LONDON


エスクァイア日本版4月号臨時増刊「ルカ」NO.2
友達に借りて読んだこの本が僕の人生を変えた。
今はもう多分廃刊になったこの雑誌。
1つのテーマに徹底的にスポットを当てたとてもおもしろい雑誌だった。
その第2回目の特集。「ロンドン、ミュージアム&ギャラリーガイド2003」
YBA、サーチ、ターナー賞、テートモダン。
ありとあらゆるロンドンの情報が満載で、ページをめくる度興奮していた。
2004年の12月26日。友達に断言した。
「わし、ロンドンに行く」
それからというもの、本当にボロボロになるまで読んだ。
どのページに何が書かれているのか空で言えるくらいに。

あれから約3年。そのロンドン生活も終わろうとしている。
憧れて憧れてやってきたロンドン。
本当にアートに埋もれまくったこの1年半。幸せの極みやった。
でも、この街はもうアートの中心になりすぎてしまった。
2004年の夏に留学を考えて訪れたNYで、商業になりきったアートを見て失望した。
「ここは生み出す場所じゃない。集まる場所や」
そう思ってNYを諦めてやってきたロンドンも既にそんな場所になりつつある。
特に2003年以降、つまりフリーズが始まって以来その加速は止まらない。
そんなロンドンを見て僕はこの街を離れる決心をしました。

このブログでもできるだけたくさんの展覧会を紹介してきました。
アートの最前線を多くの人に知ってもらいたいと。
これからはまた日本に戻って、相変わらずアート三昧な日々を綴っていきます。
artholic days第3章。またよろしくお願いします。

追伸:
トラファルガー広場の「4番目の台座」からマーク・クインの彫刻がなくなってた。
次はトーマス・シュッテの彫刻が置かれるそうです。
僕の知らないロンドンが僕のいないロンドンで始まっていく。
これからは遠くからロンドンアートを眺めたいと思います。
さよならロンドン。ありがとうロンドン。

Sam Taylor-Wood


サム・テイラー=ウッドの展覧会が教会を利用したwallspaceで上映されるというので行ってきた。
なんとこの企画、1週間に1本、それの3本立て。つまり全部見ようと思ったら3週とも通わなきゃならんという面倒くさい企画。まあ、全部行ってやりましたがね。
彼女は映像や写真を使った作品で知られていて、97年のターナー賞にもノミネートされました。今年のヴェニス・ビエンナーレではなぜかウクライナ館代表で出てて、その時の映像は登場人物全員が写真のように静止していて、でも表情の筋肉とかぴくぴくしてたりしてなんともしんどそうな映像。僕は彼女の「still life」という作品が好きで、それは昔の静物画のように果物やらウサギやらが配置されてるイメージがあって、それがどんどん朽ちていったり、ウジが湧いたりする映像。
このように彼女の作品は、毎度映像なんだけど、静止画のような作品。
今回出されていた1本目の映像「Pieta`」はまさにそんな映像。
「Pieta`」というのはミケランジェロの彫刻のタイトルで、女の人がぐったりしてる男の人を抱きかかえてる彫刻の姿をそのままやっちゃってるもの。2分くらいの映像なんやけど、めっさしんどそうやった。
2本目は「Ascension」。上昇とか昇天とかいう意味があるんだけど、倒れてる男を前にタップダンスやってるおっさんがいて、頭にハトを乗せてる。そんでそのハトが中々落ちずにがんばってバランス保とうとしてるんやけど、最後ついに飛び立って映像が終了。
3本目は「Prelude in Air」という作品で、男の人がひたすらエアギターならぬエアチェロをやってる。それがめさめさうまくて、多分実際プロのチェリストだとしか思えないんやけど、音楽にめっさ合ってた。。。
彼女のこのゆるい感じの作品と教会の緊張感の調和がおもしろかった。
ちなみに彼女はホワイトキューブのジェイ・チョップリンの奥さん。

にしても帰国前日まで何やってんやろ。。。
ホンマは森万里子も行きたかったけど断念。やってられるかー。

TURNER PRIZE 2007 @ Tate Liverpool


今年もターナー賞展が始まりました。
今年は例年と違い、23年の賞の歴史上初めてロンドンを出てリバプールでの開催。
最近イマイチぱっとしない賞に刺激を与えるチャンスとなるのでしょうか。
ってことでロンドンを離れリバプールまで出張してきました。

まず会場に入って左の部屋のMike Nelsonの展示。
そこには薪が組んであって、火を燃した赤い紙が貼られた安っぽい作品が。
なんじゃこりゃと思いながら次の部屋へ行くと、白い大きなボックスというか柱が4つどどんと部屋を占領していて、穴が開いてるのでそれを覗くと、砂とライトが中にしかれていて、それが鏡張りでいつまでも続くというもの。すべての穴が全部同じ風景。
そこにマダムがやってきて「これはどうなってるの?ここがどこだかあなたわかる?」と不可解な質問をしてくるので、「わからん」と即答してやった。
んで、次の部屋に入るとなんとまたあの薪の作品が。
いつの間に元の部屋に戻ってきたんだ?と思ったけど、これぞネルソンの罠。
部屋をシンメトリーの構成にして観客を狭い迷路に入ったような感覚にさせるという。
まあ、普通に考えたらわかるんだけど、一瞬あれ?ってなる。
去年こっち着た頃、寮の近くのギャラリーで彼の展覧会がやってて、そん時も迷路みたいな作品を作ってた。ステートメントには「フラッシュバック」という言葉が使われていた。むぅ。
続いては、Mark Wallingerの映像。
この作品前のヴェニス・ビエンナーレで見たやつで、彼自身が熊の着ぐるみ着て、ベルリンのミースによる全面ガラス張りの新国立美術館で、まるで動物園さながらに通りすがる人々に見せ物にされるというもの。なんで今更この作品なんだろ。
お次はNathan Coleyの作品。
彼の場合色んなことやってるので、展示を1つのシリーズでまとめておいてもらえたら見やすかったのにな、といった印象。家のミニチュアや「THERE WILL BE NO MIRACLES HERE」というネオンの作品。中でも写真作品が気になった。白黒写真が額に入れられてるんやけど、肝心の像は額のガラスの上に黒いスプレイが吹き付けられて見れない。これはちょっと好きだった。
最後はZarina Bhimjiによる写真と映像。
ウガンダ生まれの彼女は、インドや東アフリカなどの元イギリス領の傷跡みたいなものを写真や映像に収めるドキュメンタリー系、またはジャーナリズム系アーティスト。ちょっと最近こういう人多くないですか。まあ、彼女の場合、自分の国がイギリス領で、その侵略国だったイギリスに住んでいるという背景があってのことだけど。写真はともかく映像は印象的。シザル麻を紡ぐ工場の風景を映したもので、音も合わさって、何か恐ろしいものを見ているような気になった。ちょっと演出過剰気味だったけど、まあよかった。

こんな感じの今年のターナー賞展。ちょっと保守的かな、というのが率直な感想。
例えば過去のノミネート者が2人もいるのも考えもの。
とくにウォリンジャーなんて、今更?って感じ。前のノミネート1995年ですよ。
まあ、今回は去年よりマシ。可もなく不可もなくって感じだった。
賞の歴史上女性が3人しかとってないってのもあって、ザリナの賞獲得の可能性もあるけど、昨年も女性だったのであざとすぎる感じがする。個人的にはネルソンだけど、誰がとってもまあおかしくはなさそう。12月3日発表。その模様はチャンネル4で放送予定。あー、見れねー。


RICHARD LONG @ SCOTTISH NATIONAL GALLERY OF MODERN ART
エジンバラでやってるリチャードロングの展覧会にも出張してきました。
去年のロン・ミュエクといい、ここは中々いいのがやる。いい学芸員がいるに違いない。
にしても、昨年と同じとこかと思ってたら、小さい方のモダンアート館で少しがっかり。
入ると最初はドローイングや写真ばかりで大丈夫かないな、と思ったけど、後半の部屋ではロングお得意の壁の土の壁画や、石を整然と並べた作品はさすがやった。庭にもXの形に置かれた薄い石のインスタレーションもあって、なんとかロングの展覧会にはなっていたものの、やはりダイナミックさから言うと少し欠けていたし、特に目新しさもなかった。
ところで今回この展覧会に行ったのは、僕自身の作品のリサーチでもある。彼の作品と僕の作品が酷似していて、何度もチュートリアルで彼の名前を出されてうんざりだったのでどんなもんかいな、と帰る前に見ておこうということで。まあやっぱ素材もやり方も色んな点で似てるのでそれは否めないんやけど、やはり決定的な違いというものも確認できたので色々勉強になった。あー、このおっさん絶対超えたる。

Lyon Airport Train Station by Calatrava


リヨンへの目的はビエンナーレの方ではなく電車の駅だったというお話。
もちろんビエンナーレも楽しみでしたが、あくまでそれは理由付け。
ずっと見たかったカラトラヴァによるリヨン空港のレイルステーション。
昨年末フランスに行った時にリサーチ不足によりリヨンに立ち寄ったにも関わらず見逃すというありえない失態を起こし、そのままずっと引きずっておったのです。
ビエンナーレがあると聞き、これがラストチャンス!とばかりに飛んで行きました。

ご覧いただけるように、ありえないです。美しいです。
「さなぎから蝶がふ化する瞬間」というイメージで作られたフォルム。
これが駅だなんて・・・。言葉は要らない。写真のみでどうぞ。
























なんか本で見た程のライトアップがなく、ちょっと暗くて残念。
なんにせよめっさ美しかった。夢をみさせてくれてありがとう!

BIENNALE DE LYON 2007

フランスの第2の都市リヨンで開かれるリヨンビエンナーレに行ってきた。
9回目の今年のテーマは「THE HISTORY OF A DECADE THAT HAS NOT yet BEEN NAMED(未だ名も無き10年の歴史)」。これに対し66人の批評家やキュレーターが「プレーヤー」として招かれ、それぞれが「今の時代を最も表している」作家を選出するという、ゲーム形式の展覧会。よくわからん。
リヨン市内にある4つの会場で行われた今回のリヨンビエンナーレですが、正直、テーマが漠然としすぎてちょっとわかりにくいのと、意図的なのか、キャプションが作品と離れて貼られていてどれが誰の作品だかわらりづらかった。それから全部フランス語・・・わかるかー。ってことで報告も漠然として感想しか書けません。あしからず。

Musee d'Art Contemporain

まずは最も市内から離れてる現代美術館へ。
入り口にさっそく曲がったトラックの彫刻がお出迎え。誰のか忘れた。
チケットを買いまず1階へ。このフロアが本当につまらなくて、初っ端から不安がよぎる。ひとつとして印象に残るような作品がなかった。映像作品のヘッドフォンがフィットせずに投げつけた記憶しかない。
そして、この美術館の問題がなにより動線が悪い!
上に上がるのにいちいち来た道を引き返さなければならない。しかもエレベーターのみ。
仕方なく最上階3階へ。ここらへんから中々見れるものが増えてきて安心。
しかし相変わらずキャプションの位置がわかりづらい。
見つけてもフランス語でコンセプトがわからない。国際展だぞ、国際展。
Fabien Giraud & Raphael Siboniの飛行機一機まるごと使った大掛かりな作品は凄かった。マテリアルも内容もわからなかったけど。
あと、ソニーの液晶テレビのCMに使われたグラスゴーにあるビルを映した映像。
ってかこの映像より、その元のソニーのCMがマジですごいんです。
日本ではやってないんかな?コレ。


メイキングもあり。


前からこれどうやって映してたんだろう、って思ってたけどマジでやっちゃってたんですね。
サンフランシスコの坂道に25万個のスーパーボールをこぼしたやつ。といい、ソニーのCMこっちの方がすごい。


こっちもメイキングあり。


CG全盛の時代にこんなことを生でやっちゃうのが素晴らしいですね。日本もこれくらいやればいいのに。って話がそれてますね。

2階へ。このフロアは一番凄かった。まず入るとヘッドフォンが渡されて、音楽が流れてるんだけど、部屋が変わると音楽も自動的にチェンジ。これはこれですごいが、5部屋くらいこの作品のために何も展示せずにおいたキュレーション側の勇気がすごい。
そして、その先には、Ranjani Shettarによる、蜘蛛の糸のようなインスタレーション。小さなボールがたくさんついてて視覚的におもしろい。
そしてついにティノ・セーガル。今回はどう来るか、とドキドキしてたんだけど、部屋入ってもとくに何もなかった。ダン・フレイヴィンやダン・グラハムの作品が置いてたけど、それが彼の作品?それとも「ボンジュール」と挨拶してきたあの係員?わからん。。。現代美術館はそんな感じ。

La Sucriere

川岸の開発地域にある倉庫を使っての展示。
横トリを思い出した。同じくらい会場まで歩いた。シャトルバスも出てたの知らんかった。
倉庫の壁にはJosh Smithのグラフィティが。ちゃっかり自分の名前書いてる笑
こちらは現代美術館より誰がどの作品かわかりづらかったです。。。
入ってすぐにあるのはウルス・フィッシャーの彫刻。相変わらずわからん。
Brian Jungenによるスーツケースを縦に連ねた彫刻やCinthia Marcelleの服と景色が同化したカメレオン的写真や、この春サーペンタインでやってたJennifer Allora & Guillerrmo Calzadillaの彫刻、名前忘れちゃったけど、人口ミニ庭園みたいなものを作ってた人、あとうちの前のチューターのHilary Lloydによる洗車の場面ばかり撮った写真プロジェクションなどもあったけど、最も輝いてたのは、昨年のバービカンのThe CurveやバーゼルのUnlimitedで僕の評価がぐんぐん上がってるThomas Saraceno。今回は透明のバルーンのようなものをたくさん組み合わせた作品。実際これで飛行実験みたいなこともしたみたい。実際機能してるところを見たかったけど、展示風景が単純に美しくて、とてもよかった。サルセノはこれからも要注意だ。

Foudation Bullukian

この辺から意識朦朧となりながら回ってて、着いたらビデオアーカイブしかなくて、どうしてやろうかと思ってたら、隣の庭にLiu Weiによる古いドアで出来た大きな家の作品があって、塩田千春やん!と思いながら、でもこういうの好きだわー、と思いながら意識朦朧となりつつ見てました。中には学校の机みたいなのが置かれてるのが、薄汚れたガラス越しになんとなくわかる。これどっから持ってきた扉たちなんだろう。コンセプトがこれまたフランス語で書かれてるからわからーん。

Institut d'Art Contemporain(IAC)

ここまで来ると頭痛まで始まり、館内でバファリン飲みだす始末。テンション低。
ってことで作品も残念ながらあまり覚えてないんだけど、2005年のターナー賞受賞者サイモン・スターリングの作品が出てたのはかろうじて思い出せる。でも35mmフィルムが動いてなくて、フィルムの展示があって、彼お得意の長ーいテキストが書かれてて、途中まで挑戦したんだけど、こっちは頭いてーんだよ!ってことで25行目あたりで投げ出す。結局わからんかったけど、マルセル・ブルータスに関連する作品だったそうな。

そんなこんなのリヨンビエンナーレ。やる気なさ気な報告で申し訳ない・・・。ロンドンのアート週間の疲れがここにきてどっと出たって感じ。にしてもリヨンはとても素晴らしい街だった。

La Sucriere近くでビュレンの展覧会が開かれてた。
光のファイバーでこれまたストライプ。綺麗だった。やっぱフランスはビュレンだ。

LONDON ART FAIRS 2007

ロンドンは狂ってる。
一週間のうちにざっと数えただけでも7つもフェアが同時開催するなんてありえない。
去年はフリーズ、ズー、スコープの3つだった。
今年はスコープがなくなり、代わりにアメリカ系のパルス、ブリッジなどが参戦。
最後だしってことで、フェア全部回ってきましたので報告。

Frieze Art Fair

なんといっても元凶はこのフリーズ。
2002年に始まり、今年で5年目にしてスイスのバーゼル、NYのアーモリーに並ぶ世界3大フェアの1つとして君臨。約150のギャラリーが世界中から選ばれ今年もリージェントパークで開催されました。
フリーズが現れるまで、ロンドンの冬のアートといえば、ターナー賞が独占してたんですが、フリーズ以降すっかりこちらがメイン。美術館やギャラリーもこちらに合わせて目玉展覧会を持ってくるなどすごい熱の入りよう。去年はたった4日で6万人以上の入場者数。恐るべし。
さて、中身はというと、300以上のギャラリーブースが軒を連ねるバーゼルに比べればやはりかわいいもんだけど、それにしても150はまだ多い。見ても見ても終わらず、最後の方はほとんど何を見てるのかわからなかった。

そんな中で印象に残ってるのはなんといっても、ポリスの座禅パフォーマンス!いつもえらそうにしてるポリスなだけに、なんか見てて清々しかった笑 にしてもがんばるなー。


そしてHauser & Wirthブースに出てた馬の死骸みたいなやつ。めっちゃ気持ち悪かったんだけど、まさか本物じゃなかろうな。でもホント本物と見紛うくらい精巧。近くで見てもわからん。毎日発行されてるフリーズニュースペーパーによると、どうやら先日お伝えしたOne One Oneを開いたデイビッド・ロバーツ氏が既に購入済みとのこと。やるなー。


あと好きだったのが、KISSのメイクをがんばってやってる映像。これが4人分あって、マジで笑えた。こういうの好きだわー。アホアホ。


他は何か色々あったけど記憶が曖昧。。。エルムグリン&ドラッグセットの写真もよかったかな。
にしてもホワイトキューブは相変わらず豪華だった。デミアン・ハースト、トレーシー・エミン、マーク・クイン、ドリス・サルセドなどなどスター選手のオンパレード。昨年はチャップマン兄弟が出張で似顔絵描いてたけど、今年は内覧会にて、お札にサイン会をしたそうな。。。それ明らかにイリーガルやろ。。。
フリーズはそんな感じ。疲れた。
にしても今年はコヤナギが抜け、日本からは小山とタカ・イシイの2つだけなんて・・・頑張れジャポン。

Zoo Art Fair

立地、質、ギャラリーの数共にもっともバランスの取れてたのが今回のズー。
開廊6年未満の若手ギャラリーのみが出展できるフェアで、今年は60程のギャラリーが世界各地から出展(といってもほとんどロンドンからだったが)。名前の通り、昨年までリージェントパーク内にあるズー(動物園)内で行われていたが、今年はローヤルアカデミーに移動。去年も行こうとしたが、動物園の入園料を払わないといけないっぽかったので断念。今年は悠々と行けます。12.5ポンドはそれでも高いが。
本当に見やすくて、作品も好みのが多くて好印象。
中でも目を引いたのが、伊島薫さんの「最後に見た風景シリーズ」
ギャルソンやヨージなどのブランドに身を包んだ女性が色んな死に方をしている。
写真もとっても綺麗で、コンセプトもやなぎみわ風だったけど面白かった。
芸能人がたくさん使われてたのがすこし萎えたけど、それでもまあよかった。

あとその隣でゴミ達が音楽を奏でてる作品や、雪の中で服を交換し合うパフォーマンス映像もおもしろかった。
にしても先月オープンした176は既に老舗画廊の風格を漂わせてた・・・階段上がった一番大きなスペース独占してたし・・・おそるべし。
それからこないだのブリックレーンでのショーにも出てた、今年RCA卒業生の作品がまたここでも出てた。しかも売れてた。学生の作品がいきなりマーケットにつながるロンドンの力を見た気がした。

bridge Art Fair

大穴だったのがこのブリッジアートフェア。マイアミ・NYで行われるフェアがロンドン初上陸です。
本当は行かないつもりだったんだけど、それではartholicの名がすたる!ってことで(ぉ
で、行ったら結構よくてびっくり。ほとんどアメリカのギャラリーだったけど。
何が良かったって、なんといってもこれがホテルでやってるという点。
トラファルガー広場にあるトラファルガーホテルをほぼ全室貸し切りで、一室につき一画廊が作品を部屋に並べている。これが中々おもしろくて、他のフェアと違い、パーテションのような仕切りではなく、部屋というわかりやすい仕切りのため、見やすさも素晴らしかった。
で、一番よかったのは、入って一番最初に出くわしたオランダのWitzebhayseb GalleryのJoanneke Meesterの作品。寝転んで上に設置された映像を見るんだけど、そこに映ってるのは、裸の子供が自分の体の輪郭線を必死に描かされてる映像笑 健気にがんばってる姿がかわいくて思わず笑みが。そしてその描いた輪郭線も展示されてた。ほのぼの。

他にも色々あったんだけど、ギャラリーの人と部屋に2人きりになって気まずかったりして中々写真撮れなかった。にしても良い企画だった。

あとはもうまとめて報告。だってあんまおもしろくなかったんやもん。
まずはPULSE
こちらもブリッジ同様マイアミ、NYで行われてる米系フェアのロンドン初上陸。とりあえず見づらい!作品を見る気にあんまならん。
Year_07も同様。こちらはサーチが入ってたカウンティホールだったけど、狭過ぎて見れない。
まあ07は何故か無料で入れたから良しとしても。
唯一印象に残ってるのが両フェアに出てた照屋勇賢氏の作品。
トイレットペーパーの芯を細かく葉っぱの形にした作品。
どんな作家なんだろう、と思って調べてたら2年前の横トリで見てたことが判明!
その時はファーストフードの袋をこれまた細かく木の形に切り取ってた。すごい。

それから、LONDON ART。こちらはどちらかというと主にロンドンの老舗画廊が出展してるフェア。今年で9回目で、フリーズより長い。が、正直内容は全然。コンテンポラリーが少ないし。
ただ、中で行われてたCass Sculputure Foundationが企画した展覧会'Enabling the Future'は面白かった。この機関はパブリック彫刻を管理する機関で、そのドローイングやら模型やらが置いててすごい興味深かった。彫刻家のドローイングってかっこいい。そして、フェアの外にもたくさん彫刻が置いてて、ほとんどは見るまでもない感じだったけど、それらにまじってゴームリーやトニー・クラッグもあったり。
最後はFree Art Fair。Friezeではない、Freeである。
名前のごとく、なんと最終日に作品全部無料で配るという大盤振る舞いの企画。
市場主義のフリーズに異議を唱えるフェアとしておもしろい企画だな、と思って行ってみたら、なんのこっちゃない、空きテナントを3つ使った小さなショーだった・・・残念。最終日に行ってみたら、ちゃんと人が並んでたけど。まあ、これが無料かー、と思ったら値打ちありそうだけど、なんだかね。

のあー、そんなこんなで、ロンドンのアート狂乱週間終了!疲れた・・・。
来年はさらに増えるのだろうか・・・くわばらくわばら。

Phil Collins @ Victoria Miro


昨年のターナー賞ノミネート作家フィル・コリンズの展覧会に行ってきた。
昨春テートブリテンで初めて彼の作品を見た時からファンで、去年も賞とってほしかった。
さて、まずギャラリーに着くと、早速「SHADY LANE PRODUCTIONS」の看板。
これは彼が立ち上げたテレビプロダクションの社名。
この時点で本気か冗談かわからん。
中に入ると、まずテレビの舞台裏のような写真作品。
そして大きなメイン会場に入ると何かの記者会見の映像。
これがまたうさんくさくて、カメラの動きもでたらめ。
今回の「the return of the real」と題された作品は、このテレビというメディアのうさんくささと、それでも信じずにはいられないリアリティとの間をついたなんとも痛快な作品。
そもそもこのシリーズは2005年のイスタンブールビエンナーレから始まる。
昨年のターナー賞のショーでも出してたその作品は、若い女性とインタビューワーの画面2つが向かい合って設置されて、それぞれ彼女の壮絶な人生についての問答が行われる。観客はそれをテニスか卓球の試合でも見るように、喋る側が変わる度に首をあっちへこっちへ移動させてた。
今回その形式をとっていたのが2階の展示。
合計6つの大きなスクリーンが左右の壁に3つずつ配置され、これまた問答形式。
それぞれの間に椅子が置かれてて、それぞれの問答がちゃんと聞けるようになってる。
にしても、これらの作品を見ていると、果たしてこれがアート作品なのか現実の番組なのかわからなくなってくる。彼らの話している内容も嘘なのか本当なのかもわからない。虚構と現実がごっちゃになってしまいます。
インターネットは情報が多い分、皆疑う事に慣れてるけど、テレビとなると、未だに100%信じてしまう人が多い。テレビで流れる情報が嘘のはずがない、とまるで宗教のよう。プロパガンダが今でも簡単に行うことのできる唯一のメディアなのかも。そう思うととても恐い。
そういったテレビの宗教的な部分を鋭くついたフィル・コリンズ。
見た後色々考えさせられる展覧会。11月10日まで。
にしてもなんでターナー賞とれなかったんだー。。。

Steve McQueen @ Thomas Dane Gallery/Imperial War Museum
逆にどうしてこの人がターナー賞取れたの?という人の展覧会(爆)
まず、トーマス・デーンの方では相変わらず16mmフィルムだけを展示。
馬の死体に蠅がたかってるのをひたすら映してるだけ。何が言いたいの?
それに対して、インペリアル・ウォー・ミュージアム。
こちらは、博物館側からコミッションを受けて作った作品。
タイトルは「QUEEN AND COUNTRY」
打って変わってなんと立体作品。
キャビネットになってて、引き出すと人の顔をプリントした切手。
それぞれ違う顔が入ってて、エリザベス女王のシルエットも一緒にプリントされてる。
実はこの人たちはイラク戦争で戦死した人々の写真。
ひとつひとつ見ながら、この人達はもうこの世にいないんだ、と不思議な気持ちになった。
中には僕より若い人もいる。
ただ、こういうのを作品に直接使うのは僕はあまり好きじゃない。
作家の作品に人の死が利用されてるだけのように見えて仕方がない。
こないだまであったウォリンガーの反戦デモの作品同様。
まあ、映像よりかはよかったけど。


Urs Fischer,Rudolf Stingel, Christiana Soulou @ Sadie Coles HQ
Sadie Coles HQがこのフリーズの時期に合わせ、なんとロンドン市内にて4会場同時個展開催!
いやー、もうやりすぎですね・・・。
ひとつはこないだ紹介したマシュー・バーニー展。
そして今回紹介するのが、まずはウルス・フィッシャー展。
元倉庫をそのまま仮設のギャラリーとして展開していて、この場所自体がおもしろい。
蜘蛛の巣とかまだ全然あって、ずっと使われてなかった感が漂う。
そんな中彼の作品は岩のようなテクスチャーの彫刻で、なんと床貫いて地下に続いてた。。。
ってかこの後どうすんすか・・・また床埋めるのか・・・気になる。
こっちのギャラリーはやることが半端ない。
昔Frith Street Galleryでも、フィオナ・バナーが思いっきり床貫いてたし・・・。
そんなこんなで作品どうこうというか、床貫いてる事自体ショッキングすぎた。
今回のヴェニスビエンナーレでもスイス館代表をつとめた彼。実際見てないけど、今ぐんぐんきてる作家っぽい。ピノー財団のパラッツォ・グラッシにも飾られてたし。彼の全体の意図がイマイチつかめませんが。
そしてその近くのルドルフ・スティンゲルの展覧会。
入るとまずモノクロのベーコンのペインティング。
ステートメントを読むと、どうやら、作者がその絵を初めて見たのが本で、そのイメージがモノクロだったんだとか。その最初に作品に出逢った時の印象をそのまま絵にしたみたいな。なんかよくわからん。
そして一番よくわからんのが、クリスティアナ・ソウロウ。
彼女の作品は、めちゃくちゃ薄い像の版画作品。全然魅力感じませんでした。
そんな感じで半分意地で全部回ってみました。

こんな感じで色々回っていて、たまに目的のギャラリーに行く途中、または帰る途中にフラッと近くのギャラリーを覗いてみる。そこで良い作品に出逢える事もしばしば。今回もいくつか出逢えたのでご紹介。やっぱギャラリー周りはやっとかなあかんなー。

George Taylor @ scream
マルジェラの店に行く途中で、フッと目に止まったウインドウディスプレイ。
そこにギャラリーがあるのは知ってたけど、入ったのは今回が初めて。
そこにあったのは鳥の羽をふんだんに使ったジョージ・タイラーの作品。
多分インゼル・ホンブロイッヒ美術館で見たと思うんだけど、少し変わってた。
あの時も、近くで見てそれがすべて鳥の羽だと気づいた時はびびった。
そして今回。大型作品がたくさんあって、何羽の鳥が犠牲に・・・。
剥製を貼付けてあったり、白鳥まるごと一羽はりついてるのもあった。
でもどれも美しくてロマンチック。すごく詩的な作品たち。今月27日まで。

Polly Morgan @ RECONSTRUCTION
Friezeに行こうと思ってRegent's Parkの駅に降りたら、近くの教会に大きな幕がかかってて、見たら中で展覧会がやっているようだったので行ってみた。
会場に入ると小さなガラスケースに小さな動物の剥製達が様々な形で展示されている。
マッチ箱に入った鳥のヒナ。ワイングラスで眠るリス。
そのどれもがかわいいのだが、ある種残酷なものを見ているようで変な罪悪感。
「The Exquisite Corpse(美しい屍)」と題されたこの展覧会は、ポリー・モーガンという英国生まれの作家のロンドン初個展らしい。これがまず英国作家の作品という事にびっくり。というのもあまりに詩的な作品だったから。
英国作家はどっちかというと、わかりやすい作品を作る人が多い。
チャップマン兄弟やデミアン・ハーストを見ればわかるが、インパクト重視というかストレートというか・・・。サラ・ルーカスしかりね。
そんな中彼女の作品はとても夢見がちな感じ。とても素敵な空間だった。
今月19日までの展示らしい。Friezeに行く人は是非セットで。駅降りたらすぐです。

Bernard Frize @ Simon Lee Gallery
ウルス・フィッシャー展の帰り道にフラっと立ち寄ったギャラリー。
フランス人作家、ベルナール・フリズの展覧会。
この人の作品は昨年の国立国際で見た「エッセンシャル・ペインティング」以来よく見る事が多いんだけど、どうしても名前覚えられない。なんでやろ。
とにかく、フランス人だなー、っていうオシャレなペインティング。
絵の具のマテリアルがとても綺麗で、それによって描かれる線がとても綺麗。
今回もそのシリーズの延長らしき絵画と、スプレイを使った作品が展示されてた。
油彩はともかく、スプレイのやつはぼやけてる感じできれいっちゃーきれいなんだけど、やっぱ油彩の方が魅力的。11月17日まで。

これまたウルス・フィッシャーの帰りにトレーシーエミンカー発見!
今Friezeに合わせて色んな作家柄の車がロンドン内を走ってます。

Seduced @ Barbican Centre


18歳未満お断り!
そんな前代未聞の展覧会がバービカンセンターで開催中。
Seduced: Art and Sex from Antiquitty to Now
アートとセックスに関する古代から現在までの300を超える「作品」を一同に集めた展覧会。
1階は古代、2階は現代という会場構成。
もう、本当におかしくておかしくてたまらなかった。
まず1階。そもそもこっちがヤバい。
古代ローマの彫刻からルネサンス、バロック絵画、日本の浮世絵、中国の水彩画、インドのイラスト。
人は昔からエロかった!ってのがすごくわかる笑
だからこそ今の僕らがいるんだよなーと壮大な時を馳せるロマン。
ってか、もうギャグやん!っていう妄想の嵐。
ペニスに羽がはえて飛び回ってる版画、集団セックスを描いた壷、女体に絡むタコの浮世絵、ペニスを畑に植える女性の油彩、野外セックス万歳な水彩画、「ぶっかけ」上等なたくさんのおち◯ち◯。
もう、笑いがこみ上げてきて、こらえるのに必死だった。
これは1人で行ったのはまちがいだったわー。友達とあれやこれやと大笑いしたかった。
インドのイラストを見てる時となりのご婦人の会話。
「アンビリーバボー!身体の構造上あり得ないわ!」
見てみると確かにあり得ないヨガ的なポーズでヤッてる男女笑
それを真剣な顔して語り合うご婦人がおもしろくてしかたなかった。
あー、マジでヤバいよこの展覧会。
ペニスの形の大理石彫刻とかもあったなー。どこまで本気なのかしら。
ってか、日本の春画のあの描き方なんであんな力強いのでしょうか。
そんなこんなで1階はこんな感じ。
2階はほぼ現代美術なんだけど、出品作家がありえなく豪華。
デュシャン、クリムト、シーレ、ピカソ、ブルジョワ、ベーコン、ハミルトン、ウォーホール、クーンズ、メイプルソープ、ルフ、デュマス、エミン、アラーキー・・・。
あの詩的な絵画で知られるターナーでさえ、女の裸をメモってあったり。
シーレのドローイングはめっちゃかっこよかった。。。
ただ、現代美術において「エロス」は当然の主題なので、あまり新鮮味はなかった。
やっぱ1階の展示のインパクトが強過ぎた。
にしてもこの豪華なラインナップが一同に会してるのは気持ちよかった。
行った時ナン・ゴールディンの作品がやってなかった。
最近彼女の作品が児童ポルノでひっかかったというニュースを聞いたので、それでかと思ったら単に「テクニカルプロブレム」だった。多分スライドの調子がよくないのか。ってかそれくらいちゃんとやれよ。ってことで見れなかった。残念すぎる。また戻ってきて見ようかと思ったけど体力的に無理。
文句なく5ツ星展覧会。1月28日まで。是非!!
にしてもこのバービカン、たまにとてつもなく良い展覧会をやる。
2年前ロンドンに初めて来た時やってた「Colour after Klein」は半端なかった。
あれ見てロンドンってすげー!って思った。
クライン、ウォーホール、トーレス、ブルジョワ、タレル、フレイヴィン、カプーア、カル・・・。
あんな豪華な展覧会をいきなり見てしまって、面食らったのを覚えてる。
今回のはあれ以来の衝撃。そんな大きなとこでもないのにすごい。
今回のキュレーションをしたキュレータ-にただただ賞賛の拍手を!

ところで、今ロンドンではなぜかポップアートが再燃。
ヘイワードの「THE PAINTING OF MODERN LIFE」、ガゴーシアンの「Pop Art Is...」、そしてポートレートギャラリーの「Pop Art Porttraits」となぜかこぞってポップアートを再考する展覧会が開催中。
21世紀に入って改めて「近代とはどういった時代だったのか」というのを問い直してる様子。
これに対しまずヘイワードは「写真」というのをキーワードに挙げてた。
そして最も重要な作家としてゲルハルト・リヒターが多くで取り上げられていた。
彼のフォトペインティングは衝撃的だった。
「写真のように描く」作家は数あまたいれど、「写真そのものを描く」作家は彼が初めてだった。
写真のブレや、ボケまで再現する彼の絵画は限りなく我々のリアリティーを鋭くつく。
彼曰く「写真は私にとって美術史なんかよりもっと関係が深いのです。それは私の、我々の現実的な日常そのもの。そしてそれは現実の代用物なんかではなく、現実を捕らえる為の支えなのです」
写真は近代という時代において大きな役割を果たす。
それは誰もが簡単に撮る事ができて、写真を見ない日は365日ありえない。
近代以前の絵画と以降の絵画では、やはり「リアリティー」という点において大きな違いがあるように思う。それはより日常的なもの。
この展覧会がまず新聞や広告、ポストカードを主題にした絵画を飾っていたのは効果的だった。
それは我々のごくごく日常であり、それを絵画におこす事で改めて日常を見直すことになるのだ。
ウォーホールを始め、マルコム・モーリーなど、近代の巨匠の絵がずらりと並ぶ。
そして次のセクションでは政治が大きな位置を占める。
リヒターの「1977年10月18日」シリーズはあまりに有名だし、デュマスの目隠しをされた捕虜の絵は痛烈だった。タイマンスも出てた。
そんな感じで写真と深く結びついた絵画作品がどんどん並ぶ。
おもしろいのが、展示作品すべてが絵画ということ。
現代美術の企画展で絵画だけが並ぶのは中々異様な光景だった。
昨年大阪の国立国際であった「エッセンシャル・ペインティング」もあったけど、あれは単に今のペインター達を紹介するっていうのが趣旨で全然おもしろくなかった。(しかも本当に「今」だったのか疑問。カッツとかもあったし) その点からすると今回の展覧会は「近代」という問題を明確に打ち出した点でとても見やすかった。
ただ、最初の方に重い主題を持ち出しすぎて、後が軽やかすぎる印象を受けたのが残念。
にしてもこれまた豪華な展覧会だった。12月30日まで。
ところで入場の時にもらったパンフに、それぞれの作家が参考にしてる写真が載っててこれがとてつもなく興味深かった!
そしてガゴーシアンの展覧会。こちらはポップアートに新たな定義付けの試みが行われてた。
例えば、ウォーホールやオルデンバーグに加え、デュシャンやリヒター、ポルケ、サイ・トォンブリー、はたまたダグラス・ゴードンにデミアン・ハーストを付け加えてみたり。
もっとワイドな視野で止まっていたポップアートの範囲を広げてみたって感じ。
一番おもしろかったのがハミルトンの代表作「一体なにが今日の家庭をこれほどまでに変化させ、魅力的にしているか」のコラージュに使った素材の雑誌の展示。作品と見比べて、どの雑誌のどこの部分が使われてるのかを見比べるのが楽しかった。ちなみにポップアートの「ポップ」とは、この作品のマッチョマンが持ってるキャンディの包みに「POP」と書いてあったとこからとられてるんです。ポップアートはNYのイメージが強いけど、実はこのロンドンで始まったものだったんですよね。
リヒターをポップアートに入れるかというのは色々疑問だけど、なんといってもラインナップが激しく豪華。さすがガゴーシアンの政治力。
ただキャプションがなくてめっさ見にくかった。。。11月10日まで。
にしてもガーゴーシアン。最近チェーン展開が目覚ましくて、ローマやモスクワまで進出。どこまでやるんだ・・・日本に来たらおもしろそう。あ、でも村上の手中に入りそうだから駄目だ。
ポートレートギャラリーのはパスで・・・。こんだけ見たら十分でしょ?

そして若手にスポットを当てた展覧会を2つほど。
まずブリックレーンでやってる「THE FUTURE CAN WAIT」
ものすごく広い敷地でびっくりした。こんなとこがあったんだ。
ただ、キャプションもなく作家リストもなく、どれが誰の作品か全くわからず。ありえんだろ。
何個か卒展で見かけたような作品もちらほら。
ゴールドスミスで見た映像や、RCAでこのブログでも取り上げた足を子供のように抱きかかえてる映像も発見。あとはバーゼルのVOLTAで見た小さな虫を使った作品もあった。ってか同じ作家なのかイマイチ確認とれないけど、そうに違いない。
そしてもう1つはPilotという企画で、今回で3回目の企画。
キュレーターやら批評家やらがそれぞれ一押しの若手を選出する展覧会。
今年はなんと我が母校チェルシーカレッジでの展示とのことで行ってみたわけですが・・・。
かなりがっかりでした。
というのもなんと今回はアーカイブの展示のみ。
作家の代表写真があって、それぞれファイルが置いててご自由にご覧下さいって感じ。
いやいや、それは無茶やろ・・・。
ってことでほとんど見ずに退散。こないだVynerで見たやつがあったくらいか。残念。


建築家・黒川記章氏が亡くなられました。
氏は丹下ゼミに所属し、建築や都市を生物の新陳代謝に見立てたメタポリズム運動の旗手でもあり、興味深い建築も世界中にたくさん残してきました。
ご冥福をお祈りします。

Georg Baseliz @ Royal Academy


テートのブルジョワ展と並び、今ロンドンではもう1つ大きな回顧展が開かれている。
ゲオルグ・バゼリッツの50年以上にも渡るアートキャリアを振り返る展覧会だ。
バゼリッツは、リヒター、ポルケと並ぶドイツの巨匠。
それぞれが平面作品の中で、様々な可能性に挑んできた。
バゼリッツはなんと言っても像を反転させた作品が有名。
像を反転させる事で、何が描かれているか以前の絵画としての存在を強調したのである。
今回の展覧会では、絵画60点に素描や版画、彫刻を合わせた彼の様々な制作を追える。
彼の半世紀以上にも及ぶ活動が集約されているとてもいい展覧会。
ローヤルアカデミーの伝統的な部屋にバゼリッツの作品がとてもマッチしていた。
にしても、この人精神に異常があるんじゃないかってくらい病的な絵が多い笑
2つ目の部屋の頭が変形した人の絵とか不気味すぎる。足だけのやつとか。
反転した絵も、見ているうちになんか不思議な感じがしてきた。
だって、部屋中に絵が上下逆でかけられてるんですよ。しかも全部。気持ち悪い。
また、絵の中で漫画のコマ割りのように3つに区分けされたやつとかもあった。
一体この人の脳の中はどうなってるんやろ。。。
なんにせよおもしろい展覧会でした。ブルジョワ展よりおすすめ。12月9日まで。

Zhang Huan @ Royal Academy/Haunch of Venison

同じくローヤルアカデミー中庭に突如現れた「3本足の仏陀」。
中国人アーティスト、ジャン・ホァンによる作品である。
銅板を溶接して作られていてめちゃでかい。
そして彼は今Haunch of Venisonでも個展開催中。
こちらでは、灰で作った絵画や彫刻を出品している。
特に最上階のこれまたどでかい灰でできた仏陀は圧巻。
だって口から煙出てるんですよ。ってか中燃えてんの?
ギャラリー内は線香のようなにおいで充満しております。
にしてもこういう東洋を全面に押し出した作品って嫌いだ。
こういうのが多いから中国アートは好きになれないんですよね・・・。

Chuck Close @ White Cube
メイソンズヤードの方のホワイトキューブにてチャック・クロースの展覧会。
超綿密に描かれたポートレイトで有名。写真と見まがいます。
しかし残念だったのが、今回地上階に並べられてたのがタペストリーだったこと。
なんでタペストリー?何がしたいのかよくわからん。
描かれているのは彼の友達でアーティストのシンディ・シャーマンやらキキ・スミス。
ケイト・モスもいた。この人現代美術好きで、色んな人のモデルになってる。。。
下の階はおなじみのグリッドで描かれた肖像画たち。
不可思議な模様が合わさってちゃんと人になる様はすごい。
今回はクロースの家族とビル・クリントン。なんでビル・クリントン?また謎。
あとケイト・モスのヌードの写真をダゲレオタイプ(銅板写真)にしたもの。謎。
なんか色々負におちない展示でした。
マドリッドでたくさん見たからもういいや、って感じでしたが。11月17日まで。

Louis Bourgeois @ Tate Modern


ルイーズ・ブルジョワの70年にも及ぶアートキャリアを振り返る回顧展がテートモダンで始まりました。御年96歳にしてまだまだ現役。2000年のテートモダンの開館時にはタービンホールを飾るユニリバーシリーズ第一弾として彼女の展覧会が開かれました。六本木にある大きな蜘蛛も彼女によるもの。
1911年パリに生まれ、1938年に夫とNYに渡って以来今もNYに在住。
彼女の作品は、性的なものが多く、女性の恐ろしさを感じずにはいられません。
といっても、正直あまり好きではないので、展覧会前半の彫刻達はほとんど素通り。
大理石を使い始めたあたりからおもしろくなってきて、「cells」という独房をイメージした部屋のインスタレーション群が並ぶ後半の部屋は圧巻。
ドアが壁になってたり、大きな蜘蛛が現れたり、ホラーちっくだけどとても魅力的。
ってか、これどうやって運び入れたんだろう。
最後の部屋の博物館風な展示もよかった。
彼女の小さな作品たちがガラス張りに展示されてて何かの遺跡のよう。
にしても70年って本当にすごい。
のわりに展示室が小さかったのが残念。
どうしてギルバート&ジョージの時のようにフロア全体を使った展示じゃなかったんだろう。
その後センターにあるHauser&Wirthの展示も観に行ったけど、こっちの方が彼女の彫刻展示よかった。彼女の作品にホワイトキューブは合わないと思う。ちょっと古めかしいギャラリーの赤い壁とかが、彼女の彫刻とマッチしていてよかった。
テートの展示は来年1月20日まで。Hauser & Wirthは11月17日まで。

2日連続朝一テートでどっちも雨に降られた・・・。

Doris Salcedo @ Tate Modern


今年もテートの目玉企画ユニリバーシリーズが始まりました!
今年の作家はコロンビア在住の彫刻家ドリス・サルセド。
彼女の作品に関しては先月のホワイトキューブでの展示をご覧下さい。

毎度今回はどうくるかと期待させられ、毎度期待を上回るものを拝めるこの企画。
テートのタービンホールという無二の世界最大室内展示室をどう料理するかがポイント。
そして今回もやられました。
前回の途中経過で床のセメントを削っていたので、それをどう使うのか疑問でしたが、まさかそれ自体が作品だったとは。してやられました。


そうなんです。このタービンホールの床176mを突っ切る亀裂こそ彼女の作品!
なるほどー、こうきたかーといった感じ。
髪の毛のような細い亀裂から段々大きな亀裂へ。


彼女独特の抑圧された者だけが奏でられる不協和音がタービンホールにこだましていました。
というのもこの作品。人種差別や移民問題など、様々な差別の境界線を意味しているのです。
この亀裂には境界を暗示するフェンスが埋め込まれている。


そして「SHIBBOLETH」という作品タイトルにも色んな意味が込められている。
辞書でこの言葉を引くと「しきたり」という言葉が出てくるが、この言葉には暗い歴史が隠されている。旧約聖書によると、戦に勝ったギデオン族が、「sh」の発音ができなかったエフライム族をあぶり出すのに使った言わば踏み絵のような言葉らしい。
RとLの発音の出来ない日本人にも何かできそうだな、とふっと思ったり。個人的にはBとVの発音の方が難しい気がするんだけどどうでもいいですね。


これを見ていてふっと阪神大震災のことを思い出した。
当時震源地にはいなかったものの、あの不気味な揺れは実感として覚えている。
その後父親に連れられ見た神戸の風景はこの世の終わりのような光景だった。
この作品とそれを比べるのには中々無理はあるが、理不尽な力によってねじ伏せられる負の空気は共通するものがあったのかもしれない。


またこれはドリスなりの西洋美術が作り上げてきた「美」の概念への挑戦でもあるらしい。
それをテートの床に亀裂を走らせることで表現したドリス。凄い人だ。
そしてそれを許したテートもすごい。
ロンドンのこういうところがすごいなーって毎度感心してしまう。
例えばこれをアメリカで実現する事ができただろうか?
誰が自分たちの悪を暴くような行為を進んで受け入れるだろう?
人種のサラダボール状態なロンドンだけど、ここに暮らしていてまだ明からさまな差別にあったことはない。それは差別が徹底して犯罪だと認識されているといことが大きい。
アメリカやフランスではまだまだ明からさまな差別があると聞く。
ロンドンはそういう点では進んでいる。(他の点では周回遅れも甚だしいが)
そうした土地だからこそこの作品ができたのかもしれない。
今回で8回目を迎えたユニリバーシリーズ。また新たな伝説が生まれた。
あー来年は多分見れないなー。いいのじゃないといいな(ぉ
ちなみに4月の会期終了後、この亀裂はまたセメントで埋められるが、テートの傷跡として残ることになる。






The Unilever Series: Doris Salcedo
Tate Modern
9 October 2007 - 6 April 2008

Yutaka Sone @ Parasol Unit


2003のヴェニスビエンナーレ日本館代表も務めた曽根裕の展覧会。
あまり彼のコンセプトについてはわからないが、彼の作品を見ていると「フェイク」という言葉がしっくりくる。
まず入ってすぐに目に入るのが大理石で掘り起こした街の風景やゲレンデの風景。
その奥にはどこかの土産物のような像の人形達と陳腐な夕焼けの風景。
そしてさらに奥にはどでかい盆栽のような、島の彫刻(?)
実際土に植物が植えられ水まで流れている。
そして上ではクリスタルで掘った雪の結晶の彫刻群。このインスタレーションは中々見もの(上写真)。
そして最後にはこれまた陳腐な小学生のような風景画など。
そのどれもがうさんくさくてチープ。使ってる素材はとてつもなく金がかかってるけど。
なんかこの不自然さが売りなんだろうけど、どうも好きになれない。
「美術がすべて自然のまがい物」とでも言わんばかりだけど押し付けがましいというか・・・。
ちょっと何がいいのかわからんです。
それよかこのギャラリーの広さに感動しました。12月16日まで。

Matthew Barney 'DRAWING RESTRAINT'
曽根さん同様、周りの評価が個人的にイマイチ解せないのがこのマシュー・バーニー。
今ロンドンでは3会場に渡って彼の「拘束のドローイング」シリーズを展開しています。
1つはサーペンタインギャラリーをふんだんに使った展覧会。
2つ目はギャラリーSadie Coles HQが別会場で展開している9の彫刻の展覧会。
そしてノッティングヒルでビョークも出演し話題となった9の映像が上映中。
どれも金沢で初披露された「拘束のドローイング9」がメインなので金沢で既に見た僕としては何の新鮮味もなし。しかも金沢で見た時も友達4人で行ったにも関わらず上映中全員眠ってしまって、後に皆で起きてる部分をつなぎ合わせるということをした記憶しかなく。とりあえず日本文化(捕鯨、茶会など)をテーマに繰り広げられてるんだけど、特に感動もなし。
ってことでノッティングヒルの上映会はスキップして他2つに行ってきました。
サーペンタインの方は実際バーニーがやってきて、ハーネスやらを使って実際ギャラリーの天井近くにドローイングしたりしてて、その映像が上映されたり、「9」のでかいワセリンでできた彫刻が空間いっぱいに展示されたり、エビで出来たこれまたでかい彫刻もあったりで、バーニーワールド全開って感じだったけど、やっぱ金沢の方が断然見がいがあった。ってか彼にサーペンタインは狭すぎる。天井もそんなに高くないので、ようやったなーって感じがしないし。全体的に中途半端な印象。
Sadie Coles HQの方は「9」の写真作品と彫刻がゆったりと展示されてた。
展示数は少ないけど、こっちの方がゆとりがあってよかった気がする。
なんにせよ、あまり好きじゃないのでなんとも言い難いです。
サーペンタインの展示は11月11日まで。Sadie Coles HQは11月17日まで。

ところでこのSadie Coles HQ。
このFriezeの時期に合わせて気合い入りまくってて、なんと4会場で別々の個展を開催!
や、やりすぎですってば。。。ってことで頑張って全部回りたいと思います。
残りの3つは後日報告ッ!

Rivington Place by David Adjaye


デイビッド・アジャイによるリビントンプレースが先日ついに完成しました!
4面違う表情を見せるファサードはとても魅力的でかっこよすぎです。
ここにはIniva(Institute of International Visual Arts)とAutograph ABPという2つのアートと写真関連の組織が入っていて、それぞれ展覧会などを行う場所になります。また中には図書館などもあり、様々なアーカイブにもなってる(んだと思う)。
早速中では展覧会が行われていましたが、こっちは特になんとも。
中はちょっと低めの天井と黒を基調にして全体としてシックな印象。
ほとんど撮影所とかのため、一般に公開されるのはほんの一部で、すぐ見終わってしまった。
なんにせよ、これでアジャイの名がさらに飛躍する事は間違いないでしょう。









Elektra House by David Adjaye

前回アジャイを調べてた時、最も見たかったのがこの建物。
しかしこれは個人の住宅のため、住所は一切明かされておらず断念。
だがしかし!先日とある筋から住所の情報ゲット。情報社会って恐いですね。
ってことで早速行ってきました。
その通りを歩いていると、突如として現れる周りと一線を画す建物。
この感覚は安藤の住吉の長屋を見た時に感じた感覚に近いですね。
遠くから見ただけでめっちゃかっこいい!
にしても、このフラットなファサード。どこから出入りしてるのかと思えば、ちゃんと隣に勝手口がありました。
そして驚きなのが、この建物に使われている素材。なんと木なんです。
写真等で見てた時は、錆びた鉄かなんかを使ってるんだと思ってたんですが、近くで見ると木目が!特殊な樹脂で加工してるらしいですけど、どうしてこれが雨の多いロンドンでそんなに退色もせず耐えられるんだろう。
住宅なので中に入れないのが残念だけど、横から垣間見ると大きな窓があったり、多分上のガラスからそのまま自然光が降り注ぐようになったりしてるのでは、と色々想像を膨らましていました。こんな家に住みたい。
にしてもカメラをパシャパシャ撮って近隣住民にめっちゃ怪しまれた。ごめんなさい。
ところでアジャイの場合、RCA時代の旧友に住居を頼まれることが多いらしい。なぜなら世界一学費の高い芸大に行ってただけあって、金は持ってるわ、芸術に傾倒してるわで、住むのもデザインハウスに住みたいってんで、友達のアジャイに頼むってわけ。普通の建築大学じゃ、皆自分でデザインできるし、ちょうどいいバランスなんでしょうね、RCAは。同大学出身の美術作家で98年のターナー賞受賞者でもあるクリス・オフィリもアジャイに住居建ててもらってます。

176 & 111

サーチに続けとばかりに英国の大蒐集家2人(組)が相次いでギャラリーをオープン!
ひとつはザブルドウィック夫妻によるカムデンロックマーケット近くのチョークファームにて住所の番地をそのまま名前にした176。もうひとつは、デイビッド・ロバーツ氏によるこれまた住所の番地そのままのone one one(111)。にしてもこっちのギャラリー名の付け方ってホント適当。Frith Street GalleryなんてFrith Streetから引っ越してもこの名前のままやし。
そんなこんなでどちらも行って参りましたのでレポートします。

AN ARCHAEOLOGY @ 176

19世紀の教会をそのままギャラリーにしっちゃった176。
ってかこれ立派に公営の美術館ですってば。。。やることでかすぎ。
規模的にはホワイトチャペルギャラリーくらいの規模。
圧倒されつつ中に。早速Liz Craftによる、ブロンズの星座の彫刻と、ミュンスターにも出てたPae Whiteのインスタレーションがお出迎え。
中に入ろうとすると呼び止められ、まさか金をとられるのか、とびくびくしてたら会員証を作れば無料で入れてくれるとのことなので、もう来るかわからないけどとりあえず作ってもらった。中へ。
タイトルとステートメントが書かれたパーテションがまずあって、そこにはRenata Lucasによる監視カメラの映像があり、どうやら建物内にいるサルを監視してるようだ。その裏にはMarcela Astrgaのベルトが連なった作品があり、その横にはVanessa Beecroftの白人のマリアが黒人の赤ん坊を2人抱いてる写真が飾られている。そして絵はがきラックを展示台として、様々な時代の女性の写真が飾っていたのはMathilde ter Heijne。個人的にこの作品の展示方法が新鮮で好き。持って返ってもいいことを後で知ってショックを受ける。
こんな風にして作品が次々と連鎖的に展示してある。個々ではまったく違う作品なのにここまで自然に流れるような視線誘導を促す展示をしてるのはキュレーションの妙と、この建物の力だろう。
数年前まで演劇スクールであったため、その名残か壇上があり、それを見下ろすように吹き抜けで上には客席まである。この独特の建物と今回のテーマ「考古学」とが見事に合致している。
特に入って右のEast Galleryの展示は、とても博物館的でよかった。
映像まであるのに、なぜか古めかしく見えてしまう不思議。
またその対面にあるCandice Breitzの部屋では、テレビが何台か置いてあって、ソファや机、ベッドなども置いてある。しかしテレビに映し出された映像は、映画からある台詞だけが繰り返されていて、うるさくて気が狂いそうになる。
奥に行くと滞在しながらどんどんインスタレーションが増殖しているRina Banerjeeの部屋があり、さらに奥に行くと圧巻の大部屋でEve SussmanとRufus Corporationの映像が映画館よろしく上映されている。ギリシャ神話の地獄絵図のような、男女が肉欲に溺れて行く様を戯曲的に描いたその映像は圧巻。
上に行くとこの建物の本領が発揮される。
なんといっても元「客席」から眺めるこの建物の全貌はすごいの一言。
元演劇スクールと元教会という背景の建物に現ギャラリーとして美術品が展示されてる様は不思議な光景。
現代美術を見てるんだけど、何かの調度品をみているような感覚。
サラ・ルーカスの作品とかも何か別の見え方がして面白かった。
今回のオープニング展はテーマのチョイスも、作品のチョイスも抜かりがなくほぼ完璧な展覧会だった。
ただ建物とキュレーションが良過ぎて、これらの作品を別のところで見た場合に良いと感じられるのかな、という疑問もあった。まあ、それだけアゲアゲの建物とキュレーションってわけですね。
これからどんな展開を見せていくのか非常に楽しみなギャラリーです。
にしても開館時間なんとかならんのか。木・金11時から3時まで、土日11時から6時までって。

Works from david roberts collection @ Gallery one one one

こちらは普通サイズのギャラリーで176に比べれば全然小さいが質が半端なかった!
まず今回の展示では何気にゴームリーとキーファーがあるのがすごい。
地下では今回のヴェニスの韓国館代表を務めたイ・ヒョングの作品が堂々と展示されてあった。
そして、なんといっても今回ダグ・フォスター(Doug Foster)の作品が素晴らしかった。今回初めて見たけどこういう映像の見せ方もあるんだ、と思わせる作品。
まず会場に別々の形をした方形の錆びた鉄の箱が置いてある。
入って一番手前にある'Frozen'は、箱を覗くと冷凍された人たちが次から次へと円を描くように映されそれがループされる。その奥の’BOB’は男が長い廊下を速い速度で鞄を持って歩いていて、廊下の途中で全く同じ姿の男とすれ違う。そしたら今度はすれ違った男の風景になってまた男とすれ違って、というループ映像。そして一番奥の'Breather'が素晴らしかった。箱には覗き穴が上下それぞれ2つ開いていてそこから中を覗くと裸の男女が水中でキスをする映像が見られるんだけど、本当にその箱の中にその男女がいるんじゃないかっていうくらいの臨場感が味わえる。
映像の最大の敵はずばり「飽き」だと思うんだけど、この作家の作品はその「飽き」が全くなかった。やはり映像というのは絵画や彫刻と違って、ある一定時間無理にでも観客を拘束してしまうから、それなりの作品じゃないとやってられない。この作家の場合、「覗く」という行為を観客にさせることで、ただ見るだけじゃなく、作品に積極的に参加させる。そしてとても心地よい抜群のループのリズムだった。
このデイビッドさん、他にもたくさんいい作品を持っていそうなので、展示が変わる度に要チェックな気がする。今回の展示は1月まで。センターから近いのがよい。


176の帰りにバンクシー発見!

Vyner Street

ロンドンのイーストエンドにあるヴァイナーストリート。
ここは一見、うらぶれた工場が連なる300mくらいの小道。
しかし今ロンドンアートシーンにおいてはずせないエリアとなっている。
この2年で10件以上ものギャラリーが軒を連ねているんだから尋常ではない。
先月はウィルキンソンギャラリーが美術館級のギャラリーを建設し話題となった。
そして昨日、First Thursdayと題し、毎月第一木曜日はこの通りにあるギャラリーすべてが9時まで開いてるというので行ってみた。
そのうらぶれた通りに行くと、暗くなりだしたにも関わらずそこら中で人だかり。
初めてここを訪れた時、昼間で誰もいなくてとても不安になったことを覚えているが、その時とは大違い。人の群れでどこがギャラリーかわかるようになってた笑
とにかくあちらこちらとギャラリーの名前も見ずに見てたので、何件回ったのかも覚えてないが、夜のギャラリークルーズは中々新鮮で、人でごった返したギャラリーは作品を見る気はしないが楽しかった。
まあ、肝心の作品はひとつも響く物はなかったのだが。
というか、この辺のギャラリーはいつもイラストチックな作品を展示している所が多く、個々のギャラリー作家の作品が似たり寄ったりで独自性に欠けているというのが正直なところ。だからどこに行ったとかは全然覚えられない。
新しくできたウィルキンソンギャラリーも展示スペースは広いが、作品はどってことなかった。
そんな中でも最も盛り上がってたのが、「o art」というピンクのネオン看板を掲げていたギャラリー。
ここは卒業したての若い作家の作品を紹介しているらしく、青田買いをしに来ようとした人たちなのかはわからないが、本当に凄い人だった。おかげで作品がすべて人影で隠れて何も見れなかったけど笑
そんなこんなでギャラリーナイトクルーズ終了。おもしろい体験でした。
しかし日本人のインターンの人が多くてびっくり。おかげで友達と日本語で作品をこけ下ろそうにもできなかった。くわばらくわばら。

TURNER PRIZE:A RETROSPECTIVE @ TATE BRITAIN


ようやくロンドンの話題にカムバックです。
今月はロンドンアート秋の陣本番ってことで大型展覧会が目白押しです。
その中でも注目は昨日からテートブリテンで始まったターナー賞回顧展。
ってことで早速行ってきました。

最初この展覧会の話を聞いた時、どうせ作品ではなくアーカイブ的な展示なんでしょ、と思ってた。
しかし行ってみると、そんな予想は軽く裏切られた。もちろん良い意味で。
ブリット・アートのベストアルバム。まさにそんな感じ。
84年に始まった英国現代美術に捧げるターナー賞。その受賞作品が惜しみもなく展示されていたのです!

それは美術館に入って奥の廊下からすでに始まっていた。
床に白いペンキで描かれたペインティング。89年ターナー賞受賞者リチャード・ロングの作品。
その奥にはタイヤを積み上げた彫刻。88年受賞者のトニー・クラッグの作品。
そして一番奥には2005年の受賞者サイモン・スターリングによる木の小屋!
当時この作品は文章を読まないと作品の真の意味が理解できないと、バッシングも多々あったらしい。というのもこの小屋。ドイツのライン川河畔にあった小屋を解体してボートにし、それで実際川を下り下流でまた小屋に組み立てた、というもの。この小屋を見ただけではただの小屋にしか見えない。しかしこれで川を下ったという背景を知ると、また見方も変わってくる。授賞式の壇で、この作品をresearch based artという言い方をされたことも有名な話。

このようにターナー賞は発表される度に物議を醸し出すとても刺激的な賞。
そんな作品達が廊下の時点で既に展示されている。展示会場はどうなっとんじゃ。。。期待を膨らませながらチケット売り場へ。チェルシーのテート会員カードを見せたがすでに期限が切れてて入れず、仕方なく6ポンドを払う。ちぇっ。
会場に入ると、リチャード・ディーコン(87年)の彫刻、ハワード・ホジキン(85年)、マルコム・モーリー(84年)のペインティングがお出迎え。奥にはギルバート&ジョージ(86年)の大型写真もある。
これらの作品達は、まだターナー賞が今程刺激的ではなかった頃のもの。
始まった当初のターナー賞は、大御所ばかりで固めた凡庸なアート賞のひとつに過ぎなかった。
展覧会自体も正面ホールのみを使ったささやかなものだった。
しかし当時のスポンサーだった米系企業が89年に倒産。90年は一時中止となる。
そして91年。チャンネル4をスポンサーに迎えたターナー賞は生まれ変わる。
賞金は2万ポンドと倍増し、テートの6つのギャラリーを使って展示。選考基準も「過去12ヶ月イギリスの美術に最大の貢献を果たした50歳以下の作家」と明確に打ち出した。そして授賞式はテレビ中継され、著名人によって受賞者が読み上げられる(2001年はマドンナが読み上げた)など、地味だったターナー賞が一気にきらびやかな賞となり、イギリス現代美術の賞としてふさわしいものとなった。
そして生まれ変わったターナー賞、受賞者第一号がアニッシュ・カプーア!
今回の展示ではディープブルーのお椀型彫刻が壁にスピーカーのように設置されている。
左右正面3つの彫刻に囲まれた時、不思議な体験が起きる。
凹んでるはずのその彫刻が、フラットに見えてしまうのだ。
これは金沢の恒久展示作品にも言えることで、本当に不思議。
そして声を出すと反響によって不思議な聞こえ方をする。不思議だー。
生まれ変わったターナー賞第一弾としてこれほどふさわしい作家は他にいない!
そしてこの年のノミネート作家で当時若干25歳だったホワイトリードはその2年後、93年にターナー賞を受賞する。
彼女の作品ほど様々なバッシングにあった作品も未だかつてないだろう。
その作品とは家を丸ごとコンクリートで型どりした'House'という作品。
当時これがアートなのか?という論争が一般レベルで起こり、彼女に最悪アート賞を進呈するという集団まで現れ、ターナー賞授賞式当日のテートブリテンは大混乱だった。そんな中の受賞。しかもまだ27歳で。かっこよすぎます。
残念ながらこの家の彫刻は既に取り壊され写真でしか見られませんが、人々の記憶に伝説として残っているのです。
そしてこのホワイトリードと並ぶほどのバッシングを受けたのが95年のデミアン・ハースト。
今回びっくりしたのが、なんとそのバッシングの大本の作品'Mother and Child, Divided(引き裂かれた母子)'が出品されてたこと!!まさかこれが生で見られるなんて・・・。
ヴェニス・ビエンナーレにも出品され話題の元となったこの作品。
タイトル通り、牛の母子がそれぞれ縦真っ二つに切り裂かれてホルマリンにされてるのだ。
グロテスクっちゃグロテスクなんだけど、ホルマリンの水色と牛のコントラストが単純に美しい作品。
切断された牛の間を通るのは本当にすごい体験笑 内蔵が大変な事になってます。
あー、これを見れただけでも来た甲斐があったわ。
こんな風にターナー賞はバッシングの嵐に見舞われることもしばしば。
99年のトレーシー・エミンのベッドを展示した作品も物議を醸しました。
彼女の作品はプライベートとパブリックの際どいラインをつく作品で有名。
今年のヴェニス・ビエンナーレの代表もつとめ上げました。
残念ながら彼女は賞を逃しましたが、これもターナー賞の伝説のひとつ。
個人的にこの年のスティーブ・マックインの受賞はちょっと納得がいかない。
展覧会に戻って、94年のゴームリーの作品。ギャグすれすれやん笑
次の展示室に入ると映像が2作続きで。
まずは96年の受賞者ダグラス・ゴードンによる映画のシリーズ。
ヒッチコックの「サイコ」を24時間に引き延ばした「24時間サイコ」が有名だが、今回はドラキュラの映画を白黒反転してスローにした作品。この人の展示は、単純に映像として見せるのでなく、スクリーンを斜めに立てかけたりすることで彫刻的なアプローチも見えて展示の点でもおもしろい。この年初めて映像による受賞となった。
またジリアン・ウェアリング(97年)の'60 minute silence'は、警官の格好をした20人以上の人々が記念撮影のように、タイトル通り60分動かず黙っていることを強いられているという見てるだけで苦しい作品。彼女の作品は人々の内面をえぐり出すのが得意。「今思ってる事を書いて」と町中の人に訪ねて、その紙と一緒に撮影された作品はあまりにも有名。こんな人がこんなこと思っているんだと、外見と内面の差にはっとさせられる。また彼女の声を入れ替える作品が車のCMにパクられるなどの事件もあった。この年はノミネート者すべてが女性という異例の年でもあった。
次の部屋では98年の受賞者クリス・オフィリのペインティングと、2000年の受賞者ウォルフガング・ティルマンスの写真インスタレーション。オフィリのペインティングは作品に毎回現れる像の糞が特徴。アフロ・カリブ系の作家の黒人としてのスピリットが感じられる絵画たちは、キラキラしていてとても美しい。去年の春までテートブリテンにあった彼の作品を展示していたアッパールームは極上の極み。2003年のヴェニスビエンナーレにおいてイギリス館代表もつとめ上げた。またティルマンスの作品も素朴な風景の中にある美を淡々と写し出した写真でとてもロマンチック。この年は日本人の高橋知子もノミネートされ、国際色が強い年でもあった。(ティルマンスはドイツ人)。
21世紀に入ると、だんだんコンセプチュアルな色が濃くなってくるこのターナー賞。
その幕開けがなんといっても2001年の受賞者マーチン・クリード。
彼はただ展示室の電気をつけたり消したりしただけでこの賞を勝ち取ったのだ。
今回実際見てみると、もっと淡白なものかと思ったら、意外と点灯と消灯の感覚も早いし、電気が一生懸命点こうとする様がなんか愛らしかった。当時彼は賞を捨てたとまで言われたが、受賞した今となってはその勇気に賞賛の声が絶えない。
その後も02年の科学的にアートを分析する作家キース・タイソンや04年のドキュメンタリー作家ジェレミー・デラーなど美術の幅の拡大が如実に反映されている。
03年はグレイソン・ペリーのキッチュな壷が賞を取り、昨年06年はトーマ・アブツによる小さなペインティング。
複雑性を帯びてきたターナー賞。今後はどんなセンセーションを起こしてくれるのか。
今年のターナー賞展はテートリバプールでの展示。一体誰が取るんだろう。
今回の展示を見ながら、なんか僕の英国アート史も総括されてるような気になってしまった。
帰る直前のこのまとめ的な展示。これから英国離れする僕に餞のよう。
さよなら、そしてありがとう、英国アート。

ちなみにこの展覧会は来年森美術館に巡回予定らしい。多分デミアンのホルマリンの作品が来日するのは初なんじゃないかな?英国アートを総括するこの展覧会。是非その時には皆観に行きましょう!
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