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JAMES TURREL @ LOUIS T BLOUN FOUNDATION


スタジオに来ていただいた皆さん、本当にありがとう。
これからもどんどん体をいじめて作品作っていきます(ぉ

さて、今日は終了間際のタレルの展覧会へ。
実際前回行ったんだけど、その後凄い事実が判明。
こないだ行った時はビルの中の作品を見てたんだけど、実はこの展覧会のメインは外側。
夜になるとビルのすべての窓が光るという大掛かりな作品。
ってか早く言えよ、そういうことは・・・
ってことで暗くなってから行ってきました。
前回散々迷ったその建物は、今度は即効で見つかりました。異常に光ってたし。
青、緑、黄色、橙、赤、紫と徐々に色を変える窓たち。
いやー、やっぱタレルはこうでなくちゃ!
にしてもわざわざこれ見るためだけに暗くなるの待って遠くまでやってきてる僕は阿呆ですね、まぎれもなく。しかも治安のよくなさそうなとこだったので普通に怖かったです。でもくじけません。

Tino Sehgal @ ICA


チケットを買っていると、ギャラリーの奥から子供たちのはしゃぎ回る声。
やってるな・・・。
そう思いながら、恐る恐る扉を開ける。
中ではやはり子供たちがかけずり回っている。
どうやら、1人が色を言うと、他の子供たちがその色にタッチするゲームをやっている(この遊び何て言うんですかね)
そこに赤やら緑やらの色彩豊かな服で行こうものなら大変なことになっただろう。
もはや子供たちにとって観客もくそもない。
同じく入った女性は赤いマニキュアをしていたため「赤!」と1人が叫んだ時には10本の指が子供たちによってひっぱりまわされてた笑
鑑賞するものは他にない。この子供たちが「作品」なのだ。

ティノ・セーガル。
調べてみると、ものすごく興味深いアーティストだった。
1976年ロンドン生まれ、ドイツ育ち。ベルリンベースのアーティスト。
彼の作品には、ものは一切登場しない。
そこに登場するのはパフォーマーとしての人間だけ。老若男女を問わない。
分野的にはパフォーミングアーツになるんだろうけど、普通のそれと違うのは、まず彼自身は登場しないということ。振り付け師という彼の背景が影響しているのだろう。
そして、彼の作品は観客を直接的に巻き込み困惑させる。
全くもって新しい。こういう作品を作れる彼の脳はどんな構造をしているんだろうか。なんかこういう人が現れると勝てないな、って単純に思っちゃいますね。

実は今回の展覧会は、3年連続ICAでの展示のラストを飾るものだった。
第1回(2005年)では、1階と2階に分かれていて、まず1階ではだだっ広いギャラリー空間の中に、人が1人倒れている。それだけ。2階では、4人のパフォーマーが観客に背を向けながら取り囲み、最後にもう1人出てきて完全に包囲される。すると突然5人が一斉に「討論の対象となるのが、この作品の目的」と叫び出し、いずれ一斉に倒れる。観客が何か言葉を発するまで誰も起きない。「何か」を言うと、1人が立ち上がり、やがて全員が立ち上がってその「何か」に関する議論が始まる。その議論がなくなると、一目散に駆けていく。
第2回(2006年)は、ギャラリーに入ると子供がやってきてギャラリーを案内してくれる。しかし突然「What is PROGRESS?」と聞いてくる。?となっていると、続いて高校生くらいの若者、続いて中年、最後は老人にバトンタッチしていき、最後までPROGRESSについて徹底討論。最後に老人がこの作品のタイトルは「progress」だと告げて終わり。展示は何もなし。

こんなノリで、観客はとことんまで困惑させられる。ティノの展覧会に行く時はかなりの勇気が必要。そもそも彼は徹底的に作品の物的痕跡を残すのを拒んでいる。それは作品写真であり、作品のテキストであり、はたまた作品購入の際の領収書すら拒む。だから、彼の作品は実際展覧会が始まって、実際に体験するまでどんなものなのかはわからない。
作品購入と書いたが、こんなもんどうやって購入すんねん!と思う人が大半だろう。実際僕もそうでしたが、とにかく彼自身がパフォーマーの詳細やら、指示の詳細やらを口頭で購入者に伝える。それだけ。彼はパフォーマーへの指示も文章として残さない。でも実際、彼のデビュー作で、昨年のテートトリエンナーレにも出した、「This Is Propaganda」という作品は、女性監視員が突然ソプラノで“This is propaganda, you know, you know“と歌って、最後に作品名とアーティスト名をあげる、というもので、ドイツのコレクターによって、1万5千ユーロで購入されたらしい。まったくアートってのは本当わけわかりませんね。

そして注目すべきは、彼の年齢に対して華々しすぎる経歴。
上であがった「This Is Propaganda」は彼が24歳の時の作品。
その次の年の「This Is Good」では、監視員が突如、交互に片足ずつでぴょんぴょん飛び跳ね、腕を振り回し、やっと最後に“This is good. Tino Sehgal. 2001“と言う作品を作り出す。
これ以降数多くの国際展に出品。2003年のフリーズアートフェアでは、8歳の子供たちにアート・ディーラーを名乗らせ、客に差し向けたり、04年のバーゼル・アートフェアでは若手を対象とするバロワーズ賞を受賞し、05年にはなんとヴェニス・ビエンナーレのドイツ館代表をつとめ上げた。ちなみにこの時の作品は、パビリオンに入ると、一斉にパフォーマーがよってきて、「This is contemporary! This is contemporary!」と言ってくるなんともうざい作品笑 僕は行ってましたが遠巻きに見てました。同年の横浜トリエンナーレではチケット売りに、チケットを売る際にその日の新聞の見出しを言うという指示を出していたらしい。気づかなかった。昨年はベルリン・ビエンナーレにて、空間に男女がひたすらキスを観客の目も気にせずつづけるという無茶な作品も発表。
まだ30歳。彼の快進撃はまだまだ続く。

Tomoko Takahashi @ Hales Gallery


高橋知子の展覧会が始まったので早速行ってきました。
彼女は多分、ここロンドンにおいて最も成功している日本人アーティストと言えるのではないでしょうか。
2000年にターナー賞にノミネートされ、2005年にはサーペンタインで個展。昨年からテートモダンに彼女がNYで発表した「Drawing Room」が常設作品として、一部屋丸ごと設置されてます。
多分日本人アーティストでありながら、日本ではあまり認知度が少ないと思う。こういうのがロンドンのおもしろいところで、ここのアートシーンは、世界のアートの中心でありながら、独自の道を歩んでます。多分世界的には日本人で一番有名な現代美術作家といえば村上隆になるんだろうけど、ここロンドンではほとんど名前を聞くことがありません。そういう独自なところが好きなんですよね。
ちょっと話は反れました。高橋知子。
彼女の作品は言わばガラクタインスタレーション。サーペンタインの時はUK中から集めたゴミ7600個をテーマ別に分けて、作家自身が会場に4週間も滞在しながら彼女のルールに基づき設置していくというもの。最終日にはすべての「作品」が無料で配られ、なんと4000人もの観客が訪れたという。
今回もまた10日ほど滞在し制作。
作品は3つの部屋に分けられる。
まず最初に入った部屋では暗闇の中懐中電灯で照らしながらそのガラクタたちで出来た高橋知子ワールドを観察するというもの。もう本当によくこれだけ集めたな!っていう量。すごいです。
一番好きな部屋が上の写真の部屋。床には写真やファイルなどがばらまかれてるんだけど、その写真たちが全部裏向き。何が写ってるのか気になる。そして写真たちのコラージュ。写ってるのは彼女の過去の作品たち。横の壁にかかったコラージュが個人的には好き。写真をイメージとして使うんじゃなくて、オブジェとして使ってるのがとても面白かった。
最後の部屋は彼女のスタジオの二重撮りの写真や、小さな作品など。スタジオすごろくみたいなのもあった。ってかスタジオがすごいカオスだった。ベーコンほどじゃないけど、なんか彼女のガラクタインスタレーションとスタジオがマッチしておもしろかった。
そして今回も最終日の4日間、最初の部屋のガラクタを配布するらしい。これは行かねば!3月7、8、9、10です。また追って報告すると思います。

ちなみに今回のDM、なんか文字がだらーって作者自身によって書かれていて、なんとなく読んでたら、「個展決まっちゃったけど何やるかわかんないよー、どうしよー」みたいな内用だった笑

Anselm Kiefer @ WHITECUBE

ホワイトキューブにて、ドイツの巨匠キーファーの展覧会。
彼の作品はとにかくでかい。そして荒々しい。
今回もばりばりやっちゃってくれてます。
いつもはこのギャラリー、地下で大きな作品やって、地上階ではノーマルサイズの作品を展示するってのが定番になってきてたんだけど、早速破ってくれました。地上階から大変なことになってます。入っていきなり大きな枯れたヤシの木が横たわってますからね笑
壁一面に飾られた枯れた植物を使ったドローイングもいい感じでした。
じゃあ地下はどうなってるんだ・・・と恐る恐る階段を降りると、こっちは絵画。まあもちろん横7m強、縦3m近いというありえんサイズの絵画が3点。不思議な緊張感が漂ってて、真ん中に座ってぼーっと10分くらい眺めてたい感じでした。

これでキーファーの快進撃は終わらない。
別会場としてローヤルアカデミーの中庭が使われてました。こんな感じ。


最初普通に通り過ぎかけて、視野になんか大変なものが飛び込んできたな、と思ったらキーファーでした。やってくれますねー。さらに近影。人のサイズが・・・。


さらに近影。荒々しいですね。


ホワイトキューブ、ローヤルアカデミーともに、是非このでかさを体験あれ。ホワイトキューブの方は3月17日まで。ローヤルアカデミーの方は確か5月くらいまでだったかも。
この次もドイツ写真家グルスキーらしい。またでかいな。

Cornelia Parker Lecture 'Avoided Object'


ターナー賞ノミネート作家コーネリア・パーカーが、UCL内にあるバーとレット大学にて講演をするというので駆けつけた。ってかここ建築の学校なんだけどなぜにまた?まあ彼女の作品は建築的と言えば建築的かも。
彼女自身は想像通りのクールな出で立ちの人で好感をもてた。レクチャー自体もユーモアにあふれてていろんな場面で笑いをとってた。まあ、まったく英語はやくてわかりませんでしたが何か?
話自体は、建築の学校ってこともあって、少し建築につなげて話そうとしてたのが印象的。半分くらいしか分からなかったけど、やはり彼女の天井から物体を浮かせた作品群はかっこよすぎる。初期の作品ではおみやげのキーホルダーとか使ってて、マテリアルに甘さはあるかもしれんがやはりビジュアル的にはかっこよい。
そしてなんといってもテート所蔵の物置爆発したやつは圧巻。軍隊が爆発してる瞬間のスライドとかもうシュールすぎる笑 そんでもってその破片集めさせるんだから迷惑な話です。なんか壁に映る影はちょっと予想外だったみたいなことを言ってた気がしたんだけど気のせいかな。だってあの影はあの作品の大きな役割を担ってますからね。観客がその部屋に入るとその影まで作品に取り込まれるみたいな。あー、見てみたいわ。早く出しやがれテート。
しかし吊り下げた以外の作品はちょっと微妙かも。なんかわからなくなった。
彼女の作品って中々見れないんですよね。実際僕もV&Aでしか見たことがない。
来年マドリッドのソフィア王妃美術館で個展らしい。来年かよー・・・今年なら行けるのに。残念。


ところで今回このレクチャーを教えてくれた友達がチュートリアルで来れなかった。合掌。
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