SURPRISE, SURPRISE @ICA
ICAでやってる企画展へ。
なんといっても出品作家が半端ない。以下リスト。
Doug Aitken, John Baldessari, Matthew Barney, Christian Boltanski, Jake and Dinos Chapman, Larry Clark, Martin Creed, John Currin, Thomas Demand, Peter Doig, Michael Elmgreen and Ingar Dragset, Olafur Eliasson, Nan Goldin, Douglas Gordon, Rodney Graham, Andreas Gursky, Thomas Hirschhorn, Damien Hirst, Carsten Höller, Jenny Holzer, Anish Kapoor, Martin Kippenberger, Barbara Kruger, Robert Mapplethorpe, Paul McCarthy, Mariko Mori, Juan Muñoz, Takashi Murakami, Ernesto Neto, Albert Oehlen, Chris Ofili, Raymond Pettibon, Elizabeth Peyton, Richard Prince, Neo Rauch, Ed Ruscha, Tino Sehgal, Cindy Sherman, Santiago Sierra, Wolfgang Tillmans, Rikrit Tiravanija, Kara Walker (with Klaus Bürgel), Christopher Williams
こんな作家の作品を一気に観られるなんて!という期待とこの作家数とギャラリーの規模から考えて原美術館でやってた「舞い降りた桜」みたいになるんじゃねぇの、っていう不安が4:6くらいのノリで来訪。
入場料を払って中へ。まずはバーバラ・クルーガーの作品。相変わらず文字を使った作品なわけですが、彼女らしさが薄い気がした。うーん、と思って次の作品へ。この秋テートモダンのタービンホールを占領するカールステン・フラーの映像作品。最初日本人の作品かと思った。だってギャラリーの両サイドに置かれたテレビから発せられるのはなんと日本語!日本人の双子がお互いまったく逆のことを言ってる作品。さすがフラーです。一筋縄ではいかん。その横はグルスキー。これまた大きな写真プリントなわけだけど、いつもの「群集」の姿はなく、何かの本のページを写した作品。これはこれできれいだけどなんだろ、この違和感。そして違和感が決定的になったのがティルマンスの展示。彼に至っては写真ですらありません。自画像です。うわぁ、やっちゃったよ、この人…と思いながらずんずん進む。チャップマンの作品。彼も彼でいつものジェイクとの兄弟名義ですらない(ジェイクの作品は別に2階で展示)。あとはエルネスト・ネトの壁に立てかけられた鉄ポールに上着をかけたコンセプチュアルとも思える作品。いつものあのやわらかい素材はいずこへ?
オラファー・エリアソンの歌う(!)BGMが流れる廊下を渡りながら、必死にこの展覧会の違和感を考えてた。もしかして同姓同名の作家の展覧会!?それはさすがにないか(おもしろそうだが) うーんなんなんだ。ってかなんでオラファー歌ってんの??
2階に行くと最初にお目見えするのはカプーアの作品。壁に2つ上下に穴が開いてて上の穴から赤い液体が流れて下の穴に吸い込まれてくみたいな作品。やっと作家らしい作品に出会えたと思ってホッとしたのも束の間。2階も2階で違和感のオンパレード。マーティン・クリードもキャンバスに黒ガッシュで荒く塗っただけの作品やし、デミアンも普通のコラージュ。動物はいずこへ…?マシュー・バーニーもよくわからんコラージュのような作品だったし、ボルタンスキーなんて本当に趣味の悪い絵画…。
次の部屋でも村上隆のスーパーフラットではない金箔と銀箔を板に貼り付けた作品だったし、ダグ・エイケンも映像ではなくコラージュ。クリス・オフィリも普通にこれまた悪趣味なペインティング…。ジェニー・ホルツァーなんて骨に指輪をつけた作品でしたからね…。
結論。
観るのがとても大変でした。僕みたいなアートオタになると、もうキャプションとか見なくてもどれが誰の作品かとかって結構わかったりするんだけど、今回はまったくその能力が効かず焦りました。必死でパンフレットの作品と作家を照合させながら観てたから疲れた…
そもそもこの展覧会は「作家の作家らしくない作品を展示する」っていうコンセプトだったようです。あの違和感はこのコンセプトからだったのですね。作家のスタイルって作品を作品足らしめる上で重要な要素なわけで、それを取り除いた時にどう見えるかってことなんかな。確かに観客は○○の作品には△△みたいな感じで期待して観に来るわけで、今回はそれをあえて裏切る試みだったわけです。やられたぁ…まんまとやられました。観た直後はイマイチ負に落ちなかったわけだけど後でじわっと効いてくる展覧会です。
あとは、作品の中には作家が学生の頃に作った作品とかもあって(ハーストやクリス・オフィリなど)、普通の展覧会では観られないような作品が観れたのがよかった。すごい貴重な機会だと思う。「この作家も今ではすごいけど昔は…」なんてことも思ってみたりなんかして。はい、すんません。
オススメとまではいかなくとも結構おもしろい展覧会だと思います。9月10日まで。
それにしてもこの展覧会タイトルはどうなんやろ…
Grayson Perry @ Victoria Miro Gallery
いくつか行ったままレポートしきれてない展覧会を一気に消化。
まずはヴィクトリア・ミロでやってるペリーの展覧会。
ってかここのギャラリー場所わかりにくすぎます。何度か行こうと思って挑戦するもあえなく迷子。3度目の正直でようやくたどり着きました。
中はなにやら怪しげな雰囲気でダークトーンな展覧会。
グレイソン・ペリーといえばターナー賞受賞作家であり、彼が"alter ego"と呼んでいるもう1つの人格クレアになってフリフリ衣装で登場したりするヘンタイ ちょっと変わったおじ様。そして彼の作品の形態は壺。その表面に彼独特の幼児虐待のシーンなどが描かれてるんだけど、写真で観るのと実際に観るのでこんなに違う作品も珍しいと思う。正直実物見るまで「なんでこれがターナー賞?」とか思ってたけど、実物見るとなんかすごく引き込まれる。なんでか自分でもよくわからんのだけど魅力的。
そんな彼がこの展覧会で試みたのは自作とリンカンシャー博物館のコレクションから借りてきたヴィクトリア時代の遺物とのコラボレーション。猟銃や奇妙なエッチングや首つり人形やら至極ペリーの世界観に合っていて、しかも彼の作品の壺たちもヴィクトリアの遺物たちと奇妙にマッチしていました。
彼の簡単なイラスト付の解説書も素敵。
思ってたよりおもしろい展覧会でした。たどり着いてよかった。
Gary Hume "Cave Paintings"@WHITECUBE
YBAでおなじみゲイリー・ヒュームの展覧会。どんなペインティングが観れるのかと思ってたらなんと大理石など色んな色の石を組み合わせて彫った彼のドローイング。正直悪趣味としか言いようがありませんでした…。金に物言わせたというか…。あと重そうだな、とも思いました(ぉ
2階のドローイングの方がよっぽど魅力的。
Dark Matter @WHITECUBE
引き続きホワイトキューブの展覧会。ってかヒュームのやつ行ったの6月ですね…月日の経つのは早いもので。
さて、この「Dark Matter」と名づけられた展覧会は、黒い作品ばかりを集めた企画展。それにしてもラインナップが豪華で、ウォーホールにハースト、セラから杉本博司まで。でもキャプションがなかったのでどれが誰の作品なのかが微妙にわかりにくかったです。ハーストはガゴーシアンでも飾ってあった蝿の作品。杉本博司は「海景」シリーズ。2階は多分セラの彫刻郡。これは圧巻でした。
AROUND THE WORLD IN EIGHTY DAYS @ICA+SOUTH LONDON GALLERY
同タイトルの小説からキュレーションされた展覧会。さわひらき氏の飛行機の作品が観れたのがよかった。あとは金沢で見たモナ・ハトゥムのビーズの世界地図は相変わらず日本の四国と九州が抜けてました。誰か注意せぇよ、と思いました。あとの作品はほぼ印象に残ってません…。その小説読んでたらもっと理解できたんかな。
Tomas Saraceno @barbican curve
バービカンの1階のcurveという円形型ギャラリーで展示されてるこの作品は、なんと32台のプロジェクターで80mもの壁にひたすら空を投影するというもの。どうやって撮ってるのかわからんけど、プロジェクターからプロジェクターへ雲が途切れず移っていく様はなんだかすごい。ずーっと観ていて飽きない作品。ちなみにこの展示はサイトスペシフィックな作品をバービカンが依頼して作ったものだそうで、彼が第一弾。お次は9月下旬から始まるリチャード・ウィルソンだそうでこれも期待大。

Postgraduate Shows

ゴールドスミスとチェルシーのPostgraduate(大学院)の卒展へ。
まずはゴールドスミス。
新校舎(写真)の方は結構クオリティが高い作品が多かった。動物と人工物の対比を強調したような写真作品や、風景に合わせた服を着てカメレオンのようにその風景に溶け込ませた写真などが印象的。後者は映像バージョンもありこっちもよかった。あとは黒い画面に黒の絵具で描いた風景画みたいなのもよかった。
旧校舎のファインアート部門は昔大浴場だったという曰くつきの校舎。正直作品より建物が気になってしまった。こっちに関してはあまりいい印象の作品には出会えなかった。いいな、って思ったやつは既に誰かがやってるようなスタイルで、例えば暗い部屋に光沢のある絵具か何かで描いたペインティングのインスタレーションはテートにあるクリス・オフィリのアッパールームにそっくりだったし、暗めの画面に人がぽつんといるような写真はビル・ヴィオラの映像にそっくりといった感じでオリジナリティが感じられなかったのが事実。あとオリンピックのオープニングをそのまま使った映像作品があったけどあれは許可とってるんやろか…多分NOだわな…。分厚いカタログが無料なのがよかった。
続いてチェルシー。まさに僕が来年やることになるこの卒展。昨年も観たけどホントに最低だった。そんなわけで元々あまり期待してなかったので3つほど気になる作品に出会えたのがよかった。全体的には去年よりマシ。でも良いとはいえない。気になった作品はまず造花で作った花畑インスタレーション。ブロックに分かれてて、それに車輪がついてて自由に動かせることができる。楽しかった。あと白黒写真を切り貼りしためっさ細かいコラージュ作品。最初普通に黒インクか何かで描いてるのかと思ったけど。濃淡がうまいことなってたわけです。普通に描いたドローイングもあったけどこっちも中々よかった。作者は日本人でした。あと木で作った動物たち。それぞれ名前がついてて動物園にある音声ガイドみたいなのもあって笑えた。その動物たちというよりその展示がよかった。なんかすごい落ち着く空間でした。
同じクラスになる子と一緒に行ったんだけど彼的には大分ショックみたいだった。クオリティが低いと。確かにそれは否めないかもしれないけど、まあそれもこれも自分次第なので今年の卒展がどうのこうのってのはあまり関係ないと思ってます。でも確かにファインアートのくせに彫刻系がなかったのが不思議。その友達はもろ彫刻彫刻した作品を作ってるだけに不安だったのかも。なんとかなるさね。それにしてもやっぱこの校舎と場所好きやわー。早くここで制作がしたいっす!
Bill Viola @ St.Olave's College
こないだHaunchでやってたビル・ヴィオラの個展の別会場。
場所はカウンティホール(新市庁舎)の近く。大学という名前ながら、そんなに大きくはなく、今回の展覧会でほぼ全部占めてた。ってかホーンチも含めこれだけの量のヴィオラの作品を見られるなんて幸せすぎます。しかも無料!なんてこった。今秋には森美術館でも回顧展だし、僕の中で今年はヴィオライヤーです。
さて、内容。
まず入って初っ端から大規模な映像作品。ホントに画面がでかくて縦が4mはあったと思う。圧巻の一言。しかもその作品がまたすごい。「TRISTAN'S ASCENSION」。横たわる男に滝のような水が降り注ぐ、のではなく逆流して下から上に水が凄い勢いで吸い込まれていく。単純にスローモーションと逆再生なだけなんだけどその水の逆流する様がとてつもなく美しい。そんでもって大迫力の水の轟音。会場に轟くほどの音の洪水と映像の洪水。完全にヴィオラの世界にハマってしまってました。最後には男が空に吸い込まれていくとこで終了。すごかった。その後に流れたのが「FIRE WOMAN」。水の次は火です。物凄い火柱を背に女性がたたずんでいる。しばらく動かずただ火を見つめる女性。ある瞬間その女性が動いたと思ったら後ろに倒れこむ。すると後ろはなんと水で水の波紋と火柱が溶け合いしだいにその境界線がわからなくなり最後は炎の姿も全部消えて終了。最後までしっかり見させるヴィオラの作品力。圧巻です。
次の部屋では男女が海に消えていく白黒映像。正直これはあまり好きじゃない。ヴィオラの作品はやはりカラーでこそ力を発揮すると思う。あとあまりに物語的なのもなんだかって感じ。
次の部屋の「ISOLDE'S ASCENSION」はすごかった。規模は大きくないんだけど、その映像のトリックにびっくり。最初真っ青な映像で、かろうじて水面が映像の下の方に映ってるのがわかる。その水面に縦に差し込む光。しばらくたっても映像が変わらずこのままで終わりなのかと思ったら突然大きな音と共に女性が飛び込んでくる、下から上へ…。この映像像が反転してたんですね。水面と思ってたものは水の中から見た水面。そこにゆっくり女性が飛び込んできてゆっくり下から上に「落ちていく」。ヴィオラの作品のすごいところは、映像の美しさもさることながら、その映像に込められたトリック。しかもそれがまったくわざとらしくなく観客を純粋に驚かせる。それは最後に見た「THE FALL INTO PARADISE」にもいえること。最初真っ黒な画面に小さな白い点だけが映し出される。しばらく白い点はわずなか変化を見せながらも中々その正体を現さない。そしてある瞬間それが男女が抱き合ってこっちに向かって「落ちて」きているのがわかるが、わかった瞬間にすごい轟音で男女が画面いっぱいに映し出される。そしてまた、今まで見ていた黒い画面は実は水面だということがわかる。空から男と女が降ってきたってわけ。最後は青い水の中にたゆたう男女の姿。それがまた美しいのなんのって。
こんな感じでまたまたビル・ヴィオラ堪能しちゃいました。
ところでこれらの映像は昨年パリのオペラのために制作されたものらしい。オペラと一緒に観たらまた違う感動なんだろうなぁ、と思いを馳せるのでした。
ここに向かう途中にバルケンホールの彫刻に遭遇。ってか自分の芸術アンテナの敏感さに自分でもびっくりです。普通だったら通り過ぎるようなものも見つけてしまう…ある種の病。


場所はカウンティホール(新市庁舎)の近く。大学という名前ながら、そんなに大きくはなく、今回の展覧会でほぼ全部占めてた。ってかホーンチも含めこれだけの量のヴィオラの作品を見られるなんて幸せすぎます。しかも無料!なんてこった。今秋には森美術館でも回顧展だし、僕の中で今年はヴィオライヤーです。
さて、内容。
まず入って初っ端から大規模な映像作品。ホントに画面がでかくて縦が4mはあったと思う。圧巻の一言。しかもその作品がまたすごい。「TRISTAN'S ASCENSION」。横たわる男に滝のような水が降り注ぐ、のではなく逆流して下から上に水が凄い勢いで吸い込まれていく。単純にスローモーションと逆再生なだけなんだけどその水の逆流する様がとてつもなく美しい。そんでもって大迫力の水の轟音。会場に轟くほどの音の洪水と映像の洪水。完全にヴィオラの世界にハマってしまってました。最後には男が空に吸い込まれていくとこで終了。すごかった。その後に流れたのが「FIRE WOMAN」。水の次は火です。物凄い火柱を背に女性がたたずんでいる。しばらく動かずただ火を見つめる女性。ある瞬間その女性が動いたと思ったら後ろに倒れこむ。すると後ろはなんと水で水の波紋と火柱が溶け合いしだいにその境界線がわからなくなり最後は炎の姿も全部消えて終了。最後までしっかり見させるヴィオラの作品力。圧巻です。
次の部屋では男女が海に消えていく白黒映像。正直これはあまり好きじゃない。ヴィオラの作品はやはりカラーでこそ力を発揮すると思う。あとあまりに物語的なのもなんだかって感じ。
次の部屋の「ISOLDE'S ASCENSION」はすごかった。規模は大きくないんだけど、その映像のトリックにびっくり。最初真っ青な映像で、かろうじて水面が映像の下の方に映ってるのがわかる。その水面に縦に差し込む光。しばらくたっても映像が変わらずこのままで終わりなのかと思ったら突然大きな音と共に女性が飛び込んでくる、下から上へ…。この映像像が反転してたんですね。水面と思ってたものは水の中から見た水面。そこにゆっくり女性が飛び込んできてゆっくり下から上に「落ちていく」。ヴィオラの作品のすごいところは、映像の美しさもさることながら、その映像に込められたトリック。しかもそれがまったくわざとらしくなく観客を純粋に驚かせる。それは最後に見た「THE FALL INTO PARADISE」にもいえること。最初真っ黒な画面に小さな白い点だけが映し出される。しばらく白い点はわずなか変化を見せながらも中々その正体を現さない。そしてある瞬間それが男女が抱き合ってこっちに向かって「落ちて」きているのがわかるが、わかった瞬間にすごい轟音で男女が画面いっぱいに映し出される。そしてまた、今まで見ていた黒い画面は実は水面だということがわかる。空から男と女が降ってきたってわけ。最後は青い水の中にたゆたう男女の姿。それがまた美しいのなんのって。
こんな感じでまたまたビル・ヴィオラ堪能しちゃいました。
ところでこれらの映像は昨年パリのオペラのために制作されたものらしい。オペラと一緒に観たらまた違う感動なんだろうなぁ、と思いを馳せるのでした。
ここに向かう途中にバルケンホールの彫刻に遭遇。ってか自分の芸術アンテナの敏感さに自分でもびっくりです。普通だったら通り過ぎるようなものも見つけてしまう…ある種の病。


