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Christo and Jeanne-Claude "L'Arc de Triomphe, Wrapped"

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2021年9月18日。
オープンと同時に中へ。
僕の夢が叶った瞬間。
本当に本当に美しい光景でした。
遥々来て本当に良かった。。。
ありがとうクリスト、ジャンヌ。
さようなら。またね。

<関連記事>
Christo and Jeanne-Claude "L'Arc de Triomphe, Wrapped" (work in progress)
The Final Christo @ Southerby's Paris
RIP CHIRSTO
クリスト&ジャンヌ=クロードの「Over the River」がキャンセル
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ジャンヌ・クロード逝去
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Christo and Jeanne-Claude "L'Arc de Triomphe, Wrapped" (work in progress)

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今回の凱旋門プロジェクトでは、3000mのロープと2万5000㎡の布、そして1000人以上のスタッフが関わっています。
7月15日から凱旋門での作業がスタート。
最後は95人の高所技術者によって進められました。
僕は9月10日にパリに着いてその作業を毎日見守っていました。
なので今回はその過程を少しだけ。


2021.09.10
パリ到着。
この時点で内側に布がかけられている状態。
布による損傷を塞ぐための構造体も見えます。
雨が降って凱旋門(Arc de Triomphe)に虹(Arc en ciel)がかかりました。

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2021.09.11
晴れ。特に変化なし。

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2021.09.12
朝外に出たら人だかり。
なんと高所作業員による布の設置が開始!
1時間以上見守って、夕方帰ってきたら四方が布で囲まれてた!!!

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2021.09.13
布の継ぎ目をつなぐ作業。

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2021.09.14
赤いロープ登場。

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2021.09.15
引き続き作業。クレーンの数が凄い。

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2021.09.17
公開前日。最終調整。

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こうして完成した作品だけでなく作業風景も見られたのは本当に素晴らしかった。
特に高所作業員の方々の尽力には頭が下がります。
いよいよ明日は完成された作品をアップします。パリ報告最終回です。

The Final Christo @ Southerby's Paris

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この度のクリストとジャンヌ=クロードによる「Arc de Triomphe, Wrapped(包まれた凱旋門)」に合わせて、サザビーズで今回のプロジェクトのオリジナル絵画・コラージュ作品を展示していると聞き駆けつけました。こちら
実現した姿を見て、これらの作品を観ると、改めてその精密さに驚きます。
冒頭にはこのプロジェクトのそもそもの着想であった1961年のフォトモンタージュが。
このプロジェクトはまだクリストがNYに渡る前、パリでジャンヌと出会い、凱旋門近くのアトリエで制作をしていたブルガリアからの亡命者であった青年の夢想から始まります。
凱旋門と言えばエッフェル塔に並ぶパリの代名詞。しかもその歴史は1830年から。
そんな建物を布で覆うなんて、不可能極まりない夢が動き出したのが時は進んで2017年。
ポンピドゥーセンターから回顧展の依頼を受け、それに併せて何かパリでやりたいプロジェクトはないかと聞かれたクリストは、このプロジェクトを即答したそうな。
そこからフランス政府とポンピドゥーセンターの後押しを受け、60年前の夢想が突然動き出しました。
とは言えこのプロジェクトもいつも通りその費用(約18億円)は彼のポケットマネーから捻出されます。
そのお金はこれらのドローイングを売ることで賄われるのです。
それもこれも完全に自由な創造を確保するため。
実際このプロジェクトは昨年の4月に開催される予定でしたが、9月に延期となりました。
その理由がコロナではなく、春になるとチョウゲンボウという鳥が凱旋門に巣を作ることを知ったクリストが、それを邪魔するわけにはいかないという理由で延期になったのです!
これはスポンサーがいたらそんな決断は不可能でしょう。
お陰でプロジェクトと同時開催を狙っていたポンピドゥーはそれが叶わず昨年の春にクリストとジャンヌの回顧展を開催しました。こちら
昨年5月に亡くなったクリストでしたが、4月に開催してたら見れてたのにとも思うと、本当に最後まで意志の強い人だな、と感心しまくりです。
クリストの死後、コロナの長期化により今年の9月まで延期となりましたが、生きてたらもしかしたらそのまま去年の9月にやってたかも。。。
兎に角、このプロジェクトは途中までとは言え、彼が生前に文字通り「命を賭して」取り組んだ最後のプロジェクトなわけです。
彼の死後は、甥のウラジミール・ヤヴァチェフが指揮を務めて完成に至りました。
彼はイタリアで実現した「The Floating Piers」のドキュメンタリーでクリストと喧嘩しまくってた人ですね笑
周りの人は大変だったんだろうなぁ。


個人的なお話になりますが、今回の渡仏は100%クリストとジャンヌの凱旋門プロジェクトの為でした。
こんな時期に海外渡航はリスク大ですがそれを押してでも行かなければならなかったのです。
僕のアートホリックの原点は間違いなく彼らです。
このブログでも幾度となく書いてますが、大学三年生の冬、今後もアートを続けるか否かをいろいろ悩んでた時期にたまたま見た日曜美術館で紹介されていたのが、2005年の2月12日から27日の約2週間ニューヨークのセントラルパークで7500ものサフラン色のゲートを設置した「The Gates」プロジェクトでした。
冬枯れの景色の中ではためく鮮やかな布のとゲートの対比の美しさにも感動したのですが、何より感動したのが、このプロジェクトに関わった市井の人々の誇り高い表情でした。
アートにこんなことができるんだ!!とものすごく感動したし、それなら僕ももう少し続けてみようと思えたきっかけでした。
今回改めてポンピドゥーで「The Gates」のDVDを買って見ました。(なぜかこの作品だけ日本語版が出てない。。。)
その中で実現したプロジェクトについてインタビュアーが「9.11以降に実現したということには意味がありますか?」という質問に「ありません。これはあくまで僕たちのやりたいことをやっているだけです」ときっぱり言っていたのが印象的でした。
彼らは自分たちの作品が何かの象徴になることを厳しく回避してきました。
あくまでこれは彼らの夢の実現であって、それ以上でも以下でもないと。
でもね、昨年からのコロナによって、沢山の命を奪われたフランスで、日常をほとんど取り戻したタイミングで現れたこの作品は、やっぱり何かの象徴に見えちゃうんですよね。
凱旋門ってフランス語で「arc de triomphe」なんだけど、直訳すると「勝利の門」。
「勝利」って言葉は確かに違うかもしれないけど、それに近い感覚は抱いてしまいます。


「The Gates」をテレビで見て、彼らの活動を改めて知った時に、あのプロジェクトを実際に見られなかったことは僕の中で大きなトラウマになりました。
実はその前の年の2004年の夏にニューヨークに行ってるんですよ。
その時は全然アートのことをちゃんと知らなくて、とりあえずニューヨークに行きたいという思いで夏休み行ったんだけど、夏ってどこのギャラリーも閉まってるんですよね。
そんなことすら知らずに、ほとんどいい展覧会もやってなかったし、何のために行ったんだろうって感じが拭えず、さらにその半年後にこんな凄いプロジェクトが開催されるなんて知りもしなかった自分が腹立たしくて仕方なかったのです。
そこから絶対彼らのプロジェクトを体験したいと渇望するようになり、次にやる予定だった「Over the River」というプロジェクトは何が何でも絶対に行こうと心に決めていました。
そのプロジェクトは、コロラド州を流れるアルカンザス川の上空に銀色の布を走らせるというもので、その総距離は9.5kmという壮大なもので、実に25年の間、5千万ドル(50億円超)もの資産を使い、そこに住む住人を説得し、地主と交渉し、いくつもの法の制限をクリアしてきました。
クリストが日本に来てその為の講演も聞きに行って、ドローイングの写真を見てめちゃくちゃ興奮したのを今でも覚えています。
しかし2017年、このプロジェクトは突然クリスト自身によってキャンセルされます。
理由はトランプが大統領になったことへの抗議でした。
本当にショックでした。。。
でも、ここでもやはり彼の創造に対する自由の意思は固いものでした。
クリストらしい決断でした。


「Over the River」は頓挫したものの、「The Gates」以降もいくつかのプロジェクトは実現しています。
2013年ドイツのーバーハウゼンでの「BIG AIR PACKAGE」は、僕が初めて見たクリストの大型作品でした。こちら
その次は2016年の6月18日から7月3日までの16日間、イタリアのイゼオ湖に浮かべた3kmの歩道「The Floating Piers」
これは「The Gates」以降最も規模の大きいプロジェクトでした。
そして2018年のロンドンで、ドラム缶を7056個積み上げた「The London Mastaba」
これら3つのプロジェクトは、僕的にどれも満足のいくものではありません。
2013年の「BIG AIR PACKAGE」を見て僕はショックを受けました。
室内ということもありましたが、これは僕が見たい彼らのプロジェクトではない、とはっきり思ったのです。
その後の「The Floating Piers」も、実はフランスにレジデンスしてたので、行こうと思えば行けたんですが、これも何か違うな、という感じが拭えず行きませんでした。
僕が彼らの作品に魅力を感じる理由の一つが、これまであったものを布を使って改めて目を向けさせることにあります。
これら3つのプロジェクトは、元あったものというより、改めて恣意的に形を作ってそれそのものを見せるようなプロジェクトです。
そこじゃなくてもいい。サイト・スペシフィシティがないのです。
「The Floating Piers」に関しては、ドキュメンタリーを見ても、歩道を布で包む意味すらわからない。


クリストとジャンヌはこれまで25のプロジェクトを実現させていますが、その中で僕が横綱クラスとしてる作品が以下の7つ。
Valley Curtain (1970)
Running Fence (1976)
Surrounded Islands (1983)
The Pont Neuf Wrapped (1985)
The Umbrellas (1991)
Wrapped Reichstag (1995)
The Gates (2005)
特にポン・ヌフ、ライヒスターク、ゲートの3つは都市型のプロジェクトです。
興味のない人まで作品に立ち会わせてしまいます。
それらのドキュメンタリーでは、これはアートなのか?、これは美しいのか?という議論が市民の間で勃発します。
今回の凱旋門はまさにそうで、テレビでも街中でも同じような議論が繰り返されていました。
実際仏極右政治家は「我々の最も栄光ある記念碑をごみ袋で包んでいる」と怒っているそうな笑
というわけで、間違いなく今回の「包まれた凱旋門」は僕の中で8つ目の横綱作品になりました。
そんな横綱クラスをポン・ヌフに続き二つも実現させたパリというのは本当に凄い街。
今回は凱旋門の周りの道路も会期中の週末は歩行者天国にしてしまうという、本当に国家プロジェクト。
その横綱作品を体験する、という2005年以来の夢を僕は叶えてしまったのです。


その凱旋門も先日10月3日にその公開が終わりました。
今後彼らの作品はもう見られないのでしょうか。
彼らのウェブサイトの「Work in Progress」のところに「The Mastaba」が載ってます。
これは1977年から取り組んでいる、アブダビに作ろうとしている、41万個のドラム缶を使ったピラミッドのようなもので、出来上がると彼ら初の恒久作品になります。
このプロジェクトは彼らの死後も進んでいるのでしょうか。
先日フランク・ゲーリーによるアブダビ・グッゲンハイムが2026年の開館を予定しているとの発表がありましたが、できたら合わせて行きたいですね。

Anne Imhof "Natures Mortes" @ Palais de Tokyo

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パリ近代美術館行った時に、お隣のパレ・ド・トーキョーは何やってるんだろう?って看板見て「Anne Imhof? 誰?」となって、その時はスルーしました。
パリ滞在最後の方になって、流石にやることもなくなってきたので、そういやパレ・ド・トーキョーの本屋がすごいって話を聞いたの思い出し行ってきました。
展覧会どうしようかなぁ、とレストランでミートボールスパゲティ食べながら考えてて、まあ折角だしと思って見はじめたらすごい展覧会だったことが発覚。。。!!
見逃さなくてよかった。。。
とりあえず写真でどうぞ。

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これだけ大量の写真アップしても何も伝わらないw
まあ、実際うまく説明できないのですが。。。

まず1階では、台の上のマイクスタンドから始まり、ガラスのカーブした回廊、動くスピーカー、犬が走る映像、と取り留めのないものが次々と現れます。
途中でゴードン・マッタ=クラークやティルマンスの作品が出てきて、?となるんだけど、これは何かただ事ではないかも、という気配を漂わせながら大きな映像作品の部屋へ。
ここでは「SEX」と題されたパフォーマンス作品で、テートモダンで2019年に発表されたものらしい。
ファッションショーのように人が行き交うんだけど何か様子がおかしい。
映像の部屋を出て、これで終わりかと思いきや甘かった。
あれ、下もあるのか、と思って降りたらとんでもない大空間が。。。!!!
しかもそんな大空間なのに所狭しと物で埋まっている。。。何なんだこれは!?
混乱しながら見始めると、さっきのガラスが今度は衝立のようになっててまるで迷宮。
そんな中で何とポルケの大作品で囲まれた部屋が出てきたり、トゥオンブリーやマイク・ケリーも出てくるわで、これはすごいぞ!!!と確信に変わりました。
他にも楽器が置かれたステージがあったり。
1階にもあった動くスピーカーからはチェロの音楽が流れてて、これはエリザ・ダグラス(もしかして作家のパートナー?)が作った展覧会のタイトルにもなってる「Natures Mortes」。
この曲は各箇所で流れてるものを全て合わせて一曲になるらしい。
途中で叫び声も聞こえたんだけど、めっちゃカオス空間w
地下一階を見終えてぐったりしてると、何とさらにまだ下の階に展示が続いてることが発覚!!!
さらに地下に降りると劇場みたいなところで、「DEATH WISH」という作家自身のパフォーマンス映像が。
もう何が何やらわからないままようやく見終えて1階へ。ぐっっったり。。。。


さて、このアンネ・イムホフとは何者なのか?です。
なんかどこかで見たことあるなぁ、と思ってたら、美術手帖の2018年8月号「ポスト・パフォーマンス」の表紙になってて、何だかすごく印象に残ってたんですよね。
さらに調べると、1978年ドイツ生まれ。フランクフルトの美大を出た後2013年に初個展。
それからたった4年後に何とヴェネツィア・ビエンナーレドイツ館代表を務めてるのです!!!
ドイツ館は以前2005年にも当時まだ20代のティノ・セーガルを起用したり本当にエッジが効いてる。
そして、アンネはドイツ館で展示した「Faust」という作品で何と金獅子賞を受賞!凄過ぎ!
その時のレポートを長谷川新氏が書いてます。こちら
映像もあります。こちら
その後も勢いは止まらず、2019年には先ほども触れた「SEX」という作品をテート・モダンのパフォーマンス・プログラム「BMW Tate Live」で発表。
昨年2020年にはバーバリーのリカルド・ティッシが2021年春夏ショーでコラボレーションを実現。こちら
そして今回そのバーバリーが全面支援して、ヨーロッパ美術館初の大規模個展が実現!というわけ。
デビューからまだ10年も経ってないのにすごすぎ。。。。


さて、展覧会に戻りますが、実は来月ここで大きなパフォーマンスが繰り広げられるそうなのです。
彼女は基本的にパフォーマーなので、パフォーマンスがメインなのはわかるんですが、この展覧会のすごいのが、そのパフォーマンス抜きでも何かが起こりそうな雰囲気を漂わせながら成立してるところなんです。
そして、前述した何人かの作家の作品も巻き込みながら、展覧会そのものを展示物にしているような、大きなスケールを感じる展覧会となってます。
普通パフォーマンスありきだと、パフォーマンスがない状態って欠落感というか、足りない感じが出ちゃうと思うんですが、それがこの展示では全くと言っていいほどないんですよね。。。
パフォーマンス、もちろん見れたらよかったとは思うんですが、特に見れてなくても満足感がある。
まあ、これだけの物量があれば確かにそれは納得って感じなんですが、逆に展示自体に力がないと、ここまでの物量は観れたもんじゃなくて、ただただ観客を疲れさせるだけになってしまうものです。
実際めちゃくちゃ疲れましたが、同時にすごく爽快感と、凄い物を見た!という感動が押し寄せました。
しかも今これを書いてる瞬間も、じわじわボディブローのように効いてくる展覧会。
これ観られたのは本当にラッキーでした。
ギャラリー以外近代の没後作家の展示ばかり観てたので、現代も現代の作品を観れたのもよかった。
にしても、よくぞここまでのもの作り上げたなぁ。。。本当に凄い。
展覧会は10月24日までで、パフォーマンスは10月14から18日と21から24日の18時から22時の間で行われるそう。ライブビューイングとかあったら観たいな。こちら


で、肝心の本屋ですが、噂に違わず最高でした。
日本のカタログも置いてた!
今回のアンネ・イムホフの図録と、マーティン・クリードの作品集が安くなってたので購入しました。

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Damien Hirst "Cathedrals Built on Sand" @ GAGOSIAN GALLERY PARIS

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近年のダミアン・ハーストは才能の枯渇感が凄くて見てられない。。。
特に今カルティエ財団でやってる桜の絵は本当にひどい。。。こちら
おじいちゃんの趣味やん!ってレベル。。。辛い。。。
ジャコメッティ財団行った時に目と鼻の先だったので目の前まで行ったけどどうしても入る気にはなれず。。。
同時期にガゴーシアンギャラリーでもやってて、こっちはまだ良さそうだったし、パリのガゴーシアン行ったことなかったしってことで行ってみたら最高でした。これ!これ!これぞハースト!!!
薬のキャビネット作品がひたすら続くとんでもない展示。。。
ワンフロアが広いんだけど、2階を見終わえて帰ろうとするとスタッフに呼び止められて上にもあるよ!とのこと。マ!?
3階もひたすら薬キャビネット。
潔いぐらい似たような作品が続いて逆にめっちゃ爽快でした。
カルティエ、逆に観た方がよかったかな。。。


Dominique Gonzalez-Foerster "la chambre humaine & la planète close" @ Galerie Chantal Crousel
ドミニク・ゴンザレス=フォルステルの「人間の部屋」というタイトルの展示。
この人何がいいのか全くわからない。。。
来年にはサーペンタインでも個展があるとか。ふーん。

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Ryan Gander: Wrong Time Paradigm @ gb agency
たまたま通りかかって見つけたライアン・ガンダーの展示。
相変わらずわけがわからない・・・。

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Tacita Dean "Monet Hates Me" @ Librairie Marian Goodman
タシタ・ディーンの展示。
タイトル面白いんだけど全く意味がわからず。。。ってさっきからわからないばっかり書いてますねw
ここはむしろ手前の本屋目的で来たのです。
出版もやってるギャラリーが多いので、そこの本屋に行くのが好き。
あとはYVON LAMBERTの書店行ったり、ペロタンの書店行ったり。
おかげで欲しい本がいくつか見つかってしまった。。。


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Anni et Josef Albers @ Musée d'Art Moderne de Paris

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パリ近代美術館でやってるアニとジョセフ・アルバース展へ。
こちらも地下鉄広告で見つけた展覧会。
もうね、この展覧会本当に最高だった。
今回パリで観た展覧会の中ではダントツでトップ。
来年の1月9日までやってるからみんなパリ行って観た方がいい。
というのは無茶にしてもそれぐらい良かった。泣いた。ありがとう地下鉄広告。
日本に巡回しないかな。。。

とまあ、ちょっとのっけからあれなんですが、本当に良かったんです。
近年巨匠の影に隠れてしまっていた妻の存在にスポット当てる展覧会が増えてきましたが、その最もいいサンプルの一つ。
先日世田谷美術館で開催されてた「アイノとアルヴァ」展も最高だった。
昨日の記事でも2人展について触れたけど、ここまでしないと観客は納得しません!

で、肝心の内容なんですが、まずのっけから2人の作品が並置されてて、はっきりとお互いがお互いに影響しあってる様を見せつけられます。
もうこの時点でこの展覧会ヤバイ。。。ってなりました。
そこからバウハウス時代の2人の作品の紹介。
この辺の作品はあまり紹介されることもないと思うのですごいレアな感じがする。
ジョセフがステンドグラスや家具を作ってたの知らなかった。
そこにアニのテキスタイルがやってくるんですが、もう作品が似すぎ!!
絵画とテキスタイルという違いはあれど、観ていくうちにどっちがどっちの作品かわからなくなっていきます。
こういうの僕大好きなんですよ。
オリジナリティって所詮は砂上の楼閣で、実際は人と人が影響しあった積み重ねが作品であって、こうやって比較していくことで見えてくる差異に本当に感動してしまうのです。
特に組紐のドローイングは、どっちも同時期に取り組んでるのとかめっちゃエモい!!!

あと展示がめちゃくちゃかっこいいんです。
アニの作品を少し斜めに浮かせてるのとかすごい。

さらに、この展覧会の素晴らしいところは、彼ら自身の創造だけではなく、教育者としての2人もしっかりカバーしているところです。
2人ともバウハウスの教師であり、その後アメリカに渡った後も伝説のブラック・マウンテン・カレッジで生徒たちを教えています。
この辺の内容は、ART TERACE PRESS 03に詳しいので是非読んでほしい。
その課題の内容や、実際の生徒の作品まで展示してあってとても興味深かった!

最後はジョセフの代名詞である正方形が重なってるペインティングがずらっと並んでる様は圧巻だし、アニが教会に頼まれて制作したコミッションワークとかも初めて観た。
そして最後の最後は、冒頭の展示と同様、ジョセフとアニの同色の作品が並置されて終わってて、最後の最後まで手の込んだ展示に最強に感動しました。
これ企画したキュレーターJulia Garimorthにめちゃくちゃ感謝したい。ありがとう。


さて、パリ近代美術館、実は初めて来ました。
昔初めてパリに来た時に、お隣のパレ・ド・トーキョーには行ったんだけど、夜に行ったので近代美術館は閉まってて(パレ・ド・トーキョーはなんと0時までやってる)、当時やってた企画展も興味なかったのでスルーしてたのです。
そしてその時は夜だったのでよくわからなかったのだけど、今回昼間初めて行ってみて、その神殿のようなとんでもないでかさの建物にびっくり。
これ何の建物だったんだろう?と思って調べたら、1937年のパリ万博の時に実際近代美術館として建てられたんだって。
現在は東翼に近代美術館、西翼にパレ・ド・トーキョーが入ってるんだけど、当時はどっちも近代美術館!どんだけー!
1977年にポンピドゥー・センターが開館すると、当時の近代美術館に収蔵していた現代美術がそっちに行ったことで西翼が空に。
そこから紆余曲折あり、2002年に現代美術センター「パレ・ド・トーキョー」が開館したとのこと。
ちなみにセーヌ川沿いのニューヨーク通りから入ると、川越しにエッフェル塔が見えて素敵ですが、そっちの広場は格好のスケボー練習場になってて通るのめっちゃ危険笑
入口はプレジダン・ウィルソン通りにあるのでそっちから行きましょう。
ちなみに美術館の前の広場はなぜか「Place de Tokyo」と言います。

で、パリ近美。
ここのコレクションの凄まじさにたまげました。
特にマティス室!!この作品ここにあったのか!!!!!
ずっと生で観たかったんです。。。また泣きました。。。
この作品はアメリカの大コレクター・バーンズが、自身のコレクションを展示する美術館を建設するにあたり、その壁を飾るため依頼されたもの。
そこでマティスは「ダンス」を描き始めたんですが、なんと制作途中でマティスが寸法を間違ってしまって美術館のサイズに合わないことが発覚!!
結局一から別に作り直したんだけど、その間違っちゃった作品をパリが買い取ったわけです。
マティス室にはその下書きと実作が展示されてるんだけど、下書きめちゃくちゃいい!!!
しかも同じ部屋にビュレンの大作まであってお腹いっぱい!
最高でした。。。

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あとはデュフィ室もとんでもないし、バゼリッツの大作部屋もすごい。。。作家から譲り受けたんだとか。
あとはナビ派とかフォンタナの謎のライト作品とか、ヘンリー・ダーガーもめっちゃあって意外でした。
ここはちゃんと観ようと思ったら半日かかるかも。。。最高かよ!

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Chaïm Soutine / Willem de Kooning, la peinture incarnée @ Musée de l'Orangerie

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海外に行くと必ず駅の広告をくまなくチェックします。
渡航前にはチェックできなかった生の情報が手に入るからです。
そんな中で見つけたのがオランジュリー美術館スーティンとデ・クーニングの2人展
ということで実に15年ぶりにオランジュリーへ。
で、2人展の内容はというと、正直必然性がよくわからなかった。
多分両者ともポートレートから段々抽象になっていくってストーリーを見せたいんだろうけど、別にこの2人じゃなくてええやろ、ってのが感想。
オランジュリー自慢のスーティンコレクションと誰かを比較したかったんでしょうか。
まあ、そんなことよりデ・クーニングをまとめて観れたのは大変良かった。
改めて絵肌の複雑さが本当にすごい。。。
実際の抽象よりもウーマンシリーズの方が抽象度が高い気がする。
この展覧会は来年の1月10日までで、並行して10月13日からホックニー展もやるらしい!

で、オランジュリーといえばモネルーム。
久々に来たけどやっぱりこの部屋はすごい。
これのためにある美術館といっても過言ではないです。
パリの中でも見過ごされがちだけど、ルノワールの代表作「ピアノを弾く少女たち」とかルソーの「人形を抱く子ども」もあるし、かなり穴場ですよ。
ジョアン・ミッチェルの大作があったのは意外だった。めっちゃいい。。。
ちなみにオランジュリーという名前は元々オレンジ温室(オランジュリー)だったからなんだって!
しかし国の美術館のくせに公式ウェブサイトがフランス語しか見つからない。。。

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Picasso-Rodin @ Musée Picasso

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もういっちょ15年ぶりのピカソ美術館。
カルナヴァレ博物館に寄ったついでに、2015年にリニューアルもしてるしってことで寄ってみました。
展示スペースが2倍になったって聞いてたけど、行った時は3階の常設が閉まってたので、あっさり観れてしまった。
企画展がロダンとピカソで興味ねぇと思いつつ。。。
「形」を模索した二人ってテーマでやってたけど、スーティン/デ・クーニング同様やっぱ無理があるのでは、って内容でした。。。
2人展って結構好きなんだけど、組み合わせむずいね。

Institut-Giacometti

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2018年の開館以来めちゃくちゃ行きたかったジャコメッティ・インスティチュート
ジャコメッティのアトリエが見られる!!!
矢内原の伝記などで出てくるアトリエはカオスそのもの。
ベーコンのアトリエもだけど、なんとなく薄暗い小道の脇にあるイメージでした。
しかし、アトリエはオリジナルの場所なのかと思ったら移設されたもので、なんかがっかり。
すぐそばにあったそうなのですが、そのオリジナルの場所は今どうなってるんだろう。。。
そしてアトリエの再現は入口からすぐなんだけど、ちょっと照明明るすぎじゃない?
なんかアトリエのアウラがかなり薄まってる気がする。。。
それでもまあ、こんな小さかったんだ!とか色んな発見もあったはあったのですが。
この場所は元々ポール・フォロ(1877-1941)という作家のアトリエで、内装がめちゃくちゃ可愛かった。
そんな中で「ジャコメッティとエジプト」という展覧会がやってて、彼の彫刻はこんなにもエジプトと関係があったのか、とびっくり。
エジプトの古代彫刻とジャコメッティの彫刻が一緒に展示してるのはよかっった。
でも、兎に角小ぶりの美術館なので30分もしないうちに見切れちゃいます。
んー、一回行ったらもういいかな。。。
ちょっと期待外れだったけど、ジャコメッティの空気に少しでも触れられたのは良かった。


あと、書くところないのでここに。
9月の18と19日が、「ヨーロッパ文化遺産の日」という普段公開されない建物が一般に開放される日で、友達が「ロベール・マレ=ステヴァンスのアトリエに行きたい」というので、行ったら友達はまさかの寝坊で僕だけで観に行きました笑
正直ステヴァンスってよく知らないんだけど、コルビュジエやペリアンらと同時代のモダニズム建築家なんですね。
そしてアトリエは、確かにバウハウス的要素もあるけど、結構装飾的。
で、今は何かの学校になってて、各部屋も生活感漂いすぎて建物のアウラが。。。
あと、ガイドツアーだったんだけど、全部フランス語で何言ってるのか全くわからずw
普段は見られないということなのでまあ見られて良かったですが。

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ABSALON ABSALON @ CAPC

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ボルドー現代美術館(CAPC)で開催されてた展覧会。
アブサロンとは、1968年イスラエル生まれのアーティスト。本名はMeir Eshel。
1987年にパリに移住してからアブサロンと名乗るようになり、1993年10月にエイズにより28歳の若さで亡くなるまで活動しました。
日本人はまず知らないし、フランス人の友達もこの展覧会で初めて知ったそうです。
彼の晩年のプロジェクト「Cellules (Cells) 」は、彼が自身の身体を計測しながら作り上げた「メンタルスペース」で、その白い建築モデルのような作品群は特に印象的でした。
他にもパフォーマンスの映像などもあって、たった6年でここまでの世界観を作り上げたのはびっくり。
この展覧会は、アブサロンを中心に8人の作家と共に展示されてます。
やっぱりフェリックス・ゴンザレス=トレスの作品は美しいし、確かに同じAIDSに侵され短い生涯の中で凄まじい世界観を築き上げた点で最も近い存在だったかもしれません。
他にもモナ・ハトゥムなんかも、レバノンからロンドンに移住して作家になった人で、マイノリティとして抑圧や暴力をテーマに制作してる人なので通底してる部分もあるかも。
他の作家はよく知らなくて背景もよくわからなかったけど、若くして亡くなった作家をこうして新たにスポット当てる展示はいいですね。

さて、CAPC2回目だったのですが、改めてすごい美術館でした。
ここはかつて羊毛倉庫で、1824年からある建物。
20世紀に入り、倉庫は使われなくなり取り壊しも決定してたそうなんですが、市民の取り壊し反対運動により、1973年にボルドー市が買い取り、今の現代美術館になったのが1984年という経緯があります。
ブルス・ドゥ・コメルスといい、ヨーロッパはこういう建物が沢山あって素晴らしいですね。
ボルドーは特に市の半分以上の面積がユネスコの世界遺産に登録されて、都市の世界遺産面積としては最大級!
本当にうっとりする街です。フランス行ったら是非行って欲しい。
そしてこのCAPCは必ず寄って欲しい。
当時CAPCのキュレーターだったニコラ・ブリオーが担当した「Traffic」という展覧会の序文に寄せた「esthétique relationnelle (関係性の美学)」は90年代アートシーンでセンセーションを巻き起こすなど、地方美術館だからといってバカにしちゃいけません。
ここの企画展は本当に質が高いし、コレクションも半端ない。
兎に角広いし、観終えるのも一苦労ですが、現代アート好きにはたまらないコレクションです。

例えば

ローレンス・ウィナー
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ベッヒャー夫妻
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リチャード・ロング
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またまたリチャード・ロングと野村仁
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リチャード・セラと李禹煥
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ソル・ルウィット
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ダニエル・ビュレン
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ヴォルグガング・ティルマンス
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などなど。
こう見るとミニマルな作品が多いですね。
ショップにも昔の図録も置いててオススメ。
今の展覧会は来年1月2日まで。こちら

David Hockney「大水花」 @ 木木芸術社区 / Matthew Barney「Redoubt」@ UCCA

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北京はカプーアさえ観られたらそれで良かったのですが、なんとホックニーとバーニーまでやってて棚ぼた感がすごかった。
さらにサラ・ルーカスも紅甎美術館ってとこでやってたんですが、遠いのとルーカスそこまで好きじゃないのでパス。
あとアイ・ウェイウェイの関わってる草場地村三影堂摂影芸術中心も気になってたけど、寒さと遠さに負けて行けず。

とはいえホックニーとバーニー。
ホックニーは新しくできた木木芸術社区という美術館で開催。
ここすごいのは、なんと若手コレクターの林瀚(リン・ハン)と雷宛蛍(レイ・ワンイェン)夫妻が手がける民間のアートスペースで、既に798芸術区にあるのに、故宮近くにこの新館が昨夏にオープン。さらに新たにもう一個建つみたい。どんだけ金あんねん。(ちなみにgoogle mapだとまだ新館は出ないのでご注意を)
しかもそんな個人のアートスペースにテートのコレクションが貸し出されるという事態。
今回のホックニー展、すごかったです。
考えたらホックニーの作品ってこれだけまとめて観たの初めてかも。
初期から代表作から最近のiPadで描いてるのまで。

初期の作品ほとんど知らなかったけどとても興味深かった。
ベーコンの影響がめっちゃ出てて意外。

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そして何といってもアメリカに渡ってからの作品。めっちゃ代表作きてるやん!
流石に一昨年102億円という現存作家最高額を叩き出した絵は来てなかったものの。

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他にも色々ありましたが、やっぱこの初期と代表作群が凄すぎた。
あと近くのビルの屋上でもiPadの作品がちゃんとプリントアウトされて展示されてた。
意外と面白いとは思ったけど、感動まではないなー。写真も撮り忘れた。
この美術館、下には京都のアラビカコーヒーが入ってて、建築も日本人の青山周平。
グッズのトートバッグが可愛くて思わず購入。
てかカプーアもバーニーもトートバッグ売ってて、中国の展覧会全部トートバッグ作るのかな?

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お次はバーニー。
観光地としても人気の798芸術区の中にあるアートスペース。こちら
展覧会はイェール大学美術館からの巡回で、今回2時間の映像も展示。
この映像は日本でも1/11から写真美術館で公開されます。(日本では映像のみ)
鈴木朋幸氏のHPに今回の新作の詳しい説明があります。こちら
今回の作品は、バーニーの故郷でもあるアイダホを舞台に、狩猟や神話などを組み合わせたもの。
相変わらずわけわかりませんが、今回いつものわかりやすいトランスフォームもなく、とても静謐な映像で、ただただ美しくて、僕はバーニーの作品の中で一番良かった印象。
展示してる作品も、ワセリンとかではなく木のオブジェや銅版画など、とてもドライ。
銅版画は岡山芸術交流でもユイグとのコラボ作品として出してましたね。
空間がだだっ広いんですが、光の入り方も美しくて、とても清々しい展示でした。

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北京美術館賞記は以上!次は建築!

Anish Kapoor @ 中央美術学院美術館

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新年一発目の鑑賞記事は北京のカプーア展から!
今回年末年始を北京で過ごしたんですが、その最大の動機。
なんてったってその会場が紫禁城なんですもの。こちら
こんなの一生観られないし、こんな機会でもないと北京は一生行ける気がしない。
ということで勢いで飛行機とホテルを押さえました。

30日の夜北京に着いて、次の日31日の朝早速紫禁城へ。大晦日感ゼロ。
気温マイナス10度ぐらいの中セキュリティチェックで1時間近く並びようやく中へ。
もう末端の感覚がない。。。
色々迷いつつ会場である太廟へ行くと冒頭の張り紙。
どういうこと?とスタッフに聞くと一言「クローズ」と。。。
え????えぇぇええええええ。。。。!???

その場で焼身自殺でもしてやろうと思いましたがなんとか思い留まり茫然自失のままとりあえず移動。
「ここは中国。なんだって起こりうるんだ。」
と言い聞かせつつ、もう1会場に望みを託して。。。

今回紫禁城ともう一会場中央美術学院美術館というところでやってます。大学か何かの美術館なのかな?
設計が磯崎新で馬鹿でかいです。外観だいぶ汚い。。。

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駅から結構歩いてようやく到着し、こっちもやってなかったら次こそ焼身。。。やってた!
そしてよくよくポスターを見ると、この美術館の展示は1/1までで、紫禁城の方は12/28までだったらしい。。。
まあ、単純に僕のリサーチ不足だったわけですが、まさか会期が違うとは。。。無念すぎる。。。
とはいえ、こっちの美術館の展示も素晴らしく、すっかり癒されました。
考えたらカプーア観たの2015年のヴェルサイユ以来だった!

早速吹き抜けで馬鹿でかい作品。
「Symphony for a Beloved Sun」(2013)
確かベルリンで発表してて、実際観たのは今回が初めて。
真っ赤な円(太陽?)に向かって赤いワックス(?)の塊がベルトコンベアに乗って運ばれていくんだけど、発表当初は微妙。。。と思ってたけど生で見ると迫力がすごい。
ワックスは太陽に辿り着くことなく地上に落とされ、まるでイカロスのよう。
残念ながら運ばれてるところは見られませんでした。

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次の3階ではこれまたでかい空間に作品模型と、ヴェルサイユでも発表していた「Sectional Body preparing for Monadic Singularity」(2017)。
この美術館やたら曲線が多くて、でっかい大味の空間が多いんですが、カプーアの作品とすごくマッチしていました。というかカプーアの空間の使い方が本当にうまい。他の展覧会どうしてるんだろう。。。

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上の階ではこれまた初見の「Destierro」(2017)と、韓国で観た「My Red Homeland」(2003)
「Destierro」はアルゼンチンで一度発表して以来の展示らしい。
赤いピグメントを掘る青いショベルカー。実際ショベルカーは動いてません。

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正直紫禁城で観れなかった時点でかなりテンション下がったし、美術館でカプーアはいくつか観てるしなぁと思いつつ行った中央美術学院美術館の展示でしたが、やっぱり神は神でした。
今回の作品がほとんど赤いのは中国共産党に合わせてるのかと邪推。。。
去年のボルタンスキー展の時に友達と大御所になればなるほど大空間が与えられて大味の作品しか作れなくなるという話をしてたけど、カプーアは大空間でもクオリティが下がらないんですよね。
改めて素晴らしい作家。日本の美術館でもやって欲しいんだけど。。。

ちなみに紫禁城の展示は以下の映像で見られます。観たかった。。。




<関連記事>
Anish Kapoor @ Chateau de Versailles
ARK NOVA by Anish Kapoor x 磯崎新
Anish Kapoor @ Leeum
Anish Kapoor @ Royal Academy of Arts
Anish Kapoor @ Lisson Gallery

Crush @ Para Site

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前回の香港から約1年半。
この間にリー・キットが運営していたthings that can happenや百呎公園はなくなり、新たにメガギャラリーが軒並み入るH Queen's(後述)ができたり、前述の大館ができたりして、さらに来年にはアジア最大と言われる美術施設M+がオープンしようとしています。
急速に変化を続ける街ですが、1996年から20年以上変わらず独自の企画を通しているインディペンデントの施設があります。
それが今回紹介するPara Siteです。こちら
前回行ったAsia Art Archiveと並ぶ香港アートシーンの至宝だと思います。
前回は時間がなくて行けなかったので今回ようやく来訪。
それにしてもビルが。。。香港お得意の竹の足場に覆われています。不安。しかも22階。エレベーター途中で止まるんじゃないかと案じながらたどり着きました。。。

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中では「Crush」という展覧会がやっており、フリーにしては凝った冊子も製作されてました。
テキストには「愛の闇と頼りない愛」がテーマになっていて、20人弱の作家が参加するグループ展。
中にはリー・キットもいましたが、他は知らない作家。ほとんど中国の作家でした。
正直展示は散漫で、あまりよく飲み込めなかったのですが、今回欲しかった資料があったので、スタッフの方に聞いたら快く探してくださっていただくことができました。めちゃくちゃ親切で感動しました。
それは2013年にPara Siteが企画した「GREAT CRECENT」という展覧会の冊子でした。

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この展示は、日本と韓国と台湾の3国の1960年代のアートシーンを辿るというもの。
実はこれ、その後2015年に森美術館がMAMリサーチの第一回として資料を加えて再展示しているんです。こちら
僕はその時スイスにいたので、展示自体は見ていないのですが、最近カフェのお客さんが、その展示が今年になって本になったよと教えてくれて、先日森美術館に行った際に買い求めました。

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それにしても展示から3年も経って書籍化するってすごいですね。
今MAMリサーチはこの第1回と昨年開催された第5回のみが書籍化されています。
後の2、3、4回は書籍化されるかまだ検討中とのことです。
ちなみに今やってる6回は、ダムタイプの古橋悌二が始めた京都でのクィアパーティー「ダイアモンズ・アー・フォーエバー」を取り上げていて、これまた興味深い内容なので是非書籍化して欲しいところです。こちら

閑話休題。
で、この「グレート・クレセント」。読んだらとっても面白い内容でした。
特に最後の黒ダライ児さんやPara Siteのディレクターコスミン・コスティナスを迎えたディスカッションの記録は素晴らしい。聴きに行きたかった。。。

まずコスティナス氏がなぜここに自身の場所「香港」を含めなかったかの理由に以下を挙げています。

「中華人民共和国成立後の1960年代にあってもなお、一貫した香港の地域アイデンティティーの形成には至らず、それは当時の年における文化的な生活にも色濃く反映されていました。日本、韓国、台湾という他の3つの地域では、国民文化や国民のための場所がつくられていたにも関わらず、香港では公共空間やフォーラム、または文化と言った意識の形成のプロセスが1960年代に始まったものの、60年代の終わりまでに完結したとは言えない状況だったのです。」

「中国本土から香港にきたアーティストや文化人の多くは、次第に香港去るか、香港を一時的な滞在場所としか見ていませんでした。当時の香港には一つの場所としての一体感もなく、人々はそこに帰属する感覚を持ち得なかったのだと思います。興味深いことに、この当時の状況は今の香港の状況と同じであり、アートの分野においてもこの地域のどこと比べても帰属感は希薄なのではないかと思います。」


またこの「グレート・クレセント」をPara Siteと共に企画したのが元MoMAのキュレーターで、現M+チーフキュレーターのドリュン・チョンというのも興味深いです。なぜなら彼はMoMAで「TOKYO 1955-1970」を企画した人でもあるからです。
あの展覧会は、今の世界的な戦後日本美術ブームの先駆けになった展覧会だと思います。
僕自身もポップアップカフェの第二回の展示にこの展覧会カタログを真っ先にあげました。こちら
その時の来館者アンケートに「なんだかすごくダークな展覧会!」という意見が多かったそうです。
今の村上や奈良のイメージで日本美術を観に来た観覧者にとってはもっともな意見かもしれませんね。

そしてチョン氏の発言で興味深かったのが三国間の距離感の問題です。

「今では香港、日本、韓国、台湾、そして中国本土でさえも、さほどの苦労もなく簡単に行き来できるようになりました。しかし、これらの地域を行き来するのは、私が若い頃ですら難しかったことを覚えています。韓国と日本を行き来するのは簡単ではなかったし、韓国と中国に至っては1990年まではほぼ不可能でした。それほど昔の話ではないんです。この地域はいまよりもっと亀裂が入った状態だったのに、私たちはすでにそう行った歴史を丸ごと忘れているのです。1960年代や70年代に遡るまでもなく、80年代や90年代初頭のことさえも忘れてしまっている。そして、美術界や美術史がグローバル化し、アーティストやキュレーターに限らず、ただのアート好きの人もアートを見に行くためなら簡単に何処へでも行くことができる今の時代、すべての物事をフラットにしすぎているように感じるんです。ですから、これらの地域がかつては非常に希薄な関係にあり、それほど簡単に繋がることができなかったということを、この展覧会で示したかったのです。」

この三国の距離感って、今の感覚ではLCCもあったり文化交流も盛んだったりしてとっても近い国のイメージを互いに持ってますが、ちょっと前、90年までは行き来するのも困難な国同士だったということ。
僕は実は6歳の時、ソウルオリンピック直後ぐらいに家族旅行で韓国を訪れているんですが、今思えばあの時期に韓国行った経験って中々貴重だったのではと思います。幼かったものの、今でも当時の韓国の感じって強烈に覚えてるんですよね。
やはり90年代前半まではこの三国間は「巨大な三日月」だったのかもしれません。
そして僕は今や「アートを見に行くためなら簡単に何処へでも行く」人です笑

さて、こうした接続困難な地域同士「にもかかわらず」、互いの「影響」が見え隠れするのが不思議です。
例えばこの60年代というのは、美術館やアートギャラリーではなく、街中でのパフォーマンスが3国ともで行われています。
日本で言えばもちろんハイ・レッドセンターが有名ですが、韓国でもジョン・ガンジャなどが率先して野外でのパフォーマンスを実行しています。
ちなみに、これらの作品が偶然にも現在東京国立近代美術館で開催中の「アジアにめざめたら」展にいくつか出品されていて、本で読んだ内容がそのまま展示になってる!と勝手に感動しました。
特にゼロ次元の「因幡の白兎」が観れたのは良かった。今となっては稚拙な映像ですが。。。
また、この「グレート・クレセント」に出てる、黄華成(Huang Huacheng)の1966年に海天ギャラリーで開催された個展「大台北画派秋期展覧会」(すごいタイトル)は面白いですね。今のリー・キットに繋がるような。。。
日本の戦後美術の情報は知っていても、韓国台湾となると意外に知らなくて面白いです。

最後に黒ダさんの発言が面白いので抜粋。

「私が東アジアから見出したかったことというのは、さっきから行ってる共鳴でもなく、または影響でもなく、共感です。共感によるネットワーク、そういうようなものを、私は見出したいと思っているんです。(中略)先ずは共鳴と共感の違いをきちんと言う必要がありますね。共鳴というのは要するに、影響関係からはっきり独立した概念として言っています。つまり、お互い知らない所で、同じようなことをやっていたということです。(中略)ただ、私が行っている共感というのは、やはり接触がないといけない。その接触というのは直接の接触でなくても、メディアとか、別に雑誌でも写真でもいいし、ニュースでもいいですけど、そういうものを通して他の地域の人がやっていること、遠くの地域の人がやっていることや人に対して、何か非常に強い共感をする。共感の要は、その人を支持したいと思って、一種同盟というか同士の関係みたいなものを持つようなことであって、私はそういう関係ができればいいなと思っているのです。」


長々と引用だらけになってしまいましたが、この香港の小さなスペースが、これだけ大きな議論のできる展示をしていたというのが本当にすごいことだと思います。
ソフィスティケートされた大きなギャラリーよりこういうオルタナティブの方が断然魅力的。
M+ができたって、ずっと残り続けて欲しいです。

ということで無理矢理メガギャラリーの話。
前回ガゴーシアンは行きましたが、その後H Queen'sという建物が街の真ん中に建ちました。こちら
ここにはDavid ZwirnerやPace Gallery、Hauser & Wirthといった泣く子も黙るメガギャラリーが詰め込まれています。
エレベーターで一つ一つ降りて行くわけですが、正直全く面白くなかった。。。
なんかホワイトキューブって疲れませんか?それを何個も一気に見るのって気が滅入ります。。。
僕自身がこういうアートマーケットに興味がなくなってるのもあるけど。
なので、特に語ることもありません。
大館はこのビルの山手にありますが、ここも一回行ったらいいかな。。。
ヘルツォーグ&ド・ムーロンの建物では現代美術の企画もやってたり、中には加藤泉やローレンス・ウィナーの公共作品もあったりするんだけど。
とは言えM+できたらまた来ます。香港自体はとっても魅力的な街。
ニューヨークやロンドン、東京もそうだけど、やっぱり街自体にエネルギーがあって元気がもらえる。
できたら毎年訪れたい場所です。


にしても街中の竹の足場、川俣正の作品みたいだ。。。

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あと、Para Siteの近くにインスタ映えで有名になってしまったアパートがあります。
あまりに観光客が来るので写真禁止になったと聞いてましたが、行ったらたくさんの観光客が写真撮りまくってました。。。ということで私も便乗して撮りました。映えます。

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Mona Hatoum @ Tate Modern

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今回の欧州記事ラストです。
ラストはやはりテートモダン。
6月に新館がオープンし、ただでも広かったのにさらに広く。
おかげで全部回る頃にはぐったりしました。。。
元の建物をBoiler House、新館をSwitch Houseという名前で呼ばれていました。
H&deMによる新館は、正直期待はずれでした。なんか建築としてのワクワクがない。
発表から二転三転して今の形に落ち着きましたが、まあ色々あったんでしょう。
建物としての機能もこれからといった感じで半分くらいのフロアが公開されてませんでした。
新館に先立って公開されたTankなる地下空間はやはりめちゃくちゃカッコよかったです。
この建物のキャパシティの深さを感じられる空間で、ここでは主にパフォーマンスがメイン。

Boiler Houseの方ではモナ・ハトゥムの個展が開催されてました。
オキーフもやってたけど時間もなかったのでパス。。。
近年改めて大きな個展が連発している彼女。昨年もポンピドゥーでやってました。
来年はヒロシマ賞受賞記念の展覧会が広島市現代美術館で開催されますね。
なんとなくYBAのイメージがあったんだけど、彼女は彼らより一回りぐらい上の世代だったんですね。
彼女はレバノンで生まれ、イギリスに移り住んで今も拠点はイギリスです。
彼女の作品からは、暴力と普段の生活は薄皮一枚でしか隔てられていないことを教えられます。
家庭用のチーズおろし器を大きくして彫刻にした作品なんかは、何かの処刑器具にしか見えません。
また、僕が好きだったのは「Twelve Windows」という作品で、洗濯物のように12枚の布が洗濯バサミで止められていて、それぞれ刺繍が施されていますが、それはパレスチナの難民女性が施したもの。
こういう家庭的なものと、そこに潜む社会的な背景の組み合わせがとても上手いと思います。
また、最後にひっそりとテラスに展示されてた土嚢から植物が生えてる作品も僕のお気に入りの一つ。
ただ、改めて彼女のこれまでの全体の仕事を見ていると、あまりに美しく、それこそ美術作品然としすぎているというか、その感じが個人的にはそこまで入り込めなかったです。
来年の広島の展示は機会があったら観たいけど、今回で十分かなって感じもしますね。
テートの展示は8月21日まで。


さて、テートモダンですが、前回2年前に訪れた際、コレクションが僕の学生時代とそこまで変わってなくて結構ショックだったんですが、今回ガラッと様変わりしていて、さすがテートという感じ。
ブラック+カロ、ロスコ+モネなど、お家芸とも言えるテーマ別の組み合わせも絶妙。
カプーアとケリーの部屋では、ティノ・セーガルの「作品」が歌ってたりして楽しかった。
Switch Houseの展示は大空間にいくつかの作品という感じで、NYの新ホイットニーみたいな感じであまり新鮮味なかった。それでもジャッドとホワイトリード、ビュレンが一緒にあったりするのはいいなぁと。

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Artist Roomというくくりでいくつか一人の作家にフィーチャーした部屋は素晴らしかった。
Boiler Houseではリヒターやベッヒャーなどが贅沢に展示されてた。
日本からは高梨豊さんの展示も。
アヴァカノヴィッチの展示室も崇高な空気が流れてて素晴らしかった。
Switch Houseではブルジョワやレベッカ・ホルンがほぼ個展かと思われるぐらい充実してた。

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しかし何よりも驚いたのが1970年に東京で開催された「人間と物質」展の展示室があったこと!
これを常設に置くなんて、やはりテートはすごい。。。
高松二郎とペノーネが隣り合って並んでるのはかなりの感涙モノ。

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とまあ、やっぱテートはすごいなぁという感じでした。これからまたどうなるのか楽しみ。
テート以外に今回はギャラリーもいくつか。
その多くが僕の学生時代よりはるかにでかくなってた。
Hauser&Wirthなんてどっからどこまでが敷地なのかよくわからなかった。
WhiteCubeは移転後欧州一でかい空間になったそうだけど、空間としては全く面白くなかった。
それなら相変わらず普遍なガゴーシアンは今回久々に行ったけど、やっぱり空間が素晴らしい。
初めてロンドンに来て訪れた時の感動が再び蘇りました。
まあ、でかさで言ったらどこもNYに敵わないわけだから、もっと空間の質を極めてほしいですね。
さらに新しくできたハーストが始めたNewport Street Galleryにも行ってきました。
行ったらジェフ・クーンズがやっててまんまやんけと思った。空間もこれまた普通。
レストランは完全にハースト全開って感じで楽しかったです。

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EU離脱で揺れるロンドンですが、やっぱりこの街には世界中の人々を惹きつける力があるし、モナ・ハトゥムのように他国からやってきてイギリスで活躍する作家もたくさん。これを排除する方向にだけは向かわないでほしいです。
今回移転後のセントマーチン大学にも初めて訪問しましたが、以前のボロボロの建物とは打って変わって、古い建物を改装した超オシャレな場所で、学生も相変わらず多国籍。この多様性が刺激を生んで、いい作家を育ててるのは間違いないし、離脱後、学費やビザの影響でこれまでのようにロンドンに留学することも難しくなる他国の学生もたくさん出てくると思う。その影響がイギリスのアートシンーンにどう表れるか全くわからないけれど、ずっとずっと刺激的な街であってほしいなと思います。

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僕が初めてヨーロッパの地を踏んでから足掛け約10年。
今回フランスでマティスの礼拝堂に行けたことで、ヨーロッパの行きたい場所はほぼ制覇してしまいました。
個人的には、そろそろもうヨーロッパではなく他の地域にも行きたいし、いよいよ自分の国に根を下ろして自身のやりたいことを着実にやっていきたいなぁという気持ちもあります。
10年という歳月はほとんど実感がないですが、それまでに築いてきた様々な国に住む友人知人のことを思うと、自分なりに歩んできたんやなぁと感慨深いです。
この経験を生かして、しばらくまた日本で頑張ります。(と言いながらまたどっか行ったりして)
来年のテート・ブリテンのホワイトリードとかめっちゃ観たいけど、我慢我慢。

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Makoto Ofune "Particules en Symphonie" @ Saint-Merry

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Makoto Ofune "Particules en Symphonie"
Saint-Merry (76 Rue de la Verrerie, 75004 Paris, France)
2016.07.12-09.03 月-土 9:00-18:00

Chapelle du Rosaire & Atelier Cézanne

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Chapelle du Rosaire
466 Avenue Henri Matisse, 06141 Vence, France
開館時間: 月・水・土 14h00~17h30 火・木 10h00~11h30と14h00~17h30
入場料: 3ユーロ。内部撮影不可。
ニースから400番のバスで約1時間。バス終点より徒歩約10分。バス時刻表


Atelier Cézanne
9, avenue Paul Cézanne- 13090 Aix-en-Provence, France
開館時間: 時期により異なる
入場料: 6ユーロ。内部撮影可。

Olafur Eliassonau @ Château de Versailles

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2016.06.07-10.30
Olafur Eliassonau @ Château de Versailles

Jungki Beak 'Revelation' @ Doosan Gallery New York

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ロンドン時代からの友人ジョンキの個展に行ってきました。こちら
というか、このNY旅行のきっかけは、彼がこの夏から半年間NYに滞在しているのが大きかった。
彼と出会ってもう10年近くなるけれど、戦友に近い思いがあります。
そんな彼のNYでの初個展。見逃さない手はありません。

それにしても韓国のアートに対するサポートはすごい。
今回彼が展示してるスペースは韓国企業がオーガナイズしていて、かの有名なPACE GALLERYの斜向かいという凄まじい立地にあって、さらに近くにはスタジオと住居まで用意されている。渡航費も支給され、立派なカタログも制作されていて、本当に手厚いサポートです。
日本もイセ食品がやってるのがあるけれど、レジデンスや住居までは用意されていません。
まあ、「隣の芝は青く見える」っていうのもあるけど、それにしても韓国はすごい。

展覧会はロンドン時代の懐かしいものから、最新作まで。
最新作のひび割れた粘土にワセリンが塗り込められてるのは面白かった。
この前に韓国でやってたのは、壁一面だったのでそっちを見てみたかったけれど。
また、ろうそくの火を電気に替えて、卵をあっためるインスタレーションも面白かった。
ちょっと儀式的すぎるところもあるけれど、彼の作品はどれもどこか笑えるところがあって好きです。
実際卵は展覧会後に孵化して、現在飼育中です笑

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ここからはチェルシーにあるギャラリー特集。
星の数ほどあるので厳選したギャラリーたち。もうどこも美術館クラスに広すぎて、本当に疲れた。
ロンドンでも空間凄かったけど、NYは桁外れです。やっぱすごいわ。

Roy Lichtenstein @ Gagosian Gallery

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今更リキテンスタインかよ、と思いつつ行ったらめちゃくちゃ良かった。
1987年12月に伝説のギャラリーレオ・カステリで開催された展覧会の再現。
当時の指示書そのままに壁画が完璧に再現されてて圧巻。めちゃくちゃでかいです。
というか、展覧会をそのまま再現するなんて、もはや商業ギャラリーの域を超えてますよね。。。
最近昔の伝説的な展覧会を再現するのが一つのトレンドではあるけれど、ギャラリーでやっちゃうのがすごい。
そしてどの作品も本当に素晴らしかった。あっぱれです。


Dan Flavin/Godon Matta-Clark/Wolfgang Tillmans/Isa Genzken @ David Zwirner

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もっとも頭がおかしかったのがこのギャラリー。
とにかくでかい。スペースいくつもある。やってる展覧会もいちいちおかしい。
もう本当に凄かった。

まずはダン・フレイヴィン。この旅では何度も観ていていい加減食傷気味ですが、展示すごすぎ。
仮設壁のレベルが半端なくて、壁ごと作品になってる。マジで美術館クラス。
上ではゴードン・マッタ=クラークのドローイング。初めて見るものばかりで興味深かった。
そして何と言ってもティルマンス。
こちらは1ストリート隔てた別の棟でやってるんだけど、このギャラリーに移籍して一発目の個展ということで気合入りまくり。
こないだまでやってた国立国際の展示はこの展示のためのプレって印象までしたほどの勢い。
こちらの方が国立国際より断然良い展示になってたし、やっぱり国立国際はマケットだったのかしら。
美術館をマケットとして使って、ギャラリーの展示を本番に据えるなんて中々考えられないけど、ここならありえる話。
展示の緊張感がものすごくて、とても刺激的でした。
そして隣のガレージみたいなところではイザ・ゲンツゲン。正直何が良いのかわからなかったし、途中道端で実際こんなの俺にでもできるぜと言わんばかりにマネキン使った匿名のインスタレーションとかあって、さすがNYですね。


Christian Marclay @ Paula Cooper Gallery

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ドローイングと映像インスタレーション。
ドローイング全然面白くないのに、インスタレーションが半端なく面白かった。
漫画の効果音がひたすら洪水のように登場してきて、いつまでも見ていられる作品。素晴らしい。


Sarah Sze @ Tanya Bonakdar Gallery

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相変わらずサラ・ジーワールド全開だけど、これに一点一点プライスリストつけてるギャラリーすごい。
どこまでが一点なんだって感じですが、ちゃんと表もあってびっくりです。
どうやって運ぶんでしょうか。。。


結局15前後回りましたが、本当に面白かったのはこれぐらいかな。
大御所で言えばPace GalleryのChack CloseやHauser & WirthのMike Kellyなんかもありましたが、どちらも微妙。
前者はもうクリエーションの陰りが半端なくて観ていて辛い気持ちに。
後者はもともと得意な作家じゃないんですよね。展示空間が桁外れにでかかったなぁ。。。
日本人ではFergus McCaffreyで野村仁と、Jane Lombardで金氏徹平がやってました。

以下は他に回ったギャラリーの備忘録。

Elias Sime @ James Cohan Gallery
michael krebber @ Greene Naftali
Josh Smith @ Luhring Augustine
Walter Swnnen @ Gladstone Gallery
La Monte Young Marian Zazeela Jung Hee Choi @ Dia: Chelsea
Robert Overby @ Andrew Kreps Gallery
Billy Childish @ Lehmann Maupin
Morgan Fisher @ Bortolami


最後にうんと北に上ってグッゲンハイム。
こちらでは現在ドリス・サルセドとアルベルト・ブッリが同時にやってます。
といっても、ブッリの展覧会が始まったのが9日で、サルセドの展示が終わるのが12日なので、かぶるのは4日のみ。この間を逃さないように狙いました。今回NYで美術館の展示としてはめぼしいのがこれのみ。MoMAやニューミュージアムもいいのやってれば言うことなしでしたが、まあコレクションで十分満足でした。

というわけでグッゲンハイム。こちらは二度目の来訪。
螺旋の展示回廊にはブッリ。その途中の部屋でサルセドという凄まじい構成で、二つの強烈な世界観を行き来するのは中々スイッチの切り替えが大変でしたね。
サルセドの展示は花のカーペットや机のインスタレーションなど広島で観たものもあったけれど、家具を組み合わせた彫刻や、シャツにボルトが貫いてる作品なんかは改めて痛々しく見入ってしまいました。
天井に屋根瓦(?)が貼り付けられてる作品は地味に大掛かりで衝撃でした。
それに対してブッリは今回ほぼ初見。
イタリアではフォンタナに並ぶぐらい有名ですが、日本ではそこまで知名度ないんじゃないかと。
そういう作家って結構いて、日本でも人気のある作家とそうじゃない作家の境目ってなんなのか不思議です。
アメリカで言えばチェンバレンやフランケンサーラ、スティルあたりがそうかもしれません。
スペインでいうタピエスのような立ち位置でしょうか。
画面の中で本当に色々なことをしていますが、鉄の作品と白亜の作品は見とれるほど美しかった。
麻の作品がブッリの代名詞っぽいですが(今回グッズのバッグになってた)、そちらはあまり。
でも全体を通してどういう作家なのかいまいち掴みきれませんでしたね。
しかしブッリをこれだけ通して見られるのは中々ないので、観れて良かった。
それにしても河原温の展示もやっぱりみたかったなぁ。。。
サルセドの展示は終わってしまいましたが、ブッリの展示は1月6日まで。こちら

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Donald Judd's Home and Studio

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NYにカムバックしてもジャッドです。
ってことで彼のNYでのアトリエ兼住居に行ってきました。
ソーホーにあるビルをまるまる使っちゃってます。
ここも予約のみ。こちらから。
2013年の開館以来予約が殺到。開館当時は半年先まで予約で埋まっちゃったとか。今はそんなことはないものの一ヶ月先ぐらいまでは普通に埋まってます。

予約した時間にビルの一階に集合。ここは予約なしで誰でも入れます。
ツアーは2階から。
2階はダイニング。家具にも強いこだわりが目に見えます。
キッチンの食器棚や机も全部ジャッドのデザイン。かっこよかった。
子供のためにパペットショーをやるための空間が階段下にあって、意外に子煩悩だったのがわかります。
3階はアトリエ。
アトリエには美術家というより建築家のような製図道具がたくさん。
チナティの実物大マケットなんかも置いてて、この大きさのアルミ板どうやっていれたのかしらと。
製作に疲れたらそのまま床で寝れるような枕もあったけどミニマルすぎた。
家具はアールトやリートフェルトなんかがありましたね。
4階はゲストルーム(?)
ステラのでっかい絵が壁にかかってて衝撃。
5階は子供部屋と寝室。この寝室がすごすぎた。。。
壁一面にフレイヴィンの蛍光灯の作品が走ってて、この眩しさでどうやって寝んねんと。。。やっぱ寝るときは消してたのかしら笑
チェンバレンのでっかい彫刻もかかっててすごかった。
ジャッドの初期のまだミニマルになりきれてない作品もかかってて興味深かったです。
こうして1時間半のツアー終了。
生活の隅々までこだわりぬいた彼の生涯が垣間見れました。

ちなみにソーホーには、デ・マリアの作品がディア財団によって恒久設置されたスペースが二つあります。
ひとつは141 Wooster Streetにある「The New York Earth Room」。
ビルの一室が土で埋もれてます笑
1977年の発表以来ここにあるらしい。。。
もうひとつは393 W Broadwayにある「The Broken Kilometer」。
金色のポールが縦にずらーっと並べられてます。壮観。
こちらも1979年以来ずっとここにあるみたい。
デ・マリアといえばニューメキシコにある「Litning Field」。
一瞬チナティのついでに観に行こうかと思ったけど、ついでに観に行ける距離じゃないし、そもそも砂漠にポールが立ってる光景をそこまでして観に行くべきなのかと自問した末諦めました。。。
この時期のデ・マリアってディアの弱みでも握ってたのかと疑うぐらい恒久設置が続きます。
ニューメキシコはあれとして、ソーホーのこのふたつは観光ついでに観てもいいかも。
それぞれ水から日曜まで12時から18時まで無料で開放中です。

The Chinati Foundation

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ヒューストンから10時間以上車で飛ばすという暴挙を経てテキサスの西にあるMarfaへ。
この旅完全にアメリカのスケールを舐めてました。
同じ州やったらパッといけると思ってたのが甘かった。甘すぎた。
昼の2時に出て着いたの夜中の0時半。
途中の道は真っ暗で、いつ横道から獣たちが飛び出してくるかヒヤヒヤの運転でした。
(実際道の途中は動物たちの無残な死骸たちが。。。)
無事にたどり着けるか不安すぎて、当日はホテルを取らずに出発。
なんとかMarfaにあるRiata Innというモーテルに泊まれました。
とはいえ行った時にはスタッフが寝てて、何度ベルを鳴らしたことか。。。
ちなみに普通はニューメキシコ州にあるエルパソ空港かミッドランド空港から来るみたいです。それでも4時間ほどのドライブが必要ですが。

そんな思いをしてまで行ってきたのがチナティ財団です。
ここは元空軍基地で、ドナルド・ジャッドがディア財団に働きかけて、そこを買い取り美術館にしてしまったという恐ろしい場所。
いつか行ってみたいと思ってはいたものの、この立地の過酷さにたじろぎっぱなしでしたが、もうこの勢いで行ってきたわけです。案ずるより産むがやすし。全然やすしではなかったですが。。。

こんな立地にもかかわらず事前に予約を取らなければなりません。こちら
フルコレクションツアーとセレクトツアーがあり、前者はなんと6時間。後者は2時間です。
僕らは時間がなかったので後者で。
11時にビジターセンター前から出発。
まずはジャッド棟。
ここには彼のアルミの作品が100個、2棟に分かれて展示されています。
入った瞬間に、こんな辺鄙すぎる場所をなぜ作品の展示場所として選んだのか理解できました。
あまりに美しい光景。
マーファの強い光と砂漠の借景。
それらを映し反射させる、ジャッドのアルミの彫刻群。
完璧。
Perfect Momentがしっかりこの空間に定着していました。
それらの周囲を歩き回りながら、その完璧さに涙が溢れて仕方なかったです。
もう胸がいっぱいすぎて苦しかった。
こういう経験は、豊島美術館以来かもしれません。
死ぬ思いをしてまで来て本当によかった。
もうこんなところ二度と来ない!と思ってたのに、死ぬまでに絶対再訪したい場所になってしまった。
本当に本当に素晴らしい体験でした。

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続いてフレイヴィン棟。
こちらは6棟にまたがっています。
ジャッドで胸いっぱいになりすぎていたので、もうフレイヴィンは。。。と思ってたけどこっちも凄すぎた。
6棟はそれぞれコの字型になっていて、左右のドアから入ることができます。
左右のウイングをつなぐ部分に彼の蛍光灯が輝いてるんですが、これはもう見てもらうほかないですね。説明不可能。。。すごい体験でした。フレイヴィンの作品であそこまで感動したのは初めて。
このプランをジャッドとフレイヴィンが実現させようと、ファンドを集め始めた当初は全く集まらず、実現が不可能と思われましたが、皮肉にも、二人の死後、ぜひ実現しようという動きが活性化し、結果的に2000年に完成と相成りました。
ミニマリズム。完全にマキシマミズム。。。
それにしても蛍光灯の光があんな色になるなんて。


外にはコンクリートのジャッドの作品。これらは予約なしでも無料で見られます。
途中インパラ(?)やウサギに出くわしました。。。

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ツアーはその後、なんと町中へ。車で現地集合というあたりがアメリカっぽい。
そこにはジョン・チェンバレン棟があります。こちらも広すぎ。
ただ正直ジャッドとフレイヴィンに感動しすぎてこちらはあまり感動に至りませんでした。
ビジターセンターにあった彼の作品が一番好きだったかも。

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そんなこんなで2時間強のツアー終了。
これでマーファは終了、とはならず、ここまで来たら見に行くべきはエルムグリーン&ドラッグセットによるPRADA MARFA。
チナティからさらに車で30分ほど西に走ったバレンタインという場所にそれはあります。
シュールすぎて大笑いしました。。。
これをよくプラダが許したなと感心しました。

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ということで過酷なマーファ体験終了。
しかし行って本当に本当によかった。一生忘れません。
このアメリカの旅もようやく山を越えた感じ。

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Rothko Chapel & Mark Rothko: A Retrospective @ The Museum of Fine Art, Houston

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NYから飛行機で4時間。テキサスまで来ました。確実に旅のコースがおかしい。。。
国内だからとなめてましたが4時間って!日本からだと北京ぐらいまで行けちゃいますね。
国内で時差もあるのがアメリカ。NYより一時間遅いです。

ダラスの空港からレンタカーを借りて4時間の旅。目的地はヒューストン。NASAの街。
この街の目的はまずヒューストン美術館。
この美術館には常設でタレルが展示されていたりします。

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しかし今回のお目当はなんといってもロスコの回顧展。
初期のシュールレアリズム時代の絵画から、遺作ではなかろうかという、彼の死の数ヶ月以内に描かれたものまでが一同に並べられています。
これらほとんどの作品がワシントンナショナルギャラリーからのもので、現在建物が改装中なので、こうした数の作品が借りられたんでしょうね。この春MIHOで開催されたニューマンもその一環。どんだけもってんねん。いつか行ってみたい美術館です。
回顧展の目玉は、なんといってもシーグラムビル内のレストランのために描いた連作のスケッチ。
スケッチといっても、実作のほぼ同サイズで描かれていて、ここまで下準備をするのかと驚きました。
現在これらの連作は、レストランにそぐわないというロスコの意向で、テートにすべて寄贈されることになるも、当時のテートにはそれらの作品すべてを受け入れる余裕がなく、そのうち数点を所蔵することになりました。それが現在のロスコルームに展示されているものです。
そして残りの一部をなんと日本の川村記念美術館が買い上げ、それもロスコルームとして展示。
さらに残りの一部が同じくヒューストンにあるロスコチャペルに展示されています。
ということで念願のロスコチャペルにも足を伸ばしました。

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もうずっと行きたかった場所でした。
美術館から車で10分もかからない、閑静な住宅街の中にある平和な一角。
公園にはリスが戯れ、人工池にはニューマンの彫刻が鎮座しています。
中に入るとそこは静寂の空間。
8角形の空間の壁に掛けられた超巨大絵画たち。
ここまで要素が少なくなるのかと驚くほどの画面の情報量の少なさに対して、発せられるエネルギーはすごかった。
近年テートのロスコ作品が破損され、それの修復に当たったチームが、画面に載せた絵の具のレイヤーの複雑さに感嘆したと言っていたけれど、そこまでのレイヤーを重ねて生まれるシンプリシティー。
この空間には、あらゆる宗教の聖典が並べられていて、どんな宗教も迎え入れます。

ちなみにお隣には、ロスコの収集家でもあったメニル夫妻のコレクションを展示しているメニル・コレクションもありますが、残念ながら月火休みでその日は火曜日。
なんでもフィラデルフィア美術館同様サイ・トゥンブリーギャラリーもあるらしい。
あとメニルコレクションの展覧会の一環で、近くの教会でカーディフ&ミラーの展示もあったみたい。
まあ、もうロスコでお腹いっぱいになったので満足です。
ロスコ展は来年1月24日まで。こちら

Philadelphia Museum of Art

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NYからバスで2時間でフィラデルフィアへ。
案外近くてバスも片道10$とかなので日帰りで行けます。こちら
そしてここには全米有数の規模を誇るフィラデルフィア美術館があるのです。

それにしてもでかかった。。。全然見切れません。
しかしコレクションがすごすぎて、絶対行った方がいい美術館。
行った時は「神々の怒り」という企画展がやってて、ミケランジェロやティッツィアーノ、ルーベンスなんかの絵画や素描が普通に展示されてて衝撃。
コレクションも、セザンヌの晩作からミニマリズムまでマスターピースの連続。
中でもサイ・トゥンブリーの部屋は圧巻。
もう入った途端に息がつまるぐらいのエネルギー。
実際はそこまで大きくない部屋なのに、巨大な空間を想起させます。
あれだけ不安定な画面なのに、これ以上手を加えてしまうと崩れてしまうという完璧さ。
改めて彼の絵画のすごさを感じました。

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そしてなんといってもここに来た最大の理由はデュシャン。
彼の代表作といえる「階段を降りる裸婦」、「大ガラス」そして「遺作」見られます。
レプリカでもって世界各地に存在してるデュシャンですが、「オリジナル」はここだけ。
「大ガラス」は、搬入時に割れて破損したことによって、皮肉にも「オリジナル」と化してしまいました
デュシャンの意図とは相反するその「オリジナル」な存在はすごかった。
後ろにサインも見て取れて、本当に幸せの極み。
さらに「遺作」はなんといってもここでしか見られません。
彼の死の直前に内密に展示されたこの作品。しっかり覗いてきました。
改めて実物を見ても謎しか残らない作品。
とにかくこの二つを見に来るだけでもフィラデルフィアに来る価値は大いにあるでしょう。こちら
ちなみに第一日曜日と水曜の5時以降は寄付制で好きな値段が払えます。

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MoMA & Dia:Beacon

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NYに来て約1週間が過ぎました。目まぐるしすぎてもっといる感覚。。。
ひとまず2つの美術館報告。

まずは今更僕が書くまでもないですが、MoMAです。
こんだけ見といてMoMAに行ったことがなかったのかと。そうなんです。初MoMA。
前回NYを訪れたのは2004年の夏。なんと改装中だったのです。
その年の11月、谷口吉生の設計でリニューアルオープンしました。
建物は驚くほどのファサードレス建築。特徴というべきものは外からは見当たりません。
しかしそこは谷口吉生。
中に入って実際展示を見ていくと、見事と言うほかない動線の完璧さ。
広い展示室もストレスなく回ることができます。
それにしてもやはりMoMAはすごかった。。。あのコレクションは一体。。。
当然のようにポロックやマティス、ピカソの代表作が目白押し。
今回は特に面白い企画展もやってなかったけれど、コレクションだけでお腹いっぱい。
デザインのコレクションもゲームやロゴなどが展示されてるのが新鮮。榮久庵憲司の醤油入れもありました。
やっぱりMoMAはすごかった!
ということで写真をひたすらドロップ。

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お次はDia:Beacon。こちらも今更ですが初めてです。前回はその存在すら知らなかった。。。
NYから一時間半ほど電車で行ったBeaconというところにその美術館はあります。
デ・マリアのライトニングフィールドや、タレルのローデンクレーター、スミッソンのスパイラル・ジャッティなど、常軌を逸したプロジェクトたちをサポートしてるのがこの美術館の主、ディア財団です。
そんな財団が保持しているコレクションを展示してるのが、元ナビスコの工場だった超巨大空間。
作品も巨大すぎるものが多く、規模が違いすぎます。これで入場料12$は安い。
ってことでこっちもひたすら写真をドロップします。一部撮影不可。
展示作品はミニマルなものが多いですが、写真撮ってると、その素っ気なさに対して、さあ、この角度で撮ってくれとばかりに作品が見られることを欲してるのがわかります。
マイケル・フリードがその著書「Absorption and Theatricality(没入と演劇性)」でのミニマリズム批判の演劇性というのがここに来るとすごくわかるかも。
ということで写真撮りまくってしまいました。。。

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Anish Kapoor @ Chateau de Versailles

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ヴェルサイユで開催中のカプーア展に行ってまいりました!
昨年末に発表された時はそりゃもう興奮しました。
2008年のジェフ・クーンズから始まり、村上隆やジュゼッペ・ペノーネ、李禹煥等すでに恒例化してますね。
いつからか宮殿内での展示はなくなり、公園のみとなりましたが、入場無料であの長い行列と観光客の波に飲まれずに済むと思うと、宮殿自体に興味はないアートクラスタと宮殿のみに興味のある観光客との棲み分けは正解と言えるかもしれません。
とはいえ公園広すぎ。
そして、僕が行ったこの日のパリは30度を超える暑さ。
日本ほどの湿気がないのが救いですが、それでも死にました。
作品ひとつひとつはやはり素晴らしいんですが、こうも広いと集中できない。
その上この暑さで正直鑑賞体験としては劣悪でした。
しかも見たかった「Descension」は調整中で観られず!
まあ、そのショックを通り過ぎるぐらいの熱波が逆に救いでした。
先日落書きされた「Dirty Corner」は、どうもしっくりこず。
反射の作品はさすがでしたが、多分最も成功してたのは、「Sectional Body preparing for Monadic Singularity」という長いタイトルの膜の作品。公園内に彼自身の空間を作り出していたということでよかったですね。やはり彼の作品は空間とのシンクロニシティが個人的には見所なので、空間と呼ぶには広大すぎるこの公園ではあまりいい効果は得られてなかったように思えます。
あと、宮殿から少し離れたSalle du Jeu de Paumeという場所にも「Shooting into the Corner」が展示されてます。打つ瞬間は観られませんでしたが。これも場所との関連がいまいちリンクしてなかった感があってちょっと残念でした。
個人的に期待は満たされませんでしたが、パリに来られる方は是非。11月1日まで。

他にもポンピドゥーのモナ・ハトゥムとか観ようかと思ってたけど、時間がなかったのでパス。
友人の展示を観てパリを後にしました。
ということで、今年最後の欧州行脚終了です!

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ARK NOVA by Anish Kapoor x 磯崎新
Anish Kapoor @ Leeum
Anish Kapoor @ Royal Academy of Arts
Anish Kapoor @ Lisson Gallery

Imi Konoebel 'Kernstücke' @ Kunstmuseen Krefeld

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ドイツはクレフェルドにミースが手がけた邸宅が二件並んで建ってて、しかも今は美術館になってるということで、前から行ってみたいと思いつつようやく行って来れました。
クレフェルド駅からバス54番で10分程行ったところにあります。(Haus Lange下車)
現在ランゲ邸ではDavid Reed展、エスタース邸ではImi Knoebel展が開催中。
せっかく美術館なのでおもしろそうな企画の時にと狙ってて、今回のクネーベル展がドンピシャ。
そして、もうこの展覧会が素晴らしすぎた。
正直ドローイングちょろっと飾ってるぐらいかと思ってたし、まあ、ミースの建築も観られていいやぐらいの気持ちで行った僕が馬鹿でした。本当に本当に素晴らしい展覧会だった。
ミースの建築と見事なまでの共演。
元々クネーベルの作品はミース建築と合うだろうとは思ってたけどここまでとは。
クネーベルのミースへの尊敬、でも媚びることなく貫き通す彼のスタイルとが言葉に尽くせないほどの感動を生む空間を生み出してました。
特に、白い壁に白いペンキの矩形を描いた部屋は息もできないほどのすばらしさ。
開かれた窓から差し込む光と風。建築が呼吸してるみたいだった。
もうそこから数分間動けないほど感動しました。
過去作から新作まで、なんの無理もなく建築に溶け込んでて本当に美しかった。
展覧会は8月23日まで。こちら
もう一つのランゲ邸の方の展示は正直ひどかったです。。。

それにしても最近クネーベル人気がすごい。
去年もヴォルフスブルグ美術館で大きな回顧展があったばかりなのに、今現在デュッセルドルフにあるK21もマレービッチとクネーベルに関する展覧会を開催中らしい。こっちも時間あったら是非行きたかったのだけど断念。きっと素晴らしいことになってるはず。この夏ドイツにいる方は是非クレフェルドとデュッセルドルフ梯子することをお勧めします。建築ファンもアートファンもどちらも満足できるはずです。デュッセルドルフの方は8月30日まで。こちら

William Kentridge @ Museum Haus Konstruktiv

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チューリッヒのHaus Konstruktivで開催中のケントリッジの個展。
昨年京都で観た時あまり入り込めなかったので、正直あまり期待せず来訪。
展示の内容も、数年前に彼が舞台美術を手がけたNYメトロポリタンオペラのゴーゴリ原作「鼻」に関するもので、なんや新作ちゃうんかぁと内容からもテンション低め。
まず入ったらマルチスクリーンによる映像インスタレーションでいつもの感じ。
しばらく見て上の階へ。こっからテンションがめっちゃ上がりました。
この「鼻」の映像のために作られた、ドローイングや彫刻などが資料のように展示されてるのだけど、改めて彼の造形センスに舌を巻きました。
特にブロンズで作られた彫刻は素晴らしかった。
ブロンズって素材自体があまり好きじゃないんだけど、彼の生み出す造形との一体感が素晴らしい。
平面も、タペストリーのようなものからシンプルなものまでどれも素晴らしかった。
ベタな素材でも造形によってここまで魅せられるのは、加藤泉さんの仕事に近いなと思います。
彼もキャンバスに油彩とか木彫とか、昔からある超ベタな手法にも関わらず、あの卓越した造形センスで、マテリアルや手法を超越した「それそのもの」にしてしまう、力技とも言えるやり方で観客を魅了してしまう。
逆に、観てませんがこないだまで横浜美術館でやってた石田尚志さんは、この造形の部分に違和感がものすごく個人的にはあって、彼のあの抽象「っぽさ」が、何か誤魔化されてる感じがするんですよね。引き合いに出して申し訳ないけど正直な感想。
それにしても、そもそも「鼻」という主題は、ゴーゴリの原作の上の言わば二次創作であるにも関わらず、ここまで自分のものにしてしまうのがすごい。そして彼を美術監督に任命したNYメトロポリタンはすごい。オペラも観てみたくなってしまいました。
なにはともあれ、改めてケントリッジすごい作家だなぁと思わされた展覧会。9月6日まで。

ART BASEL 2015

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2007年以来のアートバーゼル。
前回はゆっくり見すぎてタイムアウトでしたが、今回はサラッと流して3時間で観れた!
基本UNLIMITEDを中心に。

Julius von Bismarck from Marlborough 回ってました。。。
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Ai Weiwei from Continua 自転車。
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Sturtevant from Thaddeus Ropac トレスと思ってたら「Gonzalez-Torres Untitled (Blue Placebo)」というタイトルの作品だった。。。
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Olafur Eliasson from Tanya Bonakdar
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Roman Ondák from kurimanzutto
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Martin Boyce from The Modern Institute, Eva Presenhuber
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Bruce Nauman from Konrad Ficher ナウマン自身がひたすらFür Kinderと繰り返してるサウンドピース。物質はゼロ。
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Jeppe Hein from 303 Gallery, König, Nicolai Wallner ゆっくり回る巨大L字鏡。
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Pierre Huyghe from Hauser & Wirth エコサイクルシステム。中にカニとかいました。
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Martin Creed from Gavin Brown, Hauser & Wirth いろんな「歩く」人々。
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Kader Attia from Continua 先日ローザンヌの州立美術館で彼の大きな展覧会を観たところ。カタログに載ってた「Arab Spring」という作品が気になってて調べたら、フランスのギャラリーで発表されてて、そしたら今回そのギャラリーからまさにその作品がこのUNLIMITEDに出品されてた。このContinuaというギャラリーはイタリア、フランス、中国に馬鹿でかい空間を持ってるみたいで、今もイタリアではカプーア・クネリス・ピストレットという超豪華な展覧会が開催中。アイウェイウェイも祖国中国で初の個展が開催中とのこと。前述の自転車もこのギャラリーから。この作品はタイトル通り、「アラブの春」の時にエジプト美術館が破壊されているのを観て蝕発されて作ったらしい。今回も内覧会の時に、ガラスケースを割るパフォーマンスが繰り広げられたそうな。
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UNLIMITEDでは結構観たかった作品がいくつか観れて満足でした。
ブースの方はほぼ流し見。メモもとってないのでとりあえず写真だけ流します。

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Berlinde De Bruyckere 'The Embalmer' @ Kunsthaus Bregenz

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制作で心身ともにボロボロなので、ここで一旦中休み、というか、スイスのリサーチとネットワーク作りも兼ねてスイスを回ってきました。(ブレゲンツはオーストリアですが)
ベルン→ブレゲンツ→アッペンツェル→サンクト・ガレン→チューリッヒ→バーゼル。
ベルンではクンストミュージアムクンストハレへ。
ミュージアムではホスラーの部屋があって最高でした。回顧展でたっぷり観たい。

ブレゲンツは先週から始まったベーリンデ・デ・ブルーケアの展覧会へ。(上写真)
一昨年のヴェニスビエンナーレのベルギー館でも展示されてたけれど、あまり場所との相性がよくなかったように思えたので、改めて。
名前は相変わらず覚えにくいですが、作品は一度見たら忘れられない強烈さ。こないだポルトで観たモニカ・ソスノフスカのようですね。こちらも女性。さらに同じHauser&Wirthの作家。
タイトルの「The Embalmer」とは死体を防腐する人の意。タイトルも強烈です。
どこからどうみても生々しいんだけれど、一切無臭なのがまさにこのタイトル通り。
こないだまでゲントでもやってたみたいで、そっちはもっと標本っぽく展示しててそれもそれで良さそう。
2度目のブレゲンツ美術館。相変わらずの神々しさでした。この展示は7月5日まで。こちら
ちなみにブレゲンツから30分ほどのオーストリアの街ドルンビルンの美術館でも彼女の展示が同時開催されております。時間がなくて行けなかったけど。こちら

アッペンツェルは次の投稿に回して、サンクト・ガレンではクンストハレでやってるバーゼル出身の若手フロリアン・グラフの展覧会。
ドイツ語の解説しかないからとのことで割引してくれた。優しい。
結構期待してたのだけどあまりよくなかった。うーん。

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チューリッヒではギャラリーを回り狂いました。死んだ。以下回ったギャラリー。
Rotwand
Chritinger De Mayo
Herman German
Barbara Seiler
annex14
Galerie Peter Kilchmann
Galerie Eva Presenhuber
Raeber von Stenglin
Grieder Contemporary
Bolte Lang
Galerie Gregor Staiger
Galerie Francesca Pia
Parkett
Gallery Mark Müller
Hauser&Wirthの入ってるコップレックスは前にも行ったことあるのでパス。
やはりチューリッヒは凄まじい数のギャラリー群。こちら。個人的に駅の西側にいいギャラリーが多い印象。
昔はゼーマンもいたし、伝説の「When Attitudes Become Form」やクリストの初期の梱包プロジェクトもやったりで、なんといってもベルンがスイスのアートシーンの中心だったようですが、冷戦以降は一気にチューリッヒに移っちゃったみたい。やはり経済の街で華やかですね。普段田舎暮らしなので身に沁みました。


そしてバーゼル。
現在二人のターナー賞作家の展覧会が開催中。
クンストハレでは2008年の受賞者のマーク・レッキー展、現代美術館では2011年の受賞者マーティン・ボイス展。
サイモン・スターリングやサイモン・フジワラ、ライアン・ガンダー等の最近のイギリス美術は、過去の作品や物からリサーチしたり参照したり引用したりしてくるタイプの作家が多い印象。特にマーク・レッキーの展示は文明に対する感覚が展覧会から伝わってきて興味深かったです。マーティン・ボイスはモダニズムを主に参照項にしている様子。
また、クンストハレでは、ベルギーの作家Vincent Meessenの展示もやっててこれも面白かった。
マーク・レッキー展は5月31日まで。マーティン・ボイス展は8月16日まで。現代美術館はヨーゼフ・ボイスもやってて、ダブルボイスでややこしい。綴りちゃうけど。

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ギャラリーはStampablazer art projectsVon Barthaの3つだけ。やはりチューリッヒが異常。スイス内の分布としては、チューリッヒ>>>>>ジュネーブ>バーゼルぐらいかな。
この日は、たまたまオスロナイトというイベントがあって、行ってきました。この辺はバーゼルのアートシーンの中心となりつつある場所ですね。
現在レジデンスで滞在中の田村友一郎さんにもお会いできてよかったです。

しかしバーゼルで個人的に最もアツい場所は民俗博物館
現在建て替え中のバーゼル美術館から、クラナッハやホルベイン等の絵が展示されてるというので行ってみたけど、一室のみでかなり拍子抜け。とはいえクラナッハの有名な「パリスの審判」があったり、なんといってもホルベインの「墓の中の死せるキリスト」が観れたのは嬉しかった。確かドストエフスキーの「白痴」にも出てきた絵で、長椅子に座りながらしばらく見惚れていました。
しかし、なんといってもこの博物館のすごいのはコレクションを生かした企画展。
前回の袈裟展もすごかったけど、今回のテーマはなんと「阿片」。
そして展示が毎度のことながら天才的。下手に現代美術の展示観るよりここに来た方がよっぽど展示の勉強になる。バーゼル来たら寄ってみて損はないです。

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On Kawara '1966' @ Museum Dhondt-Dhaenens

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昨年その生涯を閉じた河原温。
彼の業績を讃えるようにNYのグッゲンハイムで現在展覧会が開催中です。こちら
こういう大規模な展覧会は大体3,4年前から準備されてるものですが、まるで死期を悟っていたかのように、彼の死後から1年も明けないままスタートするなんて。
それにしても、あの螺旋の展示廊下がこれほどフィットする展覧会が今まであったでしょうか。
まるでこの展覧会をするためにライトがデザインしたような気すらします。
きっとあの建物で開催された展覧会の中でベストな展示なのは間違いない。
それを象徴するように「Silence」と題された最後には渦巻きのマークが。
螺旋を登りながら時を駆け、また下りながら時を遡る。
きっとすごい観覧体験が待っているんでしょう。
豊田市美術館の学芸員の能勢さんのリポートを読むだけでヤバい。
(ちなみに昔豊田市美術館で開催された「意識、瞑想、丘の上の目撃者」という河原温の個展は僕のアート観覧歴の中でもかなり上位に入る素晴らしい展示でした。)
行きたい…でもさすがにNYまでは行けない…そんな悔しい思いをしていたら、ベルギーでも彼の展覧会をするという情報が!これは行かずにはいられません。

この情報をもたらしてくれたのは、ベルギー在住の作家奥村雄樹さん
奥村さんは以前、山辺冷のペンネームで河原さんに関するテキストも書いていたり、なんとそれが縁で河原さん本人にお会いしていたりと中々稀有な作家さん。(河原さんは姿を現さないことで知られています。念のため。)
また、先日グッゲンハイムの河原温展に合わせて、Twitter上に現れた@On_Kawaraの正体であるPall Thayer氏とのインタビュー作品を発表したりと、河原さんと関わりの深い作家と言えるでしょう。
豊田市美術館で開催された「反重力」展でもその繋がりを感じました。
奥村さんはもちろん作家として知っていましたし、このブログでも感想書いたりもしていたし(「善兵衛の目玉(宇宙編)」「風桶展」等)、普段からTwitterでもフォローさせていただいていたので、一度お会いしてみたいなとは思っていました。
で、この機会に会ってみようということで、普段コミュ症の僕が勇気を振り絞ってお声かけしたら、ぜひ会いましょうと言ってくださったのです。
実際お会いできただけでなく、ベルギー滞在中はお世話になりっぱなしでした。
さらにはその前日に作品を見たばかりのスーチャンが車で一緒に行っていただけるとのこと!
というわけで、僕と奥村さん、スーチャン、そして昨夜オペレーションに参加していた一人の四人でゲントの郊外にある美術館へ道がわかりにくすぎて迷いまくりましたがなんとか到着。ついに河原温展にご対面です。っていつもながら前置きが長いですね、はい。

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タイトルの通り1966年、つまり河原さんがデートペインティングを始めた年に描かれた作品のみを集めたとっても贅沢な展覧会でした。
よくもこれだけグッゲンハイムに持って行かれずに集まったもんやなぁと。
そして展示はまさに息を飲む美しさ。来て良かった。。。
ほとんどの作品が自然光のみで照らされていて、とても穏やか。
この日は展覧会初日でオープニングも朝からあったみたいなのだけど、僕らが着いた時には終わっていて、でもそのおかげで静寂に包まれて見ることができました。やはり彼の作品は静寂の中で観てこそ語りかけられるものがある気がします。
その後皆でレストランに行き、彼の作品のこと、展覧会について語らいあいました。
僕と奥村さんが、彼の作品をprogrammeという言葉で表そうとしたら女性陣から大ヒンシュク笑
でもやっぱり彼は1966年に自分の人生をプログラムに乗せたと僕は言いたい。しかしそのプログラムに乗り切れないはみ出た部分(毎日は描かない、手書きのフォント、等)に、ヒューマニティがより一層コントラストとして浮かび上がってる気がする。
また話の中で、彼の誕生日の話になり、彼の誕生日には1933年1月2日説と1932年12月24日説があるっていうのも非常に興味深いファクターだと思った。
人生が終わる日は決定可能/不可能の間を行き来している。
自分で終わらせること(自殺)だってできるし、病気で死ぬことも交通事故に遭うことも自由。でも生まれる日は絶対的に決定不可能。にも関わらず、河原さんにはその始原の日の可能性が開かれているって、やはりこの作品を作っている作家の特異性を感じずにはいられない。
そして、この展覧会初日が3月29日っていうのも重要なんだと僕は思う。なぜならこの日はヨーロッパがサマータイムに移行する日だから。サマータイムって時間が文字通り歪んで別の世界に接木される感覚があるんだけれど、河原さんの作品観ていても、別の時間(この展覧会だと1966年)と今現在(2015年)が接木される感覚がある。
書かれた当時が圧倒的存在感で現在してる様。
初日が日曜ってのはやはり不自然だし、関連あると思うし、なんとなくこの日に来たかった。
時間のねじれは特に同じ日のデートペインティングが2枚ある時に異常な渦を巻いてこちらに現れてくる。
時間はどことなくまっすぐ矢のように進むイメージがあるけれど、河原さんの作品を見ていると改めて時間の偏在性を想う。
色々思念を馳せながら、時には空っぽになりながら、時間たちと向き合える本当に豊かな展覧会でした。
これが旅路の果てで本当によかった。
この展覧会は6月14日まで。こちら

Suchan Kinoshita 'Operating Theatre' @ A.VE.NU.DE.JET.TE – Institut de Carton vzw

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オランダからベルギーへ。
実はアムステルダムが一部停電になり、近代美術館は見れなくなるわ、電車も止まって駅で5時間も待たされるは散々な目に。。。
なぜか国立博物館やゴッホ美術館はやってたので有名な「夜警」や「ミルクを注ぐ女」や「ひまわり」は観られましたが、本当はこのままドイツに向かうはずだったのに全部キャンセル。
ということでベルギーはブリュッセルです。

ブリュッセルでは色々ギャラリーも回りましたが最も印象に残ったのはスーチャン・キノシタの作品。
このスペースは知る人ぞ知るスペースなんじゃなかろうかという場所で、ブリュッセル在住の作家奥村雄樹さんがTwitterで感想をつぶやいてるのを見て発見しました。(奥村さんにはこのブリュッセル滞在で本当にお世話になりました。この話はまた後日)
この作品は毎日やってるわけではなく、この日たまたまやってたの観られて物凄くラッキーでした。
彼女はこの作品を「オペレーション」と呼んでいますが、最初会場で何が起こっているのかいまいち理解できませんでしたが、わかるにつれて様々な問題を孕んでることに気づきました。
構造としては、ガラスが三層棚のように重ねられた装置があって、3人(人数は変動)のパフォーマー(?)がそれぞれガラスの上に色んなものを置いたり重ねたり転がしたりと様々な行為が繰り広げられてて、それを真上から捉えたカメラの映像が同時上映で2階の展示室に投影されてる。
行為されてる場所と映像を同時に観ることはできなくて、観客はどちらかを観ることになるんですが、どこにフォーカスを当てるかによって、万華鏡のように作品の見え方が変わる。
ある時は装置が彫刻に見えるし、ある時はパフォーマンス、ある時は映像、そして一枚の絵画…。
あらゆるジャンルが全く無理なく同居していて軽々とそのボーダーを往来していく様はすごい。
カメラはオートフォーカスで、ボヤけたりピントがあったりと、まるでこの作品を見ている僕の頭の中のよう。
タイトルにはオペレーション=手術となっていて、確かに真上から見たその映像は外科手術に見えなくもなけれど、あまり具体的な例えはこの作品に勿体無い気がした。
あと、上演後スーチャンの話を聞いているとどうも彼女はこの作品を音楽とも結びつけているようで、三人に与えられたタイムスケジュール(どれほどの幅があるのかは不明)をスコア(楽譜)と呼んでいたりしていた。これもあまりよくわからなかったんだけど、すごいのが、この作品の上演時間は数時間に及び、僕が観た時は三時間もあり、行為に繰り返しがなく、観ていて全く飽きなかった。
6月までに2、3週に一度の頻度で上演されるようなので、ブリュッセル行く方は是非。こちら

Anne Teresa De Keermaeker 'Work/Travail/Arbeid' @ WIELS

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ROSASのアンヌによる「パフォーマンスとしての展覧会/展覧会としてパフォーマンス」。
会場は元ビール工場を改装したアートセンター。レジデンスなんかもやってるブリュッセルでは有名な施設。
会場には椅子もステージもなく、観客とパフォーマーが同一平面上にいて、時には触れるような距離でダンスや音楽が繰り広げられる。
以前発表した'Vortex Temporum'を解体して、開館中の間中ずっと上演されてる。
始まりも終わりもないので、観客はいつ入ってもいつ帰ってもいい。
ことごとく舞台の概念からは逸脱している。
試みとしては非常に興味深かったのだけど、このスタイルにいかんせん彼女のパフォーマンスが合ってなかったのは痛かった。
以前一度だけ彼らの演目'Rosas danst Rosas'を観たけれど、彼女のダンスは観客に緊張を強いるものだ感じたし、その圧倒的な邪悪とも言えるパワーが魅力なので、こういうゆるい場にはどうしても合わない。
例えばピナ・バウシュとかだったらもっと成功していたかも。
作品の良し悪しではなく、そのキャラクターの問題。
ということで少し残念だったのだけど、すごいのが土曜日の朝ということもあってなのか、ほとんどの観客が子供連れ!こんなガチでコンテンポラリーなダンスにまだ小学校にも上がってないような子供を連れてくるなんて発想日本ではあまり考えられないと思う。でもこっちは子供の趣味に親が付き合うだけじゃなくて、親の趣味に子供を付き合わせるのも自然だし、実際この子供たちはなんと、パフォーマーの動きに触発されてか一緒に踊っている!大人にはできない観賞方法で感心させられっぱなしでした。子供は子供、親は親という考えは勿体無いんだなぁと思いました。
この「展覧会」は5月17日まで。その後テートモダンに巡回の模様。
ちなみに4月に東京でもROSASの上演があります。
来日公演は2010年のあいちトリエンナーレ以来では。こちら

Anish Kapoor @ Gladstone Gallery
NYにもある大御所画廊。そしてカプーア。鏡面1点とワセリン2点の3点のみ。
Rineke Dijkstra @ Jan Mot
この人の作品久々に観た。今回は映像。相変わらずどぎまぎする少女の像。
ここはギャラリーコンプレックスで他にもGalerie Micheline SzwajcerGalerie Catherine Bastideが、奥のビルにはMon ChériJeanrochdardWaldburger Woutersも入ってて、ブリュッセル来て画廊観たかったらここですね。あとちょっと歩いてMotinternationalも小さいけどいい感じでした。
Johnnes Wald @ Galerie Greta Meert
やってる展覧会はともかく空間がでかくてかっこいいギャラリーでした。
ちょっと歩いたdèpendance、c-o-m-p-o-s-I-t-e、Aliceにも行ったけどどれもイマイチ。
それよかこの近くのマルジェラがかっこよすぎて久々にシビれた。。。
以上。
ブリュッセルギャラリー巡りにはこちらが便利。画廊行ったらマップ置いてます。

Monika Sosnowska 'Architectonisation' @ Fundação De Serralves

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「Balustrade(2015)」

今回ポルトガル行きを決めた最大の理由がこれ。
銀座エルメスでモニカ・ソスノフスカの展示があると聞いて、なんとなく調べたら見つけてしまった展覧会。しかも会場はポルトガルを代表する建築家アルバロ・シザの建築。
彼女の作品は2007年ヴェニス・ビエンナーレのポーランド館で観たのが強烈すぎて、この覚えにくい名前と裏腹に作品が脳裏に焼きついてたのです。
そしてポルトまで足を伸ばして本当によかった。。。
僕の中で彼女とRachel Whiteread、Doris Salcedoは美術三大女神です。どうでもいいね。
今回最も素晴らしかったのは、シザの空間とコラボレーションともいうべき完璧な調和を生み出してた点。
シザの建築ってこれまで正直あんまりわからなかったんだけど、今回の展示を観ていて、なんとジェントルな建築家なんだと思った。
実際この美術館はファサードレス建築と呼んでもいいぐらいファサードがない。
前記事のCasa da Músicaとは対照的。
外観はどこから撮っても絵になりません。
しかし一旦中に入って、作品が置かれてみると、凄まじい美しさ。
特に「Hole」の展示は素晴らしかった。
あと「Entrance」は最初どこに作品があるのかわからなかったけど、ドアを開いてやられた!ってなった。昔ドラえもんで、偽ドラえもんみたいなのが出てきて、デタラメな道具出してた中にどこまでもドアってのがあって、それを思い出した笑
これだけの規模のは日本では中々難しいかもしれないけれど、都現美の吹き抜けとかにどデカイのやって欲しいなぁと妄想しました。
展覧会は5月31日まで。ポルトも素晴らしい街なので機会があれば是非。こちら

「Façade (2013)」
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「Hole (2006)」
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「Market (2012-14)」
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「Antechamber (2011)」
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「Entrance (2003)」
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「Stairway (2003)」
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ポルトの街中でこんなの見つけて、ここでもやってんねや!と思ったら違った。

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さて、ポルトから移動してリスボンへ。
僕の中のシザの代表作のポルトガルパヴィリオン。
非現実な感じのコンクリートの屋根。これもセシルが関わってるはず。
この建物現在ほとんど使われてないのか、ところどころ朽ちかけてて残念。

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あと、カラトラヴァの駅。
なんかもう彼の建築に全く心動かされなくなってしまってた。残念。

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