fc2ブログ

Bill Viola @ St.Olave's College

こないだHaunchでやってたビル・ヴィオラの個展の別会場。
場所はカウンティホール(新市庁舎)の近く。大学という名前ながら、そんなに大きくはなく、今回の展覧会でほぼ全部占めてた。ってかホーンチも含めこれだけの量のヴィオラの作品を見られるなんて幸せすぎます。しかも無料!なんてこった。今秋には森美術館でも回顧展だし、僕の中で今年はヴィオライヤーです。
さて、内容。
まず入って初っ端から大規模な映像作品。ホントに画面がでかくて縦が4mはあったと思う。圧巻の一言。しかもその作品がまたすごい。「TRISTAN'S ASCENSION」。横たわる男に滝のような水が降り注ぐ、のではなく逆流して下から上に水が凄い勢いで吸い込まれていく。単純にスローモーションと逆再生なだけなんだけどその水の逆流する様がとてつもなく美しい。そんでもって大迫力の水の轟音。会場に轟くほどの音の洪水と映像の洪水。完全にヴィオラの世界にハマってしまってました。最後には男が空に吸い込まれていくとこで終了。すごかった。その後に流れたのが「FIRE WOMAN」。水の次は火です。物凄い火柱を背に女性がたたずんでいる。しばらく動かずただ火を見つめる女性。ある瞬間その女性が動いたと思ったら後ろに倒れこむ。すると後ろはなんと水で水の波紋と火柱が溶け合いしだいにその境界線がわからなくなり最後は炎の姿も全部消えて終了。最後までしっかり見させるヴィオラの作品力。圧巻です。
次の部屋では男女が海に消えていく白黒映像。正直これはあまり好きじゃない。ヴィオラの作品はやはりカラーでこそ力を発揮すると思う。あとあまりに物語的なのもなんだかって感じ。
次の部屋の「ISOLDE'S ASCENSION」はすごかった。規模は大きくないんだけど、その映像のトリックにびっくり。最初真っ青な映像で、かろうじて水面が映像の下の方に映ってるのがわかる。その水面に縦に差し込む光。しばらくたっても映像が変わらずこのままで終わりなのかと思ったら突然大きな音と共に女性が飛び込んでくる、下から上へ…。この映像像が反転してたんですね。水面と思ってたものは水の中から見た水面。そこにゆっくり女性が飛び込んできてゆっくり下から上に「落ちていく」。ヴィオラの作品のすごいところは、映像の美しさもさることながら、その映像に込められたトリック。しかもそれがまったくわざとらしくなく観客を純粋に驚かせる。それは最後に見た「THE FALL INTO PARADISE」にもいえること。最初真っ黒な画面に小さな白い点だけが映し出される。しばらく白い点はわずなか変化を見せながらも中々その正体を現さない。そしてある瞬間それが男女が抱き合ってこっちに向かって「落ちて」きているのがわかるが、わかった瞬間にすごい轟音で男女が画面いっぱいに映し出される。そしてまた、今まで見ていた黒い画面は実は水面だということがわかる。空から男と女が降ってきたってわけ。最後は青い水の中にたゆたう男女の姿。それがまた美しいのなんのって。
こんな感じでまたまたビル・ヴィオラ堪能しちゃいました。
ところでこれらの映像は昨年パリのオペラのために制作されたものらしい。オペラと一緒に観たらまた違う感動なんだろうなぁ、と思いを馳せるのでした。


ここに向かう途中にバルケンホールの彫刻に遭遇。ってか自分の芸術アンテナの敏感さに自分でもびっくりです。普通だったら通り過ぎるようなものも見つけてしまう…ある種の病。




カレンダー
07 | 2006/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新記事
カテゴリ
検索フォーム
月別アーカイブ
プロフィール

もりかわみのる

森川穣
現代美術作家。
森川穣 website
A'holicオーナー
A'holic website
instagram

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

管理者用
カウンター
To See List
・2023.12.02-2024.02.04
「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造、阿部展也、大辻清司、牛腸茂雄 @ 渋谷区立松濤美術館

・2023.11.24-2024.03.31
「オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」 @ 麻布台ヒルズギャラリー

・2023.12.09-2024.02.25
キース・ヘリング展 アートをストリートへ @ 森アーツセンターギャラリー

・2023.12.01-2024.01.28
梅田哲也展 wait this is my favorite part 待ってここ好きなとこなんだ @ ワタリウム美術館

・2023.11.09-2024.03.31
第14回上海ビエンナーレ @ 上海当代芸術博物館

・2023.12.17-2024.01.27
味/処 @ 神奈川県民ホールギャラリー

・2024.01.11-03.10
フランク・ロイド・ライト世界を結ぶ建築 @ パナソニック汐留美術館

・2023.12.16-2024.02.18
久門剛史「Dear Future Person, 」 @ @KCUA

・2024.01.12-02.25
牡丹靖佳展 月にのぼり、地にもぐる @ 市立伊丹ミュージアム

・2024.02.06-04.07
中平卓馬 火―氾濫 @ 東京国立近代美術館

・2024.01.18-03.24
能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)――複数種の網目としての建築 @ ギャラリー間

・2024.02.23-04.14
生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真 @ 東京ステーションギャラリー

・2024.02.14-05.27
「マティス 自由なフォルム」@ 国立新美術館

・2024.03.06-06.03
遠距離現在 Universal / Remote @ 国立新美術館

・2024.03.09-06.30
カール・アンドレ 彫刻と詩、その間 @ DIC川村記念美術館

・2024.03.12-05.12
ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?——国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ @ 国立西洋美術館

・2024.03.15-06.09
横浜トリエンナーレ2023 @ 横浜美術館ほか

・2024.03.30-07.07
ブランクーシ 本質を象る @ アーティゾン美術館

・2024.04.06-07.07
ホー・ツーニェン エージェントのA @ 東京都現代美術館

・2024.04.24-09.01
シアスター・ゲイツ展 @ 森美術館

・2024.04.27-08.29
デ・キリコ展 @ 東京都美術館

・2024.05.23-08.04
魚谷繁礼展 @ ギャラリー間

・2024.09.04-11.24
大西麻貴+百田有希 / o+h展 @ ギャラリー間

・2024.09.14-12.01
塩田千春 つながる私(アイ) @ 大阪中之島美術館

・2024.09.25-2025.01.19
ルイーズ・ブルジョワ展 @ 森美術館

・2024.11.02-2025.02.09
ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子 ―ピュシスについて @ アーティゾン美術館

・2024.11.23-2025.01.26
「再開館記念―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」展(仮称) @ 三菱一号館美術館

・2025.09.13-11.30
あいち2025 @愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなか

QRコード
QR