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人間の未来へ-ダークサイドからの逃走@水戸芸術館


怒涛の日帰り東京遠征。

遠かった。本当に遠かった。東京からさらに2時間。やってきました水戸芸術館。今回の旅の目的はなんといってもこの展覧会。告知で知ってからどうしても行きたくて、でもその物理的距離に断念しかけたけどがんばって行ってきました。そして実際に行ってみてやっぱり行ってよかったと思えた素晴らしい展覧会でした。僕の人生史上トップ3には入る展覧会です。
この展覧会のテーマは「人の心の闇」。もうホント僕好みの暗いテーマ(笑) そして今回この展覧会の特筆すべき点はまずその展示作品。5人の作家の作品と4人の報道写真が一緒に展示されていて、壁には谷川俊太郎やトルストイの詩が書かれている。色んなジャンルがミックスしながらも、互いに邪魔するどころか不思議な調和が成されていて、これをまとめたキュレーターは凄いなぁと思った。もはやこの展覧会自体がこのキュレーターの作品と言っても過言ではない。そもそもここのキュレーターさんのチョイスは僕好みのものが多くて過去の展覧会でも行けずに涙しています。遠くなかったらしょっちゅう行きたい…。とにかく中身の充実した展覧会を催す美術館です。では具体的な内容を。
まずはアントニー・ゴームリーの部屋。作品自体は以前ギャラリー小柳で観たものだったけど、展示がすごく贅沢な空間の使い方をしているのと、今回のテーマが相まって、全然見え方が違った。空虚な人間の姿が物悲しくも美しい作品。
続いてはマイケル・ライトの「百の太陽」。壁にかけられた写真たちの正体はすべて原爆の写真。その正体を知って一瞬ひるむが、その恐ろしさとは裏腹に写真がとても美しい。皮肉である。そしてなによりそこに写ってる核実験を観察しているアメリカ人たち自身が実は被爆しているという事実。実験はとても楽観的な視野で行われ、現場の人間はその実際の威力を知ることなく目の前で繰り広げられる爆発をただただ見つめている。その後死んでいく彼らはどんな気持ちだったんだろう。中には中心熱が太陽の数倍もあったり、きのこ雲が大気圏を突破するほどの破壊力を有しているものもある。人間は手に入れてはいけないものを手に入れてしまった。地球が死んでしまう。そう切実に問いかける作品。唯一の救いはこの作者がアメリカ人ということだろうか。ちなみにこれらの実験の楽観性を裏付けるようなアメリカ人のネーミングセンスには呆れてものも言えない。リトルボーイ、ファットマン。そして福竜丸を飲み込んだ人類史上最大の核の名はブラボー。
次の部屋はビル・ヴィオラの映像作品。縦に並べられた2つのテレビに映し出された男女の泣きわめく姿。次第にそれが水に映った像だと気づく。感情の高ぶりと水の波紋が比例し最後には像がわからなくなる。そしてその後ろの部屋にはアバカノヴィッチの作品が。さらに壁には谷川俊太郎の「くり返す」という詩が書かれている。「命はくり返せないとくり返さねばならない」という詩は、アバカノヴィッチの中身のない人体彫刻と共鳴してものすごい感動的な展示だった。贅沢を言えばアバカノヴィッチにはあのファイバーで出来た彫刻を数十体並べて欲しかった。以前枚方でやってた展示を今でも忘れられない。首と手のない彫刻が会場全体にズラーっと並べられていて、裏に回りこむと中が空洞で思わず鳥肌がたった。今回空洞の方が壁であまりよく見えなかったのが残念。それにしても谷川さんの詩よすぎ…。
その流れでスゥ・ドーホーの作品。まさにこの展示室のために作られたんじゃないかといわんばかりに空間とマッチ。天窓から差し込む光がこの作品をさらに神々しくしていて、そのあまりの美しさに見上げた時に思わず涙が出てしまった。前に友達がミロの作品を観た時に涙が出たと言ってて、そんなこと実際にありえるのかと思ってたけど、初めて作品を前にして泣いてしまった。多分この作品だけじゃなく、さっきまで観てた作品と谷川さんの詩も相まっての涙だと思うけど自分でもびっくり。
お次は橋本公の映像インスタレーション「1945-1998」。この数字が表すのは地球上に初めて原爆が落とされた年から最後に落とされた年。1ヶ月を1秒として映像の時計が進んでいって、その月に落とされた原爆が軽やかな音と共に落とされた地点に光が灯るというもの。その数なんと2053回。月によっては数えられないほどの光と音がなって、観ているうちにどんどん恐くなってくる。それでも観ずにはいられない。さっきのマイケル・ライトの写真同様、むごい現実を突きつけてくる良作。
その次からは報道写真家のジェームズ・ナクトウェイと広河隆一の作品。ナクトウェイの写真は報道写真とかそういうことは抜きにして純粋に美しい。しかしそこに写し出されたものは争いの記録。映画「ホテル・ルワンダ」で描かれたフツ族の殺戮も、実際に傷つけられたツチ族の青年の痛々しい写真が、それが現実に起こったことだと改めて認識させられた。随所に挿入されるトルストイの詩が重く響く。
後半は正直あまり好きじゃない感じでした。オノヨーコの作品も物語性が強すぎて少し鼻にかかる感じだし、シリン・ネシャッドの作品はこの展覧会のテーマを薄めてる気すらしてしまいました。壁に書かれた「世界がもし100人の村だったら」はとてもよかったです。なんにせよ全体としては本当に素晴らしい展覧会でした。僕はいつも人より作品を観るのが早いんですが、今回は一つ一つすごい時間かけて観てしまいました。時間があったらもう一周くらいしたかったな。5月7日まで。お近くの方は是非!!!
ところでこの企画展とは別に特別展がやってて、何気によったらなんと昨日観た本城直季の展覧会!!いやぁ、こんな偶然…興奮しすぎて見張りの人にべらべらしゃべってしまった(笑) そこではスキー場とビーチの写真を展示。やっぱおもちゃ…。

舞い降りた桜 ザハ・ハディドとめぐるドイツ銀行コレクション@原美術館
なによりその出品作家の豪華ラインナップに魅かれどんなもんかいなと拝見。正直相当期待落ちでした…。まあ、そりゃあの小さな美術館にあれだけの品数入るには小品のオンパレードだ罠…。クリス・オフィリやデミアン・ハーストも期待していたようなものではなく…グルスキーの写真やケントリッジのドローイングは結構見甲斐があったかもですが。またザハ・ハディドの会場展示も特になんとも…

私のいる場所-新進作家展 vol.4@東京都写真美術館
やっぱり写真の展覧会って正直疲れる…。写真って素材とかほとんど同じなので中身勝負ってとこあるから、あまりにたくさんの写真作品見せられるとどんどん新鮮味が薄れていく…。そんでもってプライベート・フォトみたいなのは特に無理で、僕には魅力がまったくわかりません。コンセプト重視みたいなのが僕好み。今回はやはり先輩の塩田さんの展示は、写真って言うか完全インスタレーションですからねぇ。あと渋谷亜理可の作品は写真といえるのかわかんないけど、技法とかの面で好きですね。以前CASOで見た時から気になってた。それにしても1コ上の先輩で同じような絵を描いてる人がいて一瞬その人かと思って焦った。あとはニコール・トラン・バ・ヴァンの身体と風景の生地が同化してるみたいなのとか好き。とてもフランス人ぽいおしゃれな作品。あとやっぱみうらじゅんの写真には大笑いさせられました(笑)

横浜トリ2005ドキュメント・ブック刊行記念講演回@NADiff
たまたま川俣正が来るということでミーハー気分で見学。見たい本もあったしちょうどいい。それにしても凄い人の数…。さすが川俣さん。あと安斎重男氏もいた。内容はやはり回想横トリ2005って感じ。しかもなんだか内輪な雰囲気で、聞いてる人の大半は実はボランティアとかで関わってる関係者という…僕としてはどうしてもあのトリエンナーレは好きになれなかったので聞くとも聞かんともなく本を物色したりしてました。途中で退席。

今回東京で就職した友達と会ったりしたんですが、もう皆がんばりすぎてて、僕は全くもって頭が上がりませんでした…就職組はエライわ、やっぱ。学生って甘いなぁ。(しかも私はニート…)
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