごいことになってます。彼女の場合作品と作品の境目が曖昧で、タイトルでは区切られてるけど、会場全体で1つの作品のような感じ。グラデーションのように続いていく。
窓のインスタレーションの先には膨大な毛糸が張り巡らされ、その先にベッドが浮かんでる作品。もあれのような効果が起きて目が変になりそう。この感覚が好きです。個人的に吹き抜け大ホールの作品よりこっちの方が好き。
そしてこれまでの写真作品。改めて見ると写真作品としても成り立ってる。
こんな感じですごい会場でした。今月17日まで。行ける方は是非。
神奈川県民ホール>>http://www.kanakengallery.com/
塩田千春HP>>http://www.chiharu-shiota.com/jp/
また、ボランティアの人が書いた記事を見つけたのでそちらも。
Art Lover Blog>>http://artlover.exblog.jp/6394774/

また同時開催でケンジタキギャラリーでも塩田さんの個展が開かれています。
こちらは大型インスタレーションの模型やドローイング、小品展示。
模型は窓の家がおもしろかった。ドローイングはあんまりでした。
こちらは24日まで。合わせてどうぞ。

そして来夏ついに地元の大阪は国立国際美術館で塩田さんの大きな個展が開かれます!
あぁー、今からとても楽しみ。
今そのインスタレーションに使う靴を募集してるとか。

野口里佳「マラブ・太陽」@ Gallery Koyanagi
コヤナギで行われている野口里佳の写真展。
これまでの彼女の作品は、川内倫子とはまた違ったやわらかさを持った写真だった。
今回出品されている、「太陽」と「マラブ」のシリーズ。
特に「マラブ」はとても強烈な印象だった。それは広告を見た瞬間から焼き付いて離れなかった。
マラブとは野口さんがベルリンの動物園で出逢った飛びもせずじっとしているアフリカハゲコウという鳥。
彼女はこの鳥をピンホールカメラを使って長時間露光によってフィルムに焼き付けた。
その姿はとても曖昧で、はっきりとそのディテールがわからない。
シルエットのようだけど、しかし「それ」はしっかりと存在している。
この不思議な存在と不在の境界線がとても印象的な写真達。何枚見ても飽きなかった。
こちらは今月30日まで、ギャラリーコヤナギにて。
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