キュレータートーク 蔵屋美香 @ 京都芸術センター講堂



本当は別の記事を用意してましたが先にこちらを。
金曜日に京都芸術センターで開催されたHAPS主催のトークがあまりに面白かったので。

このトークは「Can curatorial attitudes become form?」と題された、キュレーターを招いてトークしてもらうイベントの第七回で、過去には長谷川祐子さんや建畠晢さん、南條史生さんなど錚々たるメンバーがゲストとして来ています。(アーカイブはこちら
今回は東京国立近代美術館の蔵屋美香さんをゲストに招いてのトークです。
これまでは一人の作家を挙げて、キュレーターと作家との関係が語られてきましたが、今回は違いました。
タイトルが、「”アーティスト”という縦軸よりも、”一見関係さなそうな作品同士のつながり”という横軸に萌えるんですけど、こういうのってどうなんですかね」という長くてゆるいタイトルがついてました笑
これは、HAPSディレクターの遠藤水城さんとのメールのやり取りの中のテキストそのままタイトルになったそうで、要は一人の作家論では語れないということでした。
蔵屋さんは女子美術大学の油画専攻出身で、元々作り手だったそうです。
その後一度就職し、千葉大学の美術史の大学院を出て、今の東京近美に就職したんだとか。
彼女のキャリアの中で、元々作り手だったというのがすごく大きくて、おかげで作家のことを特別視しなくて済んだと彼女は言います。
今回の話も好きな作家で話すとなると、マンテーニャかセザンヌかマティスになってしまうし、いつも作家単体ではなく美術史的に縦軸横軸で俯瞰しているので、作家論は語れないということでこういうタイトルになってしまったとのこと。
こういう視点って、蔵屋さんが現代美術館じゃなくて、明治から現代まで扱う東京近美で働いてるのも大きいんでしょうね。

ざっくり前半は日本近代美術、後半は日本現代美術と分かれていました。
現代美術の話を聞きに来てくれた人にはつまらないかもしれませんが、と話し始めた前半のお話がとてつもなくスリリングなお話でとても興奮しました。
まずロラン・バルトの「作者の死」というテキストが挙げられます。
これは「物語の構造分析」という本の中に所収されてる文学についての短いエッセイですが、作品は完全に作者のものではなく、読者によっても作られるものだということが書かれています。
これはすべてのクリエーションに当てはまっているものだと思います。
つまり、作家は絶対じゃないということ。
次に、日本近代洋画の小出楢重の「裸女結髪」という作品の画像が挙げられます。
さらに続いてマティスの「髪結い」という作品、、、
あれ、どう見ても構図も画題もほぼ一緒!
他にも青木繁とNicolas Régnierの絵や、熊谷守一と、、、(熊谷さんに関しては今年末に開催される蔵屋さんキュレーションの展覧会のカタログに書かれるそうなのでここでは伏せます。にしてもすごい説だったなー)
つまり、作家のオリジナリティにはどこかに裏があるということ。
こんなこと言っちゃって大丈夫なのか?って思うような内容ですが、実はこうして類似作品と改めて比べ、さらにその中にある差異を探ることで、その作家が何をしたかったかが垣間見えてくるということを蔵屋さんは主張していました。
これまで、研究者は、他の畑のことは全く不介入で、まさか小出とマティスが繋がってるなんて夢にも考えていなかったとのこと。(このことは実際蔵屋さんが2011年に発見されるまで誰も見つけてこなかったそう)
それは作家を神格化することの功罪で、そこから零れ落ちてるものがあまりに多いと蔵屋さんは言います。
この態度にはものすごく共鳴しました。
これは決して粗探しや重箱の隅をつつくみたいなことではなくて、そこから見える世界があまりに広いということです。
実際2014年にポンピドゥーセンターで開催された、デュシャン展はそのことを強く証明した素晴らしい展覧会でしたし、イヴ=アラン・ボアの「ピカソとマチス」も同じ画題を描いてもこれだけ豊かな広がりがあるということを教えてくれています。
蔵屋さんは、こういう類似をいくつもいくつも発見していて、それはインターネットでいくつもの画像を簡単に検索できる時代にいるからこそと言います。
アンドレ・マルローやアビ・ヴァールブルクがやろうとしていた空想の美術館が、今やパソコンやスマホのネット環境によって展開されているのです。

続いて後半は現代美術。
前半は作家や作品同士の繋がり、つまり横軸だったのに関して、後半は時代のつながり、つまり縦軸について。
何と言っても蔵屋さんの最近の大きな仕事といえば、2013年に田中功起さんと組んだヴェニス・ビエンナーレ日本館
この企画の前にも同じタッグで取り組んだ案として、田中功起と高松次郎の作品を一緒に展示するという案があったそうですが、こちらは結果として落選しました。
その後改めて挑んだ時には2011年の震災のあとで、田中さんが以前からやっていた「協働」というテーマで取り組んだのがこのヴェニスのプロジェクトでした。
展示当初は、「協働」することの豊かさのようなものが国内はもとより、世界的にも確かにあったのが、展示期間中のわずか半年かそこらで世界の空気は変わってしまい、結局みんなで協力してたらいつまでたってもどこにもたどり着けず、むしろ一人の強力なリーダーがいた方がもっと潤滑に進むんじゃないの?という風になってしまったそうです。
日本館のメッセージも観客は「協働することの豊かさ」から「協働の限界」を見るようになってしまいました。
しかしこういう空気の流れは全く新しいものではなく、振り返ると1923年の関東大震災後にも起こっていたことに蔵屋さんは気がつきます。
そこで彼女がキュレーションしたのが「何かがおこってるⅡ:1923、1945、そして」という、東京近美のコレクションを使った常設展でした。
関東大震災以降、クリエーターたちも自分たちにもできることをといろんな取り組みを行ったそうですが、その後分裂し、1925年には治安維持法が施行され、1940年には東京オリンピック決定、そして戦争という流れ。
あれ?これってどこかで実際に体験してるような。そう、まさに3.11以降の流れとほぼ被ってるのです。
まあ、戦争になってしまうのかは別として世界の空気は今相当悪いです。
この「歴史は繰り返される」という真理の中から、今の作品の価値ももしかしたら透けて見えるのではないかと蔵屋さんは考えます。
美術館としては、作品をコレクションする時に、その作品が50年後、100年後にも価値を放っているのかということを考えなければなりません。
そこでヒントとなるのが歴史です。
東京近美が開館して60年強。その間に価値がほぼなくなって倉庫で眠ってる作品もあれば、改めて価値を見出される作品もあります。
未来はもちろん読めませんが、過去から類推していくことはかなり大きなヒントなのかもしれません。
また、コレクションに関して、最近赤瀬川原平の作品を収蔵した時の話が面白かったです。
これまで同じハイレッドセンターの中西夏之と高松次郎の作品は1970年代にはコレクションされていたのに、なぜか赤瀬川原平の作品がなかったそう。
しかし改めて彼の作品は日本の戦後美術史にとっては最重要な存在。
そこで彼の作品、例えば彼の印刷されたイラストのガリ版などをコレクションすると、これは一体どこの分類に属するのかを協議していかないといけない。
これは一体版画作品なのか、それともやはり印刷物なのか。
そうすると他のコレクションの位置も改めて再考していかなければならない。
こういう流動性がコレクションにはあるという話を最後にされていました。

あと、椹木野衣さんの「悪い場所」についても少し。
蔵屋さんは、日本は今や決して「悪い場所」じゃないと言います。
むしろ、前述の論考が発表された90年代当時から、「いい場所」なんて、マンハッタンのソーホーの2km圏内でしかなかったし、その時代時代で、ほとんどが「悪い場所」になってしまう。
それが今やアートシーンはそこまで局所化していなくて、世界のあちらこちらで優秀な作家が育っている。
「いい場所」「悪い場所」の二元論で簡単にくぎれる時代ではなくなってきているという話も出ました。

他にも色々お話されていたと思いますが、記憶とメモの限界はここまで。
また何か思い出したら追記するかも。
本当に面白いお話でした。

岡山芸術交流

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岡山芸術交流に行ってきました。
今や各地で開催されまくってる国際展に正直もう辟易してますが、この岡山の芸術祭は他と一線を画すものとして外せませんでした。
というのもアーティストディレクターがリアム・ギリックで、出品作家が「今」を代表する作家ばかり!所謂リレーショナルアートと言われる潮流の渦中の作家をこれだけ集中して観られる機会はそうありません。しかも国内で。
当日は晴れ。さすが「晴れの国」岡山。
以下作品の写真をざっくり。

Pierre Hyughe「Zoodram 4」
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Pierre Hyughe「Untitled (Human Mask)」
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Pierre Hyughe「Untitled」
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Rikrit Tiravanija「untitled 2016 (this is A/this is not A/this is both A and not-A/this is neither A nor not-A)」
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Ryan Gander「Because Editorial is Costly」
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Simon Fujiwara「Joanne」
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眞島竜男「281」
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荒木悠「WRONG REVISION」
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Jose Leon Carrillo「Place occupied by zero (Okayama PANTONE 072,178,3245)
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Liam Gillick「Development」
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Peter Fischli David Weiss「Untitled (Mobile)」
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まずは林原美術館でユイグの「Untitled (Human Mask)」が観れたのはとても嬉しかった。
彼の作品はここで3点展示されてるけれど、どれも人類の文明の醒めた目を感じられる知的な作品群。
特に上記の作品は、無人と化した福島の被曝エリアを撮ったもので、とても鮮烈。
今東京のヴィトンでもユイグの展覧会がやってるから是非観に行きたい。
そして、岡山城下のティラバーニャの茶室。茶会に出てみたかった。
この展覧会唯一と言ってもいいぐらいフォトジェニックだったのがガンダー。
駐車場を破壊して作られたこのインスタレーションのインパクトはすごかった。
よくぞここまでやらせたなぁって感じ。
落下した隕石のようなものは、デ・スティルのジョルジュ・ヴァントンゲルローの作品を元に作られてるらしく、20世紀初頭の作品が時空を超えて岡山に落ちて来たという設定らしい笑
岡山県天神山文化プラザのサイモン・フジワラは、自身の高校時代の女教師を元に制作されたもの。
彼女が新たな自分を築き上げる過程を写真と映像、SNSをも駆使しながら展開。フジワラらしい作品。
そして眞島竜男は今回最も岡山を意識した作品。
駅前にある桃太郎像と1962年に開催された岡山国体時に制作されたというトーテムポールの関係を、粘土の彫刻で現し、その制作過程を映像で見せながら、桃太郎伝説の推移を徹底したリサーチの下で語るという作品。これは結構記憶に残る名作だったと思います。友人曰く「桃太郎が嫌いになった」とのこと笑
今回のメイン会場は旧後楽園天神校舎跡地。会場前にはプルーヴェの学校も。
ここにはディレクターでもあるギリックの作品や、下道さんの「境界」を意識した作品など、印象に残る作品が目白押しですが、その中でも荒木悠の作品は新鮮でした。
荒木さんの作品は横浜美術館で見たけれど、その時はピンとこなかったのが、今回すごく腑に落ちた感じ。
タコにまつわるお話だけれど、それがどこまでが本当でどこからが嘘なのかがわからない。
その曖昧さがとっても美しかった。
タコの干し方がキリストの磔刑に似てるってのは面白かった。
これは中々他の場所で発表しにくいかもしれないけど、とてもいい作品だと思いました。
あとはオリエント美術館のフィシュリヴァイスは相変わらずゆるくてよかった。
ざっくり内容はこんな感じ。

結論を言うと、この芸術祭はとても良かったと言わざるをえません。
大絶賛とまでは言いませんが、いくつかの点で賛辞を送るべき箇所がありました。

まずは規模です。
中には1時間を超える映像作品なんかもありますが、テキトーに端折って観れば1日で十分楽しめます。
実際ジョーン・ジョナスの80分を超える映像や、ドミニク・ゴンザレス=フォースターの映像プログラムなんかは飛ばしちゃいました、すいません。
それでもいつもは端折っちゃうような映像群も僕としては丁寧に観られたし、朝から回って夕方までには観終わることができました。
全てが徒歩圏内にありながら、お城から美術館まで様々な場所を見られるのも良かった。
自分の父が岡山出身なので、岡山は何度も来ていたものの、ここまで丁寧に歩いたことはなかったんですよね。
時間あれば後楽園もと思いましたが、さすがにその余裕はなかった。
今回の国際展には、クロスカンパニーの石原康晴氏の尽力が大きかったでしょう。
彼は現代美術の大コレクターで、今後岡山に私立の現代美術館も建てる計画もあるそうな。
(以前京都で見たケントリッジの巨大インスタレーションも彼の持ち物)
岡山は何気に日本初の美術館を立上げた大原孫三郎氏や、ベネッセの福武總一郎氏など、美術のパトロンとも言える人々の系譜が連綿としてあり、石原氏は次世代にあたります。
今後この岡山芸術交流も存続するのか気になるところですね。

次にキュレーション。
これはギリックの手腕に驚かされました。
「development」という主題は正直よくわからなかったんですが、それでもこれだけ年齢も国籍も様々(25歳から80歳、16カ国)な作家たちを集めて、多様でありながら、一つにうまくまとまっていました。
ほとんどがフォトジェニックな作品ではなく、観客が能動的に考えなければならないので、現代美術初心者には結構難しいかもしれませんが、ファンとしては考えさせられる知的なゲームを本気で楽しむことができました。
そして何と言っても作品のクオリティが高い。
過去の作品ではなく新作が多いというのも見応えがある理由の一つですね。
ギリックはキュレーションはこれで最後と言ってますがもったいないです。
実際キュレーターをやってみて、彼らがどうしてあんなにクレイジーなのかがわかったそうです笑

僕が今回の作家たちに共通して好感を持てたのは、ギリックもインタビューで言ってますが、所謂「自己表現」に終わってない点です。(ギリックの表現で言えば、「一般的な意味での自己というのを作品の前面に押し出すような作家は一切いません」)
みんな自己の向こう側にあるさらに大きな世界に言及した作品が多かったように思えます。
サイモン・フジワラや下道さんのように、自分は入ってるんだけど、決して内向きの自己に向かってない。
その先の新しい地平に向けて、意識を投げてる姿がとてもいいです。
そして、無理をして地域性に焦点を当ててないところ。
ここは微妙なところで、当てなさすぎても「ここでやる意味」が消えちゃうので、そこはバランスよく、例えば眞島さんの桃太郎の作品を入れるなどして、とてもいいバランスでした。
ここ最近の「地域アート」は、どうしても地域に迎合しちゃうところがあるので、そことは違いましたね。
ギリックは実際作家たちに岡山という都市に反応してくれとは一切言わず、普通に来て普通に作品を作ってください、という頼み方をしたそうです。
ギリックはここ数年の作品にまとわりつく「リサーチ」という言葉が免罪符になっているんじゃないかという疑問を持っています。リサーチと言えばちゃんと考えられた作品と見てくれる。でもその「リサーチ」を客観的に精査する人はいない。そういうのって確かにそうだよなぁと思いますね。
ギリックはイギリスのYBA世代ど真ん中にいる作家なのに、そこに回収されず、常に批評的な目を持ってやってきたとてもクレバーな作家なんだなぁと、この展覧会で改めて思い知らされました。

ちなみに冒頭の岡山駅に掲げられた大看板もギリックの作品。
タイトルは「From Yu to You」。
出品作家が羅列されてますが、最初が荒木悠のYuで、最後が観客のYouです。
どうしてメインビジュアルが目なのかという問いにギリックは答えています。

「日本と「目」の関係は深いように思います。私が15年前に初めて来日したとき、他の経験と比べて、日本にはとても独特の視線のかわし方があると感じました。これは今まで体験したことのない風習でした。」

日本人にとってはよくわからないけれど、目配せの仕方は確かにあるかもしれません。
いろんなことに改めて気付かせてくれる、濃密な展覧会でした。11月27日まで。こちら

薬師川千晴「絵画に捧げる引力」@Gallery PARC

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もう終わってしまったけれど、Gallery PARCでやってた薬師川千晴展がものすごくよかった。
彼女は精華大学の後輩にあたるんだけど、学年的にかぶった時期はなく、とはいえいろんな機会で縁があって、近年の彼女の仕事は興味深く見ていました。
彼女は昨年僕もキュレーションで参加したGallery PARCのコンペ入選者3組のうちの一人で、彼女としてはそれが初個展。それからこの夏京都芸術センターで開催されたグループ展「ハイパートニック・エイジ」にも参加。今回の展覧会は、彼女としては2度目の個展。

彼女の作品の魅力の一つは、作品が持ってる「重さ」だと思う。
作品と言わず、この際「絵画」と言い切ってしまった方がいいかもしれない。
彼女は絵画という最も古い美術のメディアに圧倒的な危機感を負って制作している。
それは今回の彼女のステートメントの冒頭にも顕れている。

「あらゆるものから質量が失われつつあるこの世界で、今、絵画を通して、質量ある物質特有の〝引力〟という力について考えてみる。」

しかし、これだけ「絵画」というものにこだわりながら、彼女の絵画は所謂絵画と聞いて思い浮かべるものとは一線を画している。
確かに壁にかかってはいるものの、矩形の形をしたものはほとんどない。
さらに言うと、彼女の制作には筆が一切介入していない。
彼女はデカルコマニーという、オートマティズムの手法で像と形を生み出している。
デカルコマニーという手法自体は、シュールレアリズムあたりから発明されたもので、それ自体近代の産物ではあるものの、この筆の不在は、どこか原始的なものを感じる。
さらに彼女の「絵画」には自分で土を混ぜたテンペラ技法を使用したり、火で炙ったりと画面の中に様々な要素が介入している。
まるで絵画の起源に還るかのような仕事である。

彼女の持つこの絵画に対する熱情は、画面から痛いほど伝わって来る。
ただ、共有するにはあまりにも重過ぎる感も否めない。
観客にもこの重さを共有してもらおうという一方的なパラノイアを感じてしまって、観客は息苦しさすら感じてしまう。
特に去年の同ギャラリーの個展に出してた、作品に矢が刺さった作品なんかは、状態としての気持ちよさはあるんだけど、儀式的な要素として観客との間に一つの壁を作っていたように思う。
矢は刺さってはいなかったものの、夏の芸術センターの作品も息苦しさは拭えなかった。

それが今回、全くの新作を発表していて、これまでの作品になかった「軽さ」に驚いてしまった。
芸術センターからそんなに日も経っていないので、てっきり以前のような作品が並んでいると思っていたら、階段の横から始まる新作群に戸惑いを隠せなかった。
しかしその戸惑いはいよいよ悦びに代わる。目から入ってくる情報が至福。

今回の新作はこれまで同様デカルコマニーで制作されているものの、これまでと違って支持体が紙。
紙で制作することによってもたらされた効果は何といっても柔らかさである。
これまで支持体には木を使っていたのだけど、何ともいえない「硬さ」があった。
これが余計観るものに対する圧迫感や息苦しさを与えていた感は否めない。
しかし今回の新作群はこれまでには見られなかった柔らかさが存在している。
新作群のうち多数を占める、「絵具の引力」は、まるで標本で見る蝶のような形をしている。
彼女から直接話を聞くと、これまで同様デカルコマニーで制作してはいるものの、その「閉じて開く」というプロセスごと見せられないかという発想に至り、開いた本の状態から着想を得、今回のような形になったそう。
これが本当に美しくて思わず見入ってしまう。
作家には「色の作家」と「形の作家」がいる。分かりやすい例ではマティスとピカソ。
としたら彼女は圧倒的に前者である。
以前カプーアの考察でも書いたけれど、色と聞いて思い出すのが、大学の恩師が言っていた「絵描き殺すにゃ刃物はいらぬ。色をけなせばそれでいい」という言葉。 (元は「大工殺すにゃ刃物はいらぬ。雨の三日も降ればいい」)
色っていうのは何と言ってもセンス。努力ではほとんど身につかない。残念ながら。
この色のセンスを彼女は憎たらしいほど持っていて、それが遺憾なく発揮されてる。
今回の作品群は、極彩色とも言える複数の色を使用していて、ともすればケバケバしくなるところを絶妙に抑えている。
どの作品も見ていて本当に気持ちが良かった。
現代の作家で、これだけ大胆に色を使いこなせる作家はめずらしい。
色を使っても、ほとんどが単色モノクローム。精々くすんだような色味。
以前ロンドンのバービカンで「COLOUR AFTER KLEIN」という展覧会があって、タイトル通り、現代美術におけるイヴ・クライン以降の色の表現を集めた素晴らしい展覧会があったのだけど、そこに出ていた作家も今思えばほとんどが単色だった気がする。

色だけでなく、「一対の絵画碑」という作品群は形にも挑戦している。
今までと違って、オリジナルは矩形の紙ではあるものの、それを弛ませることで生まれる独特の浮遊感が面白い。
ただしこちらはまだ発展途上のように思えた。
それだけにまだこの人にはのびしろがあるのかという将来の楽しみにつながった。

あと全体の作品のサイズが良かった。
これまでの作品って大きすぎたり小さすぎたり、中々絶妙なサイズに辿り着けてない感があったんだけど、今回のは小さいものでも十分周囲の空気を震わすことができてたと思う。
いい作品というのは、空間が鳴るというか、空気が振動しているように感じる。
逆に作品だけで完結していると、空間が全く鳴らない。
ああ、いい展示やなぁと感じるのは、もう作品見る前に会場入った段階でこの空気の鳴りでわかる。
今までの彼女の作品ってやっぱり作品が閉じてるように思えたのが、今回は一気に開放された感がある。
彼女の負っている絵画への重さは失わず、同時にその引力に束縛されない強さを持った作品が見られて本当にいい展覧会だったと思う。
ちょっと褒めすぎかもしれませんが、後輩云々抜きで、これからも楽しみな作家です。

最後に彼女の今回のステートメントも美しかったので勝手に引用させてもらいます。

「そもそも、人はなぜ祈る際、手を合わせるのだろう。思うに、手を合わせる事により、人は〝何も持てなくなる〟事が重要なのではないだろうか。それはつまり、何かを抱える手段である手を天へ差し出し、物質世界とは離れた位置から〝祈り〟という非物質的な行為へと移行する、ある種の儀式のようなものなのだろう。

 そして、1つに合わさった手をひらくと、そこには右手と左手が現れる。つなぎ合う力を〝両者〟に分かれさせることで、双方の関係が生じ、そこには、ものとものとの間に生じる引力が生まれる。つまり、引力とは物質単体では存在し得ない、ものとものとの関係性にのみ生じる〝互い〟の力なのだろう。

 私は、この質量ある物質にそなわる互いに求め合う引力を作品に託す。そして、この絵具の紡ぐかすかな引力を絵画へと捧げようと思う。」


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堂島リバービエンナーレ2015

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スイスから帰国し早一ヶ月強。
その間に観た中でダントツおもしろかったのがこの堂島リバービエンナーレ。
4回目となる今回ですが、毎度毎度感心するぐらい同じクオリティでおもしろくない(爆)
とはいえ地元なので、まあ見とくかみたいな低いテンションで毎度臨むのですが今回は違った!
今回のキュレーターはイギリスのトム・トレバー氏。
国内のビエンナーレトリエンナーレでは珍しく、このビエンナーレは前回に引き続きキュレーターが海外から。
このキュレーションがものすごかった。
あのどうしようもない会場がここまでおもしろくなるなんて。魔法でした。
タイトルも「Take Me To The River」とかだし、まあおもしろくないだろうと勝手に思い込んで、いきなり入った大会場の池田亮司がまずやばかった。(上写真)
いつもこの大会場の使い方が見本市みたいにただただ作品が並んでるだけでおもしろくないのに、今回は池田亮司一人に贅沢に使わせたのが大成功でしたね。凄まじい音と光のスペクタクル。正直池田さんいろんなところで観過ぎてて食傷気味だったけど今回は素晴らしかった。

他にも一階では、「流れ」といえばと言わんばかりにPLAYのドキュメンタリーがあったり、下道基行の沖縄に流れ着いた漂流物をテーマにした作品があったりと、キュレーションにブレがなくていい感じ。

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さらに今回はいつも使われてないバックヤードもふんだんに使われていて、迷路みたいで楽しかった。
照屋勇賢のマクドナルドの袋の作品からのSuperflexのマクドナルドの洪水の映像の「流れ」も絶妙。

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島袋道浩のゆるい「流れ」る作品も、堂島川を借景にして美しかったし、今旬なサイモン・フジワラやHito Steyerlをも押さえていて、現代美術の「流れ」もしっかり捕らえている。

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ヒトの映像にもある、経済の「流れ」も、いくつかの作品にしっかりと押さえられているし、あらゆる「流れ」を徹底的に意識したキュレーションは本当に見事でした。国内の展覧会で久々に感動しました。
惜しむらくは4階の展示。あそこは毎回他会場から離れているので、展覧会の緊張感が切れてしまってどうしても難しい。今回大会場の使い方みたいに、思い切ってあの会場なしとかできなかったんだろうか。
それでもそこで出ていたVermeir & Heiremansの経済に関する映像は興味深かったです。
いやはや完全になめてました。
今週末までですが、圧倒的にお勧め。こちら


ちなみに近くの国立国際美術館では「他人の時間」展とティルマンス展が開催中。
「他人の時間」は結構期待していたのだけど、ただアジアの作家を紹介する展覧会みたいになってしまっていて残念だった。その中では加藤翼の作品が圧倒的だったように思います。
ティルマンスはほぼ流し見。相変わらず遊泳するみたいな感じで気持ち良い展示。「真実研究所」の日本バージョンが観られたのはよかった。あと日本のデモの写真も撮っていたのはハッとさせられた。
両展とも9月23日まで。こちら

第9回ヒロシマ賞受賞記念 ドリス・サルセド展@広島市現代美術館

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「あの日」から今日でちょうど69年が経ちました。
今日の広島は雨。この日に雨が降ったのは43年ぶりだそうです。
確かに毎年式典をテレビで見てますが、カンカン照りで蝉がガンガン鳴いてる印象があります。
今日の式典はいつもと違って蝉の声も小さく、静かな印象でした。
もし「あの日」にも雨が降っていたら、広島に原爆が落とされることはなかったでしょう。
そしてその後に黒い雨も降ることはなかったでしょう。

そんな広島の現代美術館で現在第9回となる「ヒロシマ賞」の受賞記念展が開催されています。
3年に一度、創造を通して世界に平和を訴えている作家に与えられる賞。
ここまで明確なコンセプトの元で与えられる賞というのも世界的に珍しいかもしれません。
今年の受賞者はコロンビアのドリス・サルセド。
2007年のテートモダンで発表した、床を割った作品は忘れられません。
そんな彼女の作品が日本で見られるなんてと発表当時から楽しみにしていました。

彼女は自国に蔓延する暴力とひたすら向き合ってきました。
コロンビアでは、暴力が日常化していて、必要悪とすら見なされることもあるそうです。
しかし、暴力というのは、確実に絶対悪です。
その当たり前のことが通じない場所が世界の至る所にあります。
彼女はその途方もない暴力と対峙し膨大なエネルギーで作品を制作しています。
その分規模の大きいものが多いので、今回この美術館でどのように展示されるのか気になっていました。

行く前に知人が行っていて、事前に作品と言えるものは2点しかないと聞かされていました。
しかもいつも企画展示をしている場所ではなく、地下の常設展示室。
少し不安を覚えつつ広島へ。

チケットカウンターを通るとまずはこれまでの作品の写真。
そして、2点のうちの1点「ア・フロール・デ・ピエル」が一室を埋めています。
これは、特殊な加工をしたバラの花びらを一枚一枚繋ぎ合わせて、15m四方の大きさまで広げたもの。
これが床に皺を帯びながら敷かれています。
この花びらの状態が不思議で、フレッシュとは言えないまでも、決してドライフラワーのような死んだような印象もなく、生と死のあわいの状態で留まっている感じ。
また作品の状態も、吊るでもなく、壁に貼るでもなく、床に敷かれているっていうのがいいなと思いました。
しかも綺麗に敷かれるのではなく、しわくちゃの状態で敷かれているのです。
彼女はインスタレーション能力が非常に高い作家ですね。
ただ、この作品は、彼女の作品にしては今ひとつ何かが足りない印象がありました。
少し消化不良のまま地下へ。

地下へ入ると、2つの机が上下で組合わさったものがずらーっと展示室を埋めていました。
「プレガリア・ムーダ」という作品です。
机と机の間には土があって、上の裏返された机に開いた穴から植物が生えています。
実際この展示期間中に植物は成長するらしいので、会期間際どうなってるのか見てみたい。
それにしても、この展示にはやられました。
なんで、わざわざ企画展示室ではなく常設展示室なんやろうと思っていましたが、このインスタレーションを見て納得。彼女のインスタレーション能力が遺憾なく発揮されています。
というのも、この部屋、実際普通の展示には使いにくいんですよね。
真ん中に上から降りてくる階段があるので、展示室全体は見渡せないし、導線も悪い。
まあ、この黒川記章の建築は全体的に導線最悪なんですが。。。
この最悪な導線をさらにこの机たちがかき乱しているんです。
観客は、この机たちの間を縫うようにジグザグに進むしかなく、もはや導線は消失。
さらに、全体を見渡せない中、この机たちがあらゆる空間を埋めているので、どこまで続くのかわからない不安が湧いてきます。
僕の中の優れたインスタレーションの定義のひとつに、自分がその場にいながらどこにいるのかわからなくさせるってのがあるんですが、この作品はまさにそう。
この作品自体は何回かいろんな場所で展示されていますが、写真を見ていて、開けた場所よりも、こういった閉塞感を覚える場所でやった方がこの作品は生えるなと思いました。
久々にやられてしまいました。やっぱり彼女はすごい。

とまあ、2作とは言え十分見応えのある展覧会です。
広島遠いけど是非行ってみてください。
現在企画展示室ではコレクション展が開催中ですが、正直あんまりでした。
いつもここのコレクション展は企画展を凌駕する程面白かったりするのに珍しい。
会期終了間際に被ってくる「戦後日本住宅伝説−挑発する家・内省する家−」と併せて行くべきかも。
ドリス・サルセド展は10月13日まで。
http://www.hiroshima-moca.jp/doris_salcedo/


次のヒロシマ賞も楽しみ。個人的には内藤礼さんかなぁとか思ってたり。
彼女は広島出身で、昨年初めて広島で広島に関する作品を制作したそうだし。
気は早いですが、末永く続けて欲しい賞ですね。

久々のレビュー記事でした。

関連記事
Doris Salcedo @ Tate Modern
Doris Salcedo @ White Cube
第8回ヒロシマ賞受賞記念 オノ・ヨーコ展「希望の路」@広島市現代美術館
蔡國強展@広島市現代美術館
クシュトフ・ヴォディチコ講演会@同志社大学今出川キャンパス明徳館1番教室

寺田就子「ほのめく音色」@ GALLERIE ASHIYA SCHULE

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先月のCAPTIONさんに続き寺田さんの個展に初日からお邪魔しました。
こんな立て続けに個展ができるなんてすごいエネルギーですね。驚くばかり。
本人曰く、夏は元気なのでいくらでも頑張れるとのこと。。。僕とは正反対です笑
そんな寺田さんの新たな展示は、ほとんどが新作で、先月の個展とは打って変わって、夏の終わりの放課後の校庭を思わせるような、なんだかノスタルジックな展開でした。
小さな机や楽譜、テキスト、スーパーボール、そしてピアノ。
このピアノはアシヤシューレさんにずっと置かれてるピアノで、前に越野さんの個展に行った時はまったく気づかなかったんですが、すごい存在感です。
それなのに、見事に寺田さんの世界に溶け込んでいる。
もちろんこのピアノのことを意識しながら作ったのもあるんだろうけど、この為にわざわざ持ってきましたと言われてもなるほどと思わせるぐらい展示の中で説得力がありました。
個人的に好きだったのは、新作ではないけれど、指輪ケースに入った貝殻の作品。
寺田さんの作品は、いつも素材の使い方にはっとさせられるけど、この作品は特にいいなぁと感じましたね。
素材の使い方と言えば、芳名録が手作りで、クリアファイルを切って作ったそうでこれも必見。
名前が増えていくとどんどん重なっておもしろいことになりそう。
寺田さんにかかれば、どんなものでも彼女色に染まっていく魔法使いのような人です。
展覧会は9月14日まで。1日にはトークもあります。こちら


あと先日、本当にひさしぶりのdotsの公演にでかけました。
たまたま、そういえばdotsの舞台久しく観てないなぁと思ってHPチェックしたら、その前日から前作「カカメ」から4年ぶりの新作公演が始まってて、急いでチケットゲット。京都芸術センターでやってた新作「ALTER」です。
dotsの「カカメ」を観た時は本当に衝撃的でした。その前の「KISS」を観てなかったことが悔やまれるぐらい素晴らしい体験をさせてもらいましたね。その後GURAでも実験的な作品を観ましたが、やはり彼らは映像や音を駆使した身体表現こそ魅力だと思うので、今回の公演は待ちに待ったって感じでした。
が、見終えた後の率直な感想としては期待はずれ。
個人的に音、照明、映像、パフォーマンス、ひとつひとつはさすがの質だったけれど、全体として噛み合わず、鑑賞中苛立ちすら覚えてしまった。。。
また次回作期待しています。
dots official website http://dots.jp/ja/

同じく芸術センターで、『dreamscape ─ うたかたの扉』という展覧会も開催されてました。
というか芸術センター来ること自体めっちゃ久々。。。
ギャラリー南では大西康明さんの展示。
大西さんの作りながら進化を続けて邁進していく様は鬼気迫るものがありますね。
今回の作品も力作で、天井からぶら下がった木に尿素(だったか曖昧)の結晶がはりついたもの。
もう一人北では松澤有子さんの葉脈だけの葉っぱが暗闇に浮かぶ、これも力作。
ただ、最近僕の嗜好的に、こういう力技や演出のかかった作品があまり得意ではなく、すごいな、とかきれいな、とかは思えるけれど、そこから入っていけないんですよね。。。
最近はむしろ、一見さらって観れるんだけど、ん?ってとっかかりのある作品が好きです。のどの奥にささった小骨的な感覚。
自身の作品も以前は前者寄りだったけど、後者に傾きたいなと思ってます。
展覧会は9月16日まで。こちら

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

「ひろしま 石内都・遺されたものたち」



写真家石内都さんを追ったドキュメンタリーを観てきました。
彼女は2007年から広島平和記念館に寄贈された被爆者の方々の遺品を撮影し続けています。その遺品は毎年増え続けていて、その度に彼女は広島に赴き撮影しています。
2008年の最初の広島市現代美術館で開催された展覧会は僕も行って感銘を受けました。
石内都「ひろしま Strings of Time」@広島市現代美術館
その展覧会が新作も含めてバンクーバーに巡回した際のドキュメンタリーです。

もういいかな、と思いつつ、昨日の広島の平和記念式典を見てたらやはり観たくなって観てきました。
毎年のことですが、8月6日の8時15分は前の晩どんなに夜更かししても起きて黙祷を捧げます。
8月9日の11時2分も同様です。
そして式典の広島市長の挨拶は毎年胸を打ちます。
今年は特に自民党政権に戻ってからの式典。
どうしてあの場に阿部さんがいるのかもはや違和感しかなかったですね。
総理大臣という役目でしかないただの抜け殻。
あの式典を通して、国の不作法を世界に訴える広島市長。もうカオスです。
式典中継冒頭から、日本がこの4月に開かれたNPT(核不拡散条約)準備会議で日本政府が「核の非人道性」を非難する共同声明(80ヵ国が賛同)に署名しなかったことを伝えていてました。
もうこの国はどうなっちゃうんでしょうか。
今年これだけ暑いのに節電要請がありませんね。実際電力は余っているようです。ここでリアルタイム電力需給量がわかりますが笑けます。今日大阪37度もあったらしいのに!(回ってる途中死にかけました。。。)
今現在(2013年8月7日)稼働しているのは大飯原発3号炉、4号炉の2基のみ。これも9月には停止し再び稼働する原発は0に戻ります。それでも10月から電力会社は値上げ断行。矛盾を通り越して言葉も出ません。どこに原発を必要とする根拠があるのですか?
さらに、東電の汚染水漏れのニュース。。。こんなお粗末な技術を輸出する日本。
広島の記念碑に書いてありますね。「安らかに眠ってください 過ちは繰返しませぬから」
僕たちは本当にこの誓いを続けられるのでしょうか。
死んでいった人たちに顔向けできるのでしょうか。

僕は戦争を知りません。でも祖母や祖父が決して語りたがらなかったあの空気を通して僕は戦争を知っています。祖母も祖父も進んで語ろうとはしてくれなかったけれど、それでも僕には伝わっています。言葉ではなく背中で伝えられることもあります。知るレベルに層はあれど、たとえ薄皮一枚でも知っておきたい。それは目の当たりに知っている人からでないと伝えられないもの。その人たちの数は確実に減っています。
先日友人の子供に会いました。平成23年生まれと聞いて頭が回らなかったけど、この子達に自分は何を伝えられるんでしょうか。阪神大震災のこと。地下鉄サリン事件のこと。9.11のこと。3.11のこと。いっぱいいっぱい伝えたいことがありますが、言葉ではうまく伝えられません。あの時の空気は言葉を遥かに超えています。68年後、僕は97歳になっています。死んでいるかもしれません。それでも薄皮一枚彼らに手渡せたらいいな、と思います。
その手渡す作業を作品を通じてやってるのが石内さんですね。
この映画でも、国を超えて様々な人々の心を揺さぶっていました。
これまでのヒロシマという過去から、ひろしまという現在へつなぐ営み。
(ここでカタカナでなくひらがなを採用しているのは大きいですね。フクシマもそうですが、カタカナになった途端に突き放される印象があります。まあ外国では通じないですが)
映画の中で、広島の被爆者の女性と結婚したカナダ人の方のお話は胸を打ちました。
彼は散々アジア人は野蛮で劣った民族だと教育されてきて、実際日本に行ってみて美しい町並みと礼儀正しい人々に出会い、そこで人生の伴侶まで見つけてしまいます。
こういうのを聞くと自分の日本人としての誇りが蘇ります。
また、韓国人の観客の声を聞けたのもよかった。日本人は被害者だけでなく加害者であったことも忘れてはいけません。
とまあ、石内さんの作品に対しては色々思うことがありましたが、この映画自体はドキュメンタリーとして評価はできません。スローモーションの多用、切れ切れのコメント、音楽の入れ方。そのどれもが観ていてノイズにしか感じられませんでした。
なので映画自体はお勧めできませんが、改めて石内さんの作品を考えるきっかけにはなりました。


あと、今日は久々にノマルに行ってきました。
今村君がベルリンから帰ってきて以降初の発表です。
今回出品されてたのは、雨のアニメーションとその版画、それと立体です。
立体は、ソレノイドがオブジェ(塗料缶、すのこ、ブタの蚊遣り器、バケツ、アクリルボックス)を打つもの。これを使ったインスタレーションはここ最近展開していましたが、単体の立体として発表したのは初めてみました。オブジェンになっても、インスタレーションの感覚を損なうことなく存在してたのはさすがでしたね。ひとつ欲しかったですが、残念ながらすでにすべてソールドアウト!
他に、安慶田渉さんと舟田潤子さんの作品も展示されています。9月7日まで。

それと、もういっかと思いつつも堂島リバービエンナーレへ。
始まった時点ですぐ終わるかと思いきや意外に続いていてすでに3回目。
3回目の今回はなんとルディ・ツェンという台湾のキュレーターで、何気に日本のビエンナーレトリエンナーレで外国人ディレクターは初かも。
でもまあ、彼はインディペンデント・キュレーターではあるもののフルタイムのアートコレクター(フルタイムって!w) 展覧会自体、水をテーマに、キュレーションというよりは、集めてきましたって感じのセレクトでしたね。まあ、テーマを一貫させてたのはいいと思いますが、展覧会としてはやはり陳列って感じでした。一個一個のつながりが希薄。これ過去3回ともそんな感じですね。クオリティ落ちも上がりもしない。。。個人的に観たことある作品が多かったのも残念でした。参加作家は毎回やたらに豪華なんですがね。
そんな中でアラヤー・ラートチャムルーンスック(覚えられへん)の「クラス」という作品は衝撃。死体に向かって「死」についての授業をする映像。。。あれホンマに死体やったんかな?B級映画よろしく最後は皆立ち上がって終わるんかと思ったらホンマに寝たままやったし。。。うーん。
堂島リバービエンナーレは8月18日までです。

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テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

碓井ゆい「shadow of a coin」@ studio J

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現在「うつせみ展」のメンバーが続々と展覧会中です。
中でも碓井さんのstudio Jでの個展は、うつせみ展で見せたshadow workがさらに発展したもので、なんだか嬉しい。
オーガンジーでできた大きな日本のコイン(1円玉と50円玉)。
そこに描かれて(編まれて)いるのは、掃除をする女性たち。
中には「NO NUKES」や「BAD CONSUMER」の文字も見いだせますが、すごく軽やかにさりげなく織り込まれているので、そういった社会的なメッセージも軽やかに発せられていて、全然押し付けがましくない。
また、奥には新作の香水の瓶たち。
そのラベルには日本女性らしい名前がそれぞれに印刷されていて、それらは実際日本に連れてこられた従軍慰安婦たちの無理矢理つけられた日本名らしい。
そういった政治的な作品にも関わらず、コイン同様碓井さんの作品はその佇まいにどれも品があって、すごくバランス感覚の優れた人だなと改めて思う。
「うつせみ展」でも、女性の家事(陽のあたらない仕事=shadow work」をテーマに、女性性に焦点を当てた作品を近年取り組まれていて、それはご自身が結婚されたことともつながっているのかもしれない。そういった自分の日々感じる思いをそのままてらいもなく込めるやり方がとても潔いし、こういう問題を扱われると男の自分は一歩下がってしまいがちなんだけど、そのエレガンスに思わず引きつけられてしまう。
shadow workが作る本物の影もとても美しかった。4月13日まで。

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つづいて、岐阜県のGALLERY CAPTIONで開催中のグループ展「pink noise」。
こちらには寺田さんと大舩さんが参加されています。
特に手前の小部屋の大舩さんの展示がすごすぎて衝撃。
「うつせみ展」に出されていた白い作品のシリーズで、作品自体はほとんど変わらないのに、見せ方で表情が激変。本当変幻自在。入って左の壁と正面の壁に2点。それだけなのにいつも見ている部屋がまったく違うように感じられた。光の当て方や、それぞれに当ててる光の色温度、さらにこのギャラリーの窓から差し込む自然光によって、絶妙なコントラストが部屋にもたらされている。特に左の作品のスポットが真正面からでなくちょっと左から当てられてて、影が斜めに出てるので最初目の錯覚かと思った。こういうこと普通しないんだけど、その決断がすごい。お見事でした。
ついついなぜ「pink noise」なのか聞くの忘れてました。。。4月20日まで。

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2日間のみの企画でもう終わってしまいましたが、京都は亀岡にあるみずのき美術館で開催された「HOME PARTY」という展覧会。こちらには今村君と森さんが出されてました。(4月14日まで延長決定だそうです。月火休。入場料400円)
ここは、いわゆるアールブリュットの美術館で、昨年秋にオープンしたばかりで、建築も乾久美子さんが手がけたってのもあって、前から行きたいと思ってました。
元々ある建物を改修したもので、中の開放感が気持ちよかったです。
今回の展示では、アールブリュットの作家さんたちと、今村君たちがそれぞれ1対1で共演のように作品を作るというもので、まずは河合晋平さんの作る虫のような彫刻と、虫の絵を描き続ける森川大輔さんの共演。なんとお二人は偶然同じ虫の図鑑を持っていたというエピソードもあり、お互いの図鑑も展示されてました。森川さんの作品の色に合わせて作られた河合さんの虫の彫刻。とてもおもしろかった。
森さんは、丸毛浩嗣さんが毎日のように折っている折り鶴を、自身の作った机の上に並べてもらうというもの。以前に森さんは自身の作品で折り鶴を作っていたので、最初普通に森さんの作品かと思いました。それにしてもその折り鶴がすごくて、1枚の紙から何匹もの折り鶴をおるという連鶴があって、最初くっつけてるんだと思ってたのでびっくりでした。どうやって作るんやろ。
そして今村君は既にお亡くなりになった、吉川敏明さんの「家」と題されたクレヨンの作品をチョイス。これがすごく良くて1枚欲しかったです。そして今村君自身は地下と2階に展示。地下は灯台の作品、2階は「うつせみ展」で見せた音の作品。しかし新作がすごくて、地下にオープニングまで置いてた沈丁花の鉢植えを2階の倉庫に移動させ、その痕跡(葉っぱや花びら)を見せるというすごい境地に!その花の香りも会場に漂ってて、ついにここまできたかといった感じでした笑
他にも、職員の「美保さん」を主人公に描いたタブローや、手の動きがそのまま画面に顕われている宮川佑理子さんの絵などもありました。残念ながら砂連尾理さんのパフォーマンスは見れませんでしたが楽しめました。

上記3会場では展覧会期間中「うつせみ展」のカタログ販売中です。よろしくお願いします。


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studio90でもやってくださった山岡さんの展覧会。Gallery PARCにて。
なぜかDMに僕が書いたグチック論が載ってますw
今回はこれまで「GUTIC STUDY / グチック考」というタイトルだったのに、今回から「グチック・メリステム」と改まっています。
メリステムとは植物の茎や根の先端部に存在する小さな組織のことらしく、成長のメタファーとして使われているのでしょうか。
そして作品はなんと初っ端から油絵で驚きでした。
それと、これまでモノクローム(黒OR赤)だったグチックが、白くなっていて、その形を探る痕跡が目に見える形になりました。これはすごく大きなことでしょうね。
これまでの山岡さんの作品は手技感が見えないように作られていました。しかし実際は、そのグチックという形を探るために何百、何千というトライ&エラーを繰り返した上に成り立っているもので、それを被っていた影が今回取り払われたのは、ある種の必然的進化だったのかもしれません。
これまでの手技を拭うような作業はやはり作品を作品然と見せようとしていたきらいがあったのに対し、今回のメリステムは、その意識から解放されたような清々しさがありました。
それを端的に表すのが、奥にあったプロセスを投影した映像ですね。
これからまたどんな進化がグチックにもたらされるのか楽しみです。3月31日まで。

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@kcuaで開催中の「犬と歩行視」展
内容はグループ展ですが、ほぼ林剛に焦点を当てた画期的な展覧会。
林さんは、ある時から文字をそのまま作品にするという作品で一躍脚光を浴びます。
見てください、この「いいわ」の応酬w
ずっと見たいと思ってた作家だったので、今回これだけの数の作品が見れて大満足です。
特に彼の代表作といっていい『犬』が見れたのは本当にうれしい。
写真でしか見たことなかったので、てっきりキャンバスに書かれていたのかと思ってたんですが、鉄のまさに看板のようなものに書かれていたんですね。
階段の上に展示されてる様は神々しさすらありましたw
あとは「犬笑い」と題された映像とかヤバすぎる。。。前衛ってすごいです。
また10月に第二弾が予定されてるとのことなので、そっちも楽しみ。3月31日まで。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

「夢か、現か、幻か」@国立国際美術館

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10作家による全部映像の展覧会。
予想はしていましたが、まあ時間がかかりました。。。
全部まともに観たら5時間以上かかるでしょうね。
初っ端ジャオ・チエアンの映像で63分ですからね。。。
次のヨハン・グリモンブレなんて2本立てで、68分と80分ですからね。鬼。
その次のスティーブ・マックイーンなんて映像というかスライドで、音声もわけわからないことばかり言ってて70分。この部屋の監視の方はさぞ地獄かと思われます。。。
こんな感じでのっけから、正直観れない。
美術館で映像を観るのって、個人的に10分が限界。よほどおもしろければ別だけど。
そんな中で唯一最初から最期まで観れたのはチョン・ソジュンの5つの映像作品。
消え行く伝統職人を追ったドキュメンタリーのような作品で引き込まれました。
今回の展覧会の中で、さわさんみたいな作り込んだ映像よりも、現実を追ったような映像の方が逆に空々しく見えて面白かったです。
展覧会としては、もう少し問題設定を絞るべきだったと思います。
「夢か、現か、幻か」なんて、あまりに漠然としてるし映像全部に当てはまりますよ。
ただでも映像展は注意散漫になりがちなんだからもう少しキュレーションの力でまとめてほしかったですね。
それと、今回も国立国際のお家芸というべき「複数個展」形式でしたが、今回のはここまで来たらすごいぜ!ってぐらい部屋が複雑に分かれていて逆におもしろかったです。設営大変やったろうなぁ。。。まあ、映像は暗闇が必要だし、こうなるのは仕方ないんですが。
映像だけの展覧会といえば、昔ベルリンのHamburger Bahnhofで映像展がやってて、観ても観ても終わらない地獄になった記憶がありますw
映像ってやっぱ絵画を並べるみたいにはいかないから難しいですね。
インスタレーションとして見せたい作家もいれば、映像だけ観てもらえればそれでいいって人もいるだろうし、そこだけでも絞ればおもしろかったかも。後者だったら映画館みたいにプログラム組んでちゃんとふかふかの椅子用意して、みたいなのとかできそう。長い上に椅子もないとか見せる気あんのか?って思います。映像の人は投影イメージだけでなくて、観客へのホスピタリティも考えるべきだと思いますね。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

「佐川晃司展ー絵画意識ー」@ galerie16

大学の恩師佐川さんの個展に行ってきました。
なんだかんだでここ数年毎年のように勢力的に発表されてて、見る度に圧倒される作品群に驚かされます。
今回も階段上がってガラス越しに見える菱形のドローイングにやられました。
不定形な、木々の枝のようなものもありましたが、やはり僕は菱形の作品が好きです。
形がはっきりしているからこそ、よりわけわからなくなる感じが迫ってくるんですよね。
それはメインの油絵の色彩が加わるとより顕著になります。
しかも今回はオレンジの暖色が非常に強く出ていてびっくりしました。
これまでは、ほとんど緑色の色調だったので。
この展覧会タイトルが示しているとおり、佐川さんは意識的に絵画に取り組んでる作家です。
絵画じゃないとできないこと、絵画にしかできないこと。それが徹底して画面に顕われてる。
26日には、愛知県美のポロック展を担当された大島さんとの対談もありました。
実際行くことはできなかったのですが、音源だけ手に入れて聞きました。
ここでも絵画について徹底的に話されていてとてもおもしろかったですね。
また、先日東京のαMで行われた、田中功起さんの「絵画TV」もありましたし、こうして今改めて「絵画とは」と問い直すことは非常に意義のあることだと感じました。
メディアにとらわれるのはナンセンスだという意見もあるでしょうが、絵画ってやっぱり独特なメディアだと思います。物質的でありながらイマジナリーである、現実とイメージの往還がしょっちゅう行き交ってるんですよね。そこにつきあえるかつきあえないかの問題はすごく大きいと思います。僕はそこが耐えられなくて画家にはなれなかったんですが、今でも絵画の問題を考えるのはホームグランドのような気がしてストイキツァの本とか意識的に読んでます。
「絵画TV」の会田さんや岡崎さんのような真逆なアプローチだけど、絵画愛をもった人たちの話を聞くのは本当に楽しいです。
佐川さんの展覧会は今週末2月2日まで。

あと母校でやってた「溶ける魚−つづきの現実」展にも行きました。
「溶ける魚」と言えば、シュルレアリズムの団長的存在アンドレ・ブルトンのあまりに有名な作品のタイトルですが、その「シュール」という言葉自体が現在あまりに浸透しすぎていて、ともすれば芸術作品すべてが「シュール」と言えなくもない。2013年の今、この展覧会が捉える「シュール」という言葉はどこに帰着するのか。そのことが展示を通してほとんど宙づりにされていたのは残念でしたね。例えばブルトンの自動記述の文章持ち出してきて作品と一緒に展示したりとか色々やり方はあったと思うんだけど。
あえてこの展覧会のポイントを挙げるなら「つづきの現実」という言葉こそが、この展覧会の本質な気がします。花岡さんの突拍子もないものとものとが接ぎ木されたような彫刻群や、荒木さんや林さんによる日常品を組み合わせたインスタレーション、或は絵の具そのものを描いた松山さんなど、「シュール」という言葉に付随する「浮世離れ」といったイメージとはまた違った性質が見えてくるのはおもしろかったかな。これらの作家の作品は、現実から跳躍せず、あくまで地に足着いたまま知覚をズラし、そこから見えてくる風景を提示していた気がします。このことが今現在のシュルレアリズムとして打ち出せる手段になりうるのかも。ブルトンは『シュルレアリズム宣言』の末尾をこう閉めています。「生はべつのところにある」。この「べつのところ」をこれらの作品を通してもう少し明確に打ち出して欲しかったなーと思いました。

また、京都伝統会館でやってた「胎内巡りと画賊たち」も、民芸的な展覧会ってのはわかったんですが、演出がちょっと凝りすぎててついていけなかった感が。。。
こっちにも「溶ける魚」にも出してる木村さんは、やたらと絵がうまい!
安喜さんとのコラボはコラボの域を超えててすごかったです。
絵の上に絵を被せるとかこの2人ならでは。。。
全然違う2人なのにここまでの合わせっぷりは双子みたいです。
この2人はさらにHRD FINE ARTでも展示していました。
こっちはブルトンのテキストの引用である「鳥達は色を失ってから形を失う」というタイトルがついてて、展示もずばりで小規模ながらおもしろかったです。

最近作家主導の展覧会が多いですが、どうも仲間を寄せ集めました的なのが多い印象。
かくいう自分も昨年やったばかりなので、自戒も込めて観ちゃいました。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

「Influence -差響する「」-」@ギャラリーフロール

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母校の精華大学に行ってきました。
目的は後輩先輩の展覧会を観るのと木下長宏さんの講演を聞きに。
ここのギャラリーフロールの展示がすごくよかったので報告します。
写真もたくさん撮らせてもらいました。

この展示は後輩の岸本沙央梨と山城優摩の二人展。
二人とも全然違う作品なのに、全然違和感無く並置されてるのが素晴らしかった。
二人の作品がすごくよかったのはもちろんのことこの空間感がすごく気持ちよかったです。
彼らの作品は前回常懐荘行った時に観てましたが、やはりホワイトキューブが合うのかも。
あの時よりもずっとよく見えました。
ということで二人の作品を紹介します。

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岸本沙央梨「記号Yについて」(2012)

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岸本沙央梨「アレロパシー物質について」(2012)

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山城優摩「reflection 1」(2012)

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山城優摩「view」(2012)「drawing」(2012)

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山城優摩「mimic1」(2012)

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山城優摩「mimic3」(2012)

二人とも構築的な作品で非常に僕好み。
岸本さんの発泡スチロールの作品はものすごくかっこよかったですね。
あの造形センスはすごい。発泡スチロールってこんなかっこいい素材やったんやって。
普通発泡スチロールは造形の型用とかにしか使わないんですが、これは立派な彫刻になってる。
素材の持つ肌理の面白さとかも充分に生かされてましたね。
ただ、ドローイングが彫刻に追いついてない感がありました。洋画なのに笑
僕もドローイングは不得意っていうかやらないので人のこと言えませんが。
塩田さんもドローイングあんまりですもんね。精華洋画の伝統なのかな、という言い訳。
鉛筆で描かれたドローイングは結構よかったですね。
あと素材がわからんのだけど、陶のような作品もよかった。

自分的に山城君の作品にやられました。センスのよさ半端ない!
シェイプドキャンヴァスなんていうレベルじゃないぐらい歪められた画面とか!
ステラなんて屁でもないですね。
というかよくこれ自分で作ったなっていうレベル。。。
色の選択もいちいちセンスがいいですね。
あと立体。日常品との組み合わせがすごく気持ちいい。
mimic1は鉢植えと、mimic3はプリンターと。いいです。
ドローイングとかも建築っぽくて、実際建築学生とかが観ても面白がれると思う。

後輩ながらやられたーってぐらいいい展覧会でした。
また同時に先輩の袖岡千佳さんの-平熱の草いきれ-展もやってます。
4点のみですがこちらも力強いです。個人的にはドローイングの方が好きでした。
そして2階には村岡三郎のコレクションが!
こちらはかなりミニマルな展示ですがやはりすごいです。
村岡さんは精華の洋画でも教えてらっしゃったので、現在フロールは洋画づくし。
22日までなので是非!!
http://www.kyoto-seika.ac.jp/fleur/past/2012/1213influence/index.php


奥の校舎でも洋画の学部生が「昨日の手が明日の足音を照らしだす」という展覧会を開催中です。
こちらは学生同士が、キュレーションをし合ってお互いの作品を客観的に照らし出すというもの。
おもしろかったのは、中島伽倻子がやってたキュレーションで、2人の学生の作品の画像を彼女なりのやり方で展示していて、それキュレーションの枠超えてるやろって感じなんですが(笑)、そういうやり方も作家のキュレーションらしくておもしろかったですね。
こちらは20日まで。


そしてこの日は木下長宏さんのレクチャーが。
「ミケランジェロとともに考える」という講演で、これ実は高校生に向けたレクチャーなんですが、高校生にまぎれて参加しました(死) 一回り近く違うのか。。。
ミケランジェロの作品をヴァティカンのピエタから順に追っていくんですが、いかにミケランジェロの作品を知らなかったかがわかりました。。。
特に晩年の彫刻がすごい!!
彼はピエタをいくつか制作してるんですが、知られてるのは初期の均整の取れたピエタのみで、実は晩年のピエタの荒々しさが凄まじいです。
よく研究者の間では、これらの作品は「未完成」と判断されてるんですが、これを木下さんは「完成」/「未完成」という二項対立では計れない「完全」があると仰ってました。確かに彫りかけの部分とか多々見受けられるんですが、その力強さたるやすごい。生で見たい。
ミケランジェロとよく並べられるのがレオナルドですが、彼の場合は「完成」という確固たる目標があってそこに向かって制作されてるのに対してミケランジェロはそこを設定してないんじゃないかと。
おもしろいのが、レオナルドの場合はその「完成」という目標があるにも関わらずそこにたどり着いてない単なる「未完成」の作品が多いという点ですね。
彼は描く画面を前に3日も4日もうんうん唸ってたというエピソードがあり、そういう人にとって当時の油絵の技術というのは画期的だったんでしょうね。ミケランジェロのようにフレスコでガンガンやっていくやり方しかなかったらレオナルドは一生作品を残せてなかったかもしれません。
木下さんは結びに、20世紀の近代的な考え方というのは、非常にレオナルド的。レオナルドは秩序を重んじた人。それに対してミケランジェロは混沌を見いだした人。この混沌の考え方はこれからの21世紀に向けた問いになるのではないかと。
これまでやはりレオナルドと言えば広く知られていて、なんでもかんでも彼に結びつけられて考えられてきましたが、これからはミケランジェロの時代が来ると予言されてました。
非常に刺激的な講演。是非ミケランジェロを訪ねる旅をしてみたいものです。
高校生にどこまで伝わったか気になるところですが笑


ということで今年の観覧は以上ですー。次回まとめ、られるかな。。。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

宮永愛子:なかそら-空中空- @国立国際美術館

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韓国以来全然書いてませんでしたが、帰って来てから結構色々見ました。以下リスト。

宮永愛子:なかそら-空中空- @国立国際美術館
「かげうつし――写映・遷移・伝染――」@ @KCUA
「アブストラと12人の芸術家」@ 大同倉庫
龍野アートプロジェクト2012 「刻の記憶 Arts and Memories」@ 龍野市
越野潤「perspective」@ART SPACE ZERO-ONE
芳木麻里絵展 @ SAI GALLERY
ジョミ・キム展 @ Port Gallery T
木村友紀 x 落合多武展 @ 小山登美夫ギャラリー京都/タカ・イシイギャラリー京都
牡丹靖佳展「片方もの、もしくは盗人のコレクション」@ ARTCOURT Gallery

その中でも宮永さんの個展はダントツで良かった。
宮永さんの個展が国立国際でやるって聞いた時点でかなり期待してたけどそれを凌駕する内容。
やはりこの人の空間把握能力は並外れてますね。
あの使いにくそうな空間が見事な展示空間へと昇華されてました。
順路通り行くと、10m以上ある長いアクリルボックスにナフタリンで作られた日常品がずらーっと並べられてていきなり壮観な景色が眺められます。
行ったのは会期始まって1ヶ月ぐらい経ってからだったので、どれぐらい形を留めてるのかが少し心配でしたが案外崩れてませんでした。
その先には天井まで続くポールのようなアクリル筒の中に糸で出来た梯子が入ってて、そこにナフタリンが再結晶化し付着していってました。このポールのような展示は資生堂でもやってましたね。
奥に進むと樹脂で固められたナフタリンの椅子!これめちゃくちゃ美しかった。
椅子の足の下に穴があいてて、展示中は閉じられてるんですが、この「ふた」を開けるとナフタリンの気化が始まって最後には椅子の抜け殻ができるという。。。これはすごい。空っぽの状態も見てみたいですね。
そして圧巻は天井に向かって垂直に架けられた梯子の展示室。
この空間は本当にすごいですね。
元々の柱に加えて、布で出来た柱や木で出来た柱など、空間に柱が林立してます。
それに合わせて梯子が架けられ、その間にはアクリルボックス。中にはナフタリンでできた蝶。
中には崩れてるものもあって、もうなんか言葉にならないぐらいすごい。
その部屋を抜けると、吹き抜けに金木犀の葉っぱの葉脈を張り合わせて出来た12mもの絨毯が架けられててこれも圧巻。昨年の春にミズマギャラリーで発表されて話題になってて観に行けてなかったのでついに見れた!という感動。
その横には塩の糸も展示されてて、最後には梯子が架けられてる。
出展作品はすべて新作で、これだけの規模を埋めるのに決して回顧展になってないのが素晴らしい。
まだまだ宮永さんには塩の作品で会場を埋めることもできるし、陶器の作品も出てないしといった可能性が担保されてて、すごいポテンシャルのある作家だと改めて感じました。
ご縁でトークも聞きに行かせてもらったのだけど、彼女の制作に対するいい意味での頑固さを感じることができました。
惜しむらくは、ナフタリンや金木犀、塩という素材を用いながら、会場にまったくその匂いがしなかったことかな。美術館という場所の問題もあるかもしれないけれど、これだけ匂いの強い素材を用いてるのだから、嗅覚を刺激するような体験があってもいいのにな、と思いました。
なんにしても素晴らしい展覧会。12月24日のクリスマスまで!
僕は2回行きましたが、形が少しずつ変化しているので何回行っても楽しいと思う。
こうやって今はどんな形になってるんやろう、と想像するのもいいですね。あと1回は行きたい!
それからついに宮永さんの作品がまとまったカタログも出てるので是非!こちら


あとは、京都で開催前から話題になってた2つの展覧会。「かげうつし」と「アブストラ」。
どっちもプロのキュレーターがやった企画ではない意欲的な企画ですね。
「かげうつし」は以前京都芸術センターでやってた「gadget」展を企画してた美学の林田新さん企画。
現代の美学における「うつし」とは何か。副題にもあるように、映像だけではない様々なメディアを使う5人の作家を挙げながら追求して行くような、非常に「骨」がしっかりしていて、作品も質が高くて「肉」もしっかりしていて、おもしろい展覧会でした。でもなんか消化不良。多分挙げてる作家が5人しかいなかったってのが惜しいところなんでしょうね。これだけで「うつし」の問題を追及できるとは思えず、美術館クラスで一度見てみたい企画だな、と思いました。展示も敢えてキャプションが置かれてなくて、作家同士をミックスした展示でしたが、なんかスマートすぎる感じがしました。こちらは会期終了。
その点で、「アブストラ」はカオスな感じが展示としてよかったな、と思いました。場所も美術の空間ではない荒々しい倉庫で、Herzog & de Meuron出身の若手建築家、高橋史子さんの会場構成もすごくかっこよかった。
ただ、こっちの場合は、作家の田中和人の掲げる「アブストラ」(女性的な抽象)という概念がつかみにくく、その文脈に沿って観ようとすると結構無理があったと思います。そもそも抽象の男性/女性って何?っていう。ニューマンやポロックのような抽象と対置させたかったのはなんとなくわかるんですが。作品もそれぞれおもしろかったけど、誰のがどうこうっていう視点で見えなかったのは良かったと思います。展覧会の総体として作り上げてる感じに好感持てました。16日まで。


そして友人知人の展示。
龍野プロジェクトはめちゃくちゃ遠かったけど行ってよかったです。
やはり今村君の渾身のインスタレーションはすごくて、元醤油蔵の静かな空間で堪能できました。
あまりに長くいすぎて監視の人が心配して入って来たほど心地よかった笑
あと映像作品が今村君がやりたいことが明確になって来てる感があって、こっちを観れたのも大きかった。
松谷さんの展示も素晴らしかったな。

ゼロワンでやってた越野さんの展示は、越野さんのこれまでとこれからが小さな空間に詰まってる感じで内容の濃い展示でした。
椅子を座って眺められるのもいい感じ。
行った日はパーティーで越野さん特製の料理も食べれて至れり尽くせりでした。

サイギャラリーの芳木さんの展示もよかった。
インクで影まで表現するのは新しい方向だけど、インクの層の実際のパースと、それで表現されてる布のパースの差異がおもしろかった。

近くのポートギャラリーのキムさん作品も初めて見たけど、今回は写真で、アナログのザラザラした感じがすごく美しくて、やっぱりデジタルでは出ない良さがありましたね。
展示方法も凝っててインスタレーションとしてもおもしろかった。
来年2月の資生堂エッグに出ますね。

それから小山/タカイシイでやってる木村友紀 x 落合多武展も相当素晴らしいですね。
落合さんの作品純粋に好きです。脱色する絵画。
木村さんはパーテションと写真をセットで彫刻として発表してるのがすごかった。
下ではこの二人がキュレーション(?)した展示もやっててこれもよかった。
僕が見たことのあるここでやってた展覧会で一番ですね。あまり見てないけど。

最後にアートコートでこないだから始まった牡丹さんの展示。
なんとこの春に絵本作家デビューを果たした牡丹さんのその原画も展示されてた!!!
僕はてっきり牡丹さんは絵だけを担当したんだと思ってたら話も書いてたんですね。
牡丹靖佳ファンにはたまらない絵本です。その原画だったんで生唾ダラダラ。
他にも新作やインスタレーションまで、やっぱこの人の世界の作り方は絶妙。
絵本買わないとなー。こちら


最後の方飛ばしすぎてテキトー感がありますがこんな感じ。今年の関西はこれにて終了。
あと松井智恵や名和晃平展なんかも観たけど僕の中で観なかったことになってるのでノーコメント。
でも松井展でインスタレーションに使ってたレンガを展覧会後に6400円で売ってたのは吹いたw

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

「<私>の解体へ 柏原えつとむの場合」@国立国際美術館

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約2ヶ月以上ぶりのアート記事です。あわわわ。
まだ夏は終わってないけど、この先特に観ることもないのでこの夏に見た展覧会まとめ。

「<私>の解体へ 柏原えつとむの場合」@国立国際美術館
この夏観た中でやっぱり一番よかった展示。
恩師柏原えつとむ氏の美術館では初となる展覧会です。
これほどのキャリアの作家で初というのは意外かもしれません。
柏原氏は作家至上主義の美術界に常に異を唱え続けてきた人です。
なので、美術館という権威の元、「個展」という形式に対し抗ってきました。
そこでこの展覧会タイトルです。
これはあくまで「柏原えつとむ展」ではありません。
たまたま「柏原えつとむ」という人物が表現したにすぎない、一つのバージョンだという表れです。
なので「場合」という言葉がついているんですね。
デュシャンの「与えられたとせよ」という命題に近いかもしれません。
60年代後半から70年代にかけて発表されてきた作品が一堂に会する貴重な展示でした。
特に「方法のモンロー」はすごい。
画家の持つ「個性」をひたすら否定し続けている。
それでもそこからこぼれ出る、手癖や感性にとても魅力を感じました。
「未熟な箱たち」もおもしろかったですね。
なんか観ていてやっぱり僕はこの人の影響を受けているな、とつくづく思いました。
僕も作家の個性といったものに抵抗があります。
現在柏原氏がその作家の個性というものに戦っていた時代よりも、さらにその作家至上主義は加速しているように思えます。
美術館側もそれに甘んじているような印象すら受けます。
この展示を通じて改めて色々思うところができた気がします。
ちなみにこの展覧会の図録はすごいです。700ページを超える記録。
辞書のような厚さで、装丁は柏原氏の作品「THIS IS A BOOK」を思わせるデザイン。
なんだか企画側の愛をすごく感じました。こういうのはいいなぁ。
ちなみに「THIS IS A BOOK」はショップでも購入可能。
中身はコレクション展でご覧になれます。
展示は9月30日まで。


「リアル・ジャパネスク」@国立国際美術館
柏原さんの下の階ではこの展覧会が開かれています。
この展覧会に出品されてる泉太郎さんのお手伝いをさせていただきました。
泉さんは、神奈川県民ホールの「こねる」展から、面白い作家だな、と思ってて、横浜トリエンナーレでも一番印象に残ってます。
twitterで、手伝い募集の情報が流れてきたので、のっかってみました。
中々大変でしたが、泉さんの制作の仕方が近くで見れてとてもおもしろかったです。
再びデュシャンの「与えられたとせよ」ではないですが、泉さんはその問いをずっと問い続けているような気がします。
もう次から次へとアイディアが湧いてて、没になってもへこたれずに新しい案を出す。
その感じはすごかったですね。
手伝ってる方としては、それらがどう展示に結びつくのか最後まで想像つかなかったですけど笑
最終的に展示を見て、普通に観客として楽しめました。
ちなみに僕は映像にがっつり出てるので探してみてください笑

で、展覧会自体ですが、手伝っといてなんですが、残念ながら僕的評価は相当低いです。
さっきの「作家に甘んじてる」という発言がそっくりそのまま当てはまるような展覧会ですね。
キュレーションが出来てるとは言いがたいです。
まあ、もうタイトル見た時点でえ?って感じなんですが、作家の個展が集まっただけで、全体をとおしてどうとかいうのが全く見えてこない。
いいキュレーションというのは星座のように、展示から展示へどんどん線が結ばれて行って、最終的にひとつになるような印象を受けますが、今回はてんでバラバラ。
この個展形式、「絵画の庭」あたりから国立国際定番みたいになってきてますが、そろそろ気づいた方がいいんじゃないかな。全然有効的じゃないって。
そりゃ運営側としては、やりやすいし、見せやすいんだろうけども。


「隠喩としての宇宙」@ Taka Ishii Kyoto / ANTEROOM
こちらもキュレーションとして機能しているとは言いがたい展示。
森美術館のキュレーターさんが企画してるものらしい。
まあ、2会場に分かれてるし、規模もそこまで大きくないので難しいかもしれないけど。
確かに土屋さんの作品とか「宇宙」を連想させそうなものもあったけど、全体として「宇宙」をまったく感じなかったのは僕だけでしょうか。
でも作品単位ではいいものもあったしいいんだけどね。
大舩さんのロビーの長い絵はすごい。
まるで今回のスペースに併せて作ったかのようにぴったりはまりすぎ。
あとで聞いたら、そこは普段鏡がかかっていて、その鏡の寸法がなんと旧作とほぼ一緒だったとか。
そんなことあるんですか。。。
だから鏡の額縁にはめるだけでよかったそうな。すごい。
あと、アンテルームの方の土屋さんの作品もすごい。
全然見つけられなくて受付の人呼んで見つけたのが。。。やられた感がありました笑
タカイシイは9月1日までですが、アンテルームは10月まで延長されたそう。
このホテル、実はそこまで高くないので京都来る人は泊まってもよさそうですよ。


「杉本博司 はじまりの記憶」
展覧会じゃなくて映画です。
全体を通して「杉本博司ってすごいね」って映画です笑
まあ、すごいのは間違いないんですが、もうすでに食傷気味ですね。
でも、学生時代の頃のことやらのエピソードも盛り込まれてて杉本ファンは必見です。
「トップダウン方式で上から攻めて行った」という、MoMAの作品購入エピソードはすごい。
それで一発でその賭けに勝ったわけですからね。
しばらく杉本さんの作品を自分から観に行くことはないと思うけど、小田原のは楽しみにしてます。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

大舩真言「Voyage Intérieur -旅する内面-」@ gallery サラ

初めての湖西線に揺られ滋賀県は近江舞子へ。
湖西線すごかった。琵琶湖のほんの真横を通るので車窓からの風景がすごい。
近江舞子に着いたら、なんとギャラリーオーナーさんが迎えに来てくださった。
ものすごい狭い畦道を通り、車はどんどん森の中へ。
たどり着いた先は、凄まじい建物でした。。。
僕はてっきりカフェギャラリー的なものを想像していたのですが、美術館クラスの展示室。
様々な質の空間があって、そこらに点在する大舩さんの作品たち。
入ってすぐの黒い部屋では水平に置かれた大作。
中庭から入る燦々とした光が描く影により画面についてる鉱物がすごい存在感。
360度から眺められるので周遊するが、見る角度によって作品の表情が劇的に変わる。
同じ絵を見ているとは思えない感覚。
さらに、その光の影になってる場所に闇にまぎれるようにして一点展示されてました。
闇に目が慣れるまで見えない作品。こういうあり方もあるんですね。
そして最後まで気づかなかったけどこの部屋にはもう一点まぎれてました。

回廊には、色とりどりの、まるで海底に光が注がれているような作品がならんでいました。
これも白い回廊にぴったりでした。

しかし一番すごかったのが、丸い展示室(この展示室自体もすごい)にかかってた作品。
Rの壁に対して、1点真正面にかけられてるんですが、そのRによって、まるでこっちにせり出してるように見える。
全体に薄いグレイがかった画面で、近づくと相当複雑に色が重ねられてるのがわかります。
というか、それよりなにより、これまでの作品よりもさらに深化した抽象性。
これまでの作品は、さっきも「海底に光が」とか言うように、しばらく見てると、何かに見えてくる瞬間があるというか、それは人間誰しもものを見るのにこれまでの経験の引き出しから似たようなものを取り出して来てひとまずそれと比べようとするもんなんですが、この作品に関しては、いつまで見ていても何にも見えてこない。何も立ち現れてこない。この絵にしか見えない、といっても良いかもしれません。いや、もっと正確にいうと絵にすら見えてこない。やっぱり何にも見えてこないが正しいのかも。
これってすごいことだな、と思うんです。
これほど抽象度の高い作品って経験上見たことがないです。

最初の黒い部屋の奥にも、この延長とも言える白い画面の小品があるんですが、個人的にはこっちの方が込められてる抽象度は高い気がします。これは欲しい。。。
大舩さんの作品のここまでの到達、すごく感動しました。
空間も去ることながら、この作品たちを観に来る価値は相当あると思います。7月1日まで。

奥にはカフェもあって、行ったらかなり長居してしまいます。
その奥にも、先日関西日仏で観た丸い小さな作品も窓の風景を借景にして、ここならではのインスタレーションになってたし、いくつか小品も飾られてます。
帰りもオーナーさんに送ってもらってしまいました。。。
また来たいです!
驚愕過ぎてギャラリーの写真撮るの忘れました。。。
http://www.eonet.ne.jp/~utsuwa-sala/

ちなみに近江舞子には、恩師であり作家の中川好冝氏がやってるバーがあります。
金土日のみだったので行けませんでしたが、またの機会に!


川北ゆう「はるか遠くのつぶ」@ eNarts

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同級生の川北ゆうさんの展示。
昨年のαMの展示を観に行けなかったので、まとめて観るのは久々。
入り口には、彼女がずっと取り組んでるながれるストロークの作品。
入って最初の部屋は、僕は初めて観る作品群で、ものすごくよかった。
絵の具を水に浮かべて、アクリルで掬うようにして作られる画面たち。
人の手を超えて生まれる彼女らしい作品で、特に2点ほど絶妙なバランスの作品があってかなり気に入りました。
奥の部屋は、ストロークの大画面で空間として気持ちよかったですね。
あれだけの画面を一人で仕上げるのは本当にすごいなぁ。。。
下の地下の作品が、トリミングしてるアクリル作品だったけど、これはまだまだ発展の余地ありって感じでした。ブラックキューブの展示かっこよかったですけどね。
あと茶室に1点。
彼女の作品はどの空間に置いても映える強度があります。
特にeNartsは様々な表情のある独特の空間なので、それをもろともしない感じが清々しかった。
6月30日までなので是非。ちなみにオープンは金土日のみです。


森太三「海を眺める」@ ギャラリー揺

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京都の哲学の道周辺にあるギャラリー。
畳の展示室とお庭のセットで、ここも独特のギャラリーですね。
今回の森さんは、石膏像を砕いてさらに白に着色し、まるで海岸に打ち寄せる貝殻のように畳に配置したインスタレーションと、庭にそれらの破片で小さな山を形成されてました。
彼の場合は、小さなものから大きなものへと観客を導くのが本当にうまいな、と思います。
今回のインスタレーション、特に畳の方は、畳に座って、あるいは寝転がってでも、目線を低くして観ると、まるで波音まで聞こえてくるような大きな海のイメージが喚起されます。
そういう意味では大舩さんとはまったく逆の効果とも言えますね。
また、月並みな見方をするならば、西洋の美(石膏像)を破壊することで新たな美を創造しているのもおもしろいですね。よかったです。
この展示は6月3日で終わってしまいましたが、今月20日からneutron tokyoで展示が始まります。
僕は観に行けませんが、東京の方は是非!こちら


「45x45 -On The Wall- Vol.2」@ GALLERY ARTISLONG
知人作家の越野潤さんが出してらっしゃるので観に行ってきました。
思えば越野さんと出会ったのも、前回2年前の同企画。
これには前回川北さんも出してました。
45cmx45cm内の作品を展示する展覧会。
今回越野さんの作品はまず見つけられないと言われてたので覚悟して行ったんですが、この企画の安藤さんに即効で場所言われてしまいました笑
それにしてもあれはやっぱり見つけられないでしょうね。。。
サイトスペシフィックな作品でした。攻めてますねー!よかったです。
他にもペインティングが何点かおもしろいのありました。6月24日まで。


「大イタリア展―Viva Italia!」@ studioJ
すごいタイトルの展覧会笑
オーナーさんの趣味が爆発!って感じですが、オーナーさんはとても良い方ですよ。
で、こちらには知人作家の碓井ゆいさんが出されてました。
この展示は、スタンダードブックカフェでもやってたんですが、同時開催とばかり思ってたら、studioJさんの展示が始まる頃には終わってた!
ということでそっちは観にいけませんでした。。。
で、Jですが、碓井さんはなんと陶芸作品を出されててびっくり。
そういえば最近陶芸もやってるとのことでしたが、なんでもできちゃうんですね。。。すごい。
他にも荒木由香里さんと加賀城健さんの作品がよかったですね。
小さいながらも良作が詰まった展覧会でした。こちらは6月23日まで。


矢嶋有司「formless works」@ N-MARK B1

関西ではなく名古屋の展覧会です。
この秋名古屋で展覧会をするので、その下見に行った際に立ち寄りました。
ちょうどこのN MARKという長者町にできたスペースがオープンしたとこだったので行ってみました。
矢嶋さんは、関西でも発表されてるので何度か観たことがあって、今回は、お店のペンコーナーにある試し書きの紙をモチーフに作品を展開していました。
落書きをネオン管にしてみたり、様々な試みをやってましたね。
ただ、やっぱり、実際のその試し書きの紙を額装してたのが一番おもしろかった。
ああいう何も考えずに書いた人の落書きって色んなこと孕んでます。
自分で生み出した造形ではないっていう着想自体がおもしろかったです。

ところでこのビルはまるごとデザインやアーティストがスタジオにしてておもしろかったですね。
今長者町は、閉じてしまった繊維業のビルをものづくりにあてがうプロジェクトが進行していて、これからの愛知のアートシーンを占う上でもおもしろいですね。
というかなによりみんな楽しそうにしてたのがよかったなー。
大阪もこうなってほしいんですが。。。はぁ。






おまけ

近江舞子駅前の周辺地図のイラストが卑猥だったので1枚ご愛嬌。

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テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

川辺ナホ「ブリューテンシュタウブ」@ Port Gallery T

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今月もほとんど展覧会観ないまま終わっていく。。。
ということで今月は4つ。ってまだ終わってないけどもうないかな。

その中でも最もよかったのは川辺ナホさんのPort Gallery Tでの展示。
昨年のshiseido art eggで記憶されてる方も多いのではないでしょうか。
僕はその展示は観てないんですが、今回観られて本当によかった。
ちょうどshiseido art eggの際にあの地震が起き、あの状況下で自分の作品を誰かに見せているというのは中々考えることも多かったと思う。
しかも川辺さんはドイツ在住で、母国が大変なことになっている中での海外生活とは中々つらいことも多かったと勝手に想像してしまいます。
そしてその一年を通して結実させたのが今回の展覧会だったんじゃないかな。
展示会場に置かれている作品は、すべてがモノクロームの世界。
しかもほとんどが黒。
普通黒というと、あまり元気になる色ではないのだけれど、にも関わらず、僕はひたすら彼女の作品に光を感じて、何か救われた気持ちになりました。
床に撒かれたレース模様の黒鉛は、カーテン越しに差し込む柔らかな光を想起させ、暗闇に点灯するクリスマスの明かりを撮影した写真にも人間の営みの中に欠かせない光を感じた。
映像も、暗闇の中を照らす作品だし、すべてに光の存在が欠かせなかった。
今回の展覧会のタイトルは、ドイツロマン派の詩人、ノヴァーリスの散文集のタイトルからとられた「花粉」を意味するドイツ語だそうだけど、やはり僕はこの展覧会に名前をつけるとしたら「Lichter(光)」だと思う。
あの小さな空間にメディアも違う様々な作品が置かれていたけれど、全てが一貫していて、すばらしい調和を織りなしていてとても気持ちよかった。
この展覧会は会期が延長され、GW中も日と月曜以外はオープンしてるみたいなんで、関西来られる方は是非。きっと清々しい気持ちになれます。
それにしても床のインスタレーションはどうなってるのだろう。。。オープニングで既に踏まれていたけれど、その崩れ方がまたすごく美しくてよかったなぁ。
ここのギャラリーは小さな空間の中で絶妙なバランスの展示が多くてお気に入りです。
http://www.portgalleryt.com/exhibitions/naho_kawabe_2012.html


越野潤「two colors」@ GALERIE ASHIYA SCHULE

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知人作家の越野さんの展示。
今年できたばかりの芦屋の画廊です。
芦屋に画廊ってどんだけハイソなんだ。。。
どこか円山公園のeNartsと同じ匂いがしますね。
行ってみたら、建物まるごとギャラリーでびっくり。
この感じは恵比寿のMA2 Galleryみたいな感じですね。ただしこちらは一階のみ。
この建物、中も四角ではなく、不思議な形をしています。
決してやりやすいとは言いがたい空間ですが、今回の越野さんの展示は見事にその空間を扱っていたように思えます。
まるで建物の切り取り線のように小さな矩形の作品たちが壁をぐるりと囲みながら、観客を奥へ奥へと誘導していきます。
小さなアルミの周りの反射も美しくてよかったです。
残念ながら展覧会自体は終了しています。
にしても芦屋にマクドナルドがあるのがびっくりでした。


今村遼佑、久門剛史2人展「雨とクオンタイズ」@ Antenna Media
ここも初めて行く空間。Antennaさんの基地みたいな場所です。
元々工場かなんかを見事に改装していました。場所も五条にあって便利。
今回友人作家の今村君の展示がやってたので行ってきました。
今回今村君はなんと映像作品を出してました!
映像というより音にすごく関心があるのがわかる映像で、アプローチがやはり映像作家とは何か違う感じがしておもしろかったです。こういうどんな素材も平等に扱っていけるのが今村君の強みですね。これから映像がどうなっていくのかまた楽しみです。
さらに2階は今村君と久門さんの作品が融合したような空間が出来上がっててびっくり。
お互いが無理にコラボレーションしてるのではなく、各々自分の作品展示してるうちにそうなったみたいな感じがすごくよかった。
こちらも終了済みです。


佐川好弘「orz」@ GALLERY wks.
先日知り合った佐川君の個展。
orzをテーマに、様々なアプローチで作品が展開してましたが、いかんせん説明がないとわかんないことが多くて片山さん(オーナー)が大変そうでしたw
まずorzが何かわかんない人が多いそう。
僕も最初擬音語か何かと思ってて、結構わかるまで時間がかかったのを覚えてます。。。
そしてDMになってるイメージは、ある漫画から主人公がひざまづいているシーンを切り抜いたもので、その元ネタ漫画も置いてあるのだけれど最初なんのこっちゃわかりませんでした。
挫折と希望というテーマから導きだした答えがこの漫画のタイトルなんですが、ヒントはある場所の土です。球児たちが持って帰るあの場所です。
それにしてもあの土が販売されてると聞いてびっくりしました。
奥の部屋にはその土を陶土に混ぜて、orzの形に焼いた陶作品がズラッとならんでました。
そしてさらに奥には、orzのoの部分に顔を入れて記念撮影できるパネルまで笑
しかもその足下には短距離走の時の足場が組まれていて、ひざまづくポーズが自ずとクラウチングスタートになるという小技までw
僕は時間なくてできなかったけど、ちょうど行ったらやってはって面白かった。
片山さんがフェイスブックにアップしているらしいwww
この展覧会も終了しちゃいました。


「建築と無常」@関西日仏会館
会期が一週間だけだったので、もう行けないと思ってましたが行けました!
京都大学の前にある洋館でめっさいい感じ。
しかも中は黄色く塗られてたりイチイチおされ。
午後から表の庭でスタッフがお茶しててめっちゃ優雅・・・。
展覧会がどこでやってるのかいまいちわからずスタッフに聞いたら片言の日本語で案内してくれました。
目的はなんといっても大舩真言さんの作品。
しかも今回は映像作品まで出されてるというので興味津々でした。
大舩さんの作品は4点。3点は日本画で、奥の光を調整して見せる丸い作品はやはり見事。
そしてその作品を撮った映像作品がものすごくよかった!
大舩さんの作品は光や時間によって、ものすごく変化するのだけれど、その変化はいつの間にかといった感じでいつもその瞬間は捉えられない。
でも映像になると、ひとつフィルターが入ることで客観的に見えて、その変化をつぶさに観察することができました。
作品的に野外での展示はむずかしいのだけれど、写真や映像であれば可能だし、大舩さんの作品は変化に富んだ野外で見るのにもってこいの作品だと思います。
まあ、写真や映像になると、説明的になりすぎるきらいももちろんあるけれど、こうして作品と一緒にならべられることで互いに補完しあえる感覚がありましたね。
他の作家さんでは、ミュリエル・ラディックの写真がものすごくきれいだった。
インクジェットの黒ってすごく好きです。
近藤高弘さんの作品は正直よくわからなかった。
ところでエリザベス・クレゼヴーの作品はどこにあったのだろう?
行けてよかったです。4月28日まで。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

寺田就子展ー影の隙きまに眩うー@galerie16

気づけば年度末最終日です。
今月は遠征するつもりがまったくできなかった。。。
見た展覧会は知人の展示のみです。

まずは寺田就子さんのgalerie16の展示。
今回は空間を暗くしての展示。意外でした。
前の壁に光を投影し、その薄明かりの元に浮かぶオブジェたち。
あらゆる事物が緩くつながっていく様はとても清々しい気持ちになりました。
そして印象的なのが、鏡による反射。
プロジェクタの光を直接鏡が別の方向に屈折させているものもあれば、鏡のかけらたちが儚げに反射させる光も空間に広がって、オブジェだけではない存在を感じさせました。
また、16の空間はメイン会場とアペルト会場に分かれていて、この暗い部屋がメイン会場で、小作品がちりばめられた会場がアペルトでした。
個人的にアペルトに展示されてた小作品たちが愛おしくて仕方なかった。。。
さじの作品が一番好きでしたが、小さなオブジェに大きな宇宙を感じさせる寺田さんはやっぱりすごい。
どれもいつまで見ていても飽きさせない作品ばかりでした。
そして、メインとアペルトの会場をつなぐのが、A4用紙に印刷された文章。
これが、壁を通じて裏表同じ場所に貼られていて、小憎い演出。
しかもメインの方は暗くて読めないってのがまたよかったですね。
こちらは本日31日まで。間に合う方はぜひ。こちら
寺田さんは岐阜のGALLERY CAPTIONのグループ展にも出されています。こちらは4月28日まで。


お次は笹倉洋平さんの個展。
もう何年ぶりでしょうか。
DMいただいてすごくうれしかったです。
近年は撮影のお仕事が忙しくされていたようです。僕も昨年少しお手伝いしましたw
この展覧会会場のクレフテさん。PANTALOONに通ってた頃から気になってましたが、今回初潜入。
デザイン事務所で、夜はバーになっています。
そしてたまにこうして展覧会もやってるみたい。
中津はデザイン事務所が多くて楽しそうですね。
その前にある真っ赤なバーも気になる。。。
さて、展覧会ですが、あの線を久々に見られて感動でした。なんかしみじみ。
作品としては中程度の大きさで、以前の圧倒するような膨大な線の集積はなかったですが、積み重ねてきた線の軌跡を感じる温かい作品たちでした。
個人的には大きな作品も見たかったですが、それはまた次回に期待。
ライブペインティングも行われていたそうで、残念ながら行けず。。。涙
ご自身のブログにその様子がアップされてましたが、すごい人の数!!
笹倉さんの作品に対する期待が伺えますね。こちら
この展示も今日まで!ぜひ!


そして、最後も知人作家の山岡敏明さんの展示。こちらはグループ展です。
山岡さんも久々の展覧会でした。
赤い「グチック」ががんがん描かれている様がプロジェクションされていて、その実際の大きなドローイングも4点展示されていました。
形を探りながら、まるで遺跡を彫っていくように描かれていく様はおもしろいですね。
この過程を映し出すという展開は山岡さんのドローイングにとって非常に有益だと思いましたね。
山岡さんは元々ペインターなのですが、そのドローイングは非常に彫刻的なのがおもしろい。
これからどう展開していくのかまた楽しみになりました。


以上今月3つだけでした。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

鑑賞記録 1月2月編

1月2月の鑑賞記録。
1月は展覧会があって、中々見れなかったけど、2月に一気に見ました。
といっても、2月前半の段階でもう見る展覧会はないです。すいません。
以下リスト。観た順。

・宮崎敬三「IMAGINATION」@ 7-23 gallery
・大舩真言「巡り-2012-」@ ギャルリー正観堂
・越野潤「interlude-合間の出来事-」@ Gallery Yamaguchi kunst-bau
・寺田就子「オレンジに灯る影」@ Port Gallery T
・「冬の引き出し」@ Port Gallery T
・高柳恵里「べつもの」@ SAI GALLERY
・立花常雄「虚片」@ The Third Gallery Aya
・宮永亮「scales」@ Kodama Gallery Kyoto
・「作家ドラフト2012」@ 京都芸術センター
・麻生祥子「still lifes in my home」@ アートスペース虹
・「京都市立芸術大学博士課程展」@akcua

まずは大阪の展覧会から。

越野さんの展覧会は近年取り組んでるアルミの立体とも絵画ともとれる作品群。
空間への配置がすごく意識されててよかったけれど、ちょっとサイズが大きい気が。
個人的に特別に見せていただいた「stars」という碁石サイズの作品がものすごく好き!欲しい。

欲しいといえばPort Gallery Tで開催された「冬の引き出し」展の寺田就子さんの作品。
奥の引き出しにしまわれてた箱の作品は本当によかった。
とてもささやかなんだけれど、その中で人の心を揺さぶる力を寺田さんの作品は持っています。
ギャラリーに展示されてた何層にも重ねられたアクリル板越しに見る写真もすばらしかった。
寺田さんはこの「冬の引き出し」展の前にプレ企画として同ギャラリーで4日間のみの個展も開催。
昨年のakcuaで開催された「転置」展でも出してた作品でしたが、なんか今回の方がよかった。
寺田さんは来月galerie16やキャプションでの展示もあるので楽しみ。
「冬の引き出し」展には後輩の松本絢子さんの作品も出ててこっちもすごいよかった。
この展覧会は、15名もの作家の作品が並んでますが、全然うるさい印象がなく驚きでした。
それぞれの作品がすごく良くて、とても気持ちの良い空間。
なぜかこの展覧会を観に行った日に、このギャラリーが入ってるビルの玄関先に国立国際美術館の過去の図録が平積みされてて、ご自由にお持ち帰りくださいとのこと!
欲しかった「アヴァンギャルド・チャイナ」展の図録を含む、「現代美術の皮膚」「藤本由起夫展」図録3冊いただきました!ラッキー!
「アヴァンギャルド・チャイナ」の図録は、ネットオークションとかでも探してたぐらいだったので、本当にうれしい。買わなくてよかった<ぉぃ
こないだ草間彌生展の図録ももらったし本棚が国立国際美術館の図録だらけに!
まあ、草間展はまだ行ってないし、あんま行く気もないけど。。。

ところでこの中之島界隈は、Port Gallery Tも含めていいギャラリーが増えました。
SAI GALLERYとThe Third Gallery Ayaも本当にいいギャラリー。
高柳さんって以前京都芸術センターで碓井さんと一緒にやってた人ですね。
本当に言われないとわからないぐらいささやかな世界感。。。
ギャラリーの人が説明してくれなかったら何もわからず帰ってしまいそうだった。。。
サードギャラリーの方は、路上の苔を写したモノクロ写真。
ポートフォリオ見てたら以前の作品がすごくよくて実物拝見したかったな。


お次は京都編。

宮崎君と麻生さんは精華大の同級生。
2人とも久々の発表でしたが、仲間ががんばってるのは本当に励みになります。
同時期神戸でやってた山元彩華展と東京でやってる90の泉洋平展に行けなくて残念。
また、麻生さんの前の前に虹でやってた後輩の塚田裕介展に行けなかったのも悔やまれます。
宮崎君の個展は前の記事でも触れましたが、本当色々考えさせられました。
3.11の世界とまっすぐ向き合ってる姿勢が痛いほど伝わりました。
麻生さんは学生時代から無茶ぶりで有名でしたが、今回もすごかった!
ギャラリーの真ん中に泡の池を現出させてましたからね。。。
その池の水面きわきわに浮かぶのは布で織られた家具や衣服など。
この2つの関係がイマイチ伝わりにくいのが残念でしたね。

あとは宮永君の個展。
1階で流されていた「arc」という映像はαMでも見たものでしたが、今回はインスタレーションとしてではなく、大画面でシンプルに投影していて、断然こっちの方がよかった!
2階には新作「scales」が。こちらは横長の画面に映されたもので、下にメトロノームが。
宮永君の作品は、映像の中身はもちろんですが、インスタレーションとしての完成度が高い。
映像を如何に空間に置くかをすごく考えてる作家だと思う。
もちろんあらゆる映像作家は多かれ少なかれそういうことは考えているとは思うものの、彼ほど徹底して考え実践してる映像作家は稀。
例えば今回の「arc」で感心したのは映像の配線の処理。
絶妙にかっこいい具合に配線がプロジェクターとスピーカーを結んでいる。
映像展示の一番のネックはなんといっても配線。
ほとんどの人がいかにそれを隠すかを考えると思うんだけど、彼の場合はいかにそこも見せるかを考えているように感じる。
2階の展示は特にそういうのが全面に出てました。
メトロノームももちろんそうだし、プロジェクターを支える台から、投影する木製のスクリーンまで、妥協せずに作られてるなぁとすごく思います。
αMの時はそれが過剰すぎて、逆にそれがノイズになってしまったのが残念だったけど、今回はそれらがうまいバランスで成り立ってました。
児玉画廊の京都の空間と宮永君の相性がいいのかもしれませんね。
てか映像見ろよって話ですね、、、。

その後、芸セン毎年恒例の作家ドラフトへ。
今年の審査員はチェルフィッチュの岡田利規さん。
時間がなくて、映像やったらアウトやなぁ、と思ったら北も南も映像って!!
しかも宮永君の映像見た後やし、インスタレーションとしてのクオリティが。。。
北の潘逸舟さんの映像は、去年のヨコトリの時新港ピアで見てた。
南の小沢裕子さんの映像は、いかにも岡田さんが選んだ作品だな、という感じ。
映像自体ではなく、字幕をこそ作品の中心とするもの。
どちらも関東の作家さんで、関西ではあまり見ることのないタイプの映像だったので新鮮といえば新鮮だったけど、魅せられることはなかったなぁ。

京芸博士展は、なぜか会期の都合で八木さんと児玉さんの作品観れなかった!
なんでそんな中途半端なことするかな。。。
それでも、油画の関口正浩さんと黒宮奈菜さんの作品を観れたのは本当によかった!
関口くんの作品は、油絵を皮膜のようにはがして再び画面に貼るという行程を介した絵画。
ちゃんと展示された状態を観たのは初めてだったけどめっちゃかっこよかった!
今回は黒とシルバーの2色の画面で、三連画。
やり方はキッチュに聞こえるけれど、展示されてたそれらは本当荘厳さすら感じた。
三連画ってのがまたいいですね。
黒宮さんの作品は、昨年の学内展で観た時はどうなるんやろうと不安でしたが、今回の作品群はものすごくよかった。画面がものすごくきれい。
垂れた雫がそのまま固まってたけど、あれ床に置いたらアウトですね。
展示前までどうしたのだろう。展示してからかけたのかな?
行けてよかったです。

そして最後に大舩さんの個展。これは本当にすばらしかった!!!
大舩さんの作品は、近年そのインスタレーション性を強めてきていたけれど、今回はシンプルに作品1点1点を見せる形での展示で、改めてその作品の強さを見せつけられました。。。1点欲しい。
初めて見る掛け軸まであって、大舩ファンにはたまらない展示でした。
展覧会中だったのでかなりスケジュールぎりぎりでしたが観に行ってよかった。。。

以上1月2月鑑賞記録でした。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

Breaker Project 2011「梅田哲也:小さなものが大きくみえる」@福寿荘

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通天閣のお膝元。阿倍野区と西成区の間という「ザ・大阪」って感じの場所に建つ廃墟寸前築60年の木造アパート福寿荘。
このへんは最近再開発が進んで、天王寺駅前には109なんか建っちゃうんだから驚きです。
そんな中ここは時間が止まったような場所。
黄昏時に行ったのも手伝って、物凄い郷愁でした。
それにしても福寿荘のお化け屋敷感が異常。
この企画、一日一人だけ泊まれるそうですが、これはさすがに無理!
でももうすでに全日予約でいっぱいだそうです。。。皆すごいなぁ。
とにかくめちゃくちゃ恐いです。床とか抜けるんじゃないかすごく心配。
そんな中で梅田さんの作品が色んな所に点在。
特に屋根裏の展示は異世界です。
色んな電灯が吊るされてて、紐が下とつながってて、下の人が引っ張るとちゃんとついたり消えたり豆電球になったりします。
部屋を巡りながら、すごいグッドタイミングで水を使った作品が動き出した!
梅田さんの作品は一度動いた瞬間を逃すと中々動かないんで根気がいります。
今回はすごくラッキーでした。
全体としては、ちょっとハマりすぎててそこまで感動はできなかったなぁ。
今後この建物は若手作家のアトリエとして使ったりするらしい。怖すぎやろ!
梅田さんの展覧会の詳細はこちら

もう1つ梅田さんの展覧会が神戸アートビレッジセンターで開催中です。
Exhibition as media 2011「梅田哲也:小さなことを大きくみせる」@神戸アートビレッジセンター
個人的にはこっちの方が好きでした。
あの使うのが難しそうな空間を見事に使いこなしてました。
このセンターの「機能」を利用することでその空間を解いてたのがとてもおもしろかった。
例えば1階の自動開閉するシャッターを使った作品とか。
特に地下のシアターを使った作品は素晴らしかったです。
初め暗すぎて何も見えなかったけど、徐々に目も慣れていろんなものが見えてくる。
映写機が動き出してからがクライマックス!
物凄く居心地のいい空間でした。楽しかった。
スタジオの作品もよかった。
あれドラムセットはどうにかなるんかな。。。結局わからないまま出てきてしまった。。。
そして1階の時計の作品は動き出すまでの相当時間かかった。
根競べですね。こういう「待つ」というのも梅田作品の魅力のひとつでしょうね。
結果ものすごいことが起こるわけでもないんだけど、動いた時のうれしさはすごい。

上の2つはどちらも12月4日まで。オススメです。
どちらも阿倍野と新開地というカオスな立地ですが。。。


その他に最近観た展示。最近このやり方多いですね。手抜き御免。

大舩真言/高橋治希展「COLORS OF SEASONS」@京都芸術センター
京都では国民文化祭というものが現在開催中です。
といってもイマイチ何が起こっているのかわからないというのが実情w
で、その関連企画でもある京都芸術センターでの企画。
たった一週間だったので観に行けるのか不安でしたが最終日に滑りこみ。
まずはギャラリー南で高橋治希さんの展示。
越後妻有などにも出品されてる陶の作家さんです。
こちらは九谷焼で出来た花たちを中空に浮かせた非常に繊細な展示。
歩くルートも決められていました。
床に落ちる影も美しくて、非常に優雅な展示。
北では大舩さんの展示が行われ、あの展示室でどういう空間を見せてくれるのかと相当期待高めて行きましたが、やはり想像を遥かに越えた展示の作り方。。。すごい。
まず入っていきなり壁が立てられています。
回りこむと段があって、その段の前の壁に大作が一点かかっています。
ゆるいカーブのかかった段に座りながら眺める景色。
床が今回そうとう綺麗になっていて、絵画の映り込みが本当に美しかった。
芸術センターの床は相当汚いので相当磨いたんやろうなぁ。。。
以前内海さんも会場に来て先ずやったことといえば床磨きだったそうです。
まるで水面のような床と大舩絵画の対比が凄まじいです。
彼の場合は、もはや作品とかを超えて、違う次元にまで連れていってくれます。
こういう空間へのこだわりは毎回感嘆させられます。今回もすばらしかったです!

ルネサンスー京都・映像・メディアアート@京都芸術センター。むろまちアートコート
こちらも国民文化祭関連。
更に文化庁メディア芸術祭の一環でもある。
全貌としては京都文化博物館やらマンガミュージアムなども何かやってたようですが、たまたま烏丸寄ることがあったので、ラスト1時かんで文字通り駆け足で見ました。
映像展で、しかも2会場を1時間はさすがにきつかった・・・。結構なボリューム。
ギャラリー南では国立国際の「世界制作の方法」で話題沸騰のクワクボリョウタ氏。
やっぱ国立国際の方がいい。要素が多ければ多いほどいいってだけだけど。
北は京都芸大教授の中居恒夫氏の作品。個人的には結構無理でした。。。
他にもセンター内にたくさん展開していて、八谷和彦さんの「視聴覚交換マシン」なんかも。
大広間のSHIMURABROS.の作品がかなりよかった。
3スクリーンの寓話的ストーリーで、全部は見れなかったけどおもしろかったです。
水道のところの水野勝規さんの作品もすごく綺麗でした。
むろまちアートコートでは、宮永くんの作品スクリーンでギリギリみれてよかった。
1スクリーンで7組の映像を順に流すのは中々しんどいものがあるなぁ。。。
全体として、映像っていうメディアしばりのみってのもなんかわかりにくい感じでした。

白子勝之「exhibition2」@eNarts
eNarts作家の白子君の展覧会です。
今回改めて展覧会で観るのは初めて。
彼の作品は工芸と美術とが本当にうまい具合に融解した絶妙な作品。
先日観た石塚源太氏とはまた違った魅力があります。
制作にものすごい時間がかかるだけあり、本当にクオリティが高い。
おそろしい程の細かさと技術に裏打ちされたまさに工芸品といっても過言ではないです。
ただ、地下の作品はちょっとそういうところから外れていてあんまりでしたね。
11月27日まで。金土日しか開いてないのでご注意を。

東樋口貴子「uyutono」@kara-S
同級生の東樋口さんの展覧会。
彼女は在学中に突然ロシアに留学しロシア語を学んだ不思議な人です笑
今回の展覧会のタイトル「uyutono」(ウユートナと発音します)は日本語で「心地いい」という意味だそうですが、意味と言うよりこの語感にインスパイアされた色鉛筆でキャンバスに描かれた作品。
どれも雲のようなやわらかい印象で、特に遠目ではわからないぐらい薄く描かれた作品たちが結構お気に入り。
こうして同級生たちが作品を発表し続けてるのはすごく刺激になりますね。

むこうスタジオのオープンスタジオ
京都の向日町にあるスタジオ。
メンバーは清田泰寛さん、羽部ちひろさん、HYON GYONさん、前川紘士さん、山本彩さんの5人。
うちも向日町近くにあるので、ご近所さんが出来たとちょっと新鮮。
今年の3月から借りられてるそうで、これが初めてのオープンスタジオ。
元々竹の倉庫だったらしく、天井高がかなりある。
2階と1階でゆったりと使っていました。
他のスタジオ見に行くのは中々刺激的です。
これからゆるりとお付き合いしていければと思います。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

鉄道芸術祭vo.1「 西野トラベラーズ 行き先はどこだ?」@アートエリアB1

気づいたら一ヶ月放置してました。。。
スポンサーサイトの広告とか出てたし。
明らかに展覧会観に行く回数減ってますが、まだやっていきますんでよろしくお願いします。

さて、復帰第一弾は西野達さんの個展です。やっぱこの人すごい。
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なにわ橋駅内のアートエリアB1に2階建てのネットカフェ(?)がオープン!なんてシュール!
最初中にいる人パフォーマーなのかと思ったけど、普通に観客でした。
僕も入ってみたけど普通にくつろげました笑
でもどこかで見たことある風景やな、と思ったらPerfumeのワンルーム・ディスコですね爆
西野さんPerfumeとか知ってるのかな。
それにしてもこの「ネットカフェ」で観た映像が衝撃すぎた。。。
他にもりんごで出来たオブジェ(匂いがすごい)や、街灯が物干し竿みたいになった彫刻や、京阪沿線をリサーチした壁画や、家の玄関と電車の入り口が合体した門なんかもあって、西野ワールドが爆発してます。
西野さんは屋外で力を発揮する人ですが、屋内もすごいです。オススメ。12月25日まで。
ちなみにこの企画は、他にもcontact Gonzoの映像やパフォーマンスがあったり、京都で横山裕一さんの展示があったり、色々連動してます。コチラ


他にも最近観た展覧会をざざっと。減ってるとは言え一ヶ月もすると結構観てる。

世界制作の方法/アンリ・サラ/中之島コレクションズ @ 国立国際美術館
今国立国際は3つも展示がやっててかなりお得感があります。
メインの「世界制作の方法」は確かにおもしろかったけど、何かが足りない感じ。
せっかくのグループ展なのに、一作家ずつ区切られすぎてて、9つの個展を観てるよう。
確かに「世界制作」と言うぐらいだから、その作家の世界はひとつひとつ独立しておく必要があるのかもしれないけど、もうこの展示方法飽きました。
むしろ9つの世界が混ざり合って1つの世界を作り上げるぐらいの気概がほしかった。
特に国立国際はこのやり方一辺倒な感じですね。前の風穴展もそうだし。
確かにキュレーションしやすいだろうし、作家同士のいざこざも少なさそうだし、客も見やすいし。
で、結局僕は木藤さんの展示がやっぱり一番好きでした。
作品との出遭い方をすごく大事にしてらっしゃる。
他にはエキソニモが気になった。奥の部屋の展示がいい。
人気のクワクボリョウタさんの展示は個人的にはイマイチ。おもしろいけどそれ以上がなかった。
パラモデル、鬼頭さん、金氏さんはいつもどおりな感じ。半田さんはよくわかんないです。
大西康明さんの展示は、愛知より今回の方がよかった。広い空間の方が映えますね。
アンリ・サラ展は、思わせぶりすぎて個人的にイマイチ。
中之島コレクションズが予想以上に凄まじかった!
ロスコとかマグリットとかバスキアとかいいのか?ってぐらい近くで見れます。
柵も額もないので非常に心配なのだけど。。。
3つとも12月11日まで。

佐川晃司「絵画意識」@ 2kw GALLERY 
大学時代の恩師の個展。
2kwは前を通りかかったことがあるくらいで初めて。
靱公園の緑が入ってくるとても豊かな空間。
そして佐川さんの深い緑の静謐な絵画たち。
佐川さんの絵は大作よりも小品や15号ぐらいのが個人的に好み。
一色では言い切れない色見が見れば見るほど見えてきて見飽きないすごい絵画たち。
茶室にした小さい部屋の方は、独りで観るとより感動的。
オレンジの絵がすごかった。。。夕方は茶を立ててたそうです。

キリコ「フラストレーション」@ Port Gallery T 
佐川さんの帰りに寄らせていただきました。
初見の作家さんでしたが、以前のDM「旦那 is ニート」のインパクトで覚えてました。
写真を使った映像インスタレーションで、聴覚と視覚がちょうどいい塩梅。
映像の中身が意味深すぎて本人に聞けませんでした笑

石塚源太「たゆたうさかいめ」@ ARTGOURT Gallery
評判がよかったので少し期待しましたが、ピンと来ませんでした。。。

国谷隆志「MARS」@ Gallery PARC
息を閉じ込めた作品が気になった。

中島伽耶子展 @ ギャラリーフロール
後輩である現在3年生の中島さんの個展。
これ実際には見てません。
ただ、搬入の最初の方だけ見てました。
ギャラリーの床を墨で満たすというとてもアンビシャスな作品。
しかしそのアンビシャスさ故に、会期一日目で撤去となったそう!!
やっぱ液体は難しい。でもそのアンビシャスは素晴らしいと思う。
会期一日目で撤去なんて伝説作っただけでもすごい。
自分も本気で見倣いたい誇れる後輩です。肉食系!
今度写真で見せてもらいます。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

森太三「空を眺める」@ GALLERY wks.

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森太三さんの個展がwks.で開かれると聞き駆けつけました。
森さんとwks.と言えば2006年の「sky mountain」。
心の底から感動した未だに忘れることのできない展示でした。
森太三展「Sky mountains」@ギャラリーwks.

それから森さんの作品を何度か拝見させていただいてきたのですが、正直あの時ほどの感動に見舞われることはありませんでした。(すいません、森さん)
特に近年の粘土を玉にする仕事は、やろうとしてることにとてもスケールを感じるものの、実際インスタレーションとしてイマイチピントが合ってない感じがしてもどかしかったのです。
こういう量をこなす仕事って、「うわぁ、大変やったやろな」って思わせると負け。
そういうことを飛び越えて作品世界に如何に没入させるかが勝負だと思います。
その点で、例えばneutronの床一面にカラフルな玉を敷き詰めた作品なんかは正直負けてたと思う。
繋げて雨粒のようにした仕事とかも、ガラス越しに見せる仕事も、なんしかneutronでやってた作品はことごとく「負け」てたと言ってもいいかも。(すいませんx∞)

前置きが長くなりました。
今回の勝負。完全に勝利でした。

もう滅茶苦茶感動しました。泣きそうになりました。
これまでやってきた森さんの玉の仕事の1つの到達を見た気がしました。
中空に浮かぶ、玉の数珠が複雑に絡みあう様。
絞られた光と、外から聞こえてくる音。
腰を屈めてその下に潜り込み、さらには開いた隙間からその上を覗く身体性。
たまに座って見上げたり、あるいは寝転んでみたり。
玉の仕事量とかそういうの飛び越えて、なんにもない広い空を眺めているようなスケールを感じます。
スペースの大きさもこれぐらいがちょうどいいのかも。
決して広いとは言えないスペースだけれど、草原のような拡がりを感じる。
いい作品というのは、自分がどこにいるのかわからなくさせる力があります。
この作品はまさにそう。
上から見ても、まるで雲海を眺めているようなスケールです。
壁に落ちる翳も美しい。
玉の色は白一色だけれど、陰影を受けて、百色に。
聞こえてくる音も何もかも肯定的に聞こえる。
書いても書いても書ききれないぐらいの感動でした。

オーナーの片山さんとも久々に色々お話ししました。
この展覧会は、wks.が不定期に行なっている、wks.x visionという企画の第四弾。
片山さんが積極的に作家と関わって創っていく展覧会。
今回の展示は特に、片山さんと森さんの共同作業といってもいいのではないでしょうか。
やはり、片山さんも近年の森さんの作品にもどかしさを感じていたみたいで、色々アドバイスをしながら、創り上げた展示で、そのプロデュース力も素晴らしいなと思いました。
作品とは作家一人で作れるものではありません。
作家の独創性なんて、たかが知れてます。
志を持ってみてくれてる周りがいてこそ成り立つものです。
そしてそういう人たちの方が自分の作品のことをわかってくれてたりします。
そういうのが今回すごくわかった気がしました。

行ったのは昼間で、夕方になるとまた外光が変わって違う表情が出るそう。
近く寄ったらもう一回見てみたいです。
10月15日までwks.にて。日曜休みです。
http://www.sky.sannet.ne.jp/works/


それにしても作業大変やったやろなぁ。
今回は特に白一色だから、気分転換もできなくて中々つらかったそう。
でもこういう苦しい作業こそ、展示に映えたりするんですよね。つらい。。。
やっぱ制作が楽しいと、作家の自己満足に陥るリスクが結構ある。
もちろん制作楽しんでやってる方々もいるんだろうけど、それでいい作品なら本当すごい。
また、設置しながらこれでいいのかと相当不安だったという話も。
でも片山さんのアドバイス信じてやり続けたそう。美しい。
作家が不安になるぐらいがちょうどいいんですよね。
って、こう書くと制作展示ってそうとうドMな作業ですね。実際そうですが。。。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

杉本博司「アートの起源 宗教」@MIMOCA

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宇部帰りに行ってきました、杉本博司「アートの起源」。
昨年から続いたこの展覧会もいよいよ最終回。テーマは「宗教」です。
今回はアームレスリング大会もなく平和ですw

全体の印象としては、過去3回よりも、ストレート勝負してる印象。
これまで1階、2階、3階の展示は違うシリーズが置かれてたりして、分断されてる印象があったのですが、今回は杉本さんの代名詞とも言える「海景」がすべての階に登場。
1階は金沢から見せてる十一面観音像と海景のコラボレーション。
2階にぐるっと海景が並ぶ様は圧巻。
何度見ても心静かになる名作です。
最後の真っ暗なスペリオール湖の写真は近づくと反射がキツすぎて見えない。
さらにガラスの拭き跡とか見えて少し残念。
3階の廊下はいつものスライド投影はなしです。
代わりにこれまでの「科学」「建築」「歴史」のポスター。
さらに、19世紀の蓮華のリトグラフと、三十三間堂の仏像を撮った写真の軸装が展示。
メインの3階に入ると右の壁は完全に死に壁にして展示はなし。
左には三十三間堂の千体の「仏の海」。
真ん中の階段の上には光学ガラスで作られた五輪塔に海景が、、、って見えるか!
ちゃんと見えるように、「仏の海」の壁の裏にズラッと海景五輪塔が並んでます。
あと、14世紀イタリアで制作されたキリストの胸像。
いまいちこれがここにある意味が理解できませんでした。
東西の宗教像を強調するなら1階の十一面観音像と配置するとかあったろうに。
場所も中途半端で謎でした。
全体的な展示としては、まあそこまで感動はなかったですね。11月6日まで。

さて、ついに4回すべて制覇してしまったわけですが、こういう展覧会は、作家にとっても美術館にとってもメリットが大いにあるような気がします。
やはり杉本さんは展覧会というメディアの使い方がうまいですね。
写真作品に収まらないそのキュレーション力は本当に脱帽。
美術館としても、基本の雛形さえできてしまえば、展示の入れ替えはそこまで大変じゃないですし、このご時世ですから、費用の節約にもなるでしょう。
さらに、僕みたいなリピーターがあればある程度の純利益にもつながる。
まあ、色々条件はあるけれど、それでも「うまい」展覧会だったな、という印象。
ただ、もう杉本さんはしばらくいいかな、という感じ。横トリで見るけど。
今度はちょっとご遠慮すると思います。多分。多分。

さて、次回の丸亀は休館を挟んで塩田千春展ですね。
船を使った使ったインスタレーション。。。どんなんやろ。楽しみです。


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杉本博司「時間の終わり」@森美術館

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

野外彫刻半世紀50@ときわミュージアム分館

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作品調整の為、宇部に再訪しました。
なんせ展覧会まで2ヶ月野外に放置されてるわけですから不安で不安で。。。
先日なんて、彫刻の塗装全部ハゲてる夢見ましたからね。小心者。
現場はもうカンカン照りで日中は作業不可。
出品者の近藤洋平さんのワークショップに参加したりしました。
近藤さんはもう3週間ほど宇部で滞在制作していてすっかり真っ黒になってました笑
そして、見たかった「野外彫刻半世紀50」展も観に行くことが出来ました。
この展覧会は、「UBEビエンナーレ」50周年を記念した回顧展です。
50年ですよ、50年。
これはビエンナーレとしてはヴェニス、サンパウロに次ぐ世界3位の歴史!!スゴ過ぎ。
ビエンナーレに先駆け、北九州美術館と連動して行われた展覧会でした。
会場には過去の模型や、初期の出品者である向井良吉さんと柳原義達さんの作品などが置かれ、1961年から始まったこの展覧会の厚みを感じました。
今や宇部市内に400程の彫刻があります。こんな街他にないですよ。
今回初めて分館に行ったのですが、その周りにも彫刻がたくさん。

土谷武「挑発しあう形I」(1973)
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村岡三郎「自重」(1969)
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植松奎二「樹とともに-浮くかたち」(1997)
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たべ・けんぞう「STARDUST 95-X-3」(1995)
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などなど、実はまだまだ見きれてません。恐るべし。
そして、今月23日から始まるビエンナーレ会場にはほとんどの出品作が並んでました。
前回訪れた際は僕が設置第一号だったので何もなかったんですが。
その様子はまたビエンナーレ始まってからご報告します!
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「第24回UBEビエンナーレ 現代日本彫刻展」
2011年9月23日(土)ー11月13日(日) 会期中無休 入場無料
ときわミュージアム彫刻野外展示場

*分館の「野外彫刻半世紀50」展は8月31日まで。

<関連記事>
UBEビエンナーレ'09@ときわ公園等
コンペ
第24回UBEビエンナーレに実物大制作入選しました。
第24回UBEビエンナーレ公開審査
「此方」:工場制作
「此方」:工場制作2
「此方」:作品出荷
「此方」:設置搬入
「此方」:ワークショップ



宇部にかかりきりでアトリエあまり行けてなかったのですが、メンバーも頑張ってます。
昨日は金曜日からeNartsで始まる田中氏の搬入手伝ってきました。
作品の繊細さがここに来て倍増してます。。。
展示としては、写真作品と半立体平面、そしてドローイングと油絵。
やはり白眉は半立体の発展の仕方だと思います。
これまで、彼の作品は極端なモノクローム、白と黒で構成されてましたが、今回は廃材を使用し、その色が作品に新しい要素として登場してます。
特にホワイトキューブで飾ると映えますね。
これまでの白黒の作品に関して、黒は彼の作品の肝となる炭化した物質感があるのでいいのですが、やはり紙の白色が気になってました。
白というのは色です。無色ではありません。
その白という色の選択に本人がどこまで自覚的なのかが気になってました。
なので、今回他の色が現れたことで、その白が薄まりいい効果になってる気がします。
もちろん、何故廃材を使うのか等の問題もありますが、発展が楽しみです。
それにしても今回の展示、かなり地味です笑
70年代ニューヨークのミニマリズムとその次の世代の間みたいな展示です。
中々不思議な展示なので機会があれば是非。
9月3日(金)から9月30日(金)まで京都は円山公園内にあるeNartsにて。金土日開廊。
それにしても初日とオープニング台風なのでは。。。
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もう一人のメンバー泉氏も、先日まで大阪のroomA.で個展をしてました。
roomA.は我々同様作家が運営しているギャラリーです。
前回の彼の個展でたまたまそのメンバーさんと知り合い今回声をかけてもらったとのこと。
作家のギャラリーなので、ほぼ滞在制作みたいな形でかなりの日数をかけ制作した模様。
今回全くノータッチだったので、あまり詳しくは知りませんが。
横長のギャラリー空間を利用した、見せ方としてスマートな展示。
左右の壁に糸が斜めに張られていて、赤い球が浮かんでいるような作品。
列ごとに張り方が変わっていたのですが、どういう効果があったのかは不明。。。
ただ、空調の風が糸を揺らして、その球の像がブレるさまがすごくよかったです。
どうせなら風が最もあたる場所に球があればとも思ったけど、そこまで想定していたんだろうか。
あとは、作り方をもう少しスマートにしたらなぁ、っていつも思う。
ハイブリッドな作品なので、アナログ感をどこまで感じさせ、どこまで感じさせないかはかなり重要だと思います。球の塗りにはありだけど、糸の張りに関してはなし。
その辺どうやっていくのかまた課題ですね。
とりあえずお疲れさん!

また、同級生の川北ゆうさんも大阪と東京で展覧会です。
大阪はArtCourtでのFrontier#9展
もう9回目にもなるのかぁ。
前回はすごくよかったけど、今回は個人的にピンときませんでした。
気になったのは野村在さんの写真と森本絵利さんの超細かい作品群と森田るいさんのパンと野外のインスタレーションぐらいかなぁ。
川北さんの作品は、廊下の長い壁を使った大作ですが、思ったより映えてなかった印象。
まあ、彼女の作品はあそこがベストだとは思うんですがなんでだろう。
あと、田中氏の作品に関しても書きましたが、下地の白がそろそろ気になり始めました。
特に、今回ほぼ単色で仕上げてるので、背景と線がくっきり分かれてるので、その辺ちょっとぼかすことができたら画面がもう少し違う表情が出るのかな、とも思いました。
来年で10回目を迎えるACF。10回でもう潮時な感じがします。#9は9月17日まで。
そして、東京はギャラリーαMでの松川はりさんとの二人展に出品してます。
今週土曜から!ってこっちも台風大丈夫かいな。。。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

Mind-Body Column by Antony Gormley

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先日JRの電車乗ってたら目の端が何かを捕らえた。
思わず振り返ると何やら鉄の細い塔のようなもの。
というか、あれはまさかゴームリー。。。
ということで早速調べるとやはりゴームリー!
うーん、我ながら恐ろしい。
西梅田のオフィス街の中にひっそりとゴームリーの彫刻を発見してしまったのです!

ということで、堂島リバービエンナーレ観た後に寄って来ました。
本当に素晴らしかった。堂島よりこれ一個の方がよかったぐらい。。。
高さ15mにも及ぶ人体がにょきにょきと成長したような像。
調べると、耐震制も備えていて、地下に20tもの重りで支えてるとか。。。半端ない。
そして、一切溶接せずに、このままキャスティングして作ったとか。すごい。
ホンマかっこよかったです。
梅田寄ったら探してみてください。

それにしてもこの場所もまたすごい。
都会の中のオアシス。梅田にこんなとこがあったなんて。
他にも何個か野外彫刻があるみたいです。
詳しくはこちら


テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

堂島リバービエンナーレ2011@堂島リバーフォーラム

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堂島リバービエンナーレに行ってきました。
前回同様内容は豪華なのに広報がイマイチですね。
本当にひっそりやってます。

前回の南條さんから今回は青森県立美術館のチーフキュレーター飯田高誉さんを迎え、「Ecosophia」をテーマに展開。これは、ガタリの「エコゾフィーの実践」における人間と自然の関係を美術・建築の文化的側面から捉え、さらに地球規模の物語として現出してきたテーマだそうです。
青森県美ではこの震災で中止になったけど、青木繁と杉戸洋の展覧会なども企画してましたね。
建築とアートが絡む展覧会が増えてきました。
それが最も美しく結実したのが豊島美術館だと思いますが、この傾向は日本に顕著な動向かもしれません。
日本はアートより建築の方が元気なので、自ずとそうなるのでしょうか。
ただし、やはり展示になると建築家は圧倒的に不利です。
今回もその不利感が如実に出てました。。。
特にピンでやってた藤村さんや磯崎さんは、コンセプトはともかくビジュアルが何を言いたいのかよくわからない。。。というかビジュアルがあまりに直接すぎ過ぎて逆に伝わらない。
その点阿部典子さんや大庭大介さん、青山悟さんの作品はすごく強くて感動した。
阿部さんの紙を切るという行為は、その紙が何の紙なのかで相当意味合いが変わる。
新聞を切り抜いた作品があったが、それはまさに3.11以降の新聞で生々しい文字が踊る。
また大庭さんは最初映像かと思うぐらい画面が揺らぐ。
初めて観たわけじゃないけど、今までの展示で一番動揺した。
青山さんはこの春に東京で発表した作品。見れなかったのでラッキー。
薔薇という美しいと宿命付けられたモチーフをひたすら刻むようにミシンで縫う。
青山さんの最近のテーマに「制作と労働」というのがあるけれどまさにそれを象徴するモチーフ。
こういう振り幅が建築系の展示に中々見られなかった。
コラボレーションでは隈研吾と森万里子の作品は成功していなかったと思う。
あんなに建築が前に出てきちゃダメです。
全然「負ける建築」ではなかった笑
インフォメーションにあった、池田剛介さんの作品って完全に豊島と被ってるんですけど。。。
コラボでまだよかったのは杉本さんと永山さんの「海景」。
展示としていいかは判断微妙ですが、とにかく永山さんの愛を感じた笑

それにしても一人で全部もっていっちゃうカプーアはやっぱすごい。
何がすごいって、これだけ現実感のないスケールでいくつか実際実現してるところ。
そして、ものすごいクオリティでこの世に生み出せちゃってるところ。
多くの作家が大きなスケールに挑むと、いつも作ってる作品のクオリティより劣化します。
カプーアの場合は、全くそれがない。やっぱすごいです。
あー、日本でもまた何かやってほしい。牛窓の作品ってもうないよね?
来年の越後妻有あたりで何かやってくれないかな。
そして、一人で淡々とやっちゃってたのが4Fのマーティン・クリード。
なんか会議室みたいなとこであの作品やると物凄くポップな印象。
会場で配られる解説がいちいち仰々しくて萎える。

さて、この展覧会の特徴として、先に上げたアートと建築の融合が大きいとは思いますが、僕が思ったのは坂本龍一の音楽がこの展覧会においてすごく重要であったということ。
普段は展覧会って無音、もしくは作品そのものから発せられる音しか会場に流れてませんが、今回はこの音楽がものすごい存在感で耳に響きます。
音楽のすごいところは、姿もないのに、感情をコントロールできるところ。
悲しくても明るい曲を聞くと元気になるし、また逆も然り。
今回は坂本教授の奏でる音楽がなんだか仰々しくて重い気分になりました。
観客をコントロールするのには、中々有効なのかも。
ただ、今回のキュレーションはあまりにコントロールしようとしてちょっとやりすぎな感も。
気圏、水圏、地圏と分けてたのも、どこまで有効だったのか。。。
掲げてるテーマと参加作家は非常に重厚ですが、規模が如何せん小さいのが残念。
それに堂島でやってる意味も前回同様全くないしね。
次回はまたどうなるんでしょうか。
もう少し外に開いて欲しいところです。8月21日まで。
堂島リバービエンナーレ2011 http://www.dojimariver.com/topics/biennale2011.html

関連記事 堂島リバービエンナーレ2009@堂島リバーフォーラム

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

杉本博司「アートの起源 歴史」@MIMOCA

IMG_4408.jpg

昨年末から始まった杉本博司の「アートの起源」展も大詰め。
このまま最後まで見てやりますよ!
ってことで3つ目「歴史」です。

丸亀着いたらいきなり美術館前でアームレスリング大会やっててビビった。
写真は、展覧会に見向きもしない人々の図。

アームレスリングをスルーして、中へ。
早速前回の護王神社の模型がそのまま置いてあって一瞬萎える。
今回も前回同様やっつけを感じるのではと相当不安になる。

まず階段下の吹き抜けでは、杉本さんのコレクションである鹿の像。
これがすごくて、平安時代やら鎌倉時代やらのパーツを組合せている。
さらに、そこに須田悦弘さんの作品までミックス!豪華すぎる。
吹き抜け壁には昭和天皇の肖像。
蝋人形とわかっていても相当リアルです。
2階ではその蝋人形シリーズがメインで、英国王室とナポレオンなど。
「最後の晩餐」のは初めて観たけど、あまりリアルじゃないな。。。
その横には、様々な勲章が並べられている。
これがまたすごくて、満州事変や日露戦争など、日本の軍国国家としての歴史が詰まっている。
こっそり自身の紫綬褒章の勲章が紛れてたのはご愛嬌。

3階では、見たかった「スタイアライズド・スカルプチャー」シリーズの写真が惜しみなく展示されてて、かなり見応えがありました。ヨウジヤマモトや、ギャルソン、ディオール、シャネル、イブ・サン・ローランなどの服たちが黒のレイヤーの中で美しく映えた写真群です。
いつもの階段の上にはジョン・ガリアーノデザインのディオールのドレスが展示されてました。

さらに奥では、タルボットのネガを焼いた「光子的素描」シリーズ。
そして、今回「歴史」を最も反映している「ファーストビジターズガイド」という展示。
桐の箱にひとつひとつ、ジオラマシリーズの写真などが収められていて、2億5千年前の地球から、未来の地球までを旅することが出来ます。
中には広島の原爆記念館にある被爆者のジオラマも。
ちょうど見たところだったのと、もうすぐ展示からなくなるというタイムリーさでした。
中々お茶目な展示ですが、ちょっと恐いSFの世界観。
人間が滅びるほど、世界が荒廃しても、地球は千年ほどでその前の状態に回復できるとか。

全体として3回の中で最も楽しめた展示だったかもしれません。8月21日まで。
途中で作家のIさんにお会いしました。狭い世界やなぁ。。。
さて、次回「宗教」でラストです。どう来るかこうなったら見届けるしかないですね。


<関連記事>
杉本博司「アートの起源 建築」@MIMOCA
杉本博司「アートの起源 科学」@MIMOCA
杉本博司「光の自然」@IZU PHOTO MUSEUM
杉本博司「歴史の歴史」@国立国際美術館
杉本博司「歴史の歴史」@金沢21世紀美術館
杉本博司「時間の終わり」@森美術館

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

第8回ヒロシマ賞受賞記念 オノ・ヨーコ展「希望の路」@広島市現代美術館

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3年に一度世界平和に貢献した現代作家に与えられるヒロシマ賞。
今回はオノ・ヨーコさんに授与されました。
って、今までもらってなかったのか、ってのが率直な反応でしょう。
ちなみに前回は蔡國強。あれから3年も経つのか。。。
展覧会初日から早速行ってきました。
前回でスタンプカードが貯まったので今回は無料です!
ってどんだけ行ってんねんって話ですね。。。

全体の感想から言わせていただくと、正直大味すぎて肩透かしくらった感じ。
オノ・ヨーコといえば、2004年の春に、この広島市現代美術館でもやってた「YES オノ・ヨーコ」展を思い出します。思えば、この美術館を訪れたのもその時が最初でした。
あの時の展示は本当に素晴らしかった。
彼女がやってきた想像する世界を堪能したのを覚えています。
それに対して今回は、イマイチ想像の余地がないというか、そのまますぎてどうしたらいいのかたじろぐシーンが個人的に多々ありました。
例えば最初の部屋からいきなり壁に文字が殴り書きされてたり、商店街の映像そのままライブ中継されてたり、原爆を思い起こさせる地下のインスタレーションとか。。。
精度が落ちたのかしら、とちょっとがっかりしました。
震災で崩れた家を頭の中で再建する作品もちょっと判断がつきませんでしたね。
でも、さすがに「ウィッシュツリー」や「マイ・マミー・イズ・ビューティフル」のような、観客が参加していける作品はこの人ならではの魅力があるな、と改めて思いました。
参加型の作品って数多くあるけれど、その多くがイマイチのれないというか、あざとい作品が多い中、なんか元祖って感じがして、安心して身を委ねられる感覚があります。
思いっきり参加してきました。
でも、やっぱ全体としては不満の残る展覧会でした。10月16日まで。

毎度見逃せない広島現美の常設展。
この季節は、やはりヒロシマをテーマにした常設企画になるのだけれど、今年はなんといってもヘンリー・ムーアの「アトム・ピース」が堂々とお目見えしてたのは感慨深かった。
前回のサイモン・スターリング展のおかげですね。
あの展覧会は地味ながら、伝説に残るような展示だったと思う。
あそこまで日本の現状とマッチするのは恐いぐらいすごかった。
サイモン・スターリング「仮面劇のためのプロジェクト(ヒロシマ)」@広島市現代美術館
あと前回のヒロシマ賞作家の蔡國強のWTCを背景にキノコ雲上げてる写真は何度見てもすごい。
予言的な作品を作ってしまう作家ってのがいるんですよね。

あと、岡本太郎の「明日の神話」の原画展も。
こちらは肝心の壁画が結局広島に手に入らなかったわけだけど、せめてChim↑Pomのあの追加された一枚は所蔵できたらいいなと思う。てかあれ今どこにあるんだ?
どうしてもあの絵を頭の中でつけて見てしまう自分がいます。

他にも映像ルーム(?)で上映されてた田村友一郎の作品がおもしろかった。
googleのストリートビューをつないで作られた映像。すごい。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

加藤泉「はるかなる視線」@Six

加藤翼くんに続き、同じ姓で同じ大学卒の加藤泉さんの個展に行ってきました。
先月東京行った時にARATANIURANOでやってた個展行こうか迷って結局やめたんですが、SixからDM来た時は飛び上がりました!画集も買ったし、物凄く好きな作家さんです。
絵画でも彫刻でも造形的な作品ってあまり好きじゃないんですが、加藤さんは特別。
しかも絵画も彫刻もどっちも好き。
よく、絵画やってる人が彫刻やり出すとダメになるケースが多いんですが(逆も然り)、加藤さんの場合は絶妙なバランスで、絵画の魅力を崩すことなく彫刻が成立してるのがすごい。
で、今回の展示は、その絵画と彫刻が、まるでキャラバンのように一列に並ぶという展示。
絵画が7点と彫刻3点です。
彫刻は去年の箱根彫刻の森美術館の個展で出してたやつ。
行こうか相当迷って行かなかったのだけど、大阪で観れるとは!ラッキー。
そういや、同じ時期にIZU PHOTOでやってた木村友紀さんの作品も大阪で見れたしな。
回りまわって観れるもんですね。
それはさておき、これらの彫刻が相変わらずすごい。
木、油絵具、アクリル絵具、石、鉄
と、多様な素材を使いながら、別に隠すこともなく、ぶっきらぼうにパーツを接いでいる。
この彫刻の接ぎ目って、普段すごく気になるんです。
イ・ブルの作品とか見てたら物凄くイライラすることもある。
イメージを扱ってるつもりでも結局ものなんやな、ってそこで醒めてしまうんです。
でも、加藤さんの場合、ものであることをちゃんと引き受けてるというか、今回の絵画の展示の仕方とか見てても、イメージである前にものであることを否定していないところに彼の作品の強さがある気がする。
だから観客であるこちら側もそこは了解の上で次のステージに踏み込んでいける。
狙ってやってるのか天然でやってるのかはわからないけれど、そこが加藤泉という作家の魅力のひとつ。
それにしても着色がやっぱり綺麗。
3体1セットのやつは耳の模様が気になったけど。。。
で、絵画。
こないだの画集で初めて知ったのだけど、加藤さんって絵画を手(指)で描いてるんですね!
どこまでプリミティブ!と思ったけど、画面の緻密さからあまり想像できない。
今回2008年の過去作4点と今年制作された新作3点が出品されてますが、新作すごい!
入ってすぐに見えるのは、過去作の女性(?)の鮮やかな緑色なんだけど、その裏が新作で、今までと何かが違う。背景の作り方かもしれないんですが、なんだかすごく恐かった。
これまでより目の荒い麻布を使ってるのも影響しているのかもしれない。
特に緑色の新作は鳥肌が立つぐらいの強さ。
ちょっと今まで絵画でこういう感覚って味わった記憶がない。
大きな飛躍ではないけれど、確実に次のステージに行こうとしているのがわかる。
加藤さんの絵画といえば、人体を扱ってる点からもベーコンの影響が少なからずあるとは思うけれど、ベーコンの絵画とはまた違う恐ろしさを今回の新作から感じました。
難を言えば、絵画の展示台がダサかった・・・もっと他なかったんかな。。。
それにしてもオススメ!9月11日まで!

「絵は世界と対決している気がする。絵は、四角いもので画面を区切ってそこに何かが描かれている。存在として不自然ですよね。彫刻は普通に三次元の世界にあってもおかしくないけれど。それでもあの四角に僕らはぐっとくる。なぜかはわからないけど、そこにもうひとつの世界を求めてしまう気がします。そういう意味でも、絵は現実と同じくらいの強度を伴った虚構がそこに存在しないとダメでしょう。抽象であれ具象であれ。」

「ベーコン、ゴッホ・・・。若冲もそうだけど、自分のやりかたをすごく試しているような作家が好きですね。みんなタッチを確立してからも果敢に攻めている。ぜんぜん守っていないですよね。ゴッホもベーコンもすでに獲得しているものがあるのに、それでも挑戦を続けているじゃないですか。これもあるんじゃないか、こうもできるんじゃないかって。表現に対してハングリーな作家は、見たらわかりますから。そういう作家は好きですね。自分もそうありたいし。」

「スポーツとかアートっていうのは、本来人間の生き死にに根ざしているんだと思う。生きるとか死ぬとかに関係している部分が目に見えるかたちになるから感動する。人間の可能性を見るってことは、人間の生きる姿に触れるってことだから。そこが、アートやスポーツがなくならず、ずっと在りつづける理由だと思う」

(加藤泉作品集「絵と彫刻」より)




他に観た展示。
「See Here!」@Gallery PARC
今年成安造形大学を卒業したばかりの3名によるグループ展。
小吹さんのブログで気になった、林彩子さんと明楽和記さんが出てたので。
林さんは、徹底してその場にあるものを如何に見せるかにこだわる作家さん。
今回もこのギャラリーの琉球畳をカラーボールで浮かせたりしてた。
ポートフォリオ見てたら過去作もめちゃくちゃおもしろかった。
明楽さんの写真は正直よくわからなかったけど、もう一人の岡本里栄さんの絵画もよかった。
下手するとイラストみたいになっちゃうけど、筋さえ間違えなければいい絵になりそう。
7月24日まで。

「WHITE 桑山忠明 大阪プロジェクト」@国立国際美術館
ものすごく攻めてる展示。かなりかっこよかった。
特に最初の低めの位置に架けられた作品群と、1963年の作品。
ちょっと杉本博司の「歴史の歴史」の展示と似てて残念だったけど。
この美術館の展示室はこの展示の動線が最高の解答なのかも。
同時に森山大道やってますが、こちらはほとんど感動なし。
森山さんの写真は単純に展覧会というスペクタクルで見せるのに向いてないと思う。
写真集で見たときの方がよっぽど魅力的。
作品の善し悪しの問題じゃなくて、単純にその作品にあったメディアがあるということ。
荒木さんとかは展覧会の方が合ってる気がする。
どちらも9月19日まで。

ART OSAKA 2011 PR ART EXHIBITION
アート大阪(アートフェア)は行ってないけど、三越伊勢丹でやってたサテライト展示。
柴田精一くんは精華時代の後輩。折り紙の作品だんだん良くなってる気がする。
今村源さんと山内麻起子さんはよくわからなかった。
茶室でやってた三嶽伊紗さんの展示は、物凄く粋な作品だった。
いった時たくさん人がいたのと、百貨店の中ってのが何か落ち着かず残念。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

加藤翼「ホーム、ホテルズ、秀吉、アウェイ」@アートエリアB1

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ブログ放置気味です。。。
なんとなく最近は前ほど足繁く展覧会とか見てません。
まあ、それでもまだ見てる方だと思います。前が異常でした。
やっぱ地震の影響もあるのか、なんだかちょっとやそっとの表現なんかじゃ心が揺れない。
で、最近は展覧会とかより、原発関連の映画とか観てます。
「六ヶ所村ラプソディー」と「100,000年後の安全」を観た。
六ヶ所はもう心にグサグサきた。理不尽極まりなかった。
いつでもどこにでも弱者はいて、それに浸け込む強者がいる。
わかっていることだけれど、それを目の当たりにするのは非常に辛い。
この映画は物凄く観ていて辛かったけど、観てよかったと思う。
この虚しさをどう糧にして自分は生きて行くべきかを考えました。
一方100,000は、映像を綺麗に作りすぎて、逆にそれがノイズになって入ってこなかった。
100,000年という途方もない時間を人類はどう乗り越えていくか。
途方もないけど、100,000年後という設定は不謹慎だけどドキドキする。
100,000年前のネアンデジタール人に向けてメッセージをどう放つか。
これこそアートで何かできないかな。
原発の近くには必ずと言っていいほど、安全神話を強調するような彫刻が置いてるそうだけど、そうではなく、ギュンター・ユッカーやマグダレーナ・アヴァカノビッチのような、見ているだけで痛くて泣きたくなるような作品を置こう。怒りや悲しみといった感情だけは、100,000年後も変わらないだろうと思う。アートの持つ普遍性を100,000年後の生き物に託そう。

と、まあ最近はこんな感じ。
それでもいくつか展覧会は観ていて、特になにわ橋駅にあるアートエリアB1でやってた加藤翼君の展覧会は、ちょっと想像を超えて素晴らしかった。
本当は次に書くChim↑Pomの展覧会を表題に挙げるつもりだったのだけど。
彼の作品を観るのはこれで3度目。
1度は京都で、2度目は東京で。
昨年の「六本木クロッシング」はこの震災後にこそやってほしいテーマだと思う。
「アートは可能か」
震災後、何度もこのことを考えました。今も考えています。
しかし、今日彼の展覧会を観て、少しは可能なのかもしれないと思いました。
彼の作品は、部屋を象ったでっかいオブジェを多くの人と一緒にひっくり返すというもの。
まるで童話の「大きなカブ」を思い出す。
いつもは木材そのままだけど、今回はミラー板を貼って、周囲が映しだされていた。
今回は、中央公会堂、太陽の塔、大阪城と大阪を代表するような場所で展開。
まずは中央公会堂。サイズはまあまあ。結構あっさり終わる。
お次は万博公園。これはめちゃくちゃデカイ。加藤作品史上最大だそう。
それでもたくさんの人の力でその大きな物体はあっさりとひっくり返る。
そして最後。これがなんといっても白眉。
このパフォーマンスが行われたのはあの地震の2日後。
今回は前の2つと全く印象が違う。
ひっくり返す時にできるだけ音を立てないようにひっくり返そうというのである。
それをしようとすると、余計に人の力が必要になる。
いつもは途中からオブジェの自重に任せるものを、敢えて人の力で最後まで操作する。
静かにその大きなオブジェがひっくり返った時、涙が出そうになった。
何か、人の想いがものすごく伝わってきた。
鎮魂の儀式のようにすら見えた。
もしくは、復興を願う祈りの儀式。
どんなに大きなものでも人が集まれば大きな力となり動かすことができる。
この作品は、震災後ものすごく大きなものを孕んだ気がする。
この展覧会の冒頭は、大阪城のパフォーマンスの前に加藤君自ら参加者の人たちに向けた演説で始まる。
「アートは可能かもしれない」
そういうことを教えてくれるとてもいい展覧会。
今週末まで。最終日にはヤノベケンジ氏との対談もあるみたい。
今月末には、この展覧会の図録が出るそうなので買おうかと思う。
http://artarea-b1.jp/event/pickup1105.html


Cim↑Pom「REAL TIMES」@スタンダードブックストア
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岡本太郎の「明日の神話」に絵を付け足して、軽犯罪法で書類送検などと、色々世間を騒がせたこの方たち。
以前も広島に「ピカッ」と書いて怒られてますね。
そんなこんなで色々話題の展覧会ですが、ついに大阪にも回ってきました。
東京では入場料500円やったのに、大阪では800円!
ってだけで行こうか迷いましたが、観といた方がよかろうということで観てきました。
案の上例の岡本太郎の作品はあの騒動自体が大きな作品なので、むしろ物自体は副産物みたいな感じで、特に何も思いませんでしたが他の作品がすごくよかった。
特に入って正面にあった、福島で気合い入れやってる映像。
そこで知り合った若い地元の漁師さんと円陣組んで気合100連発。
こうやって泣いてなんかいられないという思いがひしひしと伝わってきた。
むしろ感傷に浸っているのは、自分のような被災していない人間なんだ。
会場では、この100連発が入ったCDがもらえます。
で、その横では、なにやら携帯が鳴っている。
出ようと思ったがやめといた。あとで説明読んでやめといて良かったと思った。
なんと、新聞とかでちょっとエッチな広告だして、それを見た人が実際会場に置いてある携帯にかけてしまっているというわけ!リアルタイム!!
さらにその電話がなる度に電気が点いて、その性欲で発電しているのだそう!
只今特許申請中だそうです笑
他にも狭い会場なのに色々出てた。結果的に行ってよかったと思う。
この人達も前述の六本木クロッシングに出てたけど、マジであの展覧会再演してほしい。

関連記事 六本木クロッシング2010:芸術は可能か?@森美術館


他に見たやつ。
・松井智恵・Hyon Gyon「On a Knife Edge-二つの向こう岸」@京都芸術センター
・Jean-Luc Vilmouth 「Around Time」@MORI YU GALLERY KYOTO
・柳澤顕「Painting as a System」@ARTCOURT Gallery
どれもピンと来なかった…。
ジャン=リュックはパフォーマンスまで見たけど楽しみ方がわかんなかった。
柳澤くんはなんとなくスケールダウンしてた。

こんな感じで。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

転置-Displacement-@@KCUA

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京芸ギャラリー@KCUAで現在開催中の「転置」に行ってきました。
京芸の卒業生の中から5人のグループ展です。
最初の吉村熊象さんの、コンセプチュアルともとれる、広告に乗ってた中古物件を訪ねて、そこに棲む人を想像する空想作品はすごくポエティックな雰囲気。
また、続く森末由美子さんの作品も相変わらずいいです。
同時に彼女の作品は、インスタレーションとしてどう見せるか難しいですね。
しかしなんといっても寺田就子さんの作品が滅茶苦茶よかった。
あんなささやかな作品を凄まじいセンスでもって構築し観客を魅了する力はすごい。
寄神くりさんと野原健司さんの作品はあまりよくわかりませんでした。
寺田さんの作品見れただけでもよかった。
5月からトークイベントがいくつかありますが、中でも7日の今村くんと宮永くん、そして寺田さんと吉村さんの鼎談はすごい!行けたら行きたいけど余裕なさそうやな…。
展覧会は5月22日まで。http://www.kcua.ac.jp/gallery/exihibition/1208.html

あとは、精華大関係の展覧会に行ってきました。
まずは「美しき町」@むろまちアートコート
90メンバー泉見洋平が出してる展覧会。
精華大の先輩後輩も一緒に出してます。
タイトルは同名の漫画から来てるそうですが、読んだことないからなのか、この言葉と展示内容はイマイチぴんとこなかったけど、作品が皆純粋によかった。
泉は90からはじまった糸の作品。今後もブラッシュアップが有効ですね。
見せ方をもう少し考えた方がいいけど、自分にはない引き出しを持ってる。
佐野さんの写真も、榎木さんのインスタレーションも鑑賞者との距離感がすごく良かった。
突き放すでもなく、没入させるわけでもない絶妙な距離。
梶田さんと岡田君の作品は具体的なモチーフが勝ち過ぎてるきらいがあるけど、遠景として綺麗。
佐藤さんの作品が個人的に好きやったなー。油彩の技術がこう活きるとは!恐れ入りました。
こちらは今週末まで。24日の最終日15時からトークもあるみたい。何話すんやろ。

もういっちょ、先輩の上瀬奈緒子「間(あいだ)の物語」@galerie16
久々の個展で、行ったら覚えていてくださってた。ありがたい。
大作3点を中心に、小品も含めて多数展示されてました。
大作のうち1点はなんと4年以上かけて描いたとのこと。すごい。
市販の水玉の布の隙間を縫うように描かれた絵画。
カーテンのような布に描かれた絵画もあって、その発展形があとの大作2点。
こちらは裏キャンの肌理をなぞるように縦と横の線だけで描かれたもの。
何故か何かの風景に見えてくるのだけど、人間が勝手に自分の経験(風景)に当てはめてしまうどうしようもない生理みたいなものがおもしろかったりする。
他の絵画もどう見ても風景を描いているように見えるが本人はそんな気はなかったりするそう。
また作品が2枚で対になってるものが多く、上下逆転の像がそれぞれ描かれている。
何か具体的なものから脱出するためのひとつの手段のようにも思えました。
そこを受け入れるか、逃げきるかでまた変わってきそうです。今月30日まで。

muzzも観に行きたかったけど無理やなー。

テーマ : アート・デザイン
ジャンル : 学問・文化・芸術

梅田哲也「はじめは動いていた」@VOXビル

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梅田哲也さんの個展がやってるというので寄ってみました。
しかし、これはもう予想外にスケールのでかい展覧会で衝撃。
てっきりARTZONEだけでやってるもんやと思ってたのになんと会場はこのビル全体!!!
多分この展覧会の実現は奇跡とも言えるほどのものだったと思います。
普段一般の人が入ることのないような屋上やバックヤードまで全部使っちゃってます。
思えば昨年の夏あたりから、このARTZONEで「すみっこ企画『DEADSPACE』」というプロジェクトをやってて、その名のとおり他の展覧会やってる時もどこかすみっこで梅田さんの展示がされてるというもの。
結局一度も行ってないけど、この企画は今回のための伏線だったのか!

まずは、ARTZONEのいつもの入り口から入れないので裏へ回る。
すると受付があって、地図を渡される。
よくみるとビルに青いテープと黄色いテープが貼ってあり、青いテープが進路、黄色いテープが退路をそれぞれ表していて、まずはその青テープと地図を頼りにエレベーターで3階へ。
降りてすぐの物置のようなところにも作品あり。
鉄板の上で砂鉄が生物のように蠢いている実に梅田さんらしい作品。
この物置のそっけない感じも素敵です。
さらに青テープをたどって屋上へ。
ここでは、一体どれだけの作品がしかけられているのかはわからなかったけれど、僕が行ったのは黄昏時で、暮れなずむ河原町三条を満喫しました。気持ちいい!
僕が見つけたのは、タンクの中に沈んでる電灯と、ぶら下がる樹の枝、ロープの切れ端、等々。
屋上を堪能して今度は黄色テープを辿って下へ。
この退路がまたすごくて、普段スタッフしか通らない階段とかをずんずん進む。
カプリチョーザの裏とか大丈夫なのか?
そんなこんなで、ARTZONEの2階へ。
そこには脚立や、壁を走るパチンコ玉などがある。
脚立を登ると壁の裏に仕掛けられた作品を鑑賞できます。
また、扉の中にも作品あり。
泊まりこんで作業していたと見られるスタッフルームも解放。この辺ユルいです笑
あと、奥の部屋にも作品があります。
1階へ降りると電話や床に落ちた電灯、またブルーシートやら色んなものがあります。
聞いた話ではこの電話は屋上とつながってるらしい。
屋上のどこかにある電話をとると下の電話が鳴って会話ができるんだとか笑
あと、タイミングがよければ、ブルーシートが上に上がったりするそうです。
こうして、VOXビルを巡る冒険は終了。
この冒険という作品は、病みつきになるような体験。
4月24日までなので、それまでに京都行く度に寄ってみよう。
きっとまだまだ発見があると思います。楽しい。

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