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「今村源 遅れるものの行方」展 @ 水戸芸術館

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今年後半で最も楽しみにしていた展覧会。
水戸、遠すぎだけどこれは逃すわけにはいきませんでした。
結果大満足。
水戸芸が今村さんのプレイグラウンドになってた!!!
御年66歳。どんどん表現が若くなっていく様は圧巻。
作品には一切説明がないけどそれもそのはず。
説明不要の最高の展示でした。
ということで説明なしに写真だけ載っけます。
超絶おすすめ。DON'T THINK! FEEL!! 来年1月28日まで。こちら
カタログは1月末とのことだったので買えず。絶対欲しい!

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おまけ。
この日(11/12)、渋谷のハチ公が西野達にジャックされたとのことでなんのついでもないけど行ってきました。
馬鹿馬鹿しいけど超大掛かり。さすがでした。
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パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ @ 国立西洋美術館

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日本では実に50年ぶりとなるキュビスム展へ。
確かにここまで大々的に「キュビスム」をフィーチャーした展覧会は個人的に初。
今回はポンピドゥー・センターから大量に作品が貸し出されており気合を感じます。
ポンピドゥーはこないだのマティス展でも活躍してましたが、2025年末から改修工事により5年も休館しちゃうので世界中に貸し出すことによって資金集めをしてるのではと勘ぐったり。
それは置いといて中身ですが、正直アーティゾンのアブストラクト展のように、途中から全部一緒やん!って飽きてしまうんじゃないかと勝手に危惧してたんですが、キュビスムって案外多様で、絵画はもちろん立体もあるので最後まで飽きずに観られました。
そもそも最初のセザンヌからやられた。
やはり彼は近代絵画の父でありキュビスムの始祖。
彼のあの斜めに走る独特のタッチは見ても見ても見飽きない魅力があります。
ってこれはポンピドゥーではなくポーラ美術館所蔵。流石にいいもの持ってる。。。
そこからゴーギャンやルソー、さらにはアフリカの彫像や仮面、さらには呪物まで展示されてて、いつもなら人が多くて並んでる列はすっ飛ばすのにここは飛ばせませんでした。
2章以降は「分析的キュビスム」で、この辺は色もくすんでるし全部一緒に見えるのでほぼスキップ。
ブラックがセザンヌを意識して描いた風景画が興味深かったです。
レジェあたりから色彩が復活して観ていて楽しい展示が続きます。
個人的に熱かったのは8章のデュシャン兄弟の登場。
3兄弟イケメン過ぎて辛い。
マルセルの初期の絵画からレイモンの「メゾン・キュビスト」まで。
キュビスムの運動が建築にまで及んでるのは面白いですよね。
そこからブランクーシにシャガール、モディリアーニ、未来派とキュビスムの成熟を思わせる作品が続き、レジェの映像作品で終わる展開は非常にスムーズで素晴らしかった。
ここまでキュビスムを総ざらいする展覧会はそうそうないと思うので是非。来年1月28日まで。こちら
3月20日からは京都の京セラに巡回するそうです。
それにしても昨年の「自然と人のダイアローグ」といい、リニューアル以降の西美すごい。
そもそも建物がコルビュジエによる世界遺産って時点で凄すぎだし、コレクション展もドキュメンタリー映画観た後だと見え方新鮮だし、来年はなんと現代美術の展覧会「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」が開催されるってんでまた行かねば!

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いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間 / 動物園にて ―東京都コレクションを中心に @ 東京都美術館 (-2024/1/8)
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スタジオ35分の酒航太さんが参加されてるというので観に行ってきました。
前者の「いきものをうつす」は正直何の感想もなかった。。。
酒さんも参加されてる後者の「動物園にて」は小企画ながらも、上野という場所柄もあって、上野動物園を起点に動物園そのものの歴史を美術の観点から検証するという非常に意欲的で魅力的な展覧会でした。
あまり時間がなくてじっくり観られなかったのが悔やまれます。。。
あと、ここは写真撮影禁止。撮りたいものが山ほどあったのに泣
内容に触れると、動物園で撮った昭和のホームビデオから始まり、動物園が出来る前の動植物の資料に現在の東京藝大で行われた園内の写生の作品群、図案家・田井正忠による上野動物園のポスターや入場券の下絵、さらには戦中のスパイ、ゾルゲをテーマに上野動物園を背景にした米田知子の写真に、林隆喜や東松照明の写真、相笠昌義の絵画、そして最後は酒さんの写真群でフィニッシュ!!
こんな小さな企画にするのは勿体無いほどの内容でした。
ゾウの「ハナコ」の映像でほっこりも出来るし、ここだけでも観る価値あり。


私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために / MAMコレクション017:さわひらき / MAMプロジェクト031:地主麻衣子 @ 森美術館 (-2024/3/31)
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全く興味のないテーマなので期待はしてなかったけど本当に面白みがなかった。。。
冒頭のハンス・ハーケの意外性と、アピチャッポンの映像と、第2章の「土に還る 1950年代から1980年代の日本におけるアートとエコロジー」、そして前の展示の壁とかをそのまま使ってたぐらいかなぁ。
期待してたさわひらきの「hako」のミニチュア版も中途半端な感じ。。。
地主麻衣子の展示はよく分からなかったけど最近の人の展示を観られるのは単純に嬉しい。

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おまけ。
アートではないんだけど、気になって科学博物館の「和食展」へ。
実は初の科博だったんだけど、めちゃくちゃ良かった!!何故今までスルーしてたんだろうか。。。
前回の「毒展」も気になってたけどタイミング合わず行けなかったので今回は行けて良かった。
大量の家族連れやカップルで賑わう中おじさん1人ではしゃいで写真撮りまくってました死
「和食展」も、ペリーや信長、天皇の食事や各地の食べ物が観られて楽しかったし、地球館は恐竜や動物の模型にワクワクしたし、何と言っても日本館の建物の美しさ!!!
展示も日本列島の地形から歴史までめちゃくちゃ面白かった。。。
広すぎてめちゃくちゃ疲れたけど充実の時間。
というわけで撮りまくった写真をここに貼っておきます。

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第八次椿会 ツバキカイ8 このあたらしい世界 “ただ、いま、ここ” @ 資生堂ギャラリー

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最近観た都内ギャラリー展示まとめ。
今月はアートウィーク東京もあったので目白押し気味。

まずは東の展示から。
第八次椿会 ツバキカイ8 このあたらしい世界 “ただ、いま、ここ” @ 資生堂ギャラリー (-12/24)
3年毎にメンバーを替えながら続いている資生堂の椿会の第八次椿会。
メンバーは杉戸洋、中村竜治、Nerhol、ミヤギフトシ、宮永愛子、目。
2021年に始まり今年でこのメンバーではラストの展示となります。
第1回では資生堂のコレクションとコラボレーションし、第2回では作品同士がゆるく繋がり合うような展示が成されていましたが、最後となる展示は各々の作品を個々に展示するという形をとっていました。
コロナ禍に始まり、「触発」「探究」をテーマにしてきて、今回はあえて「放置」と「無関心」というキーワードが浮かび上がったそう。
とはいえ、これまでの景色を知ってる人間にとってはこの8人の絆みたいなものも薄っすらではあるものの確かに感じられて熱量のある展示。
特に中村竜治の柱は、最初全然気づかなくて、こんなに来てるギャラリーでも全然見えてなかったんだな、と気付かされました。
宮永愛子、ミヤギフトシ、目、Nerholは相変わらず骨太な作品。
杉戸洋の作品がよくわからなかった。。。
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熊谷亜莉沙|神はお許しになられるらしい @ Gallery Koyanagi (-2024/1/13)
1991年生まれとお若く見目麗しい作家さんなのにめちゃくちゃ暗い。。。
前回は絵と言葉が並んでたけど、今回は別に詩集も出していて、その詩もなんだか悲壮感漂う感じ。。。
モチーフもカトリックからのものが多くて、まるでカラヴァッジオの現代版のようで、どうして日本のカトリックでもない方がこんな絵を描くのかがいまいちよくわからない。そこが魅力と言えば魅力ですが。
行った時には作品全て完売してた凄い。
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寺内曜子「一即多多即一」@ Hagiwara Projects (-12/2)
いつか日本の美術館で大きな個展をして欲しい人のうちの1人。
東京の個展は珍しいので馳せ参じました。移転してから初。
相変わらずステートメントが素晴らしく、作品も小さな空間ながら壮大。
「たくさん」に見える穴は、くるくると巻かれた赤いロール紙に「ひとつ」の穴を開けた結果。
個人的には「パンゲア」が観られたのが嬉しかった。
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雨宮庸介個展「雨宮宮雨と以」@ BUG (会期終了)
リクルートが新たにオープンさせたスペース。ほぼ東京駅の中ですぎょい。
そのスペースのこけら落としとなるのが雨宮庸介個展。
会場にはまずこれまでの雨宮さんの作品が雑然と置かれたコーナーがあり、有名な「apple」もあります。
会期中はなんと雨宮さんが常駐していて、カフェコーナーでせっせと「apple」を制作していました。
希望があればスタッフの方が呼んでくれて「For The Swan Song A」と題されたパフォーマンスをやってくれるという至れり尽くせりぶり。
実際やってもらったんだけど、最初は普通に作品の説明だったものがどんどん意味のわからない物語になっていく様は狂気すら感じました。
木曜日にはこのパフォーマンスが別の人に引き継がれるそうで、それはそれで見たかったかも。
他にも壁の中に鏡を埋め込む作品や、文章が立体化したような作品もあり。
相変わらずよく分からない作家だけどその分からなさがまた心地よい展示でした。
今後どういう展覧会がやっていくのかも楽しみ。
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Cama /参「Kissの原則」@ MITSUKOSHI CONTEMPORARY GALLERY (会期終了)
平野泰子さん目的で行ったけど、マジで平野さんの作品以外目に入らなかった。。。
彼女の作品がどんどん強くなってて凄すぎる。
今回は他の2人の影響もあるのかないのか、これまで感じたことのなかったグラフィカル側面も感じました。
見れば見るほどあるはずのない奥行きを感じてしまう恐ろしい絵画群。
縁の色の痕跡も素晴らしい。
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続いて西の展示。
小林正人 自由について @ ShugoArts (会期終了)
何回見てもショックを受ける作品たち。
色んな角度から見て、遠くから近くから兎に角鑑賞者をここまで動かす絵画って中々ない。
大きな絵は1千万超えてた。。。
いい加減この人も美術館での個展が観たい!
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松谷武判「Matsutani Hardedge 1970’s」@ TARO NASU (会期終了)
松谷さんといえばグラファイトの黒のイメージが強いんだけど、今回は1970年代に描かれていた色とりどりの「ハードエッジ」な絵画が展示されてた。
どれもセンスの塊すぎて惚れ惚れ。。。
具体出身の中でも異色な作家。改めて好きになりました。
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ミリアム・カーン 私だったかもしれない @ WAKO WORKS OF ART (会期終了)
今年の春のパレ・ド・トーキョーでの個展で、「FUCK ABSTRACTION !」という作品が小児性愛を表すものとし不快に思った元国民戦線党の議員が作品に塗料がかけるという事件がありました。こちら
それから改めてカーンの作品が気になってたのでこの展示はとても楽しみでした。
素早い筆致で描かれた不気味な絵画たちが不安定に配置されてるので会場の不協和音が凄まじかった。
どういう基準でかけられてるんだろうか。
期待を裏切らない内容で本当に素晴らしい作品と展示で大満足。
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ミン・ウォン 宇宙歌劇 @ Ota Fine Arts (会期終了)
京劇 x SFというキッチュな世界観。
シンガポール美術館の委託で制作された大型インスタレーションの一部らしいのだけど、実際そのインスタレーション見てみないとよく分からない。。。
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高松次郎 「ソル・ルウィット | 高松次郎 Line for Earth Project」@ Yumiko Chiba Associates (会期終了)
いつもここのギャラリーの取り扱う作家の豪華さにビックリするんだけど今回もすごい。。。
高松のパースの狂うキューブがとても良かった。
ルウィットのドローイングもカッコ良すぎた。
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Richard Serra: Circle, Diamond, Triangle @ Fergus McCaffrey (-12/23)
ここも他のギャラリーと一線を画す豪華なギャラリー。
今リチャード・セラ展がやってて、ドローイングインスタレーションが展開してます。
いずれもオイルスティックで描かれているんだけど、円は壁に直接描かれていて、まさか本人ではないとは思うのでスタッフさんがやられたんだろうか。
三角と四角はよく見ると壁に貼られているタイプで、リネンキャンバスとのこと。
いずれも遠くからは記号にしか見えないけど、近くで見るとオイルスティックのテクスチャーが生半しくて、彼の彫刻の「重さ」を想起させます。
さらに普段開いてないビューイングルームも開いてたので特別に見せてもらったドローイングはさらにオイルスティックのテクスチャーが激しくてすごかった。。。
ちなみにツンとしてるギャラリーが多い中、こういう大御所扱ってるギャラリーの方がスタッフさん優しかったりします。
ここのスタッフさんも毎回親切で好感しかない。余裕って大事。
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井原信次「1111」@ KEN NAKAHASHI (-12/9)
2022年の11月11日に亡くなった飼い猫を悼むように描いた花を持つ絵画が享年と同じ22枚並んでます。
亡くなったばかりの飼い猫を抱いてるパートナーを描いた部屋の絵は、最初写真かと思うぐらい自然でびっくり。
うちも去年実家で飼ってた猫が亡くなったのでなんとなくわかるんだけど、悲しい気持ちよりありがとうの気持ちの方が大きくて、さよならよりありがとうの花束なんだろうな、と感じました。
会場にも「死」の傷ましさよりもむしろ清々しい空気が流れていたのが印象的でした。
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最後はまた古物xアートの展示。
西坂晃一「substream」@ 隙間 (会期終了)
木葉絢子「A Small,Good Thing」@ Pottari (会期終了)
手塚 確 写真展 「 山水|木曽 – 松本 – 漆 – 写真 」@ 手と花 (会期終了)
東京で大好きな古物屋白日の店主西坂さんのなんと個展が今年の元旦に京都でやってたけど行けず、今回東京でやるというので楽しみに馳せ参じました。
彼とその作家仲間たちによる協働の「作品」は、時間と作家性が入り混じった不思議なオブジェになってました。
西坂さんは作るというより選ぶ人です。
物を選び人を選ぶというその行為自体が彼の作品たらしめてるのかもしれません。
1塁から3塁までの古いホームベースを額装したやつが個人的には好きでした。
今後に期待。
木葉さんは前回のumi neueの個展から早くも今度はガラリと変わって陶の作品たち。
Pottariさんは下が陶芸教室もやってるので、作品も陶になったのだけど世界観は相変わらずで凄い。
その関連で知り合った神田にある手と花の店主手塚さんのお父さんの写真展へ。
一枚一枚丁寧に撮られてたんだろうな、と想像させる繊細な写真たち。
手塚さんの父親へのリスペクトが感じられる展示でした。
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TARO賞の作家Ⅲ 境界を越えて @ 川崎市岡本太郎美術館

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内海さんの展示を観に川崎の岡本太郎美術館へ。
青山に岡本太郎記念館というのがありますが、そっちではありません。
この美術館はとにかく遠い、、、。
昔に一度訪れたことがあるけれど、生田公園の中をひたすら歩いて辿り着いた記憶があります。
ちなみにその時観に行ったのは第12回岡本太郎現代芸術賞で、当時の岡本太郎賞を受賞したのが今回も出ている若木くるみさん。
当時後頭部を顔のように刈り上げた彼女本人がずっといてめちゃくちゃ怖かったw こちら
というわけで今回は小田急線の向ヶ丘遊園駅から生田公園の西口までタクシーを利用。
西口は駅からかなり大回りになるんだけど、東口に行っちゃうと結局そこから歩くので意味ないのです。
ようやく辿り着いてすでにヘトヘトなのでカフェでパンケーキ食べてパワーチャージ。
ようやく美術館の中へ。

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まずは岡本太郎の常設展。
今回は「岡本太郎とスポーツ」と題して、東京・札幌・ミュンヘンオリンピックでデザインした参加記念メダルや、近鉄バッファローズのロゴなどが展示されてました。
趣味のゴルフやスキーの道具なんかも展示されてて人間味溢れてて良かった。
太陽の塔のドキュメンタリーや「森の掟」も展示されてます。
個人的に岡本太郎は彼の作品よりも民俗学的なアプローチが好きなので、彼が取材時に持ち歩いてたカメラが展示されてたのは熱かった。

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今回のメインは企画展示室の「TARO賞の作家Ⅲ 境界を越えて」。
26回のTARO賞の中から選ばれた作家たちが改めて展示する企画の第3回。
今回は内海聖史(第10回入選)、大西康明(第5回入選・第10回岡本太郎賞)、若木くるみ(第12回岡本太郎賞)の3名が選ばれました。
会場入ってすぐに飛び込んでくるのは内海さんの色の洪水。
巨大な作品がこれでもかと展示されてて本当に本当に贅沢な展示です。
特にこの5-6年の作品が集められてて、個人的に上京してから観てきた内海さんの作品が一挙に揃ってたので、上京してからのことも思い出したりしてかなりエモい気持ちになりました。
「dual」「squid」「カーキな視界」。どれも思い出深い作品たち。
これまで観た作品も、所変わればまた見え方が違って面白かった。
さらに、上京前で見逃してた「遠くの絵画」も観られたし、新作インスタレーションの「そこにあるわけではない」はマジで凄い。。。
小部屋に所狭しと小さな色とりどりの作品が展示されてて、中には色付きアクリルも混じってたりとても楽しい小宇宙。
この部屋は入ることができなくて、外から眺めるだけなんだけど、距離もあってじっくりは観れないし、さらには裏側しか見えない作品があったりで、作品を「観る」とはどういうことなのか改めて考えさせられます。
この小さな作品はこれまた上京してすぐに初めて購入した作品でもあって、当時の「あらゆる時間」がさらに発展したインスタレーションで最高でした。

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お隣大西康明さんは、ビニールの小屋が空気で膨らんだり縮んだりする呼吸のような作品。
この中にはなんと岡本太郎の本物の作品が入っています!
最初レプリカだろうと思ったんだけど、スタッフの方に聞いたらモノホンだった。。。
箒は謎でした。

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若木くるみさんは、あらゆる方法で刷った版画を展示。
賞を受賞した時のあの作品がどうしてもよぎるので、かなり地味に感じてしまった。。。

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そんなこんなで大満足で鑑賞終了。
遠かったけど来てよかった。
この展示は来年1月14日までやってるので是非。こちら
最後はショップでガチャガチャ回してTAROマンゲットw
あと前から欲しかった太陽の塔のフィギュアも。店で本を支えてくれてます。

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大巻伸嗣―真空のゆらぎ @ 国立新美術館 (-12/25)
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続いて2014年の「TARO賞の作家Ⅱ」に出品していた大巻伸嗣さん(第6回特別賞)の個展へ。
弘前の個展も観に行きたかったけど遠くて行けずだったので東京の美術館個展は嬉しい限り。
国立新美の大空間に「Gravity and Grace」と「Liminal Air Time ̶ Space 真空のゆらぎ」という大インスタレーションとフォトグラムに映像にドローイングと見応えのある展示でした。
特に2つのインスタレーションはどちらも2016年のあいトリで発表されたものだけどパワーアップしていて素晴らしかった。
しかもどちらも光と影を反映しながら、より光が強い方とより闇が強い方、垂直と水平という対比で見事な構成。
特に「Liminal Air Time ̶ Space 真空のゆらぎ」は最高で、いつまでも観ていられる体験でした。
不思議だったのがどちらの作品にもBGM(?)がついてるところ。
インスタレーションに音がつくのって中々ダサいのでやらないんだけど、崇高な感じの演出には合ってるのかな。
その他の作品は正直微妙で、特にドローイングは作家本人も「見せたくない」って言ってるだけあってうーんってなりました。。。
それはともかくインスタレーション本当に素晴らしいのでぜひ。

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ついでに国立新美のロビー(?)で展示されてた「渡辺 篤(アイムヒア プロジェクト) 私はフリーハグが嫌い」も観たけど、この人の作品はこういう開放的な空間で観るものじゃないな、と思いました。
こないだまで都現美でやってたようなどこか見てはいけないものを見てるような感覚が正しいのだと思います。
今回の扉のインスタレーションも例えば覗き穴から覗くとハグの写真が見えるとかいう仕掛けがあれば良かったな、と。
映像も昼間は明る過ぎてほとんど見えないし。。。
ちょっと残念な展示でした。こちらも大巻展と同じ12/25まで。

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杉本博司 本歌取り 東下り @ 渋谷区立松濤美術館

最近観た写真展関連まとめ。

杉本博司 本歌取り 東下り @ 渋谷区立松濤美術館 (-11/12)
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なんだかんだダントツでよかったのは悔しいかなこの方の展示。
近年は彼のナルシシズムに食傷気味ですが、それでもやっぱり見せ方がうますぎる。
このノイズの多い美術館を見事に自分のものにしていました。
本展の前身となる姫路の展示を観てないのでどういう感じだったかわからないけれど、敢えて正攻法で行かずに古物や他人の芸術品とのコラボレーションという形で見せるやり方は見事。
それを「本歌取り」とするのも粋が過ぎます。
展示物一点一点挙げていくとキリがないんだけど、やっぱり写真を屏風や掛け軸にするのは上手すぎるし、数理模型の彫刻は美しいし、小柳で観た時はダサかった新作もここで観るとしっくりくるし、やっぱり只者ではありません。
特に2階の展示は、真ん中のソファまでしっくり来てて、この美術館で観てきた展示の中でもかなり上位の展示でした。お見事。

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石川真生 ─私に何ができるか─ @ 東京オペラシティ アートギャラリー (-12/24)
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沖縄の写真家・石川真生の個展。
一昨年の沖縄県美での個展のカタログをお客さんから頂いて知った作家さん。
「私に何ができるか」というタイトルからも、かなり真っ直ぐな写真で、写真の本来の役割を思い出させてくれます。
ただ、前半これまでのシリーズをすごい早足で見せちゃうので知らない人からしたら不親切な展示構成だと思いました。
作品説明は壁に貼るタイプではなく、配布物にしては太い冊子を見ながらの鑑賞は中々辛いものがあります。。。
この展覧会で見せたいのは後半の「大琉球絵巻」なのはすごく伝わってくるんだけど。
冊子と照らし合わせながら観るのも散漫になってしまい、最後の廊下はほとんどがらんどうだし、展示構成がすごく雑だなぁというのが感想。
とはいえ一枚一枚が強いので、写真表現として純粋に楽しめます。
上階のコレクションは顔をテーマにした構成。
川島秀明の作品ちゃんと観たことなかったけど、キャンバスの縁に表面と全然違った色が垂れてて面白かった。
Project Nはピンと来ず。

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見るまえに跳べ 日本の新進作家vol.20 (-2024.01.21) / 即興 ホンマタカシ (-2024.01.21) / 風景論以後 (-11/5) @ 東京都写真美術館
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展覧会3つとさらにアアルトの映画も観たから一つの美術館でかなりのカロリー消費でした。。。
まずは3階の毎年恒例・新進作家展。
年によっては「これって写真なの?」って表現もあるんだけど、今年はカメラを持って真っ向勝負で挑んでる写真家が多かった気がします。
そんな中でも圧倒的に良かったのが渕上裕太さん。
上野の人々を撮った写真で、最初ステートメント読んだ時は「それって鬼海弘雄じゃない?」って思ったんだけど、空間全体を覆うように展示されてるそれらは、演出と彼らの個性が合わさって凄まじいエネルギーでした。
同じく西成や新宿などのドヤ街を撮ってる星玄人さんも似たような題材ながら全く違う世界観で面白かった。
唯一知ってたうつゆみこさんは相変わらずの毒々しい世界観で浮きまくってた笑
彼女だけ現実というよりも内省的なモチーフなんだけど、そんな中でも薄っすら彼女自身の生活感が顕れてるのが今回の出展理由なのかもと想像したり。
近年の新進作家展の中ではかなり好感の持てる展示でした。
続いて2階のホンマタカシ展。
もはやビッグネームになり過ぎて特に気にも留めない作家なんだけど、今回はかなり印象が違ってて、部屋一室使ってカメラ・オブスクラにして都市を撮った写真が展示されています。
展示室の真ん中に部屋があって、四方に開いた穴からしか覗くことができず、そこにも写真が展示されてたり、謎にピアノが置いてたりして不気味。
とにかく展示室全体が妙に不気味な雰囲気に包まれてて、それは写真の印象がどこか「盗撮」めいた隠微さを醸し出してるからかもしれません。
ちなみに部屋を一室使ってっていうのは山中信夫も散々やってますが、彼の作品は白黒なので非現実みがあるのに対して、ホンマの写真はカラーというのもあって現実みと非現実みの間が特徴かも。
最後は地階の「風景論以降」。何故かここは撮影不可。
映画批評家の松田政男の著書「風景の死滅」(1971)をベースにしながら、現在から「政治の季節」だった1968年まで遡るようにして「風景」を捉えるかなりアカデミックな展示。
冒頭は広島を撮った笹岡啓子から。純粋に彼女の写真は良い。
原爆ドームや平和記念資料館のみならず、街角を撮っていても広島を感じさせるのが不思議。
その後、2章の今井祝雄の移動中に出くわす赤信号ばかりを撮った「Red Light」にハッとさせられたり、3章の中平卓馬のアレブレの写真に痺れたりとあったけど、全体的に捉え所のない展示。それこそが日常の「風景」というものなのかもしれないけど。
最後の大島渚や若松孝二らの映画の展示も美術館で観るには中々厳しく。。。
試みとしてはかなり骨太な企画ではあるけれど、やっぱり展示としては難しく感じてしまいました。

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寺田 健人 @ 東京建物八重洲ビル (会期終了)
「Tokyo Dialogue 2023」@ TODA BUILDING工事仮囲 (会期終了)
最後に東京駅周辺で先月までやってたT3 PHOTO FESTIVAL TOKYO関連。
色々やってたけど、寺田健人さんの展示と同級生の山元彩香が参加してた「Tokyo Dialogue 2023」のみ鑑賞。
寺田さんは5月にやってたIWAKAN MAGAZINEの展示で初めて知って気になってる作家さん。
観たかった「想像上の妻と娘にケーキを買って帰る」が観られてホクホク。
ただでも物悲しい作品なのに、ビルの中に回ると誰もいない風景になっててさらに悲しくなった。
架空の娘が遊んだであろうおもちゃなんかもとても物悲しく展示されててとてもうまい。
一番大きな作品の下で仕事する男たちがさらに物悲しさを演出していていい感じでした。
去年は友人の清水裕貴さんが参加していた「Tokyo Dialogue」。
今年は同級生の山元彩香が参加してるので観てきました。
この仮囲いも来年には建物が完成するので無くなってしまうと思うとこのシリーズもこれで最後。
荒々しい工事現場と写真の相性が案外よくて面白い企画です。
今回も囲いの開閉部分にプリントされてたりしてとても良かった。
山元さんの作品も、これまでにないアプローチだったけどしっかり彼女の作品になってて感心。
神野紗希さんの俳句もとてつもなく良かった。

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アニッシュ・カプーア in 松川ボックス / 吉國元 根拠地 粟津邸ではじまる / 紫牟田和俊展 @ space23℃ / 伝統のメタボリズム〜言葉と文字〜 @ SHUTL

最近立て続けにアートx住宅建築を観たのでまとめて。

アニッシュ・カプーア in 松川ボックス (-2024.03.29・予約制)
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お客さんのインスタのストーリーで行かれてて、何じゃこりゃ!?となり即調べた展覧会。
カプーアの展示が近所(早稲田)で!!
しかも会場になってる松川ボックスは1971年に竣工した宮脇檀による建築で、1979年には建築学会作品賞を安藤忠雄の「住吉の長屋」と同時に受賞作とのこと。
これまで一般公開されることのなかった場所がなぜ展覧会会場に。。。
しかも開館時間が水・木・金の13時から17時で1時間の予約制。
まともに働いてる人には難易度の高い設定だけど、昼間フリーな私にはむしろ最高な時間帯だったので早速予約して行ってきました。
場所は西早稲田駅から徒歩10分以内の住宅地。松川ボックスで検索すると普通に出ます。
赤い門が目を引きます。
外観はまるで茅葺き屋根を思わせる形のコンクリートでできた屋根が特徴的。
中に入るとトップライトが部屋を照らしています。
どうやらインディペンデント・キュレーターの清水敏男氏がオフィスとして利用していて、今回は展示会場としてオープンしてるみたい。
展示されてる作品は3点で、絵画2点と彫刻1点。
ペインティングは近年取り組んでるもので、正直微妙。。。1階と2階に展示されてます。
彫刻はカプーアの真骨頂のミラーの作品で和室に展示されてます。撮影不可。11月末には展示から外されるらしいのでこれを観たい人はそれまでに予約してください。
建築は半世紀経ってるのもありやや傷み気味で、当時の和のテーストが所々にあって正直ややダサめ汗
僕的にはあまり満足のいく展示ではなかったけど、まあ中々ない機会なので是非。
予約はこちらから。1000円現地払い。

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吉國元 根拠地 粟津邸ではじまる (-10/29)
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粟津潔の自宅兼アトリエがアートスペースとして開放されてると聞いて行ってきました。
場所は読売ランド前駅から徒歩15分ほど。
かなりアップダウン激しいので足の悪い方は中々難しいアクセス。。。
辿り着いたそこは住宅街の中に凛と佇む白い建物。
設計は原広司で1972年竣工。
入場料1000円を払って中へ。
半世紀の傷みはややあるものの、トップライトが入る明るい内装。
坂道に建ってるので、入口から入ってどんどん下に降りていく構造で、自分が何階にいるのかたまにわからなくなります。
基本的にシンメトリーな構成で、まるで神殿のような高貴さがあります。
現在はご子息の粟津ケンさんが所有・管理されています。
以前スタジオ35分で粟津潔展がやってた時にお会いして少しお話させて頂きましたがとても気さくな方。
当日もいらっしゃって訪問者を案内されてました。
そして今回柿落としとなるのが、35分でも展示されてた吉國元さん。
アフリカのジンバブエにルーツを持っていて、ブラックの人を中心に描いた色鮮やかな作品群が白い建物に映えます。
それにしても、こんな行きにくい場所なのにめちゃくちゃ人がいてびっくりしました。。。
これまで公開されてなかっただけに注目も高かったのでしょうね。
ほとんどが建築関係と思しき人たちで、吉國さんの作品をちゃんと観ていたのか謎。
建物がこれだけ個性的だとやっぱり純粋に鑑賞するのは中々難しいかもしれません。
とはいえ今後も若手を中心に展示されていくようなので気になるスペースではあります。
インスタレーションとか彫刻とかの展示も観てみたいですね。
次回はKarimoku New Standardの展示(11/5-12)で入場無料・要予約。こちら

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紫牟田和俊展 @ space23℃ (会期終了)
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以前から気になってたけど中々行く機会のなかったspace23℃へ。
ここはもの派の作家として知られる榎倉康二の奥様榎倉充代が2000年に開廊したギャラリー。
等々力駅から10分ほど歩いた住宅街にあります。
Googleだと家の裏側に連れて行かれて焦りましたが何とか探し当てました。
ギャラリーといっても実際に榎倉康二の家兼アトリエで、行くと「榎倉」という表札がかかってます笑
当初は実際アトリエの中で展示されてたそうなのだけど、2017年からはギャラリーを新設して榎倉を初め様々な作家の展示を不定期に開催しています。
ギャラリーは小ぶりではあるものの、トップライトが入って、角もアールでこだわりを感じる空間でした。
この時は榎倉の元教え子だった紫牟田和俊氏の作品展。
さすが榎倉のギャラリーで展示するだけあってミニマル。
箱と作品がセットになってるインスタレーションでした。
実際作家さんもいらして、展示見てたら奥様がコーヒーを持ってきてくれました。
中々行きにくい場所だったけど、ずっと気になってたので行けてよかった。金土日のみ。
現在は歳森勲展が開催中。11月5日まで。

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伝統のメタボリズム〜言葉と文字〜 @ SHUTL (-11/5)
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昨年老朽化により惜しまれながら解体されてしまった黒川紀章の代表作でもあった中銀カプセルタワー。
僕も一昨年内部見学させてもらいました。本当に行っておいてよかった。その時の様子はこちら
カプセルのいくつかは購入されて保存されています。
そのうちの二つが今月オープンしたSHUTLという施設に入っていて公開されてます。
ここは松竹の持ち物らしく、今後このカプセルを展示スペースとして使用していくとのこと。
その柿落としが「伝統のメタボリズム」という企画。
第三弾まで予定されてて、今回はその第一弾として「言葉と文字」をテーマに、最果タヒ+佐々木俊、松田将英、三重野龍が参加。
2基のカプセルはそれぞれ「CAPSULE A - A906 (ORIGINAL)」と「CAPSULE B - A1006 (SKELETON)」と名付けられてて、前者は竣工当時の内装に修復されてて、後者は剥がされてスケルトン化された生々しい姿で設置されてました。
展示は正直かなり微妙だったのでノーコメント。この調子だと今後もあまり期待できないかも。。。
まだ中を観たことない人は観に行ってもいいかもです。
Aは基本1人づつしか入れないので並びますがBは並ばず土足のまま入れます。

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おまけ。
住宅の域を遥かに超えてるし、展示でも何でもないんだけど、誕生日で小笠原伯爵邸に連れてってもらったのでここに載せときます。マジで最高だった。。。

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さいたま国際芸術祭2023 @ 旧市民会館おおみや等

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さいたま国際芸術祭に初日から行ってきました。
第3回だけど個人的に初。
今年は目[mé]がディレクションするということで発表時から気になってたのです。
会場は旧市民会館おおみや。
2022年3月に閉館後使われてなかった施設らしい。
Googleマップで「旧市民会館おおみや」と入れると「RaiBoC HaII レイボックホール(さいたま市民会館おおみや)」という別の施設が出てくるので注意。
最初ここに行ってしまい、?となりました汗
住所は 埼玉県さいたま市大宮区下町3-47-8 です!

会場でチケットを買い、さて観るぞ!と思うも、まず順路が不明すぎて早速足止め。
どうしたらいいのかわからずスタッフの方に聞くと、外の階段から2階に昇れますとの事。
一旦外に出てわざわざ今回のために設置されたと思しき大階段へ。
この入口、今回のためにわざわざ作ったのかな。。。凄すぎる。。。
そこにはアーニャ・ガラッチオ「'preserve' beauty」が。
この作品は日々花が枯れていったりカビが繁殖したりして変化していく作品。
今回の芸術祭は、こうした日々変化していく作品が多数あります。
というか、進んでいくうちに段々とわかってきますが、「作品」然とした作品はこの後ほとんど出てきませんw
どこまでが作品でどこからが作品じゃないの??というものだらけで大混乱。
会場中に、ゴミなのか何なのかわからないものが置かれていて、これらは目[mé]が仕掛けた「スケーパー」という「景色の一部に見えるが、じつは人為的な人間やもの」が紛れているのです。
会場の外にもあったりするらしいのだけど、人間は全くわからなかったw
おまけに透明な間仕切りで仕切られて、向こう側は見えるのに行けない!とか一方通行も多くてさらに混乱。
多少イラつくけど、慣れてくると徐々にその面白さが沁みてきます。
この会場全体が目[mé]の作品と化しています。
これには賛否両論分かれそうだけど、目[mé]が好きなら許せると思います。
そしてこの迷路のような道を辿っていて思い出したのが2008年に東京都現代美術館で開催された川俣正の「通路」
あの時も、木のパーテーションで仕切られてひたすら歩いていくという展覧会でした。
つまり、展覧会とは道を作る事という究極の試み。
但し、今回はその道がかなり混沌としていて、さらにその仕切りが透明になることによって、こちら側とあちら側が生まれるというさらに複雑化しています。
2階では大ホールにも入れて、この日はテリー・ライリーのライブのリハーサルがやってるのを観ることができました。
時間があればライブ観たかった。。。
大ホールを抜けると、さっきまで2階にいたのにまた1階に戻ってた!
楽屋横を通り(多分ライリーの楽屋入り見れたw)、応接室も斜めに仕切られ、スケーパー研究所という先述のスケーパーの目撃情報を集めたりする場所があり、最初にチケット買った事務所の裏側が丸見えになってたり。
ペンが間仕切りで仕切られてるのは狂気を感じましたw
その後もまた3階に上がって今村源さんの作品を拝見したかと思うと、さらに間仕切りの向こう側に行くために地下に降りて外に出て、違う階段を登り、と建物の中を行ったり来たりで結構ぐったりします汗
効率よく観るには、1階→大階段で2階→3階→2階に降りて大ホール→1階→地下→外→建物内の階段で3階→1階に降りて小ホール、が良いかと。
まあ、効率なんてこの展示で野暮なんだけど、どうしても体力的なこともあるので。
最後は小ホールでミハイル・カリスキの映像を鑑賞して終了。
他にも「市民プロジェクト」なるものが市内でやってるのだけど、時間と体力の限界で断念。両方ある方はどうぞ。
帰り道も落ちてるゴミが「スケーパー」かもと疑ったり、まんまと目[mé]の思い通りになってましたw
国際芸術祭と銘打つには規模が小さい気がするけど、こうして順路をかき回したり、「スケーパー」を配することで見応えのあるものに変えてしまう目[mé]はさすがでした。
写真を大量に載せて言葉を尽くしてみたけど全然伝わった気がしないw
これは体験してみないとわからないので是非行ってみてください。
12月10日まで。こちら
それにしても近くに埼玉近美もあるのになんでそこが会場にならなかったんだろうか。
大人の事情なのか色々あるのかもですねぇ。。。

Soh Souen「Your Body is the Shoreline」@ √K Contemporary

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最近観た都内のギャラリー展示まとめ。
まずはお馴染み新宿エリアから。

Soh Souen「Your Body is the Shoreline」@ √K Contemporary (-10/14)
最近観た中でダントツ良かったのが√kで開催中のSoh Souenの展示。
1995年生まれの若手作家ながら、すでに作品のクオリティが半端なく高い。
経歴読んだら精華大学の洋画科卒業とのことで、僕の後輩に当たりますが、そういうのは一切関係なく、僕が作家時代にやりたかったこと、自分と他者の境界のようなもの、を見事に作品に昇華されててなんだかとても嬉しかったなぁ。
まず1階のギャラリーに入ると奥にパフォーマンスしている作家自身の姿が見えます。
展示空間には卵がいくつか転がっていて、その間をスタッフさんが颯爽と通り過ぎるので踏まないかヒヤヒヤしました笑
「エッグササイズ」という作品で、床には文字が書かれていて、この詩のようなステートメントも本当に素敵。
一部抜粋。

何かとかたときも離れずに一緒でありたい。
あなたの温度が知りたい。
あなたの感触が知りたい。
あなたの匂いが知りたい。
あなたの重さが知りたい。
そこにのしかかる重力を知りたい。


展覧会タイトルの「Your Body is Shoreline (あなたの身体は海岸線)」からも、境界というものに作家の興味があるのがよくわかります。
実際展覧会に当てられたステートメントに書かれた言葉も素晴らしいのでまた抜粋。

「自分自身」という言葉に代表されるような「わたし=身体」という前提は、無数の他者性に満ちた身体という枠組みを、自己により完全にコントロール可能であるという幻想を生むに加え、他者と区別することで生まれる「わたし」という確固たる線引きは個人主義や孤独、大きな分断と背中合わせとなる危険性をもたらします。

「傷つきやすさ」の象徴でもある卵を丁寧に、壊れないようにゆっくりと運ぶ彼の姿は本当に美しいので必見。
9/22以降の15時から19時までひたすらやってるそうなので是非見て欲しいです。
初日に行われたSara Milioとのパフォーマンスも見たかった。。。
1階と2階にあった絵画は正直ピンとこなかったので割愛。
この展覧会の白眉は、地下空間のインスタレーションでした。
呼吸をする音と、15台のモニターに映された臍の映像。
臍というのはまさに自分と他者(母)が一緒だった頃の象徴であり、それを失った傷でもあります。
そして呼吸というのは、コロナ禍以降特に意識されることとなった生物としての営みの一つですが、これも一旦身体に入った空気が外に出て他者の身体に取り込まれる象徴のようなもの。
これらを見事に可視化していてこの空間で見たどの展示よりも感動しました。
そして臍ってこんなに個性があるんだ!という驚きも。
これは福岡アジア美術館で行ったパフォーマンスで参加してくれた有志の方たちのお腹のアップだそう。
そのパフォーマンスの様子はこちらで見られます。
今後また楽しみな作家が増えました。
Soh Souen website>> https://soh-souen.com

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エリック・スワーズ「DOING」@ KEN NAKAHASHI (-10/14)
お次はKEN NAKAHASHIでのエリック・スワーズ。
昨年の同ギャラリーでのイミ・クネーベルとの2人展が鮮烈で、巨匠の作品と並べても遜色ないクオリティに感動しました。
今回もそうで、どの作品も一見ミニマリズムを彷彿とさせつつも、情感的で儚げな印象は本当に不思議。
このギャラリーの自然光が入り込む空間が本当にぴったりで、できるだけ明るい時間帯に行くことをお勧めします。
窓側に展示されてたパンツの肖像、下にも写真があって気になって近づくと鏡で自分が写りこむという茶目っ気のある作品もよかった。
展覧会タイトルの「DOING」というのも生きる全ての営みって意味にも取れて、さらにそれを祝福しているような雰囲気が展示から伝わってきてとても感動的でした。

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YU XIAOKAI「YXK」@ 新宿眼科画廊 (会期終了)
最後はお客さんで来てくれた中国出身のユさんの展示。
基本的にセクシャリティを前面に出しすぎた作品って苦手なんだけど、彼の作品は、そのマイノリティの中でも阻害される因子が作品の中に取り込まれていて、単なるセクシャリティの問題だけでなく、マスキュリンの定義みたいなのも問うてて良かった。
今後も楽しみです。

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ざっくり東エリア。

日々 / 早川克己 小品展 @ GALLERY MoMo Ryogoku (-10/7)
実はここ最近縁あって早川さんの作品のお手伝いをしています。
アメリカに納品予定の作品を制作しているのですが、これがまた大変で、小さなパーツをひたすら組み立てる日々。。。
そんな早川さんの個展が現在両国のMoMoで開催中です。
早川さんの作品は同ギャラリーの六本木の方で以前お見かけしたことがあって、その時から気になっていました。
今回初めてまとめて拝見できました。
メインは絵画作品で、絵画といっても絵の具のにじみや垂れや顔料の沈殿などを、作家の作為を超えて生み出された作品群で、まるでどこかの惑星の表面を切り取った画面に見入りました。
後半は早川さんの真骨頂とも言える半立体作品で、物凄く細かくて見ても見ても追いつかないぐらい細かい!
特に石を使った作品が素晴らしかった。。。
「日々」と名付けられた個展のタイトルも合間って、誰にも見られない石の下の石のような日々の営みが積み重なって作品になってるようなイメージが浮かびました。

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杉本博司 火遊び Playing with Fire @ Gallery Koyanagi (-10/27)
石内都 初めての東京は銀座だった @ SHISEIDO GALLERY (-10/15)
銀座で巨匠写真家2人の展示。
コメントすべきことがない。。。

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どこ吹く風 |手塚敦嗣 展 @ Pottari gallery (-10/8)
長谷川 迅太 ”cut & paste” @ 水犀 (会期終了)
木葉絢子「エキセントリック水石」@ umi neue (会期終了)
山本恵展をきっかけに知った古物xアートな方々の展示。
手塚敦嗣さんは神田にある手と花の店主で、長谷川迅太さんはtatami antiqueの人。
それぞれ常に収集している古物を組み合わせて作品化してます。
古物もアートも好きな僕にとってどれも素敵な展示でした。
特に西小山のumi neueで開催されてた木葉絢子さんの展示は素晴らしすぎた。。。
彼女の作品は石を愛でる水石という日本古来の文化に基づいていて、どれも鉱物が作品に使われています。
どれもセンスの塊すぎて全部ください!と言わんばかりにどれも素晴らしくため息。
天才的な感覚は山本さんとも通じます。
結局古いノギスを使った作品をお迎えさせて頂きました。
瑪瑙も美しいのでぜひお店で見てください。
umi neueさんも初めて行ったけど古物に加えて店主による古物作品もあったり気になるものばかり。
木葉さんの作品との親和性が良すぎてどこまでが展示なのか分からなかったw
何故かアンティーク金庫を買ってしまい、抱えて歩いてる姿はかなり怪しかったです汗
木葉さんは今月末にもPottariで陶器の展示をするらしいのでまた行かねば。
新たな扉を開けた感じで楽しい。

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高田冬彦『Cut Pieces』@ WAITINGROOM

最近観た都内の展示3つまとめて。

高田冬彦『Cut Pieces』@ WAITINGROOM (-10/8)
2021年以来のWAITINGROOMでの高田冬彦の新作展。
当時の記事読んでたら、やたらと「ネクストステージ」って言葉を使ってるんだけど、今回さらに高みに行ってしまってました。一体どこまで行っちゃうのかしら。
まずギャラリー入ってすぐに現れるのが昨年のマイアミで発表した「The Butterfly Dream」。
青年がウトウトと眠りに入ると蝶々が飛んできて、彼の服を切り刻んでしまうというもの。
前回の「The Princess and the Magic Birds」や「LOVE PHANTOM」でも眠りという要素は彼の作品で重要なんだけど、今回は「胡蝶の夢」がテーマ。
実際バタフライナイフならぬ、バタフライシザーが登場して、さらに実際に映像に使われてる「Butterfly Scissor」が展示されています。
初期作品では結構作品に使われた道具も展示されてたりしてたんだけど、近年はシンプルに映像だけを展示していたのですが、ここにきて映像インスタレーションと言うべきものに回帰しています。
それは隣の「Dangling Training」もそうで、テニスの練習をしている映像の周りにテニスボールが転がっています。
って、見所は赤い光越しに見える股間のシルエットなのですがw
これ、どういう仕組みで発光してるんだろう。。。今度聞いてみよう。
そしてこの個展の為に制作された新作が「Cut Suit」。
この新作が本当に素晴らしかった。高田くんの作品の中で一番好きかも。
スーツを着たフレッシュマンらしき6人の男たちが、お互いのスーツをハサミで切り刻み合うという内容なんだけど、背景のピンクや牧歌的な音楽も合間って、物凄く平和な映像に見えちゃう。
実際はとても暴力的な行為だと思うし、もちろんオノ・ヨーコの「Cut Piece」のオマージュだと思うんだけど、そういう説教臭さがほとんど感じられないんですよね。
(ちなみに展覧会タイトルの「Cut Pieces」は後者のオノ・ヨーコからの引用でしょうね。良いタイトル。)
「ホモソーシャルの解体」とかテーマとしては色々汲みとれるんだけど、ひたすら楽しそうにスーツを切り刻んでる彼らの姿が爽やかさすらあって後を引きます。
映像の周りには切り刻まれたスーツの残骸が山積みされてて、これもボルタンスキーとか一見したら悲惨なものに見えかねないのに、映像のピンクの光に照らされてなんとなくおかしい。
冒頭の「The Butterfly Dream」からのハサミ繋がりなのも素晴らしい。
さらに奥には今まであまり見せてこなかったアイデアノートのようなものも展示されてました。
明らかにまたまた「ネクストステージ」に昇った高田くんの個展。必見!
来年はアートバーゼル香港でミニ個展もあるらしいので出来たら観に行きたいと思ってます。
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AKI INOMATA - 昨日の空を思い出す @ MAHO KUBOTA GALLERY (-9/16)
AKI INOMATAの新作展。
従来の動物とのコラボレーションと違って、今回は「グラスの中の液体に別の液体を3Dプリントする技術の開発を経て実現した水を湛えたグラスの中に前日の空模様を再現する作品」。
外に設置された観測機のようなもので雲を記録し、実際会場でその雲が水の中に「プリント」される様が見られます。
さらに出来上がった成果物や空と撮った写真や映像が展示されてます。
そしてこのプリントされた雲、飲めるんです。
実際作品購入という形で飲めるのかな?だとしたらめっちゃ興味深いですね。
所有ではなく体内に摂取するという形で作品を購入する。
彼女の展示はいつも見せ方が上手いなぁと思うし、コンセプトの立て方も本当にお上手。
さらにそれを実現させる実現力も凄いなぁと思います。
結構説明しないとわかってもらえない作品が多い中、どこまで説明するかはとても難しそう。
今回は彼女にとっても新展開と言える作品。
これまでよりか若干地味ではあるけど今後の展開が楽しみ。
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ナラッキー Na-Lucky ChimPom from Smappa!Group @ 王城ビル (-10/1)
いつも隣の神座でラーメンを食ってて、目にはしてたけどあまり気にすることのなかった王城ビル。
今回そこが ChimPom from Smappa!Groupのプレイグラウンドとして生まれ変わりました。
前回の能舞台といい、近いのに知らない場所がたくさんあるなぁ。。。
「奈落」をテーマに、歌舞伎や弁財天などを引用しつつビル全体と歌舞伎町を巻き込んでてさすが。
ただ、このビルの飛び道具感が凄すぎて、作品一点一点ちゃんと入ってこないのも事実。。。
4階のカラオケルームでは男女が「丸の内サディスティック」歌っててカオスだった。
ってかそこは「歌舞伎町の女王」やろw
今後もこのビル活用されるんだろうか?
入場料2000円するけど、中々ない機会なので廃墟好きもどうぞ。
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冨安 由真 影にのぞむ @ 丸木美術館

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以前から気になっていた丸木美術館に行ってきました。
ここは、「原爆の図」で知られる丸木位里・俊夫妻の個人美術館です。
埼玉県は東松山市の緑溢れる場所に静かに佇む建物。
兎に角遠いので車で行ければいいのですが、公共交通機関だと東松山駅から出てるバスに乗るのが最も安く行ける方法だと思います。僕はこれで行きました。
但しバスの本数がかなり少ないので事前にチェックしてから行くべし。
バス停からは15分ぐらい歩きますが、ジブリっぽい風景に心躍ります。
間違ってもつきのわ駅から歩かないこと。こんな炎天下で30分も歩くと死にます。
あと森林公園からタクシーで12分ぐらいらしいので余裕のある方はそれもいいかと。

で、なんとか到着。遠かった。。。
現れた建物は案外大きくてびっくり。
受付で入場料を払って中へ。
まるで公民館のような佇まいですが、最初の2階には早速「原爆の図」が展示されています。
その前に位里の母スマが70歳を過ぎてから描き始めたというほのぼのした絵に癒されて心の準備を。
僕が丸木夫妻の絵を知ったのは中学の頃。
担任が美術教師だったのもあり、夫妻の作品をかなり熱心に取り上げていたのを鮮明に思い出します。
丸木夫妻はそれぞれ親戚が広島にいて、彼らは疎開していて被爆は免れたものの、多くの親戚を亡くしました。
原爆投下から数日後に広島に赴きその地獄を見た彼らは戦後、この「原爆の図」を描き始めたのです。
最初の「原爆の図 第1部 幽霊」が描かれてから1982年までの32年に渡り、全15部に及ぶ連作として制作されました。
この美術館には1部から14部までが常設で展示されていて、最後の15部は長崎原爆資料館が所蔵しています。
1部の幽霊がこの7月20日に修繕を終えて帰ってきていて、現在2部が修繕中で2025年までかかるとか。
それ以外は実物が揃っています。
中学生以来実物を観てみたいと思っていたので感慨もひとしお。
屏風のように自立するその大画面に圧倒されました。
画題もさることながら、彼らの絵のうまさもすごい。
構図も完璧だし、全部が違う表現を用いられていて観ても観ても観尽くせません。

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1階に降りると、画題は戦後にまで及びます。
印象的だったのは第13部と第14部。
13部では広島の原爆で亡くなった米兵捕虜、そして14部では在日朝鮮人について取り上げていました。
日本人の被害だけではなく加害にまで及ぶ「原爆の図」にはハッとさせられるものがあります。
第9部では戦後の第5福竜丸のことも取り上げていて、その後、画題は原爆から沖縄戦、南京大虐殺、アウシュビッツ、水俣、三里塚闘争と、人類史にまで及んでいて言葉をなくします。
蝉の声が遠くで鳴り響く中、静寂に包まれて思考が研ぎ澄まされる感覚がありました。

最後は彼らのアトリエ。
急に田舎の実家感があってほっこり笑
お盆に田舎の祖父母の家に来た感満載。

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さて、今回丸木に来るきっかけは冨安由真さんの個展があったから。
冨安さん、気になる作家ではあったけど実際観るのは初めて。
経歴見たら、同い年で同じ時期にロンドンのチェルシー行ってるのでどこかで会ってるかも。。。
彼女自身が被爆3世だそうで、今回初めて故郷と向き合う作品を制作しました。
会場では広い空間に白い手の型がいくつも浮いています。
それらは実際被爆者の方達に会って型取りしたものだそう。
やがて会場は暗くなって、強いスポットが当たって壁に影が落ちます。
そしてゆっくりと全体が明るくなるというインスタレーション。
ちょっと直接的なのと、まだご存命の被爆者の方たちがまるで死者のように扱われてるのが違和感ありました。
ただ、手の断面の部分が鏡面になってて、それがスポットに反射して、まるで魂が飛んでるように天井に反射してるのは面白かった。

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そんなこんなで初丸木美術館体験終了。
遠かったけどとても充実した時間でした。
2025年からは建物の改修工事に入るそうで、その資金を呼びかけています。こちら
改修前にでも一度は訪れたい美術館の一つだと思います。
冨安由真展は9月24日まで。こちら

ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室 @ DIC川村記念美術館

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早起きできてしまったので急遽川村記念美術館へ。
東京駅から9:55発の直行バスが出てるので、川村へはこれに乗るのがベスト中のベスト。
遠いので毎度躊躇してしまうのですが、行ったら絶対満足できちゃう美術館。
今回もロスコルームでうっとり時間を過ごしました。家に欲しい。

それはともかく今回はジョセフ・アルバース展。
一昨年パリでアルバース夫妻の展覧会既に観てるからパスしようかな、とも思ったんだけど、やはり無視できず行っちゃいました。
「日本初の回顧展」と銘打たれてますが、今回は彼の画業だけではなく、教育者としての一面がかなりフィーチャーされてて、そこがかなりミソな展覧会となってます。
アルバースは戦前から戦後にかけて、バウハウス、ブラックマウンテン・カレッジ(BMC)、イェール大学で教鞭を取っていました。
その教え子の中にはラウシェンバーグなんかもいて、戦後美術にかなり貢献した人物なのです。
とはいえラウシェンバーグは彼の指導をかなり無視してたみたいですが笑
会場には二つ入口があって、展覧会会場への入口とワークショップ会場への入口。
このワークショップ会場が最高なのです。
会場には夏休みの影響か家族づれが結構いて、みんな楽しそうにアルバースの課題に挑戦していました。
彼の授業ではとにかく色を「見る」ことが最重要視されていて、絵の具ではなく色紙がよく使われていたそう。
混色によって色を作るのではなくて、あくまで選び出すことこそが重要なのです。
というわけで、そんな彼の課題が大きく4つ提示されていました。

① 色のマジック: 1つの色が2つに見える


②3色の世界: 同じ色から違う世界が生まれる


③透明のトリック: 透けていないのに透けて見える


④ひだ折りの練習: しなやかな紙が立ち上がる



これらの課題をこなした成果物が壁一面に貼られていて壮観な景色なのです。
展覧会会場では、実際当時の生徒が同じ課題に取り組んだものも展示されてて、目や頭だけでなく身体を使って歴史と繋がっていく感覚は素晴らしい体験になると思います。
で、アルバースの回顧展としては、まあ会場も小さいので作品数としてはそこまで多くないものの、彼のキャリアをちゃんと通覧できる内容になってて素晴らしかった。
バウハウス時代のデザインから、BMC時代に抽象に目覚めていって、あの有名な「正方形讃歌」のシリーズに行き着く過程は観ていてスカッとします。
それにしても「正方形讃歌」、約20年で2000点近く作られたそうなんだけど、本当によく飽きないな。。。という素朴な感想が。
実際彼の制作を追ったドキュメンタリー映像も流されてるんだけど、まず決まった構図を線でひいて、直接絵の具をパネルに載せてナイフで塗っていく作業の繰り返し。
以前からなんで微妙に線の揺れがあるのかと思ってたらこうやって塗ってたのかという発見がありました。
こういうミニマルな作品だったらシルクスクリーンとかの方が合ってるのでは、とも思っちゃうんだけど、実際最後の章で版画が展示されてて、こっちの方がしっくり来るんですよね。
そこはやっぱりペインターとしての矜持があったのかしら。
やっぱりパリの展示と比べちゃうと、アニも全く出てこないし物足りなさはあるものの、ワークショップがあることでかなりの満足度があったので、とてもいい企画だと思いました。
そんなジョセフの全貌が観られる貴重な機会なので是非。11月5日まで。こちら

新山 清:Vintage Photographs 1948 – 1969 @ スタジオ35分

最近観た都内のギャラリー展示まとめ。

新山 清:Vintage Photographs 1948 – 1969 @ スタジオ35分 (会期終了)
新山清 写真展「松山にて」@ Alt_Medium (会期終了)
Recent Discovery CADAN × ISETAN ART GALLERY @ 伊勢丹新宿店アートギャラリー (会期終了)
森栄喜 ネズミたちの寝言 @ KEN NAKAHASHI (-9/2)

まずは新宿・中野エリア。
35分とAltで開催されてた新山清展はどっちもベラボーに良かった。
35分の方は畠山直哉氏セレクションの新山本人が焼いたヴィンテージプリントを年代関係なく17点の展示。
日本における主観主義写真の代表のような新山ですが、そのどれもが素朴に目の前のものに向き合ってきた結果なのだというのが真っ直ぐに伝わってきます。
主観主義写真というとシュールな写真という印象があるけど、それはあくまで結果なのです。
とはいえ、これ何なの!?みたいな写真も多々あってとても楽しい。
一番印象的だったのは、晩年の鏡に映った三輪車を撮った写真。
これどうやって撮ったんだろう??
この角度でカメラが映り込んでないのが不思議すぎる。
そしてよく見ると銀が浮き立ってて、ヴィンテージプリントならではの物質感もありました。
Altの方は戦後故郷の松山に帰った新山が撮った「松山時代」と呼ばれる写真群。
こちらはより素朴に故郷を切り取っていて、珍しく人物も多め。
但しそこは新山で、やっぱりどこか不思議な写真も多くて、彼の世界の発見の仕方が凄い。
いつかまとめて美術館とかでも新山清展開催して欲しいものです。
これらの写真は息子の洋一さんがしっかり保管していたお陰で今の時代も見られています。
そのあたりの詳しい話は35分のラジオで語られてるので長いですがぜひ。こちら
伊勢丹でやってたCADANとのコラボ展は可もなく不可もなく。。。
川辺ナホ、岩名泰岳、加藤翼、髙橋銑の作品が観られたのは良かった。
そして森栄喜展。
写真でそのキャリアをスタートさせた森さんだけど、今や映像にサウンドに様々なメディアを横断しながら活動していて、年々自由を感じていい感じ。
今回も眠る人々の映像と、カラーバリエーションが瞬く映像、ラジオや口笛、シルバーのプラカードにチューリップが描かれた鏡。
一見取り留めもないんだけど、空間に居るにつれそれらがゆるく繋がっていく。
不平等を訴えるスローガンはただの寝言なのか真摯な祈りなのか。
外の緑と相まって白昼夢のような不思議な感覚に包まれる展覧会です。
最近公開された中橋さんのインタビューも必見。写真は森さん。こちら

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ケリス・ウィン・エヴァンス 「L>espace)(…」 @ エスパス ルイ・ヴィトン東京 (-2024/1/8)
ダラ バーンバウム展 @ プラダ青山店 (-8/28)
大山エンリコイサム「Notes Rings Spirals」@ アニエスベー ギャラリー (会期終了)

続いて表参道エリア。
どれもファッションメゾンの展覧会。
ケリス・ウィン・エヴァンス、やっと空で言えるようになったw
ポーラ春の草月といい、日本に紹介される機会が多くなりましたね。
とはいえ、あまり得意な作家じゃないんだよなぁ。
とりあえず観にいくけど、毎回ふーんってなる。
それよか、久々にヴィトンからの景色が全開になってて気持ちいい空間。
プラダも同様で、ここまで外の景色開け放ってる展示初めてかも。
ダラ・バーンバウムも何となく知ってたけど、作品よくわからず。。。
どちらも建築を楽しむには良い展示です死
大山エンリコイサムの展示は何これ??って感じで肩透かし凄かった。

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山田康平 「Strikethrough」@ タカ・イシイギャラリー (会期終了)
菅 木志雄「ものでもなく場でもなく」@ 小山登美夫ギャラリー (会期終了)
片山博文 羊をつくる @ TARO NASU (会期終了)
冨井大裕 「冨井大裕・堀内正和 「拗らせるかたち」」@ Yumiko Chiba Associates (会期終了)

最後は六本木。
話題になってた山田康平の作品は噂に違わずよかった。
絵の具のレイヤーの捉え方が興味深く見入ってしまいました。
上から上から覆っていくことで、下の色彩が漏れる光のような効果になってるのがめちゃくちゃ面白いです。
これは確かに欲しくなる絵ですね。
1997年生まれとまだまだ若いのでこれからどう変化していくのも楽しみな作家さん。
対照的に超ベテランの菅さんの展示が同じビルでやってるのも面白い。
そして菅さんの作品はいつまで経っても若々しくてびっくりします。
似たようなことをやってるんだけど、全然飽きないの凄い。
今回も大空間の使い方素晴らしかった。
冨井さんキュレーションの、堀内正和との2人展も最高でした。
堀内のゴリゴリ近代彫刻と、冨井さんの人を食ったような緩い「彫刻」が並列されてるのはとても面白かった。
それにしても冨井さん、新潟栃木の美術館で別々の個展しながら抜かりなくギャラリー展示もこなしてるの凄すぎ。
美術館、どっちか行きたかったけどどっちも遠すぎる。。。泣
片山博文展はよくわからなかったのでノーコメント。

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デイヴィッド・ホックニー展 @ 東京都現代美術館

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今年度大目玉の展覧会と言っても過言ではないホックニー展がついに始まりました!
とはいえ都現美、遠いので夏はキツい。。。
清澄白河駅から歩くと干上がるので菊川駅からバスで行くのがおすすめです。
会期が11月までと長いので、もう少し涼しくなってからでも、と思いつつやっぱり観たいのでピーカンの中行ってきました。
クソ暑ド平日だったにも関わらず結構人がいました。
カタログも最初の3日で一旦完売したって聞くし、かなりの人気。
日本では27年ぶりとはいえこんなに人気だったとは。

まずは3階の展示室へ。
この展示室は完全に写真撮影不可です。
あと室内の温度が21度に設定されてる為に薄着だと凍えます。羽織るものがあるといいかも。
それはさておき、まず最初に、2020年にiPadで描かれた「春の到来」シリーズの1点と1969年の版画が並列で展示されています。
どちらも同じ花(ラッパスイセン)がモチーフで、実に半世紀もの年代の開きはありつつも、彼が一貫して身近な物や人に目を向けながら制作していることがわかります。
60年以上にも渡る画業の中で、様々なメディアを駆使しながらも、同じモチーフを繰り返し描くことで作品をアップデートしていく過程も見物。
初期のベーコンを思わせる油彩画から、天気を表現した版画群、そしてアメリカに移ってからの色彩豊かな油彩群。
北京で観た作品も多かったのでそこまで新鮮じゃなかったけど、初期の油彩もいくつか出てないのもあったし、プールサイドや雨を描いた版画群は何度見ても素敵。
そして、友人や家族をペアで描いた大画面の油彩はやっぱりホックニーの代名詞でいつまででも観てられる。
その後のポートレイト部屋も圧巻。
昔のもいいけど、ちゃんと近年のアクリルで描いた作品たちもいいんだよな。
しかし今回の白眉はその次の「視野の広がり」と題された部屋からだと個人的には思います。
ホックニーって色んなことやってるから、大きなテーマって見つけづらいんだけど、この展覧会で彼が絵画を通して挑んでいたのは遠近法だったのか!という大発見がありました。
確かに彼はマーティン・ゲイフォードとの共著でこれまでの絵画の在り方や仕組みを解き明かしていて、物凄く歴史に造詣の深い人だとは思ってたんだけど、それも遠近法を解きほぐす為の知識と思うと物凄く合点がいきました。
まず「The Blue Guitar」というシリーズでは、ピカソが全面に出ていて意外でした。
これには、キュビズムの再発見というテーマがあって、遠近法への挑戦が如実にで始めた作品群。
そして、写真を使ったシリーズ。
このシリーズ、個人的にホックニーのキャリアの中でも最も好きなんですよね。
これもまた、複数の視点を取り入れることで一点透視図法を果敢に崩しにいってる。
特に1983年に訪れた龍安寺の石庭を撮ったフォトコラージュは、完全に遠近法が崩れて庭が長方形で表されています。
龍安寺の石庭は、全ての石が一点から見えないように設計されてるんですが、この作品では全ての石が眺められるのも面白いですね。
その後もフォトコラージュや近年のiPadシリーズも、遠近法という観点から見るととても面白いです。
思い返せば、最初に出てたお茶のパッケージを描いた作品から既に遠近法崩してますね。
展覧会を通してこの発見はかなり嬉しかったです。
その後1階では90mにも及ぶ「ノルマンディーの12か月」等の作品が並びます。
こちらは撮影可なんだけど、なぜかスマホ等のデバイスのみ。謎すぎ。
それにしてもiPad絵画ってめっちゃ不思議。
90mっていうけど、元はデータなのでいくらでも伸縮可能なのではとか思っちゃう。
絵画っていうと、どうしても一点物の物質として捉えちゃうけど、展示されてるものはあくまで印刷されたもので、実際直接釘で打って壁にはられてるのもめっちゃ不思議だった。
展覧会終わったら廃棄されちゃうのかな???
改めて不思議な画家だなぁと思いました。
60年のキャリアを全て展示はできないとはいえ、かなり網羅されてて、散漫とも捉えられかねない展示だったけど、総じて楽しい展示でした。
しかし27年ぶりの折角の展覧会だったのに図録小さすぎ。。。
作品でかいんだから、せめてドイグの図録ぐらいの大きさにして欲しかった。
特設ショップでは色々売られてたけど、うちわが3千円もしたのが衝撃でした。
展覧会は11月5日まで。こちら


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地下でやってる「あ、共感とかじゃなくて。」という展覧会。
観終わった感想は「え、共感じゃないの?」でした。
作品を観る上で共感って大事なんだなぁと改めて思わされる展覧会でした。
有川滋男、山本麻紀子、武田力の展示は、共感から遠くてよくわからなかった。
一番共感を覚えたのはやはり渡辺篤(アイムヒア プロジェクト)。
コロナ自粛の中で同じ月を撮影したたくさんの写真たちや、引きこもりの人々の部屋の写真、美術館ではない誰かが点滅させる電灯。
物凄くリアルに人の体温が伝わってくるし、展示もうまい。
特に引きこもりの人たちの部屋の写真は、ガラスケース+カーテン越しに展示されてて、なんとなく見てはいけないものを見ちゃってる感じもあって良かった。
後輩の中島伽耶子の作品は、ちょっと色んなものを盛りすぎてコンセプトが霞んじゃってて残念。
11月5日まで。こちら


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最後はコレクション展。
1階は前回とほぼ変わってないので割愛。
3階は「水のように」と題された、横尾忠則の特集展示が新たに始まっていました。
彼と親交のあったウォーホルやジャスパー・ジョーンズ、そして上述のホックニーまで都現美のコレクションで構成されてて既に豪華。
横尾の作品も、こんなに収蔵されてるの!?ってぐらいたくさんあってびっくり。
改めて観ると、確かに水の表現が多くてなるほどと思いました。
最後の宮島達男の部屋にも展示されてて良かった。
でもまあ、正直横尾忠則はほとんど興味ないのでかなり足早に観ました。
展示室出てすぐに、サム・フランシスの展示のドキュメンタリーがあって面白かった。前回もあったのかな?
よくよく調べたらYouTubeにもアップされてるので是非。
このコレクション展も11月5日まで。こちら

テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ / 蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる @ 国立新美術館

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現在国立新美術館では、「テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ」と「蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる」が同時に観られます。
とはいえ、2つ観ようと思えば4千円近くになります。。。庶民には痛い出費ですね泣
コロナ以降特に入場料が高騰していて、2千円を超えるのは普通になってきました。
図録も昔は2千円とかで買えてたのに今や3千円以上しますもんね。
とはいえARTnewsの記事によると、アメリカの各地の美術館は軒並み30ドル(4千円強)になってるらしくて、日本はまだまだなんですが。。。
いよいよ市井の人々は気軽にアートに触れられなくなっていくかもしれません。
と、初っ端から愚痴っちゃいましたが、二つとも素晴らしい展示なので多少の出費をおしてでも観に行く価値はあると思います。

まずはテート美術館展。
こういう○○美術館展にありがちな、ただ持ってきただけ感が全くないのが本展の素晴らしいところ。
一重にテーマを「光」に絞ってるのが効いてます。
冒頭から旧約聖書の創世記の「光あれ」という神の言葉からスタートしてるのが熱い。
それらの神話をテーマにした絵や、テートご自慢のターナーをこんな初っ端から惜しげもなく出してるのヤバすぎ。
特に後期のターナーの作品はほとんど抽象画。
後の印象派にも影響を与えたと言われる光の表現が素晴らし過ぎる。。。
さらになんとカプーアの作品が一緒に置かれている。。。!!!
この作品、実際テートモダンで以前観ましたが、当時は中に入れたんですよね。
中に入ると音の聞こえ方がおかしくなってすごい体験でした。。。
まさか最初の部屋からターナーとカプーアに出逢えるなんて。
あまりよく知らなかったけど、ジョゼフ・ライト・オブ・ダービーの火山の風景も印象的。
ターナーのライバルコンスタブルの版画群も見事でした。
その後ラファエル前派や印象派が登場しますが、正直パッとした作品はないです。
それよかその後のハマスホイの2点が素晴らし過ぎる。。。
小品ながら、今回の「光」というテーマにもぴったりな作品でした。
そして次の部屋がめちゃくちゃ面白かった!!!
写真撮影不可だったのが残念でしたが、その部屋ではロイヤル・アカデミーで教えていた頃のターナーの課題が展示されてて、教育者としての一面を見られてとても興味深かった。
モチーフに対しての光の当て方や奥行きの出し方等々、ターナー自ら素描していてすごい。
さらにそこからバウハウスに繋げるのもニクい。
モホイ=ナジの実験から、山脇巌、ハナヤ勘兵衛なんかも出ててびっくり。
アルバースの作品も良すぎた。
抽象への流れも完璧。
カンディンスキーにライリー、ニューマンにロスコ。そして極め付けがリヒター!!
一番アブストラクトがノリにノってた時期の作品なので、観ても観ても観尽くせない最高の作品でした。
その後は現代美術のオンパレード。
ブルース・ナウマンのインスタレーションからタレルのガチ光の作品。
オピーの平面作品も興味深かった。
そしてフレイヴィンにオラファーとまさに光の祭典。
古典から現代まで本当に圧巻の展示でした。
テート行きてぇ!!!
展覧会に合わせてウェッジウッド・カフェも展開してました。
ちょっと興味あったけど並んでたので断念。

そしてもういっちょ蔡國強展。
本展はサンローランがスポンサーについてます。
日本の展覧会は大体新聞社が協賛になってるけど、新聞社も厳しい昨今、今後美術館はスポンサー先を新たに探さないといけない時代に突入してしまいました。
そんな中大手メゾンは確かにパートナーとして最高かもしれません。
ちなみにサンローランは、9月から同館でイヴ・サンローラン展を開催します。
どうせなら同時開催にすればよかったのに。色々事情があるのでしょう。
さて、そんな本展。
展覧会の前に、福島のいわきで4万発もの花火を打ち上げました。
こちらもサンローランの提供。数千万円とも言われています。。。すごい。
展覧会でも蔡國強といわきの関係の展示がありました。





ところでこの「昼花火」と言われてるプロジェクト。
個人的には2011年にカタールで行ったやつが一番凄いと思ってます。
発表された当時に映像で見て笑いましたw
もはやテロ。。。



それはそうと展覧会。
毎度思いますが、蔡國強って空間の使い方が本当に上手。
今回も壁を一切建てずに、大空間を丸々見せきってました。
特に中央のエリアを屏風と光のインスタレーションを配することで空間を豊かに満たす手法は流石。
ただ、区切りがないので鑑賞者の集中力はどうしても切れてしまうのが難点。
初期から最新作までずらっと並んでますが、一個一個見ていくとめちゃくちゃ時間かかります。
日本にやってきて、アパートの台所で爆発させてたのマジでやべえ奴だと思いました笑
そこからここまでの大家になっていくんだからすごい話です。
そして彼の頭の中にある宇宙やら火球やら、本当に厨二病だよなと思いつつ、ここまで色んな人巻き込んじゃうんだからやっぱり凄い。
図録欲しかったけど5千円近くしたので断念。
マジでテート展もカタログやらグッズやらカフェやら寄ってたら2万円近くになるよ。。。
金はかかりますが、とにかく両展とも素晴らしいのでぜひ。
テート美術館展は10月2日まで。こちら。その後大阪に巡回。
蔡國強展は8月21日まで。こちら。巡回なしなので急いで!

光の館 by ジェームズ・タレル

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念願の光の館に泊まってきました!!!
光の館とは、新潟県十日町市内にある、ジェームズ・タレルの作品で、泊まれるタレル作品というのは世界で多分ここだけ!
以前訪れた際は昼間の見学ツアーのみだったので、宿泊するのは積年の夢でした。
宿泊すると日没と夜明けのライトプログラムを楽しむことができます。
近年特にアートホテルと銘打った所が増えてるものの、どれも作品がホテルのパーツになってるだけのような印象で全く興味が湧かないけど、ここは宿泊そのものがアート体験なのでいつか絶対に泊まりたかったのです。

予約は4ヶ月前からスタート。
冬は雪で屋根の開閉がほぼできないので春から秋の土日祝日は即埋まってしまいます。
今回なぜか7月の三連休の初日の土曜日だったのに取れちゃいました。
最大16名まで泊まれて、少人数の場合は他グループと同泊になります。
宿泊料は少しややこしくて、(施設利用料30000円÷組数)+(1人あたりの利用料6000円x人数)+(寝具レンタル料500円x人数)になります。
今回僕たちは5名で参加して、同泊はもう1組のみ。さらにもう1,2組ぐらいいらっしゃるかと思ってたので意外。
というわけで1人1万円弱で泊まれました。組数が多ければ多いほど得するのかも。
この4月から仕出しがなくなったので、ご飯は自分たちで用意する必要があります。
調理器具は一通り揃ってますが調味料すらないので、できることは限られますね。。。
僕らは駅近くのリオン・ドールという大型スーパーで酒も含めて大量に買い込んで、タクシーで向かいました。
駅から光の館までは車で大体20分くらい。
光の館の周辺にはマジで何もないです。。。
チェックインは15:45-16:30。
玄関からすでに雰囲気があります。。。
周囲の環境もすごい。

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屋根の開閉する12畳の広間に一旦集合。
ここで全員に説明があります。
まず、肝心のライトプログラムのお話。
この後18:44から日没のプログラムがあるのだけれど、スタッフさんは帰られるので屋根の開閉は自分たちで行うとのこと。
衝撃だったのは夜明けのプログラム。
なんと開始時刻が3:31。。。。!!!!
これには一同絶句。。。
早いとは思っていたけどまさかの3時台とは。。。泣
季節によって時刻は変化するので、夏至とかだったらもっと早かったのかな。。。

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その後施設の案内。
12畳の広間の他に2つ部屋があり、どちらに泊まるかはグループ同士で話し合い。
同泊のお二人は大阪からの中年カップルで、そこまで歳も離れてなくてとても良い方々で一安心。
話し合いの結果、広間はフリースペースにして、2階の部屋がカップルさん、1階の部屋が僕らの寝床になりました。
全体が「陰翳礼讃」をテーマになっていて、どこもかしこも間接照明。
この光の感覚が見事にタレルの作品と合っていて、日本家屋とタレルがここまで調和するのは驚き。
細部もめちゃくちゃ凝ってます。

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風呂もすごいことになってるのですが、これは泊まってみないとわからない。
水面が揺れて緑の水平線が揺れるのが美しかった。
これも入る順番等話し合い。

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スタッフさんも帰られ、そうこうしているうちにライトプログラムの始まる18:44に。
以前直島の地中美術館でも体験したけど、ここではなんといっても畳の上で寝転びながら見れるので超贅沢。
写真や映像では全く映らないけど、目は補色をとらえてしまうので、例えば壁が青く照らされると空が黄色がかったり、緑に照らされると赤くなったりと、脳って不思議。。。
1時間半のプログラムで、最後は真っ黒な空がのっぺりと四角く切り取られたみたいになって不気味でした。
それにしても雨じゃなくてよかった。
4ヶ月前に予約とるから天候が読めないし、雨だったら開けられないので。
そして問題は夜明けのプログラム。。。
3時半に目覚ましして、皆布団背負いながら這うようにして広間へ。
好きで来てるのに、まるで拷問笑
「なんでこんな目に。。。」とか言いながら鑑賞w
途中隣の友人がうつ伏せになってて笑った。
それにしても寝起きにあのドギツイ光はキツかった。。。
写真いっぱい撮ったけどあんまり意味ないので友達が撮ったタイムラプスの映像貼っておきます。

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そんなこんなで光の館体験終了!!!
朝焼け見てチェックアウトまで無理矢理寝て、次の日運転は超絶キツかったけど、積年の夢が果たせて最高でした。
こんなハードな旅に付き合ってくれてみんなありがとう!

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2023年の越後妻有

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2009年以来実に14年ぶりに越後妻有に行ってきました!!!
↓↓↓2009年の記事↓↓↓
越後妻有トリエンナーレ2009 1日目(十日町・松代エリア)
越後妻有トリエンナーレ2009 2日目(十日町・中里・津南・松之山エリア)
越後妻有トリエンナーレ2009 3日目(十日町・川西エリア)

最大のお目当ては次の投稿においておくとして、今回はこの14年で増えた作品を中心に回りました。
上の写真は牛島達治の「観測所」に登る夏休み感全開の筆者。

十日町に着いてすぐ向かったのはキナーレ
原広司+アトリエ・ファイ建築研究所設計のこの建物自体は前も来たんですが、2021年から「越後妻有里山現代美術館 MonET」としてリニューアルしたのです。
行った時はカタルシスの岸辺が企画展してたけどよくわからなかった。
中に入るとゲルダ・シュタイナー&ヨルク・レンツリンガーの作品が浮いてて、入館料払って中に入ると目[me]や名和晃平、森山大道、イリヤ&エミリア・カバコフ、カールステン・ニコライらの作品があります。
昨年修学旅行世たちが破壊して話題になってクワクボリョウタの「LOST #6」もありました。
どうせならそれを受けて作られた「エントロピア」が観たかったな。
まあ、全体的にどれも観た事あったりで感動もそこそこ。
屋外プール(?)の床絵はレアンドロ・エルリッヒ。ふーん。
最後ショップから出てきたら大学の同級生がいてめちゃびっくりしましたw
アート村狭すぎwwww
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続いて最近亡くなった2人の巨匠の新作。
まずは2021年に亡くなったボルタンスキーの「最後の教室」へ。
前も観たんだけど、2018年に「影の劇場 〜愉快なゆうれい達〜」が追加されてました。
そして今年の5月に亡くなったイリヤ・カバコフの2021年末に完成した「手をたずさえる塔」
コロナ禍の中、「人々のつながりを表すモニュメント、人々がお互いの違い、彼らの問題、関心については平和的に話し合うのを促すためのモニュメント」というコンセプトで出来上がった塔。
この完成の数ヶ月後にカバコフの故郷であるウクライナがまさか戦争に見舞われるとは思いもよらなかったでしょうね。。。
中には絵本作家らしい可愛い絵と、世界中で実施されてきたプロジェクト「手をたずさえる船」のミニチュアが展示されてました。
夜になったらライトアップもされるそう。
まつだい能舞台ではカバコフの展示がやってたけど気力なくて見れず。
東弘一郎の「廻転する不在」だけ乗りました。
詳しくは下の記事にて。
カバコフの夢は越後妻有でひらく
《手をたずさえる塔》完成 ――《カバコフの夢》が完結する
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最後は2018年に発表されて以来すっかり「映えスポット」となった清津峡トンネルを利用したMADアーキテクツの「Tunnel of Light」
やはりどこの施設よりも人気で人々で溢れかえってました。
休日は予約者しか入れないっぽいので必ず予約しましょう。こちら
この日はめちゃくちゃ暑かったんですが、トンネルの中は涼しくて快適。
トンネルは怪しいライトで照らされてて、いくつかの見晴所があるんだけど、有名な「映えスポット」は最後の見晴所。
水面にトンネルから見える絶景が反射して、壁もステンレスで覆われてるので光が綺麗。
とはいえ、実際行くとこんなもんか。。。ってなります。
映えるものほどそんなもんなんですよね。。。
でもまあ、撮るとやっぱり最高に映えちゃう笑
この時には皆疲れ果てて、入口の小屋もスルーしちゃった。。。
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というわけで次回はジェームズ・タレルの「光の館」!!

私たちは何者? ボーダレス・ドールズ @ 渋谷区立松濤美術館

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ほとんどの人が人形にまつわる思い出を持っていると思います。
僕の場合だと、
幼少期に集めて並べて眺め回していた水木しげるの妖怪人形、
祖母の家にあったケースに入った小さな雛人形、
親戚の誰かがくれた手作りのフランス人形、
神社にあった神話にまつわる人形が並んだ社、、、
挙げていけばキリがない人形にまつわるエトセトラ。
図録にも寄稿している菊池康平氏の著書の一説。
「人間あるところに人形あり/人形あるところに人間あり」
まさにそれをテーマにした展覧会が松濤美術館で開幕しました。
今年度の中でもかなり期待していた展覧会で、蓋を開ければ、期待以上のものでした。

この展覧会はあいさつにも書いている通り、『あえて「芸術」という枠に押し込めず、多様性を持つ人形そのものとして紹介することで、日本の立体造形の根底に脈々と流れてきた精神を問う』というコンセプトで構成されていて、まさに多種多様な「人形」のあり方が提示されていました。
まずは2階へ。
もうまず、第1章に登場した「人形代」と呼ばれる呪詛人形から大興奮。
人形代とは、平安時代の貴族社会において、憎しみを持つ相手を陰陽師に依頼して人形にし、軒下や井戸に埋めることで呪いをかけるというもので、出品されていたものは、肉付きもリアルで後ろでで縛られたような格好をした木彫りの人形で、そこに実際名前も書かれていてゾクッとしました。
よくぞ千年以上も井戸の底に沈みながらここまでの保存状態(文字も読める!)で見つかったなと。
そしてその身代わりとしての人形は、昭和の時代にも青森の津軽地方に伝わるサンスケと言われる人形にも受け継がれていて、山に入る時に12人で入ると神の怒りに触れるため、13人目としてサンスケを連れていくらしい。
また、東北といえばオシラサマも展示されてて、やっぱり異常な姿に心がざわつきます。
続く第2章では雛人形や御所人形など、現在にも続く行事ごとにまつわる人形が並びます。
僕は男ですが、冒頭でも出した祖母の家にあった雛人形が子供の頃からとても好きで、ガラスケースに収められた小さな人形たちを3月になるとうっとり見てたのを思い出しました。
そして3章と4章では、時代は明治まで移って、西洋からの「sculpture」という概念を巡って、人形のアイデンティティを問う時代になっていきます。
現在の東京藝大の前身である、工部美術学校が1876年に創立され、そこでは人形は「美術」や「彫刻」といった概念から外されてしまいます。
しかし昭和初期に興った「人形芸術運動」により、1935年の帝展で人形の出品が認められるに至ります。
この時期の作家といえば竹久夢二が大スターで、彼も人形を作っていたのは意外でした。
ただ、この時期の作品を見てると、確かにこれは「芸術」なのかな?と首を捻るものもたくさん。。。
むしろ、第5章の戦争期に作られた、兵隊に持たせる慰問人形は、第1章でも見た「身代わり」としての人形のあり方としてとても興味深かったです。
というわけで、この辺りはほぼ素通りだったのですが、戦後の川崎プッペのフランス人形はとても面白く拝見しました。
師匠の陽咸二の「サロメ」とポーズほぼそっくりな川崎の「女」が、それぞれ前者が東近美、後者が国立工芸館に所蔵されてるのも興味深いです。
そして6章の最後でリカちゃん人形の登場!!
キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!って感じがすごかった笑
2階の〆として完璧でした。

続いて地下へ。
ここの展示室は異様だった。
美術館なのか人形館なのかわからない光景でめちゃくちゃ面白かった。
第7章では、人間と等身大の生人形が並んでいて、本当に異様。
そこから第8章のマネキンへの導入は見事。
今も続くマネキン会社の「七彩」の元が島津製作所で、さらに戦後「七彩」としてスタートするにあたり初代社長が彫刻家の向井良吉だったの初めて知りました。
向井がマネキンと自身の彫刻とをシームレスな意識で作ってたというのもめちゃくちゃいい話ですね。
そしてそこから10章の四谷シモンや村上隆に続く流れも最高。
万博のせんい館に展示されてた四谷の「ルネ・マグリットの男」観れるのめちゃ貴重。
最後、平成彫刻のメルクマールとも言える村上の「Ko2ちゃん」が出迎えるのは見事なフィナーレ。
欲をいえばここに舟越桂や加藤泉が加われば完璧でしたがキリがないよね。
ここで終わりかと思いきや、1階に戻って9章が残ってました。
渡り廊下の奥に進むと秘宝館で展示されてた裸体女性の人形やラブドールが並んでて、この展覧会最高!!!ってなりました。
こんなの展示するなんて、「美男におわす」以来の感動。
ここの美術館の展示室は中々クセがあるので、こういう資料館的な展示にはぴったりですね。
この夏都内で開催される展覧会の中ではかなりマストな展示です。
8月27日まで!こちら

ちなみに、この展覧会はあくまで日本の人形に関する展示なのですが、それを補完するように、近くの民藝館でも世界の「像」をテーマにした展覧会「聖像・仏像・彫像」が開催中なのでこっちも観るの強く勧めます。
松濤美術館にも展示されてたオシラサマがここでも展示されてるんですが、民藝館に展示されてるオシラサマの方が異常。。。かなり衝撃を受けました。
また、マダガスカルの女性像や鳥の像も凄すぎて、目の前から動けませんでした。
1階ではサブ展示で世界中の仮面が展示されてますが、こっちもすごい。もはやサブではない。。。
他にも朝鮮のヘタウマな絵やオンドル用の箒など、見どころ多すぎ。
何度も来てるのに初めて見るものが毎回多くて、どんだけコレクションしてるのか想像もつかない。。。
この展示は9月3日まで。こちら
会期もほぼ一緒だし意識してるのかな??
せっかくなのでコラボとかしたらいいのに。

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横村葵「my paintings for my room #1」

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本日よりうちの常連様で画家の横村葵さんの個展が始まりました。
会場はなんと彼女の自宅!
思い返せばうちが開店してすぐにインスタ経由で来てくれて、その直後に初個展があるというのでお邪魔させてもらった時に、「自室に飾る絵が欲しいと思って描き始めた」と言ってて「そんなことある?」って返した記憶があります笑
当初は一年に一作程度のペースで描いていたのが、その個展を機にあれよあれよと展示が決まっていって、この4年間の彼女の活躍は目覚ましいものがありました。
そんな彼女の原点とも言える自室での展示。
今回10数年住んできたその部屋から引っ越すということで、そのタイミングで叶ったわけです。
幸運にも僕はその活躍を側でほぼ見ていたので今回の展示は感慨深いものがありました。

というわけで個人的にも思い入れがたっぷりあるので見逃すわけにはいかない展示。
初日に予約して行ってまいりました。

彼女の家はプライベートで宅飲み等でお邪魔してたんですが、昼間の彼女が暮らしてる状態でお邪魔するのは初めてで、実際北側の柔らかい陽光が射し込む部屋はほの明るくてとても居心地が良すぎました。
彼女が自分の部屋が大好きというのはとてもわかるお部屋。
そしてその部屋のために描かれた絵たちが並ぶ様は最高に気持ちいいのです。
横村さん自ら説明をして頂き、その後横村さんは退室。
彼女の部屋で一人きりで作品と部屋と向き合います。
中々他人の部屋で1人になるというのはないのでとても新鮮でした。
しばらくぼーっと眺めた後、自由に作品を観て、勝手に展示替えしたりw
初個展の時から思ってたけど、彼女の絵って描かれたというより「そういう物質」という感じがするんですよね。
うまく言えないんですけど、自然生成で出来上がったような不思議な魅力があります。鉱物とかに近い感覚。
どの絵も何かの断面のように見えて面白い。
特に初個展に出てた作品も多いので感慨もひとしお。
ベッドにもたれかかりながらなんでもない時間を過ごす至高の時間。
他人の部屋なのにとても落ち着く不思議な時間でした。

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またとない貴重な機会ですので是非足を運んでみて下さい。
完全予約制となってます。
以下転載。


現在住んでいる部屋から引越すことを決めまして、12年ちょい住んでいたワンルームにて記念に絵の展示を行うことにいたしました。
自分が絵を描き始めたきっかけは、自室に飾るための絵を自分で描いたのがきっかけです。
そのため、絵が存在している場所としては部屋が一番正しい、いつか引っ越すときに部屋で展示をやってから退去したいなと思っていました。

これまでに遊びに来たことがある方もない方も、大好きな私の部屋と絵、ぜひ体験しにきてください。
今回、家財などはほぼ住んでいる状態。ご来場はご予約の上、鑑賞時間は私なし過ごしててもらいたいと思っています。

特殊な展示ではありますが、ぜひご検討をお願いします。

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『my paintings for my room #1』

日時:6/24土,25日,30金,7/1土,2日(予約制)

時間:12:00〜18:00(17:00予約枠最終)

場所:東京都新宿区
・新宿駅から2駅 最寄り出口より徒歩5分
・お車30分程度のマンション前駐車可能

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*ご鑑賞のながれ*

マンションご到着
  ↓
お部屋へご案内
  ↓
ご鑑賞開始 10~15分目安

横村退出(ドア前か近くに待機)
  ↓
終了ご案内・ご退室
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*ご予約・注意事項につきまして*
・期日内の毎時00分~でご希望のお時間・お電話番号・お名前を記載の上、メール(aoiyokomura@gmail.com)またはDMにて直接ご連絡ください。
 予約が埋まってきましたらカレンダーなどで状況を提示していきます。
・1名様もしくは3名様までのグループ単位でお申込みください。
・直接お会いしたことのない方、あまりお話したことのない方のご来場可能です。ご連絡時に一言自己紹介を添えていただけると助かります。
・差し入れは基本ご不要です。お茶はこちらでお出しする予定です。

東急歌舞伎町タワー

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4月に開業した歌舞伎町タワーにようやく行ってまいりました。
正直あの辺りはあまり行きたくないのだけど、演劇観るという名目で見学。
というわけで潜入レポートです。

まず噴水のようなファサードは永山祐子によるもの。
こういう高層建築って難しいんだけど、うまく行ってる方だと思います(上から)
東横キッズがたまってる東横広場から。
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建物内にはアート作品が散りばめられてます。
1階のホテル入口には篠原有司男と森山大道、2階にはChim↑Pom。
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2階は全国津々浦々のご当地グルメが食べられるフードコートで3階はゲーセン。カオス。
2階には有名になった例のトイレもあります。。。
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4,5階は飛ばして6階のTHEATER MILANO-Zaへ。
ここにはSIDE COREによる床と、壁には彼らがキュレーションした鹿児島のしょうぶ学園の作家23名による作品たち。
上から覗いてたネズミチェックするの忘れてた。。。
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この日鑑賞したのは「パラサイト」。
こういう芸能人が出る系の演劇はあまり観ないのですが、宮沢氷魚に伊藤沙莉、古田新太、江口のりこ、キムラ緑子と好きな俳優揃いだったのでどうしても観たくて、前売券は完敗したものの当日券に賭けてなんとか制しました。
皆さんさすがの演技過ぎて素晴らしかった。
舞台が90年代の関西なのがなんでかな?と思ったら原作にはなかった「あの出来事」をうまく取り入れてました。
現在休演中になっちゃってますが1日でも早い復活をお祈りしております。



最後は17階のJAM17でコーヒーとジェラート。
ここのバーには西野達の作品があります。
全て新宿で使われてきたもので構成されてます。
それにしても新宿って上から眺めても綺麗じゃないな。。。
特に真隣にある某電鉄系ホテルまじで汚すぎ。。。
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上のホテルや地下のクラブにも作品があるそうですが、多分そっちは縁ないと思うので割愛。
歌舞伎町タワーからは以上です!

さばかれえぬ私へ @ 東京都現代美術館

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狂乱だったディオール展の終わった都現美へ。
ホックニーやるまで来ないつもりだったんだけど、会期終了ギリギリになってやっぱり「さばかれえぬ私」が気になって行ってきました。
この展覧会はTOKASが2018年よりスタートさせた中堅アーティストを対象とした現代美術の賞「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)」の受賞記念展。
今年は志賀理江子と竹内公太が選ばれました。
以前も下道基之、風間サチコ、藤井光、山城知佳子とどうやら社会派の作家が受賞する傾向にあるようです。
今回もまあ重い!笑
本展でも志賀さんは東日本大震災、竹内さんは第二次世界大戦を扱ってます。
冒頭の志賀さんの大作映像「風の吹くとき」から怖い。
映像なのに全くもって志賀さんの写真のトーンになっててほぼホラー映像。
それが超ロングスクリーンで映し出されるもんだから没入感も相まって凄すぎる。
土囊袋のようなソファーに座って鑑賞。目が離せない。。。
その後の「あの夜のつながるところ」インスタレーションも凄い。
写真で空間全体を覆っていて、良く見たら血管のようなエナメルで地図のような線がその上に描かれてる。
さらに土囊袋が上がったり下がったりする謎の装置も。。。
志賀さん、もはや写真家というより違う次元にいっちゃってますね。
竹内さんも全く負けてなくて、今回は第二次世界大戦中に日本軍がアメリカに向かって放った970発もの「風船爆弾」がテーマ。
実際に風船爆弾が降り立った地面をコラージュした巨大バルーンが会場でしぼんだり膨らんだりしています。
そんなものがあったのも知らなかったけど、さらにそのバルーンが当時原爆を作っていたアメリカの地に降り立ち停電させてしまったそうで、その報復なのか、その風船爆弾を放ったとされる福島県いわき市の学校にアメリカ軍が「模擬原爆」を落として教師12名が死亡したという話があって衝撃でした。
広島長崎の前に実は「模擬原爆」なるものが存在していたなんて。。。
凄まじいリサーチによる作品群。圧巻です。
「指差し作業員」の時は話題作りの人かと思ったけど、ここまでの作家になるなんて。
ギリギリ観に行けてよかったです。会期終了済。

そしてコレクション展も素晴らしかった。
「皮膜虚実」と題して、今回は前回とガラッと変わって見ごたえ抜群でした。
コレクション展の目玉は何と言ってもタイトルにもなった冒頭の三上晴子。
新収蔵で初披露となった作品群は三上晴子の生存への危機意識が伺えてとても興味深かった。
さらに石原友明、ホンマタカシ、村瀬恭子、加藤美佳、伊庭靖子、名和晃平、千葉正也、百瀬文、潘逸舟といった80年代からここ最近の作家まで網羅してて素晴らしかった。
潘逸舟の「戻る場所」、とても好きな作品なので収蔵されてて嬉しい。
2階では何と言ってもサム・フランシス!!!!
生誕100周年を記念しての展示らしい。めちゃくちゃ豪華。。。
さらに松本陽子の作品も沢山観られてお腹いっぱい。。。
遠藤利克との組み合わせは良くわからなかったけど。
ホックニーの時は一部展示替えがあるらしいのでまた観よう。
企画展1本とコレクション展で充分過ぎる都現美やっぱり凄い!
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三上晴子「Eye-Tracking Informatics」特別展示 / 田原桂一展「存在」@ √K Contemporary (-7/15, 7/25-29 要予約)
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上述の現美コレクションの目玉になっていた三上晴子のインタラクティブ作品が体験できるというので神楽坂の√Kへ。
前回行った時は調整中でしたが現在予約制で体験可能です。(鑑賞料800円)
この作品は三上が1996年に初発表した作品で、彼女の死後、2011年に山口のYCAMが再制作したもの。
メディアアートを作家の死後さらに発展させるという取り組みを、以前美術手帖で読んで興味深いな、と思ってたので、今回の機会は是非体験したかったのです。
受付して、暗い部屋の中に通され、椅子に座り、メガネのような装置をつけ、「視ることそのものを視る」というコンセプトを聞かされて始まった時にはどういうことなのか良くわからず戸惑いましたが、どうやら視線で目の前の映像を操作できることがわかりました。
以前テレビで、手足が動かせない人がパソコンの画面を目線で動かしているのを観たことがありましたが、その技術を応用しているのだと思いますが、実際体験してみるとめちゃくちゃ新鮮。
自分の視線そのものが視覚化されるというのが、なんとなく恥ずかしく感じるんですよね。
「視ることそのものを視る」ってそういうことか!となりました。
それにしても都現美で観た作品群とは一線を画していて、改めて不思議な作家だな、と思いました。
体験自体は10分もないですが、とても面白かったです。
同時開催の田原桂一展は、地下と上の展示逆だったのでは、、、と思ってしまいました。
田中泯の作品はちょうどパリの地下空間で撮った写真もあるし、逆に地下空間のポートレート作品は、インスタレーションとしてはかっこいいけど一枚一枚しっかり観れた方がよかったのでは。
ややモヤモヤの残る展示でした。

清水裕貴 「海は地下室に眠る」@ museum shop T

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最近都内で観た写真・映像の展示まとめ。

清水裕貴 「海は地下室に眠る」@ museum shop T (会期終了)
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清水さんの展示で国立へ。
このmuseum shop Tは千葉市美にも入ってるアートショップです。
奥にはギャラリースペースもあって、今年出版した小説「海は地下室に眠る」に至るまでを物語を編むような展示。
ここ数年の清水さんの活動歴でもあり、大変に興味深い展示でした。
事の起こりは2017年に稲毛にある旧・神谷伝兵衛邸を訪れたところからスタート。
そこから2021年には実際伝兵衛邸で展示があって、同年のCHIBA FOTOでは千葉市美術館近辺のかつて蓮池と言われた地域をテーマにした「コールドスリープ」を発表。
さらに翌2022年のPGIの個展「微睡み硝子」でも伝兵衛邸の窓がテーマになってたり、ほぼ同時に開催されてた千葉市美の「とある美術館の夏休み」では、なんと「海は地下室に眠る」の中で書き始めていた内容とほぼ合致するコレクションとのコラボレーションという奇跡があったり。
ちょうど僕が清水さんの作品を追いかけ始めた時期とも重なるので、色んな思い出と共に観られてとても楽しかった。
また、当時の作品がそのまま出てたりするので所変われば見え方も変わるのが面白かったですね。
特にCHIBA FOTOのエレベーターで展示してたシリーズはこういう写真だったのか!という驚きも。
中々過去のリバイバルみたいな展示って意外にないですよね。
その中でも伝兵衛邸の窓の写真が物凄く良かったのでついに購入してしまいました。
お店のトイレのドアを作品に合わせて塗り替えて展示しております。
まるでそこに窓が現れて風が通るような作品です。
お店きたらぜひ見てみてくださいませ。


北井 一夫 ドイツ表現派紀行 @ ZEIT-FOTO kunitachi (-6/24)
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清水さんの展示中、国立ではKunitachi Art Centerというイベントが開催されてて、19箇所も参加されてました。
国立にこんなに展示スペースがあったとは。。。
時間もないので気になってたZEIT-FOTOだけ。
ここは元々日本橋にあった、石原悦郎が興した写真ギャラリー。
「写真をアートにした男」という本も出てる通り、オリジナルプリントを積極的に販売した日本で最初の写真ギャラリーと言われています。
それまでは写真集が写真家の作品だと言われていたので大革命だったわけです。
その石原さんも2016年に亡くなられて、日本橋のギャラリーは閉廊。
その後石原さんの自邸がそのままギャラリーになって今に至るわけですが、この自邸が凄すぎた。
背景が凄すぎて写真が全然入ってこないw
とはいえやってる展示は第一回木村伊兵衛賞も受賞した北井一夫と大御所なので集中して鑑賞。
北井さんといえば、学生運動や三里塚闘争といったイメージがあったけど、今回は1979年から1980年にかけて二度、合わせて4ヶ月間の撮影紀行で撮影されたドイツ表現主義建築を写した作品の中から厳選した約60点が展示されてました。
このシリーズは石原さんが撮ってみたらと勧めたらしいんですが、当時全くと言っていいほど人気なかったんだとか。。。
確かに北井さんのイメージからはかけ離れてるもんね。
とはいえエーリヒ・メンデルゾーンのアインシュタイン・タワーなど、その時代を代表する建築が沢山写されていて建築好きは楽しめる内容でした。


江崎 愛 “The worst day” @ Utrecht (会期終了)
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清水さんのお友達でうちのお客さんでもある江崎さんの展示。
「最悪の日」の自分を写した写真群。怖いw
昨今の「映え」とは真逆のいわば「萎え」な写真達。
これを見せられる度胸が凄い。。。


都美セレクション グループ展 2023 @ 東京都美術館 ギャラリーA・B・C (-7/2)
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2012年から毎年やってる公募展。全然知らなかった。。。
今年は友人の堀井ヒロツグが出すというので観に行ってきました。
3組あって今年は糸会浮遊する作家たち自己と他舎が選出。
糸会では伊勢周平と中嶋典宏、浮遊する作家たちでは村上亘の写真が気になりました。
お目当の自己と他舎の展示では、前回のKG+のようなコラボレーションはなくて、個人個人がしっかりとインスタレーションしてました。
チン ユウジュウの映像「軍歌と恋歌」はとてもいい作品でしたね。
しかし何といっても堀井くんの作品本当に素晴らしかった。
KG+でも観た作品がいくつかあったけど、今回初見だった「水の中で目を瞑って手を繋ぐ」と「ミッドナイト・コール(#20230502)」は本当に感動した。
前者はアンティークな漆器に入ってて、本当に美しかったし、何と言っても後者の作品は、忘れかけてた「人恋しさ」という感情が揺さぶられて会場で泣きそうになった。
思えば彼と出会ったのは2014年の銀座での彼の個展で、その頃から考えたら、ここまで濃度の濃い作品を作り上げるようになったのかと思うと本当に感慨深いものがあります。
彼のキャラクターも相まって、彼の写真に籠っている「親密さ」は、どうしようもなく心をかき乱されます。
これからも本当に楽しみ。
25日には鷹野隆大氏をゲストに招いてのトークイベントもあるそうです。ぜひ!

さらに都美ではZEN展の中で、友人の榮一也くんのパフォーマンスも見れました。
おかわりマティスしようかとも思ったけど人が多過ぎたので断念。
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若林奮 森のはずれ @ 武蔵野美術大学 美術館

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最近都内で観たアートの展示まとめ。

若林奮 森のはずれ @ 武蔵野美術大学 美術館 (-8/13)
ムサビへ。2021年のオムニスカルプチャーズで行ったところなので今回はそんなに遠く感じなかった。
食堂でMAUランチなる440円の激安定食を食して美術館へ。
今回の目的は6月1日からスタートした若林奮展。
3月の戸谷展の記事にも書いたけど、60年、70年代の「○○派」や「〇〇イズム」に回収されなかった作家が好きで、その辺の作家の展示は結構見てるんだけど、若林さんだけは謎だらけの作家でした。
これまでも作品はいくつか観てるんだけど一体何をやってるんだろう?と毎回疑問だらけ。
今回まとめて観られる機会ということで少し足を伸ばして行ってきました。
で、まあ、展覧会のステートメントやコンセプトを読んだんだけど、相変わらず?の連続。
ただ、物としてめちゃくちゃかっこいいんですよね。
芯の部分は未だにわからないものの、その一端は掴めたような気になれたのでやっぱり行ってよかった。
1970年代末の「振動尺」から1990年代の「Daisy」に至るまでの過程が戸谷さんのそれに酷似してて興味深かった。
最初は地べたを這うように水平だったものがどんどん屹立していく過程。
また、「見える/見えない」の間を楽しんでるような有り様も面白かった。
特に「Daisy」はその頂部が見えそうで見えない絶妙な高さで、赤と白と黄の鮮やかな色彩と突起が見えて、彫刻の見え方が360度だけでなく上下でも変わるのが凄い。
そして今回タイトルになってる「所有・雰囲気・振動ー森のはずれ」は、中と外というのもあるし、パーツが異常に多くて見ても見ても見切れない感覚がありました。
この「見切れなさ」は全作品に共通していて、彫刻の醍醐味をこれでもかと味あわせてくれます。
残念ながらドローイングの展示室はメンテ中で観られませんでしたが大満足。
あまりこうまとめて観る機会もないのでやや遠いですが行くべき展示だと思います。
また、同時開催の「絵画のABCD(アベセデール)」も見応えありまくり。
ABCDとテーマ順に並んでて、表示案内とか冊子のデザインも素晴らしい。
山口長男の作品が印象に残りました。こちらは7月2日まで。こちら
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袴田京太朗、保井智貴、関根直子、大西伸明「みまちがう水」@ MA2 Gallery (会期終了)
上述の若林展を監修されてる袴田京太朗さんが参加されてるグループ展。
作家4名がグループラインを通じてタイトルから構成まで考えられたそう。こちら
各々の作品はどれも流石なんだけど、イマイチこの4人である必然性は見えなくて残念。
大西さんの椅子が異常すぎてやっぱり好き。
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鴻池朋子のストラクチャー @ GALLERY MoMo Projects (-6/24)
昨年末に静岡県美で観た「見る誕生」が最高過ぎたので、その背景であるドローイングとかが観られて再び感動が蘇りました。
高松編の冊子も買ってしまった。このままでは来年の青森も行ってしまうかも。。。
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土屋 信子「Stay as a wave」@ SCAI PIRAMIDE (-7/8)
相変わらずわけわからなくて好き。モフモフ多め。
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「Sculpting the Space」@ TARO NASU (会期終了)
テキストだけの展覧会でめちゃくちゃ格好良かった。。。
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海老原靖「Hands」@ KEN NAKAHASHI (-7/15)
最後は新宿に戻って海老原さんの展示。
今年に入って精力的にTOKASのグループ展といい、WADAの個展といい、精力的に発表し続けてます。
どれだけ筆が早いんだ、というよりどれだけの時間絵画と向き合ってるんだろうと思うと震えます。
今回も新作で、TOKASに出していた映像シリーズがさらに発展されてて凄い。
パッと見たとき色鉛筆かな、と思うようなストロークで、こんなデッサンみたいなストロークの油彩始めて観ました。
そして、この作品群は、生前から深い付き合いだった同ギャラリーの作家、佐藤雅春さんの「Supporter」という、海老原さんの手をモデルに描かれた作品が起点となってて、その作品も展示されてて泣きそうになりました。
個展ではあるんだけど、温かい他者の存在も感じる、このギャラリーならではの展示に感動。
凄まじいスピードで発展していく海老原さんの作品に今後も目が離せません。
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ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会 @ 森美術館

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森美術館の開館20周年記念展。
あれからもう20年も経つのか。。。
それはともかく、この展覧会の内容聞いた時、正直ダセェ!!と思ったのですが、蓋を開けてみたらめちゃくちゃ良い展示でした。
ほとんど期待もしてなかったのも良かったのかも。
確かに現代アートってあらゆる学問に通じてて、僕も現代アートを通じて学んだことって多くあります。
初っ端の「国語」からコスース出てきてなるほど、ってなりました。
そこからの米田知子の流れも最高だったし、ミヤギフトシも相変わらず素晴らしい。
と、ここでキャプションを見てみると「所蔵:森美術館」という文字が並びます。
どうやら出品作の半分以上が森美術館所蔵作品らしい。
森美って企画展ばかりやってるからあまりイメージないけど、実はコレクションも充実しているんですよね。
前々記事前記事でもコレクションの重要性を言ってるけど、この展覧会がまさにそう。
今や東京を、日本を代表する美術館となった森美術館だけに、そのコレクションも凄まじいです。
話は戻って展覧会。続いては「社会」。
現代アートには社会問題を扱ったものが多くあるので、このセクションはまさにって感じですね。
早速ボイスの黒板が出てきて、アイ・ウェイウェイが続いてニヤニヤしちゃいました。
中でもハラーイル・サルキシアンの処刑広場の現在を写した写真は印象的。
そこからの畠山直哉の陸前高田を写した写真群が並んだ回廊は泣きそうになりました。
藤井光や青山悟、風間サチコ、田村友一郎ら日本人作家らの作品もまさに「社会」。
続いて「哲学」。
宮島達男や李禹煥らはなるほどって感じだったけど、最もハマってたのがアラヤー・ラートチャムルンスック。
「授業 (The Class)」という作品でまさに今回の展覧会そのものだし、本当の死体に死について講義してる映像は昔堂島ビエンナーレ2013で見て衝撃だったのを思い出しました。
続く「数学」は意外に弱くて杉本博司で持っていった感はありましたね。
「科学」ももっとバイオ系の作家とか出せば良かったのにと思いましたが、何と言っても宮永愛子が最高でした。
アクリルケースに入った靴を象ったナフタリンが光に包まれてる様は相変わらず美しく、配線コードまで作品に取り込んでるのが素晴らしかった。
最後「音楽」と「体育」は全部映像で、流石に全ては見れないんだけど、一部は帰ってからもネット上で見られる仕組み作ってくれたのが最高だった。
映像系の展示は全部こうしてほしい。。。
あと「総合」っていう無理矢理なカテゴリーがあったけど、高山明率いるPortBの活動が包括的に紹介されてるのが良かった。
課外授業みたいなノリで、「完全避難マニュアル」(2010)や、新・東京修学旅行プロジェクト(2018)の中国残留邦人編クルド編の旅程があったり、東京という街を別の視点から見られるプロジェクトがたくさん紹介されてました。
こんな感じで、観終わった後少し賢くなった気になれます笑
ちょうど夏休みもまたぐのでお子さんいる家庭は是非家族で行くべきだと思います。
この展覧会は9月24日まで。こちら


ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ @ アーティゾン美術館 (-8/20)
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こっちはむしろ期待し過ぎてやや肩透かしだった展覧会。
や、もちろん凄いは凄いんですよ。
こちらも半分以上がコレクションで、しかもそのうち95点が新収蔵品。
3フロア丸々使ってて、館の本気がハンパないです。
導入のセザンヌも効いてるし素晴らしいんだけど、如何せん抽象画がこれだけ並ぶと流石に緩慢というか。。。
展覧会内でも紹介されてる通り、抽象画といっても色んな運動があったわけだけど、とはいえ抽象は抽象。
新収蔵も、多分リニューアル前後に購入したもので、既にコレクション展で観てるのがほとんどだったし。
そして皮肉なのが、心から感動したのがアーティゾンのコレクションじゃないんです。。。
今回最も感動したのがクリフォード・スティルの大きな作品。
ここまで大きなスティルを国内で初めて観ました。
もうしばらく絵の前から動けず泣きそうになった。。。
さらにその対岸にあるヘレン・フランケンサーラーの大画面も凄過ぎた。。。
写真撮れなかったのでどちらもデヴィッド・スミス越しに。
キャプションを見ると両作とも「レヴェット・コレクション」とある。
何者!!??
調べてもイギリス人のコレクターで、フィレンツェにコレクションがあることぐらいしかわからない。。。
とりあえずインスタはこちら
世界には凄い人がたくさんいるということですね(雑)
ところでこれだけ抽象画集めるんだったらいい加減日本でもヒルマ・アフ・クリントの作品が観たい!
日本のどなたか買ってくれないかなぁ。。。
以降具体やアンフォルメルといった日本に関連する展示が続きますが、岡田謙三の作品が物凄く良かった。
後、4階の暗い部屋の「瀧口修造と実験工房」の展示も秀逸。
最後、現代作家で締めますが、何と言っても津上みゆきの展示が最高すぎました。
彼女自身は「私の作品は抽象絵画ではない」と仰ってるように、実際作品の綿密な下絵というかプランも展示されててとても興味深かったです。
一見画面で直接構成されてそうな印象を受ける彼女の絵ですが、こういった下準備があったのは面白かった。
ぜひいつかジャム・セッションあたりで取り上げて頂きたいものです。


聖徳記念絵画館
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書くところないのでここに。
ずーーーーっと前から気になってた場所。
外苑の話になると必ずといっていいほど出てくる「絵画館」という単語。
一体何なの??という積年の疑問を解くために満を辞して行ってきました。
ここは明治天皇崩御の際に、彼の偉業を讃えるために大正15年(1926年)に竣工した建物。
大戦を耐え、100年近く経った今もその姿を留めている貴重な建物なのです。
実際本当に凄い建物で、当時のすべての高級資材を投じたのではという豪華絢爛ぶり。
中は撮影不可なのですが、めちゃくちゃ映えます。
中央のドームの吹き抜け空間は日本中から集められた大理石で敷き詰められてるし、展示室もかっこよ過ぎ。
この展示室には、明治天皇の生誕から崩御までの歴史が80点の絵画で示されています。
前半40点が日本画、後半40点が洋画です。
「絵画館」と言われている所以はそこなんですね。
特に後半の洋画が面白かった。
当時の様々な画家に描かせてるので、画風がどれも特徴的。
中には藤島武二もあったりしてびっくり。
行ってみて本当に良かった。
時が止まったような空間で異世界を味わえますよ。
百合子の外苑再開発計画には外れてるみたいなので一安心。

荒川修作+マドリン・ギンズ《意味のメカニズム》 全作品127点一挙公開 少し遠くへ行ってみよう @ セゾン現代美術館

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軽井沢に行ってきました。
約10年ぶりのセゾン美術館。(以前の記事はこちら)
「意味のメカニズム」全作品一挙公開って時点でマストな展示。
この作品群は、81点の大型平面と44点のドローイング、さらに写真と模型を加えた総数127点から構成されてて、彼らが四半世紀以上もかけて取り組み続けたまさにライフワーク。
荒川、建築的なプロジェクトはイマイチなんだけど平面作品本当に素晴らしいんだよな。
実際行ってみると、マジで所狭しと「意味のメカニズム」がズラーーーーーっと並んでて圧巻。
これ、マジでセゾンさん全部持ってるの。。。???恐すぎ。。。
他の美術館でも観たような気がするんだけど、どういうことなんだろう。。。
どれもこれもめちゃくちゃ良い。バリエーションにならずにそれぞれこれだけ特異なの凄い。
立体的な画面とかも多く、触りたい欲望に駆られるんだけど、真横にしっかり「作品にお手を触れないでください」という注意書きがあって、それすら作品に見えてくる。
これだけ一気に観られるのは本当に惑星直列レベルにない機会なので軽井沢まで行くべき。
そもそもこの美術館はコレクションが異常。
入口におもむろにカプーアがあったり、マン・レイやミロ、クレーが普通に並んでて、ロスコやジョーンズの大きな絵が触れそうなぐらいな距離で観られて、極めつけはキーファーのインスタレーション。こんなの観られるの日本でここしかない。
その奥のアバカノヴィッチも凄いし、1時間に一回動き出すティンゲリーの大き過ぎる彫刻もある。
そして何と言っても前庭というか自然としか言いようがない緑。川まで流れてるよ。。。
ポーラといい川村といい企業美術館は規模が桁違いすぎる。
美術好きなら一度は行くべき聖地です。是非。
あぁ、今回の「意味のメカニズム」展の図録作って欲しいなぁ。。。
この展覧会は10月9日まで。こちら


藤田嗣治 猫と少女の部屋 @ 軽井沢安東美術館 (-9/12)
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もういっちょ軽井沢。
こちらは昨年10月にオープンした美術館。
ここはフジタの作品しか展示しません。
そしてそれらが全て個人の持ち物なんだから本当にすごい。。。
しかも初期から晩年まで満遍なく揃ってる。
今回は猫と少女に焦点を当てて、最後の猫だらけの展示は眼福が過ぎた。
礼拝堂のデッサンとかも超絶に巧くてしびれました。
何故か3点以上写ってれば撮影オーケーという謎ルールがあったので、3点以上写るように頑張りました。
フジタ好き、ネコ好きは必見の美術館です。駅からも歩いて10分ほど。

夢と自然の探求者たち―19世紀幻想版画、シュルレアリスム、現代日本の作家まで @ 群馬県立館林美術館

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前から気になってはいたものの、遠過ぎて敬遠してた美術館。
今回うちでも展示してくれた友人作家の大坂秩加さんが参加するということで行ってきました。
しかしやっぱり遠かった。。。
バスもあったみたいだけど、本数少なすぎたので僕は片道徒歩20分ほどかけて多々良駅往復しました。
それはともかく、この展覧会、予想を遥かに超えて最高に良かった。
ほとんどがコレクションで構成されてるんだけど、見事なキュレーションでした。
このブログでも何度も言及してるけど、特にコロナ以降作品の貸出や保険、輸送費が高騰したりで中々理想通りの展覧会の実現が困難な中、持ってるコレクションをどう生かすかが肝になっています。
今回その好例とも言える展覧会に出会えました。
半分以上が版画なので、作品的には物足りなさも禁じ得ないんだけど、それを補って余りあるのが今回のキュレーション。
シュルレアリスムの流れを体系的に見事なまでに体感することができます。
シュルレアリスムは、ご存知の通り美術よりも先に詩や物語から始まりました。
それを暗示するように冒頭では、ルドンやココシュカ、ピカソまで、挿絵としての版画作品が多く展示されています。
この導入からしてちょっとこれは凄いかもしれないと思い始めたんですが、極め付けは「19世紀の幻想画家グランヴィル再発見」というコーナーでした。
J.J.グランヴィル。
僕は全く知らなかったんだけど、19世紀に活躍した版画家で、シュルレアリスムの先駆とも言われてるらしい。
彼の作品は確かにすごかった。
シュルレアリスムの萌芽みたいなものが確かに宿っていて観ていてとても興奮しました。
さらに次の「ジョルジュ・バタイユの眼」も素晴らしかった。
バタイユが主宰した雑誌「ドキュマン」に掲載された作品を展示していて、特にカール・ブロスフェルトの植物写真は目を惹きました。
ヘンリー・ムーアの小品も素晴らしかったし、ハンス・ベルメールも相変わらずのキモさ(褒め言葉)。
その後のミロやアペルも良かったけど、何と言ってもこの展覧会の白眉は「シュルレアリスムをめぐって 群馬ゆかりの二人の作家―福沢一郎と鶴岡政男」。
この展覧会がなぜシュルレアリスムに焦点を当ててるのかがここで明確に点を結んだ気がしました。
日本を代表するシュルレアリストのこの2人が群馬出身だったとは。
福沢一郎は何と言っても瀧口修造と共に日本にシュルレアリスムをもたらした第一人者。
1941年にはこのお二人は治安維持法違反の疑いにより逮捕されています。
当時はシュルレアリスムと共産主義との関係を疑われてたんですよね。。。今となっては謎すぎるけど。
この展覧会に出品されてる彼の著書「シュールレアリズム」は何と言ってもこの国にシュルレアリスムを紹介した名著。
そんな彼の作品は、いろんなところから引用されていて、今回その引用先の資料も展示されてて面白かった。
多分だけど、ユアサエボシは福沢一郎からインスパイアされてるのではと思ったり。
そして鶴岡政男。
今回東近美にある「重い手」が借りられなかったのは残念だったけど、それでも戦後の作品が多く出品されてて興味深かかったです。
その後も勅使河原蒼風や須田一政等、一見シュルレアリスムの観点から顧みられることのない人たちまでいて面白かったし、何と言っても現代の大岩オスカール、加藤泉、鴻池朋子、そしてお目当ての大坂秩加の作品に繋がっていくのは爽快感すら覚えました。
いやはや本当に素晴らしい展覧会でした。
遠かったけどここまで来てよかった。。。
それにしてもこんな僻地でめちゃくちゃ立派な建物と敷地でびっくりしました。
なぜか別館にはフランソワ・ポンポンのアトリエが再現されてたり謎すぎ。
この展覧会は6/25まで。こちら


野崎道雄コレクション受贈記念 見えないもの、見たいこころ (-7/2)
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こちらもコレクション展。
昨年眼科医でコレクターの野崎道雄氏から寄贈された、152の作品と5件の資料類、400冊超の書籍の一部を公開するというもの。
とんでもなく太っ腹なコレクターがいるもんですね。。。
しかもそのうちの60点がなんとリヒター!
今回も半分以上をリヒターの作品が占めてました。。。凄過ぎ。。。
流石に大作はないものの、80年代後半から90年代前半にかけての脂の乗りまくってるアブストラクトが沢山あってヨダレが溢れそうでした汗
小さいながら「緑・青・赤」は最高だった。欲しい。。。
他にもリヒターの前妻であったイザ・ゲンツゲンの肖像なんてめちゃくちゃ貴重なのでは。
兎に角リヒターの作品が充実していてリヒターファンは必見かと。
やはり野崎氏の眼科医という背景は、リヒターの視覚性に惹かれたんでしょうね。
そこから派生するように、ボイスやポルケ、シュトゥルートなんかもあって、ドイツ現代アート網羅してます。
特にポルケのプリント地の上に絵を描いてる作品は見れば見るほど不思議でいつまでも見てられました。
シュトゥルートのリヒターの肖像も良かった。
さらに貴重すぎるデュシャンの限定ボックスもあったり。
デュシャンボックスは意外と色んなところで見ますが、野崎氏が持ってたのはより希少なエディション。
なぜかマグリットのドローイングなんかもあって凄過ぎた。
点数は決して多くないですが、本当に充実したコレクション。
これらがたった250円で観られるんだからお得すぎ。
まあ、ここまで行くのが遠過ぎるんですが。。。
こうしてコレクターが美術館に一気に寄贈するケースは少なからずあって、ちょうど今静岡県立美術館でやってる「太田正樹コレクション展」も顕著な例と言えるでしょう。
2008年から寄贈が始まり、昨年一括寄贈となった計106点にも及ぶコレクション。
アニッシュ・カプーア、荒川修作、アンディ・ウォーホル、大庭大介、加藤泉、小谷元彦、斎藤義重、ジュリアン・オピー、ダレン・アーモンド、中西夏之、名和晃平、宮島達男、村上隆、森万里子、李禹煥という錚々たる顔ぶれ。
現在ほとんどの美術館が購入予算が取れない中、こうしたコレクターの存在は本当に大きい。
流石に静岡は観に行けないけど、素晴らしい出来事ですよね。
本当にご馳走様でした。

葉山、いつも直行直帰なのですが、美術館の周り初めて歩いてたらゴームリーに遭遇しました。
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カーキな視界:内海聖史展 @ 三越コンテンポラリーギャラリー

最近行った展示まとめ。
まずは銀座・日本橋エリア。

カーキな視界:内海聖史展 @ 三越コンテンポラリーギャラリー (会期終了)
まずは内海さん。
奇しくも前々記事の今井さん前記事のマティスに続き色彩が重要な作家が続きます。
そんな色彩鮮やかな内海さんの作品に対して「カーキ」というくすんだ色が展覧会タイトルになってるのが意外でした。
これはステートメントにも書いてありますが、絵画を鑑賞した記憶が蓄積されていくと、色が混ざり合って最終的にグレイになるように、その記憶もグレイ、カーキになっていくのではという内海さんの仮説から始まっています。
理論的には理解できるものの、果たして本当にそうかな?とも思っていて、記憶ってそこまでロジカルなものではなくて、そこには情動のようなものもあるので、しっかりと色彩として記憶しているものだと僕は思います。
実際内海さんの作品を思い出す時は、必ず鮮やかな青だったり赤だったりをちゃんと思い出します。
ただ、内海さんの絵画の場合、「赤い絵」と言っても、色んな色相の丸が集合して一つの画面を形成しているので、実作を見ていたら、あれ、こんな色も入ってるんだという意外な発見も多々あります。
そういう意味では、記憶は単純化しているのだなぁと思わされます。
そして今回、まあ一筋縄では行かないとは思ってましたがやっぱりやってくれてました笑
僕が行ったのは5月10日だったのですが、5月9日になんと展示替えがありました。
その日はロシアの戦勝記念日で、赤・青・黄の大作のうち赤色が全て裏返されていて、残った青と黄がウクライナカラーに。
さらにグレイ・青・黄・赤の作品のうち、黄色が裏返されてロシアの国旗のようになっていました。
内海さんの作品自体には政治的なメッセージはほとんどないにも関わらず、色を選択することでメッセージが浮かび上がるという仕組みです。
ということで、前半で見られた色彩は裏返されて隙間からしか見られず。。。
デパートの会場でこんなことするなんて流石すぎます笑
作品の見た目はそこまで変化することなく、その状況を常に撹拌させることで絵画の可能性を広げていく内海さんの姿勢を今回も目の当たりにできました。
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川北ゆう・河内麻子二人展 ー波形ー @ 日本橋高島屋本館6階 美術画廊X (会期終了)
大学の同期の川北さんの展示。久々に見られて嬉しい。
全ての作品が青系の線や色彩の作品で清涼感がすごい。
さらに同時に展示されてる河内さんのガラスも相まってとても涼やかな展示でした。
ただ2人の作風があまりに違うのでなんでこの組み合わせ?とも思いました。。。
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須田悦弘|補作と模作の模索 @ Gallery Koyanagi (-6/24)
ロンドンギャラリーとの協働による展覧会。
杉本博司が選んだ古物に須田さんの草花が活けられます。
杉本さんのこのギャラリーへの介入はやや辟易しますが、この展示は物凄く良かった。
古物と須田さんの作品がもはや切っても切り離せないぐらいしっくり来ていて一つ一つがしっかりと世界を作り上げていました。
わざわざ畳を敷いてるのも流石。
会場にいくつか小さな植物が植えられているのでそれもお見逃しなく。
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新田 樹 作品展 Sakhalin(サハリン)@ Sony Imaging Gallery (会期終了)
木村伊兵衛賞の受賞記念展。
作品に写る一枚一枚の体温を感じるイメージたちと、その背景にある歴史とがあまりにかけ離れていて、どうしてもそこをうまく繋げられないもどかしさを感じて、どう見ていいのかわからないまま見終わってしまった。。。
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続いて新宿エリア。

松下真理子「すべて水に映る」@ KEN NAKAHASHI (-5/27)
前期後期に分けられていた後期展示。
お手製のキャンヴァスに描かれたイメージたちは、まだ模索をしつつもめちゃくちゃ可能性を感じる作品群でした。
いつもの大型キャンヴァスを枠から外して展示した作品は物凄く良かった。
前から彼女の絵は、矩形の中で狭そうにしている印象があって、こうして枠を外すことで少し解放された感覚がありました。
絵画ってどうしても枠の中で描くものなので限界があるんだけど、そこをどう超えていくかが今後彼女の絵に期待するところです。
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Gallery Artists Show @ KENJI TAKI GALLERY (-5/27)
ギャラリー作家による小品の展示。
塩田さんのドローイングはどうしても苦手なんだよなぁ。
村岡三郎さんのドローイングはやっぱカッコ良すぎた。
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IWAKAN Magazine 6th EXHIBITION −男性制− @ gallery -1 (-5/28)
こんなところにギャラリーあった?ってとこにありました。
アパートメントホテル新宿というホテルの地下で一階がショップになってます。
IWAKAN Magazineというジェンダーをテーマにした雑誌のフィジカル展。
あまりジェンダー系ドメスティックに感じちゃって苦手なんだけど小寺創太さんが出されてたので行ってみました。
階段降りるところに展示されてたのは池野詩織さんの酔っ払いをイメージした写真。
池野さんってどこかで聞いたことあると思ったらこないだ35分で観た作家さん。
前回の佐渡を撮った爽やかな作品とかけ離れてたのでびっくり。
そしてさらにびっくりしたのが萩崎正広さん。
埼玉県は鳩ヶ谷というところで「ゲイ・アートの家」を運営されてて、僕も実は以前行ったことあるんだけど、彼のコレクションは凄まじいのです。
そのコレクションが床に投影されててかなり貴重。
お目当ての小寺さんは、本人のパフォーマンスはないものの、以前Token Art Centerで観た写真たちと、彼の存在を仄めかすような意味深な鏡があって、これは鏡だけの展覧会も成立するなと思いました。
今回前から気になってた寺田健人さんの作品が見れたのも嬉しかった。
会場で彼の冊子が200円で売ってたので買っちゃいました。
小ぶりながらかなり充実した展覧会でした。お近くの際はぜひ。
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Being – Mom is a Woman – @ √K Contemporary (-5/27)
上述の展覧会が男性性に対してこちらは女性。
戦前戦中戦後まで、あらゆる女性作家を集めたもの。
こういうのも苦手なんだけど、「Mom is a Woman」ってタイトルが良かったので。
全体的に女性っていうだけで集まってるのでやはりとりとめがないんだけど、何人か気になりました。
冒頭の長谷川春子は明治生まれのペインター。冒頭に持ってきてるのが良き。
続く張静雯の集合住宅のベランダを描いた絵画や、Carol Chediakの対話をテーマにした写真と映像も印象的だったけど、この展示で一番気になったのは田口るり子
前衛の時代の作家さんかと思ったらめちゃくちゃ今の作家さんだった。
他も松本陽子や堀えりせ党のベテランから、山田彩七光のような若手まで。
5月中旬から公開される三上晴子の作品は行った時まだ公開されておらず残念。
三上さんの作品はこの展覧会が終わっても展示されるらしいのでまた来よう。
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マティス展 Henri Matisse: The Path to Color @ 東京都美術館

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2004年の西洋美術館での展示以来約20年ぶりの日本でのマティス展!
この2004年の展覧会は学生時代に行って泣きそうなほど感動した展覧会だったので、また日本でマティス展が開催されるのを待ちに待っておりました。
本当は2021年に新美で開催されるはずのマティス展がコロナで延期になって残念に思ってたら、まさかの都美がまた別のマティス展を用意してきたから発表当時は混乱しました。
結局新美の展覧会は来年になったので都美が先になってしまったのです。
都美は前回のエゴン・シーレ展がやや肩透かしだったのでちょっと不安でもあったのですが、蓋を開ければそれは杞憂だったことが判明しました。
どこを切ってもマティス!マティス!マティス!
今回はマジでマティスしか展示されてません。凄すぎる。。。
普通資料的に同時代の画家とか風俗とかを紹介したりもするんだけど、それすらありません。
それもこれも全面協力してくれたポンピドゥー様のお陰。
国内とポンピドゥーのコレクション合わせただけでマティスの初期から最晩年までに渡る回顧展ができるんだから本当に凄い。

まず最初の地下のフロアが早速凄まじいです。
一番最初の「読書する女性」(1895)は、学生時代に描かれた作品。
後にフォーブ(野獣)と呼ばれるマティスとは思えないほど暗い色調の絵で、ハンマースホイをも彷彿とさせる不思議な雰囲気。既に国家買い上げになってるの凄い。
翌年1896年の「ベル・イル」からは一気に色彩が登場してこれ以降徐々に色彩が爆発していきます。

本展覧会最初の目玉は新印象派を意識した点描の「豪奢、静寂、逸楽」(1904)。
シニャックの誘いで南仏を訪れたマティスがパリに戻ってから仕上げた作品。
新印象派の失敗って、色を点の集合と解釈してしまったのが大きいですよね。
どうしても濁って見えてしまって鮮やかさに欠けます。
ここから面としての色を使った切り絵に晩年なっていくと思うと感慨深いですね。
案の定1907年の同じ主題で描いた「豪奢」で点描は切り捨てられ、すっかり「マティス」になってます。
シニャックたちとの仲は大丈夫だったのかな。。。
それはともかくこの絵は本当に凄まじくて、しばらく絵の前から動けませんでした。
構図も不自然だし、色の塗り方も乱暴だし、色々破綻してるのに目が離せない。
当時サロン・ドートンヌで発表されたそうだけど、今でも意味わからないのに当時はそりゃ混乱するよな。。。
この不協和音のような気持ち悪さが絶妙過ぎてやっぱりマティスには敵いません。
近くに置いてある彫刻たちも、マニエリスムよろしくバランスがおかしくて、むしろヘンリー・ムーアを予感させるような抽象彫刻に近いです。

抽象といえば、続く2014年に描かれた「コリウールのフランス窓」。
これは本展の中で最も衝撃的な作品といっても過言ではないと思います。
なんせ窓らしきフレームの外が真っ黒に塗り込められてるもんだから、後の抽象表現主義の絵画のようなコンポジションと捉えられても仕方ないというか。。。
背景に第一次世界大戦があったという説もありますが個人的にはそれはないんじゃないかなぁと思います。
もちろん全くなかったとは言い切ることはできないけれど、マティスの絵画は政治背景とかを超えたところに常にあって、時事に左右されるものではないと信じたいんですよね。
この作品はサインもされてないことから未完成と見做されたりもするのですが、最初に発表されたのはマティスの死後、1966年のカリフォルニア大学美術館での回顧展。
当時隆盛していたカラー・フィールド・ペインティングの始祖として受け止められたようですが、マティス自身は抽象への可能性を慎重に避けてきた画家でした。
そのことは「画家のノート」の中でもはっきり述べています。

ところでマティスの作品には窓がしばしば登場します。
本展でも「金魚鉢のある室内」(1914)、「アトリエの画家」(1916-17)、「窓辺のヴァイオリン」(1918)と特にこの1910年代に多く登場しています。
窓はアルベルティを引くまでもなく絵画の隠喩としても画家にとって重要なモチーフ。
そのことは東近美で開催されてた「窓展」で散々見せられました。
但しアルベルティのそれが、あくまで切り取る装置としてであるのに対して、マティスの場合は内も外も全てが一体となる「流れ込むもの」として絵画に同化しているのです。
「壁にしつらえられた窓は、2つの異なる世界を作り出しているわけではないのです。」というマティス自身の言葉からもそれがわかりますね。
ところで「アトリエの画家」って変な作品ですよね。
裸になってるの画家の方かよ!ってツッコミ入れちゃいます笑

このフロアの最後は彫刻。
特に「背中」と題されたブロンズレリーフ。
1909年に始まり1930年の4作目で完成を向かえたようですが、高さ2m近い大きさのこの作品を同じモチーフで20年以上断続的に続けてることもそうだし、そもそも壁にめり込むような背中を向けた人物っていうのが不気味。
最終的に背骨が異常に進化したようなフォルムで美しさとは別のところにベクトルがあるのがわかります。

既にへとへとだけど次のフロアへ。
何故かこのフロアだけ写真撮影がオッケーなんだけど、先ほどのフロアのような劇的な変化もないのでやや緩慢といえば緩慢なんだけど、それでもやっぱり見どころはいくつもあります。
冒頭のドローイングも珍しい木炭のものから、マティス独特の線描のものまで。
あの消え入りそうな弱々しい線とは裏腹にとてつもない力強さを感じてしまうのは何なんだろうか。。。
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次の見どころというか、観に行った人からやや議論になってるのが「赤いキュロットのオダリスク」(1921)。
この時代のマティスの絵画にしばしば登場する主題。
前フロアでも「アルジェリアの女性」(1909)が展示されていたけれど、それよりも挑発的なポーズ。
この作品のキャプションには絵画的な問題にしか触れられておらず、当時のヨーロッパの帝国主義やオリエンタリズムに一切触れられていないというのが議論の元。詳しくはこちら
実際学芸員の藪前さんもTwitterでいくつかツイートされているけれど、このような言わばブロックバスター展でネガティブな面に触れるのは中々難しいところもあると思います。
今の時代背景と当時のそれとは空気も違うのでそこを責めるのは酷というのもあるし、カタログでアラステア・ライト氏が論考を寄せてるので玄人はそっちをご覧くださいとなるのもわかります。
以下ライト氏の論考より。

"マティス当人は、源泉としたアフリカ芸術と自分との関係を、どちらかといえばもっと型どおりな視点から理解していた。西アフリカ芸術を、ヨーロッパの絵画・彫刻を若返らせてくれる「他者」として使っているのだから、彼が依然として植民地支配的な世界観の内部にいたことは明らかである。アフリカは常に「異境的」なものとして、つまりヨーロッパの芸術家たちが自分の仕事の新たな生命を吹き込むにあたって、好きなように使える外部の存在として立ち現れる。"
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やや重くなりましたが、一転して軽やかに静物画。
この辺りはセザンヌの影響が如実ですね。
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続いて「夢」(1935)。
この作品を見て思い出したのが「ルーマニアのブラウス」(1940)。
2004年の展覧会に出品されてた作品。
この絵は1945年のマーグ画廊での展示の際、そのプロセスを撮った写真とともに展示されていて、当時の上野でも同じように展示されていて、ものすごく感動した覚えがあります。
マティスの作品は一見ささっと描かれているように見えてしまうけれど、その背景にはいくつものトライ&エラーを繰り返していることがそれらの写真からわかって、僕もそこからマティスの絵の見方が劇的に変わりました。
この「夢」にはそのトライ&エラーが画面上に浮き出ていてめちゃくちゃ感動しました。
ちなみにこの絵のモデルになったリディア・デレクトルスカヤは、絵のモデルだけでなく、アシスタントとしてマティスのもとで働き、制作過程の写真も彼女が逐一撮影していました。
次の「座るバラ色の裸婦」(1935-36)も彼女がモデルで、何度も修正した挙句にかなり抽象的なフォルムになってます。
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室内画コーナー。
マティスの絵画の平面化がドラスティックに感じられる絵画群です。
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1941年に十二指腸癌を患いまともに制作を続けるのも困難な中取り組んだのがデッサンと切り絵。
1943年にこれらのデッサンをまとめたポートフォリオを出版。
さらに、1931年から33年の間にアルバート・C・バーンズに依頼されて大壁画を制作する際に用いた切り絵という方法が既に1937年のヴェルヴ誌に掲載されました。
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最後のフロアでは切り絵と最晩年に取り組んだヴァンス・ロザリオ礼拝堂でクライマックス。
この二つのプロジェクトは、まさにマティスの到達点。
最後の最後まで、創造を諦めない結果がここまで果たせるのかと思うと胸が熱くなります。
礼拝堂を設計するにあたりマティスは「神を信じているかどうかにかかわらず、精神が高まり、考えがはっきりし、気持ちそのものが軽くなる」ような場となることを目指しました。
ちなみに僕は実際この礼拝堂を以前訪れたのですが、運悪く改修中で、光の入り方も完璧ではなく、いつかリベンジしたいなと思っております。。。こちら

マティスの初期から最晩年を網羅した、見事な「回顧展」でした。
もちろん彼の代表作である「生きる喜び」や「ダンス」は来ていないとはいえ、本当に貴重な機会だと思います。
(代表作はほとんどロシアにあるんだけど、今後見られる機会があるのだろうか。。。)
8月20日までやってますが、後半は確実に混むだろうし、日曜美術館に紹介されたらアウトです。
ぜひ早めに行くことをお勧めします。こちら
僕が行ったのはGW明けの平日でしたが、そこまで混んでおらずストレス少なめで鑑賞できました。
国立新美術館の展示は来年の2月から。こちらも今から楽しみです。こちら

今井俊介 スカートと風景 @ 東京オペラシティアートギャラリー

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昨年丸亀で開催されていた今井俊介展の巡回。
行けなかったのでめちゃくちゃ嬉しい。
今井さんの作品は過去にもいくつか観たことはあったけど、これだけまとめて観られるのは貴重。
入った瞬間に目に飛び込んでくる「目の醒めるような」という表現がぴったりの色彩に思わず笑みがこぼれました。

今井さんの作品を語るとしたらたくさんのキーワードが浮かぶんだけど、その点と点を繋ごうとするとうまく結べないというか、脱兎のように軽々とすり抜けていく爽快感があります。
絵画、デザイン、平面性、カラーフィールド、迷彩、抽象、、、
面白いのがこれらのキーワードってすっかり語り尽くされてたものと思ってたのに、改めて現代にこの議論を復活させてるのが今井さんの作品群。
例えば彼の作品はそもそも絵画なのか?って話。
確かにパッと見服のプリントにも見えます。
というかそもそも彼がこれらの作品を作るきっかけになったのが今回のタイトルにもなってる知人のスカートのドレープを見て描き始めたので、そう見えても仕方ないというか彼はそれ自体を絵画に落とし込んでいるのです。
なんなら実際にそのパターンを布にして服やエプロン、暖簾に旗まで作っちゃってる始末。。。
これは何と言われても構わないという強い自信を感じますね。(実際後半の映像でも仰ってます)
因みに僕が彼の作品を見て真っ先に思い浮かぶのがダニエル・ビュレンです。
ビュレンも街中にあるストライプを見て自身の作品にしてしまった作家。
絵画だけでなく布にプリントしたものがあるのも似てます。
違いは見た目にも今井さんの方が複雑だし、ビュレンのようなサイトスペフィシティはない。
今井さんの画面の複雑性は、やはりモチーフがスカートのドレープだったところにあります。
ドレープの立体性を平面化する。
ここがビュレンとの最大の違いでしょう。
実際このコンセプトをわかりやすく示していたのが山田晋平さんとの映像コラボ作品。
布を撓めて歪めて動かしていくことでパターンがどんどん変化していく。
その平面性はまた往年のカラーフィールドペインティングにつながっていきます。
特に今井さん自身も言及しているエルズワース・ケリーのマットな色彩構成画面の影響は大きいでしょう。
ケリーも今井さんも図録で見てもそれが絵なのかプリントなのか判断つきかねます。
しかし実際見てみると筆跡だったり微妙な滲みだったりが手作業の痕跡を思わせます。
今回ショップに今井さんの作品をプリントした布が売ってるんですが、その肌理を見ると違いは明らか。
それを意識して今回の図録は作品の寄りが沢山載っててありがたいです。
実際こんなに近づくと監視の方が飛んできますからね笑
そして色彩豊かな作品群を見ながら、岡崎乾二郎の「抽象の力」も思い出しました。
今井さんの絵はカラフルでめちゃくちゃ存在感がありますが、もし街中に展示されていたら案外目立たないのではないかと。
むしろ真っ黒な画面とかの方が都会の中では目立つのかもしれません。
今井さんの作品は、都会の中の迷彩なのかもしれないとふと思いました。
「抽象の力」の中でも抽象画と迷彩の関係が書かれていたのでまさにその部分を思い出した次第。
こうして美術の歴史ともつながっていきながら、黙々と新しい作品を作り続けている今井さん。
今回本当に作品数が多くて、10年以上もこれを続けていることに驚異します。
インタビューの中でも「展開って概念がない」みたいなことをおっしゃってて、確かにケリーのようにシェイプドキャンバスになったりしてもおかしくないのに、愚直に矩形の中に描き続けてるんですよね。
新しい作品を見ながら色数が少なくなってる感もありつつ、でもまた色が復活してたり。。。
特に最新作はより複雑なパターンになってて面白いです。
また、今回丸亀には出てなかった学生時代の作品も出ていて、それらはドレープではなく布のプリントのような絵画で、前夜が垣間見れて嬉しかった。
6月18日まで開催中なのでぜひ。こちら


最近ここのコレクション面白かったんだけど、今回はそうでもなかった。。。
とはいえ凄い作品を実は持ってる寺田コレクションはさすが。
project Nの方はそこまで響かずでした。。。

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ケリス・ウィン・エヴァンス @ 草月プラザ

最近観たアート展まとめ。
まずは渋谷・表参道・外苑エリア。

ケリス・ウィン・エヴァンス @ 草月プラザ (-4/29)
丹下健三設計の草月会館。
以前行ったことある気がしたけど記憶なし。
中は多分初めて入りました。
イサムノグチの庭園も初。すごいエントランス。。。
そこに今回ケリス・ウィン・エヴァンスのインスタレーションが登場。
失われた時を求めての日本語テキストのライト作品や柱のような光の作品。
もう1つ吊られてる作品があっていつ光るのかと思ったらこれは光らないみたい。
クリスタルガラス製のフルートだそうで、音が不定期になります。
この人の作品、いつも美しいんだけどなんとなく感動にまで至らないんだよな。。。
名前も何度聞いても覚えられない。。。
でもまあ、中々来ない場所なのでいい機会でした。普段は予約制なのかな?
上のカフェからコーヒー飲みながら眺めるのもいいと思います。
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プレイプレイアート展 @ ワタリウム美術館 (-7/23)
相変わらず訳のわからない企画だけど相変わらずメンツがエグい。
今回は小谷元彦の巨大彫刻のみ新作で、それ以外はワタリウムのコレクション。凄すぎ。
各階に目玉スポットがあり(巨人、テント、噴水)、美術館がまさにプレイグラウンドに。
所狭しと作品があります。
座って寛げる折り畳み椅子まで用意されてます。
美術館なので流石に飲食はできないけど、公園のような雰囲気で楽しい。
個人的にはホックニーの一枚ものの写真がホックニーらしくて良かった。
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超複製技術時代の芸術:NFTはアートの何を変えるのか @ GYRE GALLERY (-5/21)
NFTなのにフィジカルな展覧会ってどうなの?とあまり期待せず行ったけどまあ可もなく不可もなく。
そもそもここの展覧会はいつも可も不可もない。
なぜかルウィットのドローイングがあった。
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1/s @ (PLACE) by method, CIRCLE (前期終了 後期:4/22-5/7)
いくつかの古道具屋が集まった蚤の市でもありインスタレーションでもある展示。
アートではないんだけど、展示方法がウィットに富んでて楽しかった。実際買えるし。
いくつか気になってたけど行けてなかった関西の古道具屋が出品してて流石のラインナップ。
前期は滋賀県大津の古物至ると京都のYEANAY KYOTO
いつも蚤の市行くと無数にある品物群の中から面白いものないかと探すのが醍醐味なんだけど、この展示の場合全てがすでに厳選されたものなので全部面白すぎて頭の中が飽和状態。。。
よくもこれだけのファウンドオブジェクトを集めたものだな、とひたすら感心。後期も楽しみ。
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続いて六本木。
先日発表されましたが、現在アーティゾン美術館の隣に来秋完成予定の戸田ビルディングにここに入ってる小山・タカイシイ・シューゴアーツが一気に移っちゃう予定なので、六本木でまとめて見られるのもそれまで。
今回はシューゴアーツの千葉正也と小山のデュマが良かった。
千葉さんは2021年のオペラシティが印象的でしたが、今回は絵画展。
とはいえ、それらの展示方法がおかしくて、床にも天井にも展示されてる。。。
前室なんてスタッフもいないのに踏まれたらどうするんだろう。。。
それはともかくその空間がとても気持ちよくて素晴らしかった。
能面の作品も、絵の能面と実際の能面が接してるのでどちらも全貌を伺えないのが良かった。
そしてデュマ。
エルメスでの展示が印象的でしたが今回もとても美しかった。
写真とドローイングが見事に調和していて本当に見事な光景でした。
メディアも違えばイメージも全く違うのにどうしてここまで響き合うのか不思議。。。
タカイシイの掛井五郎はよくわからなかった。。。
そもそもなんで近代彫刻。。。このギャラリーの方向性不思議すぎる。

千葉正也 横の展覧会 @ ShugoArts (会期終了)
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シャルロット・デュマ「Ao 青」@ 小山登美夫ギャラリー六本木 (会期終了)
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掛井五郎 @ タカ・イシイギャラリー (会期終了)
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ピラミテビルではWAKOのフィオナ・タンが良かった。
入ってすぐの写真と声による「Pickpockets」が早速素晴らしかった。
実際のスリ犯の写真から連想したオリジナル脚本のパリ万博時に捕まった当時の物語を語るという内容。
興味深いのはマリー・ディリオという17歳の女性の物語で、そこでは写真に撮られることの話をしていて、この撮られる一瞬と財布をする一瞬の対比が重ねられてる。
奥の「Archive」は、情報学の父ポール・オトレが取り組んでいた広壮なアーカイブ計画「ムンダネウム」をモチーフにした4Kデジタル映像作品。
無数のインデックスが納められた棚が円形に並ぶドーム状の建物をスムーズにカメラが移動していきます。
この架空の建物をまた新たに写真にしたり、タンの写真は過去も現在も未来も全て飛び越えてて本当に凄い。
お隣SCAIでは赤瀬川原平が撮りためていた未発表の写真群(4万点!)の中から6名の作家がセレクトして展示するという企画。
作家は伊藤存、風間サチコ、鈴木康広、中村裕太、蓮沼執太、毛利悠子の6名。
それぞれ20点ずつ選び、同じフォーマットの写真がずらっと壁に並んでるのですが、赤瀬川原平という1人の作家が撮った写真なのに、セレクトする人によってここまで違う印象になるのかという驚きがありました。
特に毛利さんのセレクトはご自身の作品かと思うぐらい凄い親和性がありました。
閑散とした平日のピラミテビルでここだけ人が多かった笑
TARO NASUと現代芸術振興財団の展示はよくわからなかった。。。

フィオナ・タン スリ Suri @ WAKO WORKS OF ART (会期終了)
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赤瀬川原平写真展「日常に散らばった芸術の微粒子」@ SCAI PIRAMIDE (会期終了)
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ジョージェ・オズボルト @ TARO NASU (会期終了)
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稲田和巳「潮」@ 現代芸術振興財団 (会期終了)
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銀座エリア。

第16回 shiseido art egg YU SORA展 @ SHISEIDO GALLERY (会期終了)
毎年恒例shiseido art egg。
毎年どれかは観ている気がする。
今回のYU SORAさんの作品、とても写真映えして実際何枚も撮ってるけど受け取れる情報は少ない。
表面的というか表面に終始していると言ってもいいかも。
韓国出身ということからもスー・ドーホーも思い出しちゃってあまりしっくり来ませんでした。
会場にある実際のスイッチやドアの輪郭線を取ってるのは良かったので、新たにオブジェを作るのではなく実際の空間をひたすら輪郭化するだけでも面白かったかも。
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三月の0号 @ 鈴画廊 (会期終了)
前記事にも載せたけど初の奥野ビルへ。
常連で友人の横村葵さんが参加してる0号展へ。
葵ちゃんの作品は、どの大きさでも密度が同じで凄い。これは中々できることじゃないのです。
0号は最小だけど、やっぱりいつもの葵ちゃん。
今回画面のサイドがいつもと違っててそこも見どころ。美しいグラデーション。
葵ちゃんの絵には作為と無作為が共生している。
それにしても奥野ビル、ジャングル過ぎて他にも画廊いっぱい入ってるのにどれも入る勇気なく。。。
また機会があったら探検したいです。
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最後は新宿・中野エリア。

木村了子個展 「BE MY MODEL ! Returns」@ The Artcomplex Center of Tokyo (会期終了)
今回は2014年に黄金町で発表した恋愛シュミレーションゲーム作品 「Be My Model !」の発展型のフィジカル展。
これ、実際ウェブで体験できるので展覧会は終わっちゃったけどぜひやってみてください。こちら
小学生の頃ときメモにハマった者としてはめちゃくちゃ燃えますw
ノーマル・ハッピー・バッド・アブノーマルエンディングがあるそうで、始めやった時はノーマルだったんですが、2回目やったら見事アブノーマルが出ました!!!
それは置いといて、会場の作品は相変わらずの精度。
特にゲーム内のキャラたちがそれぞれ違う支持体に描かれた絵画4点は白眉。
写真家さんの画面、鏡張りになってるんだけど、この上に描くのめっちゃ神経いると思う。。。
彫刻家の絵画もひび割れた木の上に描かれてて存在感が凄い。
それらに加えて、あらゆる人種が銭湯に入ってる大画面も素晴らしい。奥のうっとりした番台のおばちゃん最高w
ゴリラとターザンを描いた掛け軸も際ど過ぎて最高!!
すっかり了子ワールドに酔いしれました。
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松下真理子「すべて水に映る」@ KEN NAKAHASHI (前期-4/22 後期 4/25-5/27)
今回特に青い絵が凄かった。
松下さんは赤いイメージがあるんだけど、不思議と青い方が温度が高い感じがしてまるで炎のそれ。
この展覧会は前期後期と分かれていて、後期はオリジナルのキャンバスが登場するらしい。
松下さんの絵って、いつもサイズ感が気になってて、それは決められた号数の中に描くには狭すぎるのでは?という疑問があったので、次回が本当に楽しみ。
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「UNLOGICAL 06」@ MONO.LOGUES (会期終了)
中野のマンションの一階にひっそりとあるMONO.LOGUESという初めて行くギャラリーでやってたグループ展。
お店に来てくれる愛甲次郎くんが参加してるとのことで行ってみました。
インスタでは拝見してたけど、実物の作品観るのは初めてで、楽しみにしてたんだけど、印象が全然違ってびっくり。
やっぱり支持体の雲肌麻紙という紙と絵の具がめちゃくちゃ美しい。。。
画像になるとそこが完全に死んでる。。。
他の白黒の作品も観たくなりました。
Sakura Fantasmaさんと関根直子さんの作品も面白かったので行って良かった!
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以上!!!

深瀬昌久 1961-1991 レトロスペクティブ @ 東京都写真美術館

最近観た写真展まとめ。

深瀬昌久 1961-1991 レトロスペクティブ / 恵比寿映像祭2023 コミッション・プロジェクト / 土門拳の古寺巡礼 @ 東京都写真美術館
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楽しみにしていた深瀬昌久の回顧展。
とはいえ、そこまで深瀬のことを知ってるわけではなく、何と言っても「鴉」のオリジナルプリントが最大のお目当て。
最初の部屋では60年代に撮影された「遊戯」から。
この部屋の写真は何だかものすごくヘテロ男性の視線を感じてしまって気持ち悪かった。
それにしても妊娠した最初の恋人・川上幸代の写真が、とても幸せそうなのにその後死産、第二子を妊娠するもそのまま失踪というとんでもない話で壮絶。
屠殺場などの殺伐とした風景がその後続くのはその背景があったからかな?
「カメラ毎日」で発表されてたフォトモンタージュの作品群は意外だったけど、後の代表作となる「鴉」もリアルを写しながらどこかシュールなのはここに原点があるのかも。
そして初期の代表作である「洋子」が続きます。
1964年に結婚する妻・洋子を撮り続けた、ただそれだけとも言える写真群なのに明らかに家庭の写真ではないのが歴然とわかります。
川上幸代を撮っていた時とは明らかに違う視点。
この頃には何となく嫌だったヘテロな視点がほとんどない。
その代わりにまた違った気持ち悪さがまとわり付くのは次の家族の写真も同様。
「私写真」と言われた彼の写真はその後荒木や長島に続くと思うと面白いですね。
実際荒木とは1976年に朝日ソノラマで一緒に新宿を撮っていて、荒木は深瀬をアジェに、自身をアポットに例えています。
同年深瀬は「近頃のカメラは簡単に写りすぎて面白味がない、写真なんてのはだれにでも写せるものであってはいけない」と発言してるけど、今まさに「だれにでも写せる」時代に深瀬がいたらどう思ったんだろうか?
その「だれにでも写せない」写真の極地が「鴉」だと思います。
今回の展覧会は珍しくキャプションに年代が記されてて、深瀬本人が焼いたのと、別の人(瀬戸正人等)が焼いたものがわかるようになってます。
「鴉」はその両方混じってるんですが、深瀬が焼いたプリントはものすごくザラザラしていてめちゃくちゃカッコいいのです。
元々写真館の家の生まれで、小さい時から叩き込まれた現像技術があるからこそのこだわりが随所に見られて素晴らしかった。
ハリウッドで現在製作中と言われている深瀬の半生を映画化した作品のタイトルもこの「鴉」の英題「Ravens」。
深瀬はこの鴉たちに自身を投影していたと言います。
次の飼い猫を撮った写真も、猫を写すというより猫の視点から風景を見るためにカメラがあるような印象です。
この後から自身が住んだ場所を撮ったり自身が写り込んだ風景を撮ったり、果ては自分しか写ってない「ブクブク」というシリーズを撮ったり、内省的になり過ぎてて個人的には面白くなかった。
こうして年代順に作品を追っていくことで、物凄く濃密な時間となりました。6月4日まで。

上の階では恵比寿映像祭のコミッション・プロジェクトが上映されてました。
「テクノロジー?」と題された今回、金仁淑・荒木悠・大木裕之・葉山嶺の4人の映像作品が展示されたけど、興味深かったのは葉山嶺の作品。
オーストラリアに存在していた絶滅種・ウサギワラビーの中に入っていくというCG映像。
もういない「人間ではない他者」から覗く世界が垣間見れました。
大木さん毎回よくわからないんだけど何故か東出くんがいた気がしたんだけど。。。
こちらは会期終了済み。

地下では土門拳の「古寺巡礼」。
正直これを土門拳が撮る意味がよくわからないし、パネルみたいな展示でプリントとしての良さもよくわからなかった。。。
5月14日までやってるので深瀬とセットでよかったら。。。


あざみ野フォト・アニュアル2023 潮田登久子 写真展 永遠のレッスン @ 横浜市民ギャラリーあざみ野 (会期終了)
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ちょっと前だけどあざみ野へ。
ここは毎年写真の面白そうな企画がやってて気になってはいたんだけど、わざわざ行く感じなので(他に用事ない)中々足が動かなかったんだけど、地点観に横浜行くついでにってことで無理矢理行ってきました。KAATまでも1時間ぐらいかかるからついでにもなってないけど。。。
今回の潮田登久子さんは、何となく知ってたけどそこまでは知らなくて、最近でた「マイハズバンド」って写真集と、この展覧会タイトルの「永遠のレッスン」って言葉が気になって。
まず会場入るとすぐに目に入るのがでっかい冷蔵庫の写真。
そして左の壁にびっしり並んだこれまた冷蔵庫の作品群。
この冷蔵庫のシリーズは流石に以前も見たことあるけど、ここまでまとめて見ると圧巻。
各家庭で冷蔵庫が置かれてる状況と開いて中身が見えてるところを撮ってるんだけど、案外閉まってる状態の方が面白いというか、どの冷蔵庫も家の中で所在なさげに佇んでる姿がおかしかった。
ずらっと並んでる様はベッヒャーのようでもあり、凄まじいインパクト。
あとは旧みすず書房の建物を解体まで撮ったスライドとか、古い本を撮った写真とかが展開されてるんだけど、イマイチどういう流れなのか掴みにくいのが正直なところでした。
奥の大部屋に展示されてた「マイ・ハズバンド」は、そのタイトルと内容からは想像のつかない醒めた視線を感じてドキっとしました。静物画を見てるような感覚にすらなりました。
同じ近親者を撮った写真でも上述の深瀬のヌメッとした感じとは真逆の世界観。
その夫である島尾伸三さんの撮った「まほちゃん」も会場に置いててパラパラと拝見したけど、こちらは没入型の写真で、同じものを撮っていても夫婦でここまでも違うのか、と面白かったです。
後に聞いた話だと、夫の島尾伸三さんって「死の棘」を書いた島尾敏雄の息子で、かなりの放蕩ぶりだったらしい。
潮田さんの写真の醒めた感じってそれが顕れてたのかと思うとゾッとします。
それにしても、旧尾崎行雄邸に住んでたなんてビックリしました。羨ましすぎる。。。
ここは豪徳寺にあるお家で、いつか中見たいんですよね。
解体の危機にあったのを何とか止めて今は非公開。
まさか2階を貸してた時代があったのを今回初めて知りました。

2階の展示室では、「写真をめぐる距離」と題した展示があって、写真の発明から今に至るまでの資料がずらっと並んでてマニアック過ぎた。。。
横浜って、初期から「横浜写真」なんてのもあったし、横浜美術館は日本の美術館としては最初の方に写真部門を設けた美術館だし、何かと写真と関係してるんですよね。改めて感心しました。


池野詩織写真展 ぬかるみの記憶 @ スタジオ35分 (会期終了)
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上の年長者たちの写真とは打って変わって若さのある爽やかな写真たちで癒されました笑
彼女の祖父母の住んでいた佐渡島の写真群で、以前同ギャラリーで開催されてた佐伯慎亮 「AWAJIMAN」を思い出しました。
島を撮ると人は開放的になるのかしら。
変なノスタルジアもなくて、いい意味でサラッと見られる写真群でした。
バーの方で出されるトビウオの水餃子と酒も美味しかった!!


ヴォルフガング・ティルマンス「Moments of life」@ エスパス ルイ・ヴィトン東京 (-6/11)
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昨年のMoMAでの大規模な回顧展が記憶に新しいティルマンスの久々の日本での個展。
とはいえこれはルイ・ヴィトン財団のコレクションの一部なのでどこまで本人が関わってるかは疑問。
実際行ってみると、最上階の羨望は全て閉じられて、空間の真ん中に新たに壁が立てられていて、そこに大小のプリントが並んでて、正直肩透かし。。。
実際窓際の写真も多いのだから、実際の建物の窓と街を借景にした方が美しかったのでは。。。
大きなプリントは実際観てみるとかなりの迫力。
2015年の国立国際の個展時に撮ったであろうリーガロイヤル大阪の部屋での写真なんかもあったり。
アメリカの回顧展観てみたい。。。
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・2023.12.02-2024.02.04
「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造、阿部展也、大辻清司、牛腸茂雄 @ 渋谷区立松濤美術館

・2023.11.24-2024.03.31
「オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」 @ 麻布台ヒルズギャラリー

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梅田哲也展 wait this is my favorite part 待ってここ好きなとこなんだ @ ワタリウム美術館

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第14回上海ビエンナーレ @ 上海当代芸術博物館

・2023.12.17-2024.01.27
味/処 @ 神奈川県民ホールギャラリー

・2024.01.11-03.10
フランク・ロイド・ライト世界を結ぶ建築 @ パナソニック汐留美術館

・2023.12.16-2024.02.18
久門剛史「Dear Future Person, 」 @ @KCUA

・2024.01.12-02.25
牡丹靖佳展 月にのぼり、地にもぐる @ 市立伊丹ミュージアム

・2024.02.06-04.07
中平卓馬 火―氾濫 @ 東京国立近代美術館

・2024.01.18-03.24
能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)――複数種の網目としての建築 @ ギャラリー間

・2024.02.23-04.14
生誕120年 安井仲治 僕の大切な写真 @ 東京ステーションギャラリー

・2024.02.14-05.27
「マティス 自由なフォルム」@ 国立新美術館

・2024.03.06-06.03
遠距離現在 Universal / Remote @ 国立新美術館

・2024.03.09-06.30
カール・アンドレ 彫刻と詩、その間 @ DIC川村記念美術館

・2024.03.12-05.12
ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?——国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ @ 国立西洋美術館

・2024.03.15-06.09
横浜トリエンナーレ2023 @ 横浜美術館ほか

・2024.03.30-07.07
ブランクーシ 本質を象る @ アーティゾン美術館

・2024.04.06-07.07
ホー・ツーニェン エージェントのA @ 東京都現代美術館

・2024.04.24-09.01
シアスター・ゲイツ展 @ 森美術館

・2024.04.27-08.29
デ・キリコ展 @ 東京都美術館

・2024.05.23-08.04
魚谷繁礼展 @ ギャラリー間

・2024.09.04-11.24
大西麻貴+百田有希 / o+h展 @ ギャラリー間

・2024.09.14-12.01
塩田千春 つながる私(アイ) @ 大阪中之島美術館

・2024.09.25-2025.01.19
ルイーズ・ブルジョワ展 @ 森美術館

・2024.11.02-2025.02.09
ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子 ―ピュシスについて @ アーティゾン美術館

・2024.11.23-2025.01.26
「再開館記念―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」展(仮称) @ 三菱一号館美術館

・2025.09.13-11.30
あいち2025 @愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなか

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