fc2ブログ

Anish Kapoor @ Lisson Gallery



リッソンギャラリーの2会場を使いカプーアの展覧会が行われていました。
そしてこの展覧会・・・僕の今年のベスト3に確実にランクイン・・・。
マジでよかった・・・鳥肌もの。カプーア天才。ってか神。
えっと、まず第一会場ではお馴染みリフレクションの作品郡。
最初の作品は、いくつも自分の像が反射して映ってて、左右に移動すると、その反射した像がまるで円を描くような動きをするなんとも不思議な作品。リフレクションシリーズでもこういうのは見たことなかったので新鮮でした。
隣の部屋ではメタリックな塗装を施された彫刻と、マットな仕上げのものが置いてた。特に後者は遠近感が失われる・・・って書いてても実際本人が体験しないとわかんないですね・・・記述表現不可。
そして鏡面のゆるいおわん型作品。去年SCAIでの展覧会完全に逃してしまったので見れてよかった。行った先輩が像が反転する瞬間がやばいんだよーって言ってたのを実際体験。遠くから見るとスプーンに映った像と同じく反転してるんですが、近づくといきなりグルンって像の上下が普通になる!これは本当にびっくり!何が何だかって感じで近づいたり遠ざかったりをくり返してました。
で、1番大きな部屋では上の画像の大きなカーブを描いた鏡面作品。これまた像の反転がさっきのやつより激しく起こって凄まじかったです・・・やっばいわ・・・
下の階では建築家とのコラボ作品の模型が置いてあった。そのうちの1個が直島だったんだけどどういうことなんですかね・・・新しくできたのかな?今調査中です。
にしてもリッソンかなり力入ってますね。こんなスペース広かったっけ?ってくらいもう全部のスペースを開放しちゃってましたよ。

で、問題はもうひとつの会場です。
これはもう本当に神様を見てしまった感じです。
なんといっても「Past,Present,Future」は圧巻。下写真参照
マテリアルは多分絵の具の類だと思うんだけど、これが真ん中の壁がゆっくり動くことで半球に形作られ、壁には生々しい絵の具の残骸が。そしてこの血の色にも似た絵の具が本当にすごい神々しい印象を放ってました。
芸術とかあまりわからない友達と行ったんだけど、彼ですら感動で言葉が出てませんでした。カプーアの作品は本当に心の深くまでズシンとくる。宗教的とはまた違う何かが。この空間に入った瞬間にもうカプーアの世界にどっぷりといった感じ。この人と去年会って握手したなんて・・・はぁ
これは今ロンドンでやってる1番熱い展覧会です。必見。

GILLIAN WEARING @ Maureen Paley
いつも独特な視点から人間の内面を抉り出すような映像作品を作るジリアン・ウェアリング。今回彼女が選んだテーマは「家族」。自分の叔父と叔母の本当に精巧に作られたマスク(制作に1万ポンドもかかるらしい・・・)を被って成りすましたポートレートと彼女の子供の頃を再現した映像作品。前者はマジで精巧すぎて最初何が何だかわかりませんでした。毛穴とかまで表現されてる・・・。後者は正直文章読んでも100%理解はできなかったんだけど、とりあえず2種類映像があって、1つは子供のジリアンがテレビを見続けてる映像。こっちはまだわかるとして問題はもうひとつの方。実際の番組The Familyという多分ジリアンが子供の頃にやってた番組を再現。実際インタビューアーを招いて、Heatherというこれまたジリアンとはどういう関係の人なのかわからない人の子供時代の話を延々と聞くっていう・・・わからーん。誰か説明してくれ・・・。ってことでちょっと評価放棄です(爆) 彼女の作品ってコンセプチュアルだからやっぱ英語完璧にならんとわからん・・・

RICHARD WILSON @ Barbican Curve
前回から始まったバービカンのカーブを描いた展示室を使った作品を飾るシリーズ第2段はサーチギャラリーの油の部屋でお馴染みのリチャード・ウィルソン氏。どんなすごいものを展示してくれるのかとかなり期待してたらなんのこっちゃない、普通に車を加工しただけの作品。サイトスペシフィックでもなんでもありません・・・期待して損した。まあ、規模はすごいんだろうけどね、最後のキャンピングカーぐるぐる回してたやつとか。でもやっぱこの展示会場を生かせてなかったってのはかなり痛いところ。残念でした。

Charls Saatch & Jay Jopling


今ロンドンのアート界はちょっとした転換期を迎えている(気がする)
その要因は2つのギャラリーの動向。
ひとつはチャールズ・サーチ率いるサーチギャラリー、もうひとつはジェイ・ジョップリング率いるホワイトキューブ。

まずはサーチから。
彼がいなければまずロンドンの今の状況はありえないと言っても過言ではない。1988年、デミアン・ハーストがまだ学生の頃にキュレーションした展覧会「Freeze」に置いて、学生の作品を次々に購入し、その後もYBA(ヤングブリティッシュアーティスト)の作家達の作品に惜しみなく金を注ぎ込み名作と呼ばれる作品がロンドンから次々と生まれるに至る。
彼の率いるサーチギャラリー。昨年までロンドンの旧市庁舎にあったのですが、今チェルシーに移転中で来年の夏にはオープン予定。
そんな彼の新コレクションの一端を覗かせる展覧会がこの度ローヤル・アカデミーで行われました。その名も「USA TODAY」。USA?? そう、そうなんです。悲しいかな今サーチの目はかつてのブリット・アートにではなく他の国のアートに向けられているのです。その証拠に次々と昔買い漁ったYBAの作品群を売りさばきまくってます。今年の1月ついにデミアン・ハーストの代表作であり、ブリットアートにおいて重要なキーとなる鮫の作品をNYのMOMAに売ってしまいました・・・合掌
それはそうと展覧会です。
内容はサーチがこの2年で買い漁ったアメリカのアートを紹介するというものなのですが、どんだけ買っとんねん!ってくらいの作品数。さすが大富豪・・・
ほとんどが聞いたことがない作家ばかりでしたが、悔しいけどおもしろかった。
今サーペンタインでもアメリカ作家の展覧会がやってるんだけどそれはもう全くもってラビッシュだっただけに全く期待してなかっただけにびっくり・・・
この展覧会のもう1つの注目すべき点は、昔ブリット・アートが完全に大衆に受け入れられた伝説的展覧会「センセーション」展のディレクター、ノーマン・ローゼンタールが再びサーチと手を組んだ展覧会だということ。
もうこの時点でかなり力が入ってるのわかるし、展示の緊張感が半端なくて、全部の作品がいいとは言えないけど展示のクオリティはピカイチでした。
もっと絵画が多いのかな、とも思ったけど結構立体作品やインスタレーションも多かった。特に入ってすぐのTerence Kohの作品が面白かった。たくさんの髑髏型の立体がガラスケースに入れられて、中にはカビが生えてるやつとかあって結構僕好み。他にもドイツ人だったけど、そんでもって名前忘れたけど、紅葉したどこかの森を撮った写真は本当に綺麗でした。あれマジで存在する風景なんでしょうか・・・すごかった。絵画はあんま感動するものなかったかな。
兎に角、この展覧会を見る限りでは、新サーチギャラリーにブリット・アートが飾られる可能性は極めて低いと見て間違いないといった感じ・・・でも展示室は鬼のようにでかい。やっぱ要チェックですね。

続いてホワイトキューブ。
このギャラリーはロンドンの商業ギャラリーでトップを走り続けているギャラリー。90年代からずーっとYBAをサポートし続けてきた懐の深いジェイ氏の賜物。今やハースト、チャップマン兄弟、エミンなどスター選手たちを抱える大きなギャラリー。
そんなホワイトキューブがこの度新ギャラリーをローヤルアカデミーの近くにオープン!行ってみると、いきなり広場に現れるその名のまんまの「白い箱」。
記念すべき第1回の展覧会はメキシコの作家ガブリエル・オロツコの展覧会。
入ると1階は陽の光差し込む美しい平面向きの空間。お馴染みの彼独特の半円模様ペインティングたちが優雅に飾られておりました。
そしてメインは地下1階。なんと鯨丸1匹の骨が空中を泳いでるではないですか。スペースでかすぎ・・・。そしてその鯨にはペインティングが施されていてすっかりオロツコ作品。図録見てたらボールペンみたいなやつでペイントしてた・・・
作品もよかったですが、本当に展示室がよかった。そして場所がいい!
これ以降の展覧会もモナ・ハトゥム、ハーストなど、サーチとは逆にまだまだブリット・アートを支え続けていくようで、かなり楽しみ。

今後テートの増築もあるし、色々ロンドンアートが楽しみです。
カレンダー
09 | 2006/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
カテゴリ
検索フォーム
月別アーカイブ
プロフィール

もりかわみのる

森川穣
現代美術作家。
森川穣 website
A'holicオーナー
A'holic website
instagram

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

管理者用
カウンター
To See List
・2023.12.02-2024.02.04
「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造、阿部展也、大辻清司、牛腸茂雄 @ 渋谷区立松濤美術館

・2023.11.24-2024.03.31
「オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」 @ 麻布台ヒルズギャラリー

・2023.12.09-2024.02.25
キース・ヘリング展 アートをストリートへ @ 森アーツセンターギャラリー

・2023.12.01-2024.01.28
梅田哲也展 wait this is my favorite part 待ってここ好きなとこなんだ @ ワタリウム美術館

・2023.11.09-2024.03.31
第14回上海ビエンナーレ @ 上海当代芸術博物館

・2023.12.17-2024.01.27
味/処 @ 神奈川県民ホールギャラリー

・2024.01.11-03.10
フランク・ロイド・ライト世界を結ぶ建築 @ パナソニック汐留美術館

・2023.12.16-2024.02.18
久門剛史「Dear Future Person, 」 @ @KCUA

・2024.01.12-02.25
牡丹靖佳展 月にのぼり、地にもぐる @ 市立伊丹ミュージアム

・2024.02.06-04.07
中平卓馬 火―氾濫 @ 東京国立近代美術館

・2024.01.18-03.24
能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)――複数種の網目としての建築 @ ギャラリー間

・2024.02.23-04.14
生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真 @ 東京ステーションギャラリー

・2024.02.14-05.27
「マティス 自由なフォルム」@ 国立新美術館

・2024.03.06-06.03
遠距離現在 Universal / Remote @ 国立新美術館

・2024.03.09-06.30
カール・アンドレ 彫刻と詩、その間 @ DIC川村記念美術館

・2024.03.12-05.12
ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?——国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ @ 国立西洋美術館

・2024.03.15-06.09
横浜トリエンナーレ2023 @ 横浜美術館ほか

・2024.03.30-07.07
ブランクーシ 本質を象る @ アーティゾン美術館

・2024.04.06-07.07
ホー・ツーニェン エージェントのA @ 東京都現代美術館

・2024.04.24-09.01
シアスター・ゲイツ展 @ 森美術館

・2024.04.27-08.29
デ・キリコ展 @ 東京都美術館

・2024.05.23-08.04
魚谷繁礼展 @ ギャラリー間

・2024.09.04-11.24
大西麻貴+百田有希 / o+h展 @ ギャラリー間

・2024.09.14-12.01
塩田千春 つながる私(アイ) @ 大阪中之島美術館

・2024.09.25-2025.01.19
ルイーズ・ブルジョワ展 @ 森美術館

・2024.11.02-2025.02.09
ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子 ―ピュシスについて @ アーティゾン美術館

・2024.11.23-2025.01.26
「再開館記念―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」展(仮称) @ 三菱一号館美術館

・2025.09.13-11.30
あいち2025 @愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなか

QRコード
QR