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光ー呼吸 時をすくう5人 @ 原美術館

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原美術館最後の展覧会へ。
展覧会自体は来年1月までなので、もう少ししてから行ってもよかったのだけど、最後の方になるとまじで予約取れなさそうなので早め早めに。
結構な人がもう閉館してると思ってるみたい。。。来年だよ!
発表が2年ほど前で、発表してすぐは本当に激混みだった。。。現金すぎ。
そしてその際に展示されていたリー・キットが今回も初っ端に展示されています。
その展示室から上を見上げると河原温の作品がかけられてるのが見えるんだけど、2階に上がる階段の踊り場から出られるはずのそこはSTAFF ONLYとなってて入れない空間だった。
その日付は1984年だったんだけど、もしかしたらこの美術館が開館した日にちなのかもなぁ、と思って帰って調べたら1979年の12月で違ってた。。。何だったんだ。。。

今回は他に今井智己、城戸保、佐藤時啓、佐藤雅晴。
特に佐藤雅春の「東京尾行」が観られたのは最高だった。
どの映像も美しくて、いつまでも見ていられる。
特に食べ物の描写がめちゃくちゃ面白い。
食べ物が口に運ばれていく様がアニメーションになるとこんななんだ!って発見がしばしば。
そして「DOMANI2020」では鳴っていなかったピアノが奏でるドビュッシーの「月の光」。
美術館への賛辞のようでもあり物凄くエモい。
佐藤時啓は全くの新作で、原美術館とアークに文字通り光を当てた作品。
今井智己の春夏秋冬の原美術館を映した映像では色々思い出して泣きそうに。
特に雪の原美術館は、雪の中オラファー展に行った時のことを。
凸レンズに映った下から上に降る雪が今でも忘れられません。
本当にたくさんの思い出のある原美術館。
なくなってしまうなんて本当に悲しい。。。
こんなに美しい美術館中々ありません。
せめて建物だけでも保存してほしい。。。
40年間お疲れ様。ありがとうございました。
展覧会は来年1月11日まで。皆さん最後の原美術館を焼き付けて来てください。こちら



これまで原美術館で観て来た展示の記事。
全部じゃないけど、たくさんの思い出。。。。

森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020―さまよえるニッポンの私 @ 原美術館
「ソフィ カル ─ 限局性激痛」 @ 原美術館
加藤泉 -LIKE A ROLLING SNOWBALL @ 原美術館
リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」 @ 原美術館
楊福東「将軍的微笑」@原美術館
ジム・ランビー UNKNOWN PLEASURES @ 原美術館
米田知子「終わりは始まり」@原美術館
ピピロッティ・リスト「からから」@原美術館
束芋「ヨロヨロン」@原美術館

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森栄喜「シボレス | 鼓動に合わせて目を瞬く」@ KEN NAKAHASHI

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KEN NAKAHASHIにて前回に続いてなんと連続個展の森栄喜さん。

森栄喜「シボレス|破れたカーディガンの穴から海原を覗く」@ KEN NAKAHASHI

今回の作品は、緊急事態宣言下の東京で、人のいなくなった街を背景に撮影した映像作品。
前回の個展中にできるだけ早く見せようということで急遽連続個展という形になったそうです。

前回は「声」がテーマで、いくつかの詩のような言葉を日本語を母語としない人たちが読み上げるサウンドインスタレーションでしたが、今回はその言葉をジェスチャーで表した影が作品となりました。
ギャラリーには前回にも使われた15のセンテンスの紙が置いてあり、それに沿って見たりしてました。

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ジェスチャー一つ一つは愛らしい仕草が多いのだけれど、どうしても拭えない不気味さが見れば見るほど蓄積していきます。
それはエコーのかかった音のせいかもしれないし、これが異常事態時に撮られたという背景に起因しているのかもしれないけれど、最大の要因はやはり見ているものが実体ではなく影であるということだと思います。
そして、見ていくうちに、果たしてこれは誰の視点なのかというのも気になってくる。
さらに、この映像を撮られているのが、ほとんどが黄昏時であるということもあるかもしれない。
黄昏は「誰そ彼」から来ているというけれど、まさにその影が一体誰であるのか、という問題。
この逢魔時の、此の世の者でも彼の世の者でもないようなその影を、外の蝉時雨を聴きながら一人で対峙する体験は、とても不思議な感覚を覚えました。

ところで、冒頭の画像なんですが、このギャラリーで3月に流されていた昨年急逝された佐藤雅晴さんの映像作品「Calling」を突然思い出してしまいました。
この映像だけ、なんだかとてつもなくアニメーションに見えてしまったんです。
だから何、というわけではないんですが、こういう作品のリンクって、見つけるととても嬉しくなってしまうんですよね。
被ってるとかでは決してなくて、繋がってるんだなぁ、という感慨が込み上げて泣きそうになりました。
森さんももちろん意識してないだろうけれど、こういう偶然ってあるんだなぁ、と。

連続で森さんの新作「シボレス」を拝見して、改めてすごい作家だなぁと感じました。


ところで、9/13までNADiff Galleryでは前回のサウンドインスタレーションが新たな形で展開しています。
拡声器からの声は前回と同様なんですが、これに今回映像も付いています。
映像は、「Letter to My Son」でも見た映像もちらほらあるのですが、個人的には拡声器のみでもよかったんじゃないかと思いました。
天井に開いた穴に取り付けられた拡声器はまるで昔からそこに取り付けられていたような存在感。
どうやら以前Chim↑Pom展の時に開けられた穴だそうです。
地下ということもあり、まるで墳墓にいるような感覚に陥りました。
反響する声の様子も心地よくて、しばらくぼーっとしてしまいました。
こちらは予約いりませんが、僕が行った時は一人ずつ入るようになってたので、来訪時は時間に余裕を持って行ってください。こちら

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前回のKEN NAKAHASHIでのサウンドを収録したCDが売っていたので買いました。
ギャラリーの外からの環境音も取り入れた作品で、聴きながら当時の空気を感じられます。最高。
immeasurableというレーベルから出されたアートピースのように美しいCD+BOOK。
デザインは昨年のカミーユ・アンロ展のカタログも手がけたedition.nord。さすが。
限定盤ですがNADiffのオンラインストアでも買えるのでぜひ。こちら

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長らくお休みしてたのもあって、ここ1ヶ月で大量に見ました。
が、特に言葉にしたい展示が此れと言ってなかったので備忘録的に羅列。

遠藤麻衣x百瀬文「新水晶宮」@ TALION GALLERY
みえないものをみる 」@ MA2 Gallery
「OKETA COLLECTON: A NEW DECADE」@ スパイラル
鈴木のぞみ「Light of Other Days ー土星の環」@ void+
Richard Serra: Drawings @ Fergus McCaffrey
青木陵子+伊藤存 変化する自由分子のWORKSHOP展 @ ワタリウム美術館
「古典×現代2020―時空を超える日本のアート」@ 国立新美術館
横溝静「あの日」@ WAKO WORKS OF ART
津田道子「トリローグ」@ TARO NASU
桑原正彦「heavenly peach」@ 小山登美夫ギャラリー
竹内公太「Body is not Antibody」@ SNOW Contemporary
高松次郎 / デイヴィッド・シュリグリー 「レンガと脚立とネオン」@ Yumiko Chiba Associates
「New Photographic Objects 写真と映像の物質性」 @ 埼玉県立近代美術館
駒井哲郎 銅版画展@ スタジオ35分
早川祐太「Shape for Shape」@ Art Center Ongoing
「トモトシ Archive 2016-2020」@ トモ都市美術館
メルセデス・ベンツ アート・スコープ2018-2020 @ 原美術館
ミヤギフトシ / Kiosk 砂と煙草 @ Utrecht
ヒストポリス - 絶滅と再生 - @ GYRE GALLERY
彼女たちは歌う @ 東京藝術大学 美術館陳列館
あしたのひかり日本の新進作家 vol.17 @ 東京都写真美術館
エキソニモ UN-DEAD-LINK @ 東京都写真美術館
文明と野蛮のアーカイヴ @ スクールデレック芸術社会学研究所

ヨコハマトリエンナーレ2020 @ 横浜美術館、プロット48

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今年個人的に最注目の展覧会が横浜トリエンナーレでした。
僕は第2回3回4回と観てきましたが、5回目以降は観てません。
それは、はっきり言ってしまうと面白くなかったから、です。
2001年に始まったこのトリエンナーレももう7回。いつの間にか20年近くの歴史が。。。
この間に磯崎新のディレクター降板で開催が1年ずれたり(第2回)、当初の主催だった国際交流基金が降りて横浜市が主催するようになったり(第4回)、よくもまあ続けられてるな、という状態。
横浜市が主催するようになって多少安定してますが、前回の「島と星座とガラパゴス」とか平松愛理かよ!という謎のタイトルで観に行く気も起きず。。。
そもそも国際展のくせにディレクターが毎回日本人とか終わってた。。。
そんな横トリ。もう行くことはないだろうと思ってたのに、今年のディレクターの発表は衝撃でした。
日本人どころか欧米ですらない、いきなりのインドのコレクティブ、ラクス・メディア・コレクティブ!
これは、何か変わるかもしれない。。。
と、思ってたらやはりこれまでのトリエンナーレのあり方を抜本的に変えるような方法を提示していて、絶対に観に行かねば!となりました。

さて、具体的に何が違うのか。
まず彼らがしたのはテーマではなくソースという考え方の提示でした。
そもそも大型の国際展においてテーマを一つに絞るということ自体無茶だったのかも、と目から鱗。
彼らが示したソースというのは5つ。

独学:人の教えられるのではなく、自ら学ぶこと
発光:学んで光を外に放つこと
友情:光の中で友情を育むこと
ケア:互いをいつくしむこと
毒:世界に否応なく存在する毒と共生すること

これらを含む作品を集めたのが今回の横トリ2020です。

そして、さらにエピソードという考え方。
これは、トリエンナーレが3年に1回のみ開催されるという考え方を変えて、ゆるく次のトリエンナーレまでつなぐものが「エピソード」です。
単発のイベントみたいなものですが、これを横浜だけではなく、香港やニューデリー、ヨハネスブルグといった諸都市を回るという壮大なプランで、これを聞いた時はちょっと何言ってるかわからない汗、という感じでしたが、時間も空間も凌駕するトリエンナーレの新しいあり方。
これは今回のコロナ禍で実現できてませんが、一部はオンラインでの作品発表も展覧会前からやっていていくつか観ることができます。こちら
今後の動きにも注目です。

ちなみにこの11月からスタート予定の上海ビエンナーレも変わっていて、なんと期間が8ヶ月もあって、期間を3つに区切ってサミット、オンラインプログラム、リアルな展覧会という形になるそう。こちら
これからの展覧会のあり方、色々面白そうです。

さて横トリ。
ご存知この準備段階で世界はパンデミックに見舞われました。
開催が危ぶまれる中、それでもバトンをつなぎ実現に漕ぎ着けたのが今回の横トリです。
世界的に見てもコロナ禍の中、最も早い開催に漕ぎ着けた国際展かもしれません。
ディレクターも作家も来日できない中で、インターネットを駆使しながら搬入するというやり方は、まさにニューノーマル。
これを見届けるためだけでも観る価値は十分ある展覧会でしょう。
そしてソースの中に「毒」というワードがあるのがすごい。
ということで炎天下の中予約して行って参りました。


まず横浜美術館へ。
最初、あれ美術館どこ?となりました。。。
これはイヴァナ・フランケの作品でネットで美術館を隠してます。攻めてるなぁ。。。

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中に入るとニック・ケイブによる、アメリカの庭によくある飾りがアトリウムに。映えます。
中には銃などの「毒」が含まれ、光に反射して「発光」している。

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同じくアトリウムには青野文昭の作品。
東日本大震災で出た瓦礫で作られた彫刻。悲惨な記憶を「ケア」するように繋いでいく。

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2階へ上がるとまずジェイムス・ナスミスの月のドローイング。
実はこれ1874年に描かれたもので、そもそも彼はアーティストではなく技術者であり、天文を「独学」で学びまだ月に人が渡る100年近く前に月を夢想しながら描いたもの。
これからスタートする時点でこの展覧会間違いなさそう。

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そこから新井卓の千人針をテーマにしたインスタレーションと、竹村京の修復をテーマにした作品群に進むんだけど、ここであることに気づきます。
この二人の作品には蚕という同じモチーフが登場するんです。
その後他の人の展示見ていても、何やらテーマやモチーフが重なっている作品がいくつか登場することに気づきます。
例えば原発をテーマにした作品(ローザ・バルバ、キム・チャンキョン)や、家族がテーマの作品(岩間朝子、飯山由紀、レイヤン・タベット、川久保ジョイ)といった具合に。
これは単に「被ってる」というネガティヴなことではなくて、むしろ「繋がり」みたいなものを感じて、僕はかなり好意的な感覚を抱きながら観ていました。
僕は作家を「孤高のオリジナルな存在」に仕立て上げてしまうのは暴力だと思っていて、個々の人間でありながら、時間や空間を超えて繋がる感覚の方が魅力的だな、と思います。
そのことが今回の展覧会で意図的なのかはわからないけれど垣間見れたのは個人的に幸せでした。

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あと先日金沢で見た「de-sport」みたいな運動をテーマにしたものもあって(ニルバー・ギュレシ、タウス・マハチェヴァ)、東京オリンピックも意識されてたのかしら。。。
特にタウスの作品は、あの謎の丸い天井高のある空間をうまく使いこなしてて好きでした。
歪んだ体操器具と、選手に向けられるような叱咤からの喧嘩言葉が響く様がいい感じ。

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エヴァ・ファブレガスの腸の彫刻はすっかり休憩所になってた笑

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そして最後に佐藤雅晴さんの「死神先生」。
とても美しい展示なんだけど、隣のアリア・ファリドの映像がうるさくて、ちょっと雰囲気が。。。

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この時点で結構へとへとですが、くじけず別会場プロット48へ。
ここは元々アンパンマンミュージアムだったそうで、廃墟感すごかった笑
そして展示されてる作品も美術館より濃くてぐったりしました。。。
ちなみにこっちは予約なしでも入れるみたいです。

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特に2階のエレナ・ノックスがヤバすぎる。。。
エビの生植をテーマにした作品でカオスすぎた。。。

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こっちの会場は性的なものが多い印象ですね。
ラス・リグタスやジェン・ボーなど。
ボーのシダ植物とセックスする映像は美しかったなぁ。

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後、行くなら飯川雄大の作品を予約しましょう。
要予約の作品は美術館に2つとこの作品の3つなんだけど、僕はこれだけ予約しました。
内容全然知らずに行ったらまさかの展開でめっちゃ楽しかった。。。内容言えませんが是非。。。
予約はこちらから。

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とまあ、こんな感じ。
2会場で4時間半ぐらいかな。
とは言え映像は飛ばし飛ばしで観てこれ。というか全部観るのは不可能。中には200分超えのやつとかあってどうせいというんじゃい。。。しかもチケットは2会場セットで1日しか使えないという鬼っぷり。。。
とまあ観るのは本当にヘトヘトに疲れますが、観て損はないです。
よくぞパンデミックの最中にここまでの規模の展覧会を届けてくれたという感謝が大きい。

今後のエピソードの展開にも期待だし、横浜美術館は4月から館長に元東京近美の蔵屋美香さんを迎えてるので美術館自体の展開も楽しみ。
カタログ、発売されてなくて、予約しようと思ったら発売すら未定だった。。。
出されるんだろうけど、早く欲しい。。。
トリエンナーレは10月11日まで。こちら
詳しい解説はこちらの動画も観るといい予習になります。



<追記(2020.08.19)>
先日友人に、「横トリどの作品が良かった?」と聞かれたんですが、パッと答えられませんでした。
あれ、色々印象に残ってるんだけどなぁ、と思ってたんですが、このインタビュー読んで腑に落ちました。

コムアイ×ドミニク・チェン ヨコトリで考える孤立と共生の感覚

特にこの辺り。

コムアイ:たくさんの人の考えが集合体としてあって、見た目も揺らいでいて、それに触れるとふわっと入っていけそうな感じ。人にプレッシャーをかけたり、覇気で強度を保っている作品がなかったのがすごく未来的で嬉しかった。

ドミニク:たしかに「覇気で人を捕らえない」という感じがとても良かったですね。

コムアイ:その態度はみんなに共通してました。それで一体感があったのかも。

木村:たしかに、今回のアーティスティック・ディレクターである「ラクス・メディア・コレクティヴ」が展示を作っていく過程でたびたび重視したのは「何かを支配するような作品にならない」ことでした。作品である以上、強度や存在感は強くなってしまっても、それがある空間や状況を完全に占有して支配するようなプレゼンスは持ってほしくない、と言っていました。
別の作家と作品が隣り合っていることや、展示としての連続性を作家自身も意識を持ってほしいと。だから当初の作品プランが一人変わると、そのつど関連しあう作家たちにそのことを丁寧に伝えなければいけなかったので、キュレーションとしてはちょっと大変でしたけど(笑)。


悪く言えば「強い」作品がないということなんだけれど、それって本当に素晴らしいな、と。
僕は以前からグループ展で一つの作品の印象が強くなる展覧会は失敗だと思っています。
その点この展覧会は、かなり満点に近いのかもしれません。
展覧会の総体としてある共生の在り方。
実際展示室には壁もなく作品が並置されてて、結構戸惑う部分もあるのだけれど、敢えて分けない。
テーマも一つではないので、キュレーションの強制力も緩い。
これは中々理想的な在り方だと思います。
色々難点はあるにせよ、とてもいいトリエンナーレだったと思います。
追記以上。


さて、この後ヘトヘトの状態でさらに日産アートアワードを観に日産パビリオンへ。
こちらは2013年の初回時と2015年の第2回のBankARTでやってた時に行った記憶がありますが、前回の2017年は行ってなくて、前回からトリエンナーレに合わせて3年に1回の開催になったそう。
そして今回から会場がBankARTから日産パビリオンへ。
日産パビリオンとは?と思っていたら超未来型施設みたいな感じでびっくり。。。
日産の車の魅力を5感で感じるみたいな施設で隅の方でアワード展がやってました笑
ファイナリストは潘逸舟、風間サチコ、三原聡一郎、土屋信子、和田永の5人。
この中からグランプリが決まるそう。発表は8/26でオンラインでライブ配信されるとか。こちら
観た感じ風間さんか和田さんだなぁという印象。
風間さんのディスリンピック、本当にヤバすぎる作品。
2年前に完成された作品ですが、このオリンピックの状況を予期していたかのような内容。
優生思想やナチズムなど、ここまでdisるかねという笑
後、日産の車が登場する絵なんかも、これここで発表しちゃうんだという過激さ。。。
これでグランプリとったら日産の器がデカすぎるかも。
和田さんの作品は古い電化製品で楽器を作るというものなんだけど、それをインストラクションをつけて世界中のいろんな国の人に作ってもらって演奏してもらうという作品で、このコロナの影響で一つ届いてないものもあったり、奇しくも「移動」というものを感じさせる作品になってたりしました。
個人的には土屋さんのぶっ飛んだ世界も好きすぎるんだけどないだろうなぁ笑
各人のインタビュー動画が見られますが土屋さんがマジでぶっ飛んでる。。。こちら
ちなみにこの展示は9/22までで横トリよりかは会期短いのでセットで観たい方はお気をつけください。

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横トリと日産アートアワードがコラボでやったdommuneも長いけど面白かったので貼っておきます。


内藤礼 うつしあう創造 @ 金沢21世紀美術館

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勝手にGoToキャンペーンラストは金沢!

内藤礼x金沢21世紀美術館!
これは見ないわけにはいかない!
この展示はコロナとは関係なく、当初から日時予約制を導入していました。
内藤さんなので然もありなんという感じなんですが、これが今後のニューノーマルになると思うと、当初から一人しか入れない等のスタイルを築いていた内藤礼はやっぱりすごい。
そして4月1日に予約スタートで早速5月に予約したんだけど、緊急事態宣言により開幕が延期。
そもそも4月の時点で5月に金沢行けると思ってた自分ってどんだけ能天気だったんだろう。。。
もうあの当時の感覚が思い出せない。。。
そして緊急事態宣言明けから1ヶ月ようやく開幕。
しかし何と最終日が変わってなかった!!
元々長い会期だったとはいえ延長しないとは。。。
改めてチケット予約をして無事確保。念願の金沢へ!

さて、この展覧会。もうね、最高でした。。。
正直近年の内藤さんの展覧会って思ったほど感動できなかったんですよね。。。
庭園美術館も水戸美術館も、何だかしっくりこなかった。
なので、今回もどうかなぁと思いつつだったんですが、これまで見た内藤礼展で一番だわ。。。

まず今回展覧会タイトルが素晴らしくて、まず内藤さんから「創造」という言葉が出るなんてという驚き。
これまで内藤さんの作品からは「制作」や「創造」という言葉から程遠いところにありました。
先日金沢に初めて内藤さんの作品を観に行くというお客様に「内藤さんの魅力って何ですか?」と聞かれたんです。
壮絶に難しい質問なんですが、あえて答えるなら、「自己表現から遠いところ」だと思います。
彼女の作品からは、そういう自我が全く感じられず、現象的に物事がただ在る。
それなのに、圧倒的にそれは内藤礼にしか実現できない世界なんです。矛盾が過ぎる!
このことを説明することほど骨の折れる作業はないですが、まあとりあえず豊島美術館に行けば全て解決すると思います笑
でもまあ、今回は美術館個展なので、とにかく作品との出会いを大切にして、無理に見つけようとしないでいいというアドバイスだけしました。
そしたら実際その通りで、この展覧会ほど「作品にお手を触れないでください」が難しい展示はないと思いますw
だって見えないんだもの!!
もうスタッフの方達から放たれるこの言葉がパワーワードすぎて、もはやネタw
中には絶対見えない作品もあります。

もう最初の部屋からそうで、むしろ一番作品の見える難度の高い部屋。
まずは窓越しに見るんですが、何のこっちゃ。
ここでこの展覧会がただ事ではないことを悟りました。
次の部屋からも衝立越しに観られるんですが、もう目がおかしくなりそう笑
当初、出品目録なしで、出会えるものだけにしておこうと思ったんですが、実際目録見たら想像を遥かに超える作品数で、これはさすがにマズイと思い、照らし合わせてましたが、大概徒労に終わりました。。。
落ちる水滴、垂れ下がる糸、鏡、、、全てが幽けき存在すぎてすごい。
この大空間の使い方として、これほど贅沢でこれほど有効な使い方。。。最高かよ。

次の部屋では垂れ下がる風船や、ガラス、紙、電気コンロで揺れる糸などで構成されており、次の部屋に移ると、ほぼシンメトリーにそれらが配置されてて、部屋の間に立つとめちゃくちゃ気持ちいいです。
このあたりからタイトルの「うつし」という言葉が沁みてきます。
「うつし」には「写し」「移し」「映し」等の言葉が含まれますが、何と言ってもこれは「現し」なんだろうなぁと思いました。
この把握しきれないもの全てが「現し」、つまり「現実」。
この不安定な世界を僕らは生きているんです。
この会場にある全ての要素が愛おしくて仕方ない。。。
人型の小さなオブジェ、見えないほど薄い色彩の紙、風にたゆたうリボン、水を湛えた瓶、無数のビーズ、、、。
言葉にすると平々凡々なものたちが、あの会場では全て慈しむべきものとなっていました。

ところで僕が行ったのは2時半からの回で、ほとんど自然光で見るのは水戸と同じなだけれど、途中であちこちに電球があることに気づき、目録見てたら「太陽」というタイトルが付いている。
これは、もしや、夜になったら灯るのでは。。。!!
やられた。。。これはもう夜も来なきゃならないパターンやないか。
しかもこれ鬼なのが再入場不可なんです。
夜間開館は金土のみで、この日は土曜日。
さすがに展示室に夕暮れまでいるには長すぎて(夏だし)、一回出て当日の最後の回を購入。。。
そもそも展覧会自体2000円と高いのに2倍の4000円。。。でもやむなし。恐るべし。

そして夜になって再訪。
ここではまったく別の「現し」となって目の前に現れました。
これは夜も来て大正解。
今から行く人、必ず金土の夜間開館時も行ってください。
全てがさらに見えなくなり、そうなればなるほど空間の質が濃くなる不思議。
こんな見えないものに4000円も払うなんて馬鹿げてるんだけど、どう考えても最高なんです。
脳科学者の茂木健一郎との対談で内藤さんが語る言葉が腑に落ちます。

「人には認知できない、もっと大きなものや違うものがそこにある。そういうもののなかにいるんだということに、私にはなぜか幸福感があるんです。」

人には限界があって、それでいい。
それは暴力的なほどに全肯定の世界。
このコロナ禍で無力感を抱いてる人も多いかもしれませんが、改めて人間が無力であることを教えてくれたのが今回のことで、これを厄災ととるかチャンスととるかは人次第です。
僕はどちらかというと楽観的な人間なので、今回のことは「人間性回復のチャンス」と捉えてますが、この展覧会に身を置いていると改めてそう思えます。
限界を知ることは決してネガティブなことではなく、そこから道が開けることもあります。
この展覧会、今まさに見てもらいたい展覧会です。8月23日まで。こちら

ところで今回のカタログ、なんと5800(税別)もするんですよ。。。
欲しいけどちょっと高いなぁと思ってたら15000(税別)の特装版は売り切れとか!
美術館にサンプル置いてたけど、中身が白紙で、実はあれ全て「color beginning」シリーズとかだったら買ってたけど。。。
あの展示風景を畠山さんがどう撮るのかも気になるけど、出たらどこかで立ち読みしよ。


同時開催で、スポーツをテーマにした展覧会「de-sport」が開催中です。こちら
これ、確実にオリンピックに合わせてたんだろうけど、残念ながら延期。
展示内容は明らかにアンチオリンピックで攻めすぎ笑
どこぞのスター展とは大違いですな。。。
初っ端から柳井信乃のナチスをテーマにした聖歌をめぐる映像。
他にも社会主義の銅像を持ち上げるクリスチャン・ヤンコフスキーの映像や、アローラ&カルサディーラの戦車を逆さにしてランニングマシーンにしてる作品など、明らかにスポーツの裏側に隠されている政治性を皮肉ってる作品とか、攻めてるわぁ。。。
白眉は西京人のゆるすぎるオリンピック!
フェンシングよろしくでかい筆持って相手をくすぐり合う競技とか面白すぎ笑
この展覧会は内藤礼展より少し長い9/27までやってます。


ところで、金沢も本当に人がいなかった。
ここまで人のいない21美は初めて。。。
タレルの部屋も独占だし、エルリッヒのプールなんて下に入れないからただのプールだし笑

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そのエルリッヒの新作が見られる施設がつい最近できました。
21美からすぐの場所にできた「KAMU」です。
なんと建てたのは若干32歳のコレクター。
しかもこの10年内にあと10個は施設を建てるという野心。。。すごい。。。
9月にはもう一館できると聞いてますが、やー、どうなってるのか。。。
アートが集う“磁場”をつくる。/私設美術館「KAMU kanazawa」館長・林田堅太郎さん
試みとしても面白いんだけど、実際行ってみて正直中身がなぁ、という感じでした。
エルリッヒの作品は相変わらずトリックアートだし。
今後どういう展開になっていくのか、期待してます。
一応やっておきましたw

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内藤礼展に行くならず是非行って欲しいのが石川県立美術館で開催中の「鴨居玲展」です!
鴨居玲の作品をここまで網羅して見られる機会って中々ありません。
実際今年は鴨居玲没後35年らしく、5年おきにやってる回顧展だそう。
初期から絶筆まで、本当に壮絶な絵画人生でした。
なんでここまで暗いんだろう笑
日本のベーコンと言っていいぐらいのダークな絵画群。
ベーコンが荒々しいタッチで人間の負を描いてるとしたら、鴨居は静謐なタッチで暗部を描く画家。
どこまでも自分の絵に満足できなかったんだろうなぁ、と思うのが、初期に特徴的だった手の描写を封印して、戦争で腕を失った人を描いたり、手をポケットに入れてたり、あえて自分の得意技を封じているのが面白かった。
それほど彼の描く手は素晴らしかったし、もっと追求できたろうにと僕なんかは思います。
改めて映画になりそうなほどの絵の内容と人生。これは必見。8月31日まで。こちら
常設の方も、思いがけず久隅守景の屏風とかあってテンション上がった!
特に花鳥画。。。めっちゃ欲しい。。。ぼーっと目の前の椅子に座って眺めてました。至福。
そして、この美術館、何度も金沢来てる割に初訪問なんだけど、前からここのスイーツを食べたかった!
いつもなら並ぶそうですが、ほぼ並ばず入れた!
念願のル ミュゼ ドゥ アッシュ!超絶うまかった!ごちそうさん!

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そして近くにはこの秋開館予定の工芸館が!
金沢ポテンシャル高すぎ。。。
秋にはまた21尾でミヒャエル・ボレマンスとマーク・マンダースの二人展があるのでまた来なければ。。。

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そして今回前から気になってた山鬼文庫にも行くことができました!
中心部から少し離れるんですが、街中で自転車借りて一走り。
想像以上に最高の場所でした。。。
今二階では「美術雑誌の時代 1892-1945」展という超マニアックで超大好物な俺得な展示がやってて、案の定すごかった。。。なんでこんな場所にこんなものが。。。
こちらは9月6日まで。おすすめ!

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最後に泊まってたホテルをご紹介。
先ほどのKAMUならぬKUMUというホテルで、内装は若手建築家のYUSUKE SEKIで、グラフィックにNerholの田中義久を起用したり、何かとデザインコンシャスなオサレホテル。
THE SHARE HOTELSというグループで全国にいくつかこのオサレホテルがあり、東京だと清澄白河のLYUROや、最近オープンしたアート収蔵庫と一体化になった浅草のKAIKAなんかがあります。
「KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS」が7月15日にグランドオープン。アートストレージとホテルの融合とは?
他にも金沢にもう一軒と北海道、京都、広島にあるみたいですね。
個人的には屋上テラスがあったのがポイント高かった。青空酒場しました。

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追記:
旅の最後の最後でiPhoneを落として画面が極彩色となりご臨終しました。。。合掌。

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久門剛史「らせんの練習」@ 豊田市美術館

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勝手にGoTOキャンペーン第一弾は愛知県豊田市!
都から出たの3ヶ月ぶり、関東からは半年ぶりでした。。。

もう1年以上前の決定からずーーーっと楽しみにしてた豊田市美術館での久門剛史展。
今年三月いよいよ開幕!からのコロナ休館。がーーん。
とはいえ緊急事態宣言の出た4月初旬まではやってたので、こっそり東京抜け出して観に行ってやろうかとも思いましたが、さすがにできませんでした。。。
その後自粛が始まり、もしや観られないのではと不安で慄きながらの5月。
緊急事態宣言が明けた後、本来の閉幕日6/21から9/22に延長されました。
とはいえ最初は愛知県内の人のみで、県外からはアウト。
ここは辛抱して、この度ようやく観られることができました。
まあ、3月の状態と今とさほど状況変わってないんだけど。。。むしろ悪化してる。。。?

さて、久門くんですが、ここ数年色んなところで呼ばれています。
六甲、二条城、あいちトリエンナーレ、森美術館、、、
どこでやってもまあ見事に素晴らしい。
これって作家として当然ではあるものの、本当にすごいことだと思います。
作家だって人間なので、一個ぐらい外しても仕方ないんですよ。
なのに、どんな場所だって場所を変容させるぐらい凄まじい作品を発表する久門くん。
そんな彼がついに美術館で個展!しかもあの豊田市美術館!
これは観ない手はないんです。
まだ30代で僕と同年代なのに本当にすごい。

実は、もう待ちきれず先にカタログとか買ってたし、レビュー読んだり色々予習もしてました。
しかし、実際行ってみたらこの期待値遥かに超える内容だった。。。すご過ぎた。。。
とりあえず写真で振り返り。泣きそう。

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美しい。。。。。

豊田で観てきた展覧会で一番とったかも。。。
まあ、憎たらしいぐらいどの展示室も外してません。
最初の吹き抜け空間からやられました。
紙がランダムに落ちてくるインスタレーションで、永遠に見てられました。
その傍らには森美術館でも発表していたライトの明滅。
こういう機械系でいうと、レベッカ・ホーンとか思い出すけれど、久門くんの作品のこの優雅さは何なんだろう。
そしてめちゃくちゃ人工物なのに自然を彷彿とさせる感じ。
落ちる紙は雪のようだし、明滅するライトは蛍のよう。
その後も時計でできたミラーボールとか、螺旋を描くシャーペンの芯とか、トレスのようなライトの集積とか、風で揺れるカーテンとか、雨粒のような光とか、もう展示室進むたびにハッとさせられます。
一つ一つの展示の内容は言い出したらキリがないので中井さんのレビューが詳しいです。

光の無限軌道を描く──「久門剛史 ─ らせんの練習」

久門作品は動きもそうだけど、音もかっこいいんですよね。
特にカーテンの部屋は総合インスタレーションで筆舌に尽くし難い格好よさがあります。
あと、久門作品の格好いいのは配線。
機械系の作品の場合、配線を隠す場合が多いんだけど、久門作品では堂々と見せてます。
その配線の様も本当に格好良くて、このセンスはえぐい。
そして、この展覧会は、タイトルの通り、展示室を何周もできる構造になってます。
展覧会の始点と終点が最終的に交わるのです。
僕は、ちょっと初見の感動を大事にしたかったので、一度だけにしました。キモいね。
この展覧会、絶対行った方がいいと思います。
行けない人はカタログ買うべし。このカタログめちゃくちゃ凝ってて愛しかない。

愛といえば、今回のコレクション展。
途中で気づいて泣きそうになったんだけど、2つ開催されてるコレクションのテーマが「光」と「電気」。
「光」は良くあるけど「電気」?となってうわーー!!ってなりました。
そう、完全に久門展に合わせたテーマだったんです。
この若い作家の美術館初個展を美術館側が全力でサポートしてる感じがあって愛しかないよ。。。
しかも「光」のコレクション展には、久門くんの師である野村仁のコレクションを中心にしてます。
他にもメルツにクネーベル、村岡三郎に奈良美智とか豪華すぎる。
開館25周年を記念してのコレクション展というのもあるんだけど、美術館のポテンシャルすごい。
この「光について/光をともして」と題されたコレクション展には冊子が配られていて、この冊子も色んな人のインタビューが載ってたりして、コレクション展の冊子とは思えないぐらい凝ってます。
作家やギャラリストのインタビューはよくあるけれど、修復士やコレクター、そして美術館に働くスタッフやボランティアのインタビューなんかも載っててめちゃくちゃ面白いです。

今回のコロナ禍で、我々の社会システムの脆弱さを思い知らされました。
その中の美術館の休館で、今後の美術館のあり方というものの問い直しがなされたと思います。
中でもブロックバスターと呼ばれる大人数の観客を無理やり詰め込む新聞社主導型の展覧会は困難になるでしょう。
また、作品の貸し借りも難しくなっていくと思います。
そんな中、偶然とはいえ、この豊田市美術館で現在開催中の久門展とコレクション展は今後の美術館のあり方を考える上でとても示唆に富んでいたように思えます。
企画展は現存作家で、コレクションでも企画展レベルの内容を作ること。
現存作家だとフレキシブルに対応できるし、何と言っても美術館にはコレクションがあるので、これまで企画展中心にやってきたやり方を、既に持ってるものをいかに魅力的に見せるかという方向に変えるしかないと思います。
これまでも広島現美や国立国際、東京近美などはそれを積極的にやってきていました。
今後はそれをもっと大胆にキュレーションしていくべきなのでしょう。
(もちろんこのやり方は大きな美術館であればあるほど有利なので、小さな美術館は苦しいでしょうが。)
今の豊田市美術館はウィズコロナ時代の100点に近いことをやっているように思います。
電気のコレクション展も面白かった。
ペーター・ベーレンスの20世紀初頭の家電コレクションとか新鮮すぎた。
改めて、豊田市美術館大好きになりました。
ぜひ足を運んでみてください。

久門剛史展は9/22まで。ぜひ!こちら
会場だとカタログが安く買えます。
あと、会期変わってて見れなかったけど、茶室の展示もあります。


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ドレス・コード?─ 着る人たちのゲーム @ 東京オペラシティアートギャラリー

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オペラシティアートギャラリーの「ドレス・コード?」展へ。
他の美術館が6月中に続々と再開する中ここは7月に再開。現在日時予約制です。こちら
本展は京都、熊本と巡回し、最後の東京は本来4月からの予定が延期されつつ7月4日より無事オープン。
正直ファッションの展覧会ってデザイナーの天才性を謳うものやクチュール技術の凄さを魅せるものが多くてへぇ!とかほぉ!とか目福!とかで終わるものが多いのでどんなもんかと思ったらベラボーに面白かった!
それでは今までの服飾を巡る展覧会と何が違うのか。
それは入り口の展覧会タイトルが刻まれた鏡面に映った自分の姿を見ることから始まる。
そう、この展覧会は副題にもある通り、「着る人」=観客自身に問いかける展覧会なのです。

まず初っ端からすぐにミケランジェロ・ピストレットの彫刻でスタート。渋過ぎw
場所柄文化服飾学園やモード学園らしき学生が多く観に来ているけれど、彼らの多くがポカンとしてた笑
そして漫画家坂本眞一の「イノサン」や、青山悟の刺繍、映画のポスターが並ぶ。
この展覧会はアート、漫画、映画、演劇と、ファッションだけではなく、ジャンルを横断する展示でとても刺激的。
企画には4人のキュレーターが関わっていて、一つの展覧会に4人というのは中々のもの。

今回の展覧会タイトル「ドレスコード」は、本来パーティー等に課せられた服装のルールだけれど、それをさらに大きく解体して13のコードに仕立て上げている。

0. 裸で外を歩いてはいけない?
1. 高貴なふるまいをしなければならない?
2. 組織のルールを守らなければならない?
3. 働かざる者、着るべからず?
4. 生き残りをかけて闘わなければならない?
5. 見極める眼を持たなければならない?
6. 教養を身につけなければならない?
7. 服は意志をもって選ばなければならない?
8. 他人の眼を気にしなければならない?
9. 大人の言うことを聞いてはいけない?
10. 誰もがファッショナブルである?
11. ファッションは終わりのないゲームである?
12. 与えよ、さらば与えられん?

一つ一つあげればキリがないのだけれど、特に8のハンス・エイケルブームの「フォト・ノート 1992-2019」は驚愕でした。
街で道ゆく人を隠し撮りしているのだけれど、それをタイトルの通り27年間続けていて、文化人類学よろしく服装ごとに分類して並べるという作品。
もう、みんな見事に同じ格好をしていて、なんと恐ろしい光景!
よく服は自己表現とはいうけれど、結局自分で服そのものを作らない限り、既製品を組み合わせたに過ぎないのでやっぱり自己表現ではないわけです。
もうそのことが如実に表れてるのがこの写真群で、カタログの千葉雅也の言葉も辛辣w

「右翼というのも基本的にはアイデンティティが不安定で、自分はたまたま日本に生まれたという偶然性をあるマークに結晶化させることで、なんとか自分を保つということだと思います。ブランドのロゴものを着て喜んでいる人たちと日章旗を付けて喜んでいる人たちは、大差ないと僕は思います。」

また、最後の2セクションは、演劇界からマームとジプシーの藤田貴大とチェルフィッチュの岡田利規が手がけているのも素晴らしい。
いつもはワンフロアで終わることが多くて、ちょっと物足りなさの残るオペラシティギャラリーなんだけれど、この2セクションは2階にも及んでいて、めちゃくちゃ見応えてありました。
まず藤田さんの展示は、 A-Zの26人の人々の眠る時の服装、枕元に置いてるアイテム、そして朝起きて着ていく服をチョイスしながら、そのエピソードを貼っていて、とても血の通ったリアルなインスタレーションでした。
「着る」ということが、いかに生きることに繋がっているかがわかります。

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そして最後の岡田さんの展示は、とても観たかった近年彼が取り組んでいる「映像演劇」というもの。
布越しにぼんやり浮かぶ人々が、こちらに問いかけてくる様はとても不気味。

「服もらえないですか。
今着てるその服でいいです。
一枚でもいいです。
投げてよこしてくれませんか。」


不思議な余韻を残したまま展覧会は終了。
本当に見応えたっぷりな展覧会でした。
京都服飾文化研究財団の所蔵している出品された服も素晴らしかったけれど、アート界からも冒頭のピストレットにシンディ・シャーマン、森村泰昌、石内都、アンディ・ウォーホルなど、アート好きでも楽しめます。
最後の青山悟のマスクに刺繍したやつとかも最高だったなぁ。
今回建築の要素がないなぁと思ってたら会場構成がちゃっかり建築家の元木大輔だった。抜かりない。
惜しむらくはファイナル・ホームがなかったこと。この展覧会にぴったりのブランドなんだけどなぁ。
2015年に終了しているけれど、津村耕佑の掲げたコンセプトはまさに都市を生き抜く4のコード。
あと意外にマルジェラが少なかったりsacaiが出てなかったりしてたけど、まあ言い出したらキリないね。
本当に素晴らしい展覧会でした。8月30日まで!必見!詳しくはこちら
カタログもこの内容と凝ったデザインで2000円代は安い!

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同じくファッションの展覧会で写真美術館の「写真とファッション」も観に行ったけれど、ふーんで終わってしまった。。。
会期未定だけれど、国立新美術館で開催予定の「ファッション イン ジャパン 1945-2020 —流行と社会」はどうなんだろうか。
同じ写美でやってた森山大道展の出品作品の一つがうちの目の前の通りで撮られたものだった。。。

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森栄喜「シボレス|破れたカーディガンの穴から海原を覗く」@ KEN NAKAHASHI

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KEN NAKAHASHIで開催中の森栄喜展へ。
現在は予約制で、一人ずつ贅沢に鑑賞が可能です。こちら

森さんは木村伊兵衛賞も受賞した写真家として知られていますが、近年「写真家」という括りでは括れないぐらい幅広い活動をされています。
パフォーマンス、映像、小説、と様々なメディアを横断しながら一貫した世界観を築かれていて、そのどれもが全く無理なく並走している感じがあって、特に前回同ギャラリーで開催されていた「Letter to My Son」という映像には完全にやられました。。。
そんな森さんの新作個展。
今回のコロナ禍で延期になってしまいましたが、ようやく公開されました。
そしてその作品はなんとサウンドインスタレーションでした。。。!

まず展覧会タイトルを聞いた時にお!と思いました。
「シボレス(Shibboleth)」。
この言葉を知る日本人はほとんどいないと思います。
僕がこの言葉を知ったのは、2007年、テートモダンでドリス・サルセドが発表した作品がこのタイトルだったからです。
Doris Salcedo @ Tate Modern
shibbolethはヘブライ語で、その発音によってエフライム族を見分けるために用いられたものらしく、これを正しく発音できなかったエフライム族は皆殺害されたという暗い歴史があります。

今回ギャラリーには写真が3点と拡声器のようなスピーカーが1点のみのシンプルな展示。
スピーカーからは日本語のセンテンスが繰り返し流されるのだけど、そのどれもが日本語を母語としない人々による発語で、日本語ネイティブの自分にははっきりとそのことがわかってしまう。
かなり忠実に発語しているはずなのに、所々に混じる拭いきれない違和感。
ここがおかしいとか具体的に言うのは難しいのだけれど、確実にその違和感は残酷に存在している。
これらの発語を聴きながら、些細なことで取りこぼされてしまう人々のことを想う。
それと同時に、一人でソファーに座りながら、この作品に対峙できる贅沢。
この作品は、こうして静かに向き合うことでより豊穣な世界に誘われる作品。
今回あくまで偶然コロナ禍という状況で予約制という形になったのだろうけど、必然的にこうなったと言われてもなんの違和感もない。
彼らの発語を聴きながら窓の外を眺めていると、ギャラリーの前の木にカラスの巣を発見する。
カラスの巣なんて初めて見た。
ありふれたカラスだけれど、彼らにも家があり家族があることを初めて目の当たりにした。
なんだか、そのことと今回のスピーカーから流れてくるか細く自信なさげな声たちがリンクしてしまった。

実はこの作品は、映像とともに流すという案もあったらしい。
実際映像も用意されていて、中橋さんに映像も特別に見せていただきました。
その映像がまた凄まじくて、また泣きそうになったんだけど、音だけの時の印象と全く別世界に誘われた。
音だけだととても「現在」を感じさせられるんだけど、映像が伴うと圧倒的に「過去」を思わずにはいられない。
映像や写真はやはり記録メディアなのでどうしても失われた時間を思ってしまうのだろうか。
音も録音されたものなので過去のものなんだけれど、もっと現象的に感じられるというか。
8月の終わりにはnadiffでこの映像つきバージョンが展示されるらしい。
ぜひ、ふたつの会場でこの作品を堪能して欲しいと思います。
KEN NAKAHASIの展示は会期が延長されて8/2まで。こちら


ところでこのコロナ禍の中、KEN NAKAHASHIでは森栄喜さんの「Letter to My Son」を書籍化しようとクラウドファンディングをされていました。こちら
僕にとっても特別な作品で、この作品が書籍になって手元に持っていけるということを知った途端に興奮し、わずかながら僕もご支援させていただきました。
3月から開始し、見事目標額を達成し、5月に出版され、手元に届きました。
改めてページをめくりながら、何度も泣きそうになりました。
クラウドファンディングの返礼として、森さん直筆の手紙と僕の名前も入った栞が同封されていました。
本当に素晴らしい本が出来上がりました。こちら
この本の出版も含めて、出版元となったギャラリーKEN NAKAHASHIのオーナー中橋健一さんに色々お話をお聞きしました。
7/12(日)にインタビュー動画を販売開始しますのでぜひご覧ください!
A'holic onlinestore https://aholic.stores.jp

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「第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示帰国展 Cosmo-Eggs| 宇宙の卵」@ アーティゾン美術館

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正直あまり期待してなかった展示でしたが、めちゃくちゃ良かった展示。
タイトル通り昨年のヴェネツィアビエンナーレ日本館の帰国報告展。
当時もあまりピンとこなかったんですが、改めて丁寧に観ていくとめちゃくちゃいい企画やないか!と。
昨今は映えるものばかりが先行してて、こういう一見映えない展示こそ大事にしていくべきだと改めて。

この展示でもっとも興味深かったのは「共異体」という言葉です。
共同体とは違って、みんなが別の方向向いていながらも共に在るという思考。
今のコレクティブという考え方はこれに近いと思います。
特にアートやってる人って個性的な人が多いので中々一致団結できないんですよね。。。
かくいう僕もみんなで同じ方向向いてるのが本当に苦手で、学生時代とか集団行動が苦痛でした。
デモとかも賛同はできたりしてもそこに加わることに違和感を覚えたり。
なんで皆で同じ言葉を繰り返さなあかんの?とか思っちゃう。
その点Twitterのデモとかは敷居が低くて入りやすい。やっぱり体があるのとないので大きな違い。

話は逸れましたが、とにかくこの「在り方」が本当に面白かった。
今回のプロジェクトにはキュレーター(服部裕之)、美術家(下道基行)、音楽家(安野太郎)、人類学者(石倉敏明)、建築家(能作文徳)、装丁家(田中義久)が加わっていて、ほとんどヒエラルキーなく水平にそれぞれが動いていて、本当に奇跡的なコレクティブの在り方を見せてくれています。
本来ならキュレーターが音頭を取って、トップダウンで決めていくのが楽なんでしょうけど、服部さんはそうはせず、まず人を決めて、それぞれ何がしたいかを丁寧にヒアリングした上で調整する能力がめちゃくちゃ長けてるんだろうなぁと思いました。
特にヴェネツィア日本館の準備って過酷で、キュレーターが選ばれてプロジェクトを決めるのに約2ヶ月、そこから一年足らずで展示まで持っていかなくてはならなくて、今回のような各々のやりたいことを丁寧に汲み取っていきながら、調査、制作、展示まで漕ぎ着けたなんて本当にすごい。

この展示の肝でありきっかけになったのは下道さんが4年ほど撮りためていた「津波石」と呼ばれる巨石。
下道さんといえば日本が植民地時代に残した鳥居の写真が有名ですが、それと対となるような作品。
残された鳥居は戦争という人災の名残ですが、津波石は津波によって運ばれた自然災害の痕跡。
しかしどちらも時を経て在り方が変わっているのが共通しています。
今回下道さんが作品にしているのは日本の南の島々で数百数千年前に運ばれてきた津波石たち。
それらは海鳥の生息地になっていたり、聖域になっていたり、様々な道を辿っています。
岩自体はほとんど変化することのないまま在り方だけが時間を経て変わっている。
そのことを下道さんは鳥居の時のような写真ではなく映像で残していました。
興味深いことにほとんどの岩に名前が付けられているんです。
そのことを背景に人類学者である石倉敏明が神話を新たに作り上げできたのが「宇宙の卵」です。
さらに安野の自動演奏するリコーダーと、吉阪隆正による日本館の特性を生かした能作文徳による空間構成が加わっていて、それぞれがしっかりと自分の作品と見つめ合いながら、結果的に一つの空間になるというのは本当に見事で泣きそうになりました。

今回アーティゾンでは、そのままは再現できないので日本館を90%のサイズで書割りを作って空間を作っていたり、その周囲にはここに至るまでのプロセスを丁寧に資料や関連作品を並べられていて、実際の日本館ではないものの、さらにエクストラな要素が付け加わっているので、実際日本館に足を運んだ人でも満足できる内容になってました。
こういう再現展って中々難しいとは思うんだけど、今回はその再現できなさを敢えて開き直ることで面白い空間になってたと思います。
さらに、アーティゾンの石橋財団は、ヴェネツィア日本館を建てる際に出資したのでも有名で、下の階のコレクション展の一部では、これまでヴェネツィア日本館で展示したことのある収蔵作品が並べられていたりして、この美術館でしかできない展示だと改めて思いました。熱い。

田中義久によるカタログも昨年日本館で販売されてたバージョンと、今回の帰国展でのカタログがあって、僕は後者を買ったけれど、どっちも欲しい。。。
両者で補い合うようなカタログの在り方ってのも面白いですよね。
僕が買った帰国展のカタログには、それぞれのエッセイや対談など凄まじい情報量。
服部さんとルアルンパのアデ・ダルマワンとの対談でのこれからの展覧会の在り方の話とかとても興味深かった。
ルアルンパはインドネシアのコレクティブで、次回のドクメンタの総合ディレクターでもあり、先日その内容が公開されたけど、訳がわかんなくてめちゃくちゃ面白いものになりそう!こちら
今月から始まる横浜トリエンナーレのラクスメディアコレクティブによるディレクションも、一つのテーマに絞るのではなく、そこから派生する「ソース」によって振り分ける在り方とか、コレクティブな思考が今後もっと展開していきそうで本当に面白いです。
あとフーコーによる「ヘテロトピア」やダナ・ハラウェイによる「Sympoiesis(共制作)」、「人新世」という言葉など、本当に刺激的な内容。
読み物としてもとても優れたものになっています。

展覧会は10/25まで。こちら。めちゃくちゃオススメ!
ちなみに上の階では鴻池朋子展がやってますが、こちらはノーコメント。
僕の中で彼女は2009年にオペラシティでやった「インタートラベラー」展がピークですね。。。


他に行った展示。
デイヴィッド・シュリグリー / 金氏徹平 @ Yumiko Chiba Associates
「展覧美術」@ eitoeiko
「フル・フロンタル 裸のサーキュレーター」@ 日本橋三越コンテンポラリーギャラリー
杉本博司「Past Presence」@ Gallery Koyanagi
青柳龍太「懐かしい骨董市」@ CUPSULE
広瀬陽「PULL」@ DOUGUYA

ちょっとどれもパッといい言葉が浮かばない。。。(杉本博司に至っては写真だけで済ませばいいのにもはや悪趣味が過ぎる演出。。。ドッグフード。。。)
素晴らしかったのは、アートじゃないけど広瀬陽の展示。
行ったら会場に古いキャビネットしかなくて、やってる?と焦りましたが、彼の七宝焼がこの中に全部収まってて、引き戸を開けながら見ていくスタイル。
これだと自ずと一度で見られる人数も限られるので、今回のコロナ禍で密にならない優れたアイディア。
一個一個引き戸もカスタマイズされてて衝撃。
僕は赤い花器を買いました。
工芸の展示って買われるとその場で作品がなくなるんだけど、今回はあくまで展示品として出してるので、商品が届くのは約1ヶ月後とのこと。楽しみ!
広瀬くんは怒涛の展示ラッシュが続くので楽しみです。

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オラファー・エリアソン ときに川は橋となる @ 東京都現代美術館

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待ちに待った、本当に待ちまくったオラファー展へ。。。
日本の美術館では金沢以来10年ぶりの大規模個展。
延期が決まって本当に良かった。もしや観られないまま閉幕するのではとすら思ってた。。。
ということで再開した週の平日朝イチで行ってまいりました都現美!
もう第二波が来て再閉館なんてなったらシャレにならないのでさっさと行かねば!
一緒に行った友人なんて気合い入りすぎてまさかの前入り!都内在住なのに笑
入場には少し並んだけれど、流石に平日だけあってそこまで混雑もなく。
休日は入場規制などがあるそうなので行かれる方は平日オススメ。
入るとまず検温があって、アルコール除菌です。
チケット買っていざ。。。


まずはドローイングシリーズから。
グリーンランドの氷河を使って描いたものや、運搬の際の「揺れ」を利用したオートドローイング。
ここでも溶けゆく氷河や飛行機を使わないなど、近年の彼の関心の中心であるサステイナビリティが表されてます。

「クリティカルゾーンの記憶(ドイツーポーランドーロシアー中国ー日本) no.1-12」(2020)
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そして次の部屋ではこれぞオラファー!というべき作品が。
偏光グラスで作られた多面体オブジェが、部屋中に極彩色を放っています。
よく見ると中のライトが回ってるんですが、これは後に登場する中庭にあるソーラーパネルからの太陽エネルギーで動いています。

「太陽の中心への探査」(2017)
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次の部屋には溶け行く氷の映像。
ちょっと啓蒙的過ぎて個人的にはあんまり。
それよか次の部屋。空間には色とりどりのハロゲンランプのみ。
金沢でも見せてた色とりどりの影。
こうやって展示空間を物量で埋めるのではないやり方はさすが。
観客そのものが作品と化し、人が増えれば増えるほど楽しい作品。

「あなたに今起きていること、起きたこと、これから起こること」(2020)
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続く部屋ではラボのような実験空間。
最近こういうの多いけどフーンとしか思えない。ごめんね。
次の部屋も、オラファーが力を入れてるサンライトを使って観客がその光の残像で映像を作るみたいな参加型なんだけど、すでに整理券が数時間後ということでパス。
さらにその次の部屋から怒涛のオラファー光マジック。やっぱこういうのが好き。

「人間を超えたレゾネーター」(2019)
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「おそれてる?」(2004)
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「ときに川は橋となる」(2020)
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「ビューティー」(1993)
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後半はもうどれもこれも素晴らし過ぎて一日中鑑賞したかった。
特に表題になってる「ときに川は橋となる」はこの展覧会のために作られた完全新作で、都現美のアトリウムをフルに使って、揺れる水面に反射する12の光の円をもう惚れ惚れと眺めていました。
もうここにベッド置いて泊まりたい!
せめてクッションとか置いて寝ながら鑑賞とかできたら最高なのにな。。。
まあ、そうするとマジで一生いそうな人が続出でしょうが。
これがこの約3ヶ月誰にも見られることなく存在してたかと思うとエモい。。。
映像や写真では見てましたが、やはり生で体験するのは最高でした。
敢えて言うと、水の揺れは自動ではなく、金沢で観客が入るたびに足元のスイッチによって揺れるようなインタラクティブの方が素敵だったと思いました。
あとビューティー、看板が胡散臭過ぎ笑
レインボーパレードかよw
そして最後の部屋の過去のプロジェクトを紹介するコーナーの1997年の「侵食」って作品がやば過ぎて笑った。
川から水を道路に引き上げて冠水させると言う、それってもはや犯罪なのでは。。。と言うプロジェクトw
「ときに道も川にする」

いやはや本当に素晴らしかった。
やっぱり美術館はいいなぁ。本当にしみじみ思いました。
オラファー展は9/27まで。予約不要ですが、できたら平日がオススメ!こちら

<関連記事>
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「ドローイングの可能性」@ 東京都現代美術館
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今都現美はオラファー展も含めて3つ展覧会が開催中です。
そのうちの一つ「ドローイングの可能性」だけなぜか会期が異常に短く6/21まで。
そしてこれがめちゃくちゃいい展覧会だっただけに短いのは残念すぎる。
まず最初の石川九楊の作品が楽し過ぎた。
文章を抽象化した書なんだけど、まあ読めない。。。
一応原文もあるんだけどマジで読めない。
それはともかく普通にドローイングとして美しい。
さらに続いて一部屋丸々マティス!これはやられた。。。
マティス大好きなのでこれは至福の空間でした。
そして戸谷成雄の作夏シューゴアーツで見た小さな木片が壁に所狭しと張り付いてるインスタレーションは改めて見ても感動的。
その周りのドローイングなのかオブジェなのか判断しかねる作品も良かった。
そして、僕は知らなかった作家さんで盛圭太さんも素晴らしかった。
糸でドローイングしてるんだけど、空間を大きく使ったのも紙に細々したのも良かった。

「もつれるものたち」@ 東京都現代美術館
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こちらはカディスト・ファウンデーションという社会と美術をつなぐみたいな組織との協働。
正直無理矢理な作品も多くて結構辟易した。。。
上記の「ドローイングの可能性」でも磯辺行久が出てて、こういう被ってるのって何なんだろう。
最後の藤井光はさすがだった。
福島にある資料館から借りてきた民芸資料を映像と共に展示しているのだけど、どれにも紙が添付されてて、よく見たら放射線線量が書かれていてギョッとする。
これらのものたちは福島第一原発の事故で被爆したものと知れる。
それらの独特の存在感がとても不気味でざわざわした。
この展覧会はオラファーと同じく9/27まで。

あとコレクション展は、ダムタイプ 展の時に観たのとほぼ一緒だった。。。
唯一ホンマタカシのコーナーが松江泰治の写真になってたぐらい。
まあ、松江泰治の写真と映像素晴らしいからいいんだけど、それを変更しただけで新しいコレクション展みたいな宣伝の仕方はどうかと思った。。。

原口典之 wall to wall @ √K Contemporary

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コロナの影響でほとんどの美術館が閉まってたりイベントも中止になったり悶々とした日々が続きますね。。。
そんな中今月やってた展覧会の観覧録。

原口典之 wall to wall @ √K Contemporary
「見えてくる光景 コレクションの現在地」@ アーティゾン美術館
VOCA展2020 @ 上野の森美術館
アーリー90'S トーキョーアートスクアッド展 @ アーツ千代田3331
「数寄景ー日本を継ぐ, 現代アートのいまー」@ 日本橋三越本店
五月女哲平 our time @ AOYAMA MEGURO / void+
ヴォルフガング・ライプ展 @ KENJI TAKI GALLERY
PTA @ タタブックス
尾行—不在の存在/存在の不在 | 大垣美穂子 佐藤雅晴 @ KEN NAKAHASHI


中でも凄かったのが表題にもなってる√K。3月に神楽坂にひっそりオープンしました。
作品は正直ふーんなんですが、空間が凄すぎ。一体なんなの。。。
地下から3階、屋上まで都内最大級ぐらいのギャラリー空間では。吹き抜けもあり。
今後の展示も楽しみです。

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1月にリニューアルオープンした元ブリジストン、アーティゾンも凄かった。
次回の現代美術展の時に行こうと思ってたのですが、友人に勧められて。
あと、この時期に開いてる貴重な美術館というのもあって。
当初予約制って面倒くせーって思ったけど、今回それが功を奏しましたね。
初っ端のマネからやられた。
その後のセザンヌもジャコメッティも、青木繁に至っては代表作ほぼあるし。
古代彫刻と現代彫刻が一緒に並べられてる展示も最高に贅沢だった。

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VOCAは去年が良すぎたかも。
今年は賞をとったNerhol、黒宮菜々も良かったけど、個人的には高山夏希が良かった。
って今ググったらavexと契約しててびっくりしたw

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3331の90年代展は結構期待してたんだけど、規模が小さくて残念だった。
やっぱりどうしてもギンブラート中心になっちゃいますね。
村上隆の若かりし日のインタビューが良かった。

三越の数奇景は好きな作家が何人か出てたけど、やっぱ寄せ集めでしかないですね。
下の階では日比野克彦展もやってたらしいけどそっちは見ず。
三越、現代美術頑張ってますね。

青山|目黒とvoid+でやってた五月女哲平の展示は、前者の絵画は良かったけど、後者の映像は謎。
void+の新しい空間が見られたのも良かった。

ライプはノーコメント。。。

タタブックスは前から行きたかったので。
知人の展示がやってて、展示空間まで急な梯子が凄かった。

最後にKEN NAKAHASHI。
佐藤さんの一周忌に合わせて。
今Callingを観ると彼の不在も合わさって、本当に胸が締め付けられた。
ドイツ時代のアニメーションも見られた。

ピーター・ドイグ展 @ 東京国立近代美術館

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新型コロナウイルスの影響で次々と休館してしまう美術館たち。。。
国立に始まり、今やほとんどが休館状態。
行きたかったイベントも中止や延期で悲しい限り。
会田誠さんじゃないけど、「現代美術の展覧会なんて混むわけないだろ‼︎」。
そんな展覧会の一つ、ピーター・ドイグ展です(オイ
2/26に始まり6月まで会期があるのでいつでもよかったんですが、後述の工芸館にも行きたかったので、休館前日の28日に行ってきました。
ドイグのトークもあったのに中止とか残念すぎますね。

さて、ドイグですが、そもそもそこまでちゃんと見たことないし、正直そこまで興味なかったんですが、実際に見てみると凄まじい絵画でした。これは真似できない。
世代的にはデミアン・ハーストらと同じYBA世代。
同時期にロンドンにいながら、彼らの活動には与せず、独自の道を歩んできました。
カタログや画像では再現不可能な絵画。
画家自身「絵を描く過程で、わたしは自分自身を失っていくのです。」と語るように、我々観客も、彼の絵の中に埋没し、迷子になり漂流する。
絵の中に例え人物が描かれていても、それが主体とは限らず、どこをも起点にできず、観客の視線はただひたすら画面上を滑り続けます。
見ても見ても見尽くせない不思議すぎる絵画たち。
特にそのディテールにやられました。
写真撮りまくったのでいくつかアップします。

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もうどういうプロセスで描かれてるのかもわからないし、絵の具の乗せ方が絶妙。
これだけたくさんの色を使っていながら、決して画面がうるさくならないバランス感。
作品を前にすると物凄い没入感です。
水辺を描いたものが多いのも特徴で、丸山直文さんとかも影響受けてるんだろうなぁ。
そしてモチーフの選び方や描き方も面白い。
なぜかコルビュジエが現れたり、人が溶けてたり、ビール箱が抽象化されてたり。
このコルビュジエの「コンクリートキャビンII」(1992)を描くために、ドイグは写真ではなく、ビデオを使って木々の中からユニテを撮影してそれを元に描いたというエピソードがとても興味深いです。
「目は決して『静止画』を見ることはないのです。」
そう、絵や写真は確かに静止しているかもしれないけれど、僕らには身体があり思考があり視線があるので、どうしても眼に映る像は動画になってしまう。当たり前だけれどまさに目からウロコでした。
ドイグの絵を見ている時のこの止めどなさはまさにそのことを証明しているようです。

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近年はトリニダード・トバゴに移住していて、以前の絵とは明らかに何かが違ってます。
同じくトリニダード・トバゴ在住のクリス・オフィリとも親友ってのがアツイ。
いつか二人展見たいです。
それはともかく、驚きなのがこの展覧会に何点か2019年、去年の作品も出品されてること。
本当に過去から現在まで辿れる充実した展覧会。
そして面白かったのが最後の、映画の上映会のために描いたポスターたち。
一枚一枚の絵の面白さももちろんですが、映画を思い浮かべながら見れるので楽しかった。
ゴダールから小津、たけしまで。

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とっても充実した展覧会で超オススメ。
ひとまずは3/15まで休館で、開館後は6/14まで。こちら

そしてこの美術館はコレクション展も充実してるので全部見ると本当に疲れる。。。
今やってる北脇昇とバウハウスの展示は本当に必見。
北脇昇は以前蔵屋美香さんのトークの中で、最も戦時中の空気を的確に描いた作家と称してたので、まさに今、オリンピックを目前に控えたタイミングで開催されてるのは示唆的でした。
そしてそのトークの中で挙げてらっしゃった1937年の作品「空港」は、楓の種子を飛行機になぞらえた作品で、まるで戦闘機のように漂う様はとても不穏。実際の楓の種子と展示する力の入れよう。
他にもここまで北脇昇の作品を通覧することがなかったので新鮮でした。

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バウハウス展は、去年が開校100周年というのもあって、色んなところでバウハウス関連展示がやってましたが、今回見た展示はその中でも最も面白かったかも。
日本におけるバウハウスの需要のされ方にスポットを当ててるんですが、驚いたのが吉岡堅二が1931年の作品「椅子による女」で既にミースのカンティレバーの椅子と思しき椅子に座った洋服を着た女性を描いてる!
他にも古賀春江とパウル・クレーの対比や、マルセル・ブロイヤーのワシリー・チェアーの後ろにカンディンスキーの絵を掛けるとかもう最高すぎる。

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そして常設展も毎回発見があるんだけど、めちゃくちゃ驚いたのが下の作品。
誰の作品かと思いきやソル・ルウィットだった!こんな作品あるんや!
あとはロバート・スミッソンのスパイラルジェティのドキュメンタリーとかも興味深かった。

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「パッション20 今みておきたい工芸の想い」@ 東京国立近代美術館工芸館
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この夏金沢に移転してしまう工芸館。
これまであるのは知ってたけど一度も立ち寄ったことがなく、移転前に行っておきたいなーとギリギリまで引き延ばしてたら、今回のコロナ騒動で閉館が早まってしまい、最終日駆け込みで行ってまいりました。
いやぁ、本当に美しい建物ですね。今後どうなってしまうんでしょうか。。。

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そして今回の展示の間違いなく白眉は鈴木長吉による「十二の鷹」(1893)でしょう。
同年のシカゴ万博に工芸ではなく美術部門で出されるべく作られた超力作。すごい。

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あとは、今はなき新宿三越のポスターや四谷シモンまであるのが驚き。
基本的に美術的オブジェっぽい工芸に興味がないので他はほぼスルーでした。
あと展示品ではなく調度品として柳宗理のバタフライチェアやアールトまで名作椅子が何気なく置かれてるのにもびっくり。
夏の金沢にできる予定の国立工芸館も楽しみです。

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それからこちらも休館となってしまった東京都美術館でやってる「ハマスホイとデンマーク絵画」にも行ってきました。写真撮るの忘れてた。。。
日曜美術館で紹介されたので混んでるかと思ったけどそうでもなかった。
まだコロナ休館のアナウンスもなかった平日だったからよかったのかな。

2008年に西洋美術館で開催された際行けなくて悔しい思いをしたのを思い出します。
ちなみに当時は「ハンマースホイ」という表記だったのが今回「ハマスホイ」となってます。
よりデンマーク語に近い発音なのかな。
中身は、前半が同時代のデンマーク絵画で、後半がハマスホイ40点という構成。
それにしても、ハマスホイもそうなんだけど、全体的にこんな絵誰が買うの?という謎な絵のオンパレード。
漁師の絵とかはなんとなくわかるんだけど、警報に戸惑う主婦の絵とかマニアックすぎるw
全体的にトーンも暗め。北欧の薄明の影響が如実に出てるのが面白い。
ハマスホイの絵画も、実際に見てみると不思議な筆致でどこかボナールを連想させる。
似たような筆致なのに、後者の彩りを考えると、ハマスホイのくすみは異常。
どこかノイズのある映像というか、リングの貞子の映像に近い不気味さを漂わせてます。
今回のポスターにもなってる妻イーダの後ろ姿を捉えた作品がやはり華なんだろうけど、僕は誰も描かれてない、ただ無人の部屋を描いた作品がとてつもなく好き。
無人→有人→無人というプロセスを辿っていて、最初の無人はただただ部屋のポートレートなんだけど、有人を経た無人の部屋は、どこか人の気配が漂っていて、本当に引き込まれます。
特に全てのドアが開いていて、開いた先にどんどん視線が誘導させるような作品は凄すぎた。
休館は3/16までで、とりあえず会期は3/26まで。まだ間に合います。ぜひ。

渡邉洵「リュウの首を補完する」@ 四谷未確認スタジオ/「 EDITION BOX -VIDEO WORKS as MATERIAL-」@ HIGURE 17-15 cas

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昨年のクリスマスにTwitterで流れてきた都内のオルタナティブスペースマップ。
こんなにあるんや!
この中で行ったことあったのはオンゴーイング駒込倉庫ASAKUSAのみ。
まだまだ奥深いぜTOKYO!

ということで、店から一番近い四谷未確認スタジオに行ってきました。
名前からして怪しい笑
到着して衝撃!銭湯!
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そう、元銭湯を自分たちで改修したスペース。
改修といってもSCAIのように、ガチガチにホワイトキューブにしてないゆるい感じがいい。
男湯はサロン、女湯はギャラリーです。
サロンの下駄箱もそのままギャラリーや本棚になってたり。
下駄箱にはなぜか古道具もあって、いくつか買ったら土囊袋で渡されました笑
女湯では渡邉洵の個展がやってました。
いわきの石炭化石館から炭坑夫が抜け出してきて、200キロくらい歩いて上野の国立科学博物館に行くという映像と、石炭と塩で描いたでかい絵画が展示されてます。
映像のタイトルが「Eureka」となっていて、これはアルキメデスが風呂に入ったとき、浴槽に入ると水位が上昇することに気づき、上昇した分の体積は彼の体の水中に入った部分の体積に等しいとわかり、"Eureka! Eureka!"と2回叫んだというエピソードからきてるらしくて、映像の最初と最後に風呂場のシーンがあります。
この展示は終わっちゃったけど、結構定期的にやってるようです。
ウェブサイトもあるけど更新されてないのでTwitterで確認するのが一番。
スペースとしてめちゃくちゃ面白いのでオススメ。四谷三丁目駅からも近い。入場料500円。
サロンは土日のみ緩くやってるそうです。ビールなんかも出るみたい。
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そしてもう一つ、日暮里にあるHIGURE 17-15 casへ。
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ここでは「EDITION BOX -VIDEO WORKS as MATERIAL-」という展示がやってました。
これがめちゃくちゃ面白かった!
映像をどうやって売るかというのがテーマになってる展覧会で、映像ってそもそもモノではないから、売るときにデータになっちゃうわけだけど、それだと味気ないし作品感がないので、映像作家は箱とか仕様とかをめちゃくちゃ凝ったりしてるんですよね。
映像作家の友人とかもいるし、なんとなくそれは知ってたのだけど、実際こうやって、コレクターの人に渡す前の状態をこれだけの数見られるのはとても新鮮。
中には宝箱みたいになってるのや、本のようなもの、いろんな仕掛けがある。
中でも面白かったのが、ファミコンになってる映像作品。
そうか、これも映像だったのかという気づきと、実際操作できることの楽しさ。
まあ、操作といっても、ボタン一押しで落ちるマリオやすぐに積んじゃうテトリスとか笑
お話聞くと、実際映像作家さん自身どうやって売るかを悩んでる人が多いらしく、今回の展示は映像作家さんたちが他の作家さんがどうしてるのかを知る機会でもあって、来場者の多くが映像作家さんなんだとか。
3/3までやってるので興味ある人はぜひ。

上野の美術館からSCAI経由で歩いたんだけど、このエリアって色んな不思議なお店があって楽しい。
途中で岡倉天心の生家跡地があって拝んできました。
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また色んなオルタナティブスペース回りたい所存です。

森村泰昌:エゴオブスクラ東京2020―さまよえるニッポンの私 @ 原美術館

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実は行く気はなかったんだけどレクチャーパフォーマンスなるものにお誘いいただいて観に行ったらめっちゃよかったパターンでした。
2016年に国立国際美術館で開催された展覧会で、もう森村のエゴに飲み込まれる感じで見ててしんどかったったトラウマがあったんですが、これぐらいの規模だとしっかりキュレーションが収まってる感じがして素晴らしかった。
今回はバルトの「表徴の帝国」に出てくる、「真ん中が空虚である」という日本人観から出発して、森村自身の「真理や価値や思想というものは(中略)いくらでも自由に着替えることができるのだ。」という思想、個人史から日本人とは何たるやという大きなテーマに挑んだ展覧会。
この「エゴオブスクラ」という展覧会自体は2018年にニューヨークのジャパンソサイエティでやったみたいなんだけど、そこから少しアレンジを加えての開催。
作品は新旧入り乱れてて、改めてセルフキュレーションの上手い人やなぁと唸りました。
もう全部今回のために作られたんじゃないの?ってぐらい新作と旧作の差がない、どころかむしろ新旧が絡み合って複雑なポリフォニーを形成してる。
例えば森村作品の中でも有名なマネの「オランピア」を模した1988年に発表した「肖像・双子」は「モデルヌ・オランピア 2018」へと再製作されていて、これはベッドに寝そべる女性が蝶々婦人としての日本人で、黒人の部分が白人の男性に換えられています。
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会場には撮影した実際のセットも。超アナログw
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三島とマリリンの対比も素晴らしかった。
三島=男装した女性、マリリン=女装した男性という解釈はとても面白い対比。
さらにそれが女性としての日本と男性としてのアメリカの対比にもなってる。
その対比は昭和天皇とマッカーサーを写した写真に模した作品「なにものかへのレクイエム(思わぬ来客/1945年日本)」(2010)でも顕著。
この男性←→女性のトランスも森村作品に通底するテーマ。
今回森村自身によるレクチャーパフォーマンスを拝見させていただいたわけですが、その映像の中で出てくる黒いドレスを着たマリリンが、ドレスを脱ぐと赤ふんどしを巻いてて、そこから三島に変身し、かの有名な市ヶ谷駐屯地で起きた三島の自決の際に発せられた演説が始まる様は圧巻。
このレクチャーパフォーマンスでの最大の見せ場がこの演説で、なんと三島に扮した森村の演説の映像を前に生身の森村がアフレコするという、幾重にも重なる自己を目の当たりにした感じがして衝撃でした。
このレクチャーパフォーマンス、ぜひ参加すべき!、と言いたいところなんですが、今HP見たら全回予約で満席となってました。。。
映像自体は会期中見られます。
会場中所々に見られるパチンコ玉の正体もこの映像見たらわかるかと。
この映像内のセットは展覧会の最初の部屋に展示されてます。
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ところで展示されてる肖像がマリリンではなくなぜか原節子なんだけど、なんでだろと友達と話してて、それって「原美術館」と「原節子」をかけてるのでは説が出たんだけどどうなんだろう笑
それにしてもこの展覧会入れてあと4回で原美術館が終わっちゃう。。。悲しい。
前回の加藤泉さんの作品もさりげなく残ってたし、この建物だけでもぜひ残して欲しいなぁ。。。
森村展は4/12まで。こちら
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森村のこと調べてたらこんなHP見つけちゃった。。。
「森村泰昌」芸術研究所



DOMANI・明日2020 傷ついた風景の向こうに @ 国立新美術館
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逆に期待しすぎてあまりのれなかった展覧会。
なんだろう、「傷ついた風景」というテーマも抜群にいいし、作家陣も最高だし、実際個々の作品も素晴らしいんだけど、展覧会として見たら全然取り止めがなかった。
空間なんだろうか?なんなんだろう。
冒頭の石内都の実際の傷跡の写真と米田知子のかつて傷を負った風景の写真も良かったし、広島や長崎、そして福島へと続く導線も良かった。
特に見たかった佐藤雅治の「福島尾行」が観られのは良かった。
鳴らないピアノがひたすら鍵盤を叩いて必死に音を奏でようとしてる様にグッときた。
日高理恵子の展示もこれまで見た彼女の展示の中で最も良かったし、宮永愛子、畠山直哉と申し分なかった。
なのに!なのに!
僕の中でのいいグループ展というのは、作品同士がまるでバトンを渡すようにして流れていく感覚があるんだけど、今回その連鎖が全くと言っていいほど感じられなかった。
作品同士がぶつ切り状態。
うーん、本当に謎。やっぱり空間な気がする。
考えたら過去国立新美術館で心から良かったと思える展示って見たことないかも。。。
黒川紀章の展示室、やっぱり辛いです。ここを突破する展覧会が今後出てくるのだろうか。。。
展覧会は2/16まで。
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増田信吾+大坪克亘の個展「それは本当に必要か。」 @ TOTOギャラリー・間
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国立新美術館行ったので同じ乃木坂にあるTOTOがやってる建築のギャラリー間へ。
ギャラ間めっちゃ久々。いつ以来だろう。。。って調べたら2010年のデイヴィッド・アジャイ展以来だった。。。
そして、今回の増田信吾+大坪克亘を知ったのも2010年のU-30
10年!怖い。。。
そんなこんなで増田信吾+大坪克亘展です。
展示は地下1階、3階、4階となってるんですが、地下では写真、3階では模型、4階では土地の模型となってます。
この展示の面白いところは、まるでGoogleマップのようにスケールを行き来することができるということ。
地下の写真の展示で建築のディテールや色味などを知り、3階の模型で建物全体を知り、4階でどういう場所に建ってるのかを知ることができます。こういう建築の展示ってありそうでなかったかも。
特に4階の土地の模型はめっちゃ面白かった。
建築模型だと縮尺がまちまちなので、どういう風に建ってるのかってイマイチ想像しにくいんだけど、すごくわかりやすくイメージできました。
そしてこの二人の建築の実直さがすごい。
屋根と階段だけの建築とか唖然とする。しかもその屋根を支えるための構造も面白い。
U-30の頃は結構幻想的なイメージだったけど、この十年でこういう風に歩んできたのかと思って感慨深かった。
展覧会は2/16まで。DOMANIとセットでどうぞ。
今年のギャラ間はこの後もSANAAにアンサンブルに久々に通うことになりそう。
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白髪一雄展 @ 東京オペラシティアートギャラリー
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年々具体作家の作品の値段が高騰していて、どんどん国外に流出していく中、今具体作家の展覧会をやるのは中々苦労することなのではないかと思うんですがどうなんだろう。
というわけで、今回の白髪一雄展はとっても貴重な機会だと思います。
考えたら単発で見たことはあってもこれだけまとめて見たことってなかった。
初期の作品はこんなだったんだ、とか、有名な足で描いた作品もディテールこんなだったんだ、とか、途中こんな作品やってたんだとか色々発見はあったんですが、最大の作品は、これリヒターやん!となったところ。
これまで白髪一雄とリヒターを同じ軸で観たことってなかったんですが、今回の展覧会を観てる最中ずっとリヒターのアブストラクトがずっと頭に浮かんできて仕方がなかった。
絵の具を「こする」という動作がまさにリヒターの創作に通じていて驚きの発見。
あと、一作だけ床置きで展示してる作品があってこの展示はめっちゃいいなと。
彼の場合足で描くので、制作中は画面は床置きなわけです。
その制作状態と展示状態が一致してるってのはとても自然なことだと思う。
以前豊田市美術館でイヴ・クラインの作品を床置きしてるのを観たことがあるけれど、本当に素晴らしかった。
ポロックなんかも床置きで観てみたい。
床置き展示、これからも増えるといいな。
それにしても、昔から不思議なんですが、どうして白髪一雄は作品に足跡を残さなかったんだろう。
足で描いてる割に、言われないとわからないんですよね。
もちろん足跡を残すなんてダサいし説明的すぎるんだけど、画面に足の存在が浮き上がってこないのは本当に不思議。
そんなこんな、色んな発見があった展覧会でした。3/22まで。
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ダムタイプ―アクション+リフレクション @ 東京都現代美術館

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今年都内で開かれる展覧会で最も楽しみにしていた展覧会。
今年最後の締めはこれ!と決めてました。
都現美のダムタイプ―アクション+リフレクション展です。

ほぼ伝説と化したマルチメディア集団。今風に言うとアートコレクティブ。
リーダーの古橋悌二に、高谷史郎、池田亮司、高嶺格。
今やそれぞれが大活躍ですが、元々は1984年に京都芸大の仲間で結成されたグループ。
実際今もダムタイプは活動中で、来年には18年ぶりの新作も発表されるらしい。こちら
もはや伝説化してしまっているのは、やはり1995年にAIDSの合併症によって35歳の若さでこの世を去った古橋悌二の不在があまりにも大きい。
今回彼の遺作である「LOVERS」と言う映像インスタレーションも展示されてます。
この作品は会期中の1月19日までしか展示されないそうなので、是非行く方はそれまでに行ってください。
これが観られるのと観られないとで大違いだと思う。
19日以降何を展示するんだろう。。。
裸の男女が壁面を駆け抜けていく映像を体感するような作品なのだけど、「LOVERS」と題されながら、決して交じり合う事なくそれぞれ一人一人でしかなくて、最後には闇に消えていってしまう。
映像というメディアの儚さも相まって、胸が締め付けられるような気持ちになります。
昔京都芸術センターでも観たんだけど、改めて美しい作品だなぁと。
そして今回改めてこの作品の構造に注目。
1995年制作なのに、どうやってこんなにシームレスに映像が繋がってるんだろうと思ってたらなんとプロジェクターごと回してることがわかってほう、となった。
古橋さん自身と思しき裸の男性が後ろに倒れて闇に消えていく様は、ダムタイプ最後の出演となり、ダムタイプの伝説的代表作となった「S/N」に通づるものがあります。

この展覧会が始まってすぐぐらいに神田でダムタイプの作品の上映会があったので事前勉強として行ってきました。こちら
流石に1週間で6本観るのはきつかった。。。
僕が見たのは「036-Pleasure Life」(1987)、「Pleasure Life」(1988)、「pH」(1990)、「S/N」(1994)、「OR」(1997)、「memorandum」(1999)。
ちなみにICCでは1/18-3/1までダムタイプ作品が上映されるので見逃した方は是非。
特にやはり「S/N」は必見。泣きます。こちら
この「S/N」は都現美でも1/13に特別上映があって、THE OK GIRLS SHOWもあるみたい。
1月6日から受付開始だそうだけどすぐ埋まっちゃうだろうなぁ。。。こちら

「036-Pleasure Life」はまだ方向性も曖昧で、荒削りなんだけど、次の年の「Pleasure Life」でいきなり今のダムタイプらしくなるのにびっくりした。
今回の展覧会では、当時のセットになってた「Playback」が観られます。
といっても当時とは違って、今回のは台に置かれてるのが全てが透明のレコードになっています。
当時はブラウン管テレビとかが置かれてたし、6x6の36台あったのが今回は5x5の25台。
グリッド状に並んだ台の間をすり抜けるようにしてパフォーマーが演じます。
このセットがそのままアート作品になっちゃうのがまたダムタイプのすごいところ。
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そして「Pleasure Life」の翌年には「pH」が上演されます。
これまた「S/N」に次ぐ代表作だと思う。
観客は舞台を上から見下ろすような形で鑑賞するのだけど、舞台では二つのバーがコピー機やスキャナーのように動いてて、演者はそれを避けながら上演するんだけど、こんな演出どうやったら思い浮かぶのか、、、。
今回そのスキャナーみたい装置を実際見ることができます。
よく観たら床に文字が書かれていたりして。
バーを追いかけるように進んでたら戻りが案外早くて逃げるように退散笑
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「S/N」はこれまでの作品と違ってセリフが多いのが特徴的。
古橋悌二のAIDSの告白がやはり注目されがちだけど、本当に素晴らしいセリフがたくさんあって困る。

私はあなたの愛に依存しない。
あなたとの愛を発明するのだ。

私はあなたの性に依存しない。
あなたとの性を発明するのだ。

私はあなたの死に依存しない。
自分の死を発明するのだ。

私はあなたの生に依存しない。
自分の生を発明するのだ。

あなたの眼にかなう抽象的な存在にしないで。
わたしたちを繋ぎ合わせるイマジネーションを、ちょうだい。



私は夢見る、私の性別が消えることを

私は夢見る、私の国籍が消えることを

私は夢見る、私の血が消えることを

私は夢見る、私の権利が消えることを

私は夢見る、私の価値が消えることを

私は夢見る、私の偏見が消えることを

私は夢見る、私の人種が消えることを

私は夢見る、私の財産が消えることを

私は夢見る、私の様式が消えることを

私は夢見る、私の恐怖が消えることを

私は夢見る、私の義務が消えることを

私は夢見る、私の権威が消えることを

私は夢見る、私の権力が消えることを



先述の台詞は聴覚障害を持つ石橋健二郎さんが発するんだけど、そのたどたどしさがこの台詞にさらに強度を与えていて、聞きながら胸に突き刺さる思いになります。
後述のはあまりに有名ですが、本当にすごいと思う。
実際の上演では拡声器で発せられるんだけど、この場面は圧巻。
パフォーマーたちがそれぞれ服を脱いで真っ裸になって後ろに倒れて消えていく様は「消えること」を体現していて本当に美しすぎる。。。
生で観れなかったのが悔しすぎるなぁ、と改めて。。。。


「OR」以降はポスト古橋悌二なんだけど、ここで池田亮司の音が入ってきて、高谷史郎の映像も強度を増して、高嶺さんのコレオグラフィーも素晴らしく、リーダーの不在を乗り越えて強度を増していく作品群に度肝を抜かれます。
展覧会では「MEMORANDUM OR VOYAGE」と題して3つの作品をつないだ映像と音のインスタレーションがあって、これも圧巻。。。すごすぎる。
古橋さんがいないのは本当に残念だとは思うんだけど、やっぱりダムタイプの核となる部分は全然揺らいでなくて、今も若いメンバーとか入ったりして流動しつつもダムタイプクオリティを保ってるのは本当にすごい。
この辺のことは長谷川祐子と高谷史郎の対談が詳しいのでぜひご一読を。

長谷川祐子と高谷史郎が語る「ダムタイプ」のこれまでとこれから


とまあ、ダムタイプ、僕にとっても本当に大事な存在だし、80年代からいまだに時代の先端をいってると思う。
それだけに展覧会、ちょっと期待しすぎたってのはあるんだけど、それにしても規模が小さすぎた。
もう少し大きな規模でやってほしかったなぁ。。。
パフォーマンスとかも、あんなブラウン管じゃなくて、ちゃんと都現美がプログラム作って上映すべき。
今回アーカイブブックが展示されてて、ここにはアイディア出しのメモから舞台セットの設計図まで全部が詰まってて、これぞ出版してほしかった。。。
とまあ、不満も色々あるんですが、観るべき展覧会であることは間違い無いので、ぜひ。
前にも書いてますが、展覧会自体は2/16までですが、古橋悌二の「LOVERS」が観られるのは1/19までなのでお見逃しなく!!!こちら


ちなみにゆっくりしすぎて時間がなく、同時開催のミナペルホネン展とMOTアニュアルは観てません。。。



今年ラスト記事です!
皆さま良いお年を!
明日から極寒の北京へ逝ってきます。。。

目 非常にはっきりとわからない @ 千葉市美術館

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目の展覧会を観に千葉市美術館まで。
前記事の埼玉同様、ここもついでもなく遠いので中々行き難い美術館の一つなんだけど、なんとなく観とかないとなぁということで友達道ずれにして行ってきました。
こちらも行ってみたらとんでもない展覧会だった。。。
これ、展示の内容言っちゃうとネタバレになっちゃうんで読みたい人だけどうぞ。
ちなみにこの展示は12/28まで。
とりあえず行っとけ、しか言えないw
必見です。こちら





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ニューヨーク・アートシーン @ 埼玉県立近代美術館

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気づいたら前のアート鑑賞記事から1ヶ月以上空いてる。。。
その間も実はめっちゃ見てます。以下

ニューヨーク・アートシーン @ 埼玉県立近代美術館
イズマイル・バリー「みえないかかわり」@ エルメス銀座
ユルゲン・テラー「HEIMWEH」@ ケーニッヒ東京
「Surface and Custom」@ SHISEIDO GALLERY
清水裕貴「Empty park」@ PGI
鈴木敦子「Imitation Bijou」@ CANDLE CAFE
「見た風景」@ ギャラリー楽水
「1 2 3 4」@ 一日
Yazawa tsuyoshi Tomita keiko 二人展 @ MARUNI AKIYA
本田健「水のおちつき」@ MEM
宮永愛子「漕法 はじまりの景色」@ NaDiff Gallery
「山沢栄子 私の現代」「至近距離の宇宙」@ 東京都写真美術館
百瀬文「I.C.A.N..S.E.E.Y.O.U」@ EFAG
村岡三郎「Oxygen」@ KENJI TAKI GALLERY

中でもダントツよかったのが上の二つ。

まずは埼玉近美でやってたニューヨーク・アートシーン展。
埼玉近美、3月のインポッシブル・アーキテクチャー展で初めて来たけど、こないだのもの派展も来たし、今年3回も来てる。
ここ、中々ついでで来れないので辛いんですが、今回の展覧会も見逃すには気になり過ぎてしまったので行くことに。行かずに後悔より行って後悔派。そしたらめちゃくちゃよかった!

現在改修のため休館中の滋賀近美のコレクションを中心に、戦後から90年代ぐらいまでのアメリカのアート作品が集められてるんですが、マジでアメリカアートベストアルバム状態。
初っ端からロスコだし、ポロックやニューマン等の抽象表現主義に始まり、デュシャンの泉からラウシェンバーグやジョーンズのネオダダ、ジョン・ケージやフルクサスの資料、ウォーホルのマリリンにリクテンスタインのポップアート。。。。
特に僕はミニマリズムのところで足が止まりました。
モーリス・ルイスの大画面が本当に素晴らしいし、ステラの初期作は涙が出そうなぐらいよかった。
ステラ、この時22,3才で、マジで天才すぎる。。。
そこに桑山忠明や河原温、草間彌生らの日本人も登場してきたり、モリスやルウィット、ジャッドの彫刻群が現れてきたり。。。
特にルウィットの彫刻はやっぱり面白い。
気持ちいいぐらいシステマティックに彫刻が組み立てられてる。
その後も杉本博司に篠原有司男、シンディ・シャーマンにトレスと抜かりない。
惜しむらくはオノヨーコとキース・ヘリングがないぐらいだけど、それでも十分すぎるぐらいニューヨークの黄金期を堪能できて本当に素晴らしい道行でした。
1月19日までなので是非!こちら

また、館内至る所で若手作家トモトシの映像作品が上映されてて、とってもゆるい作品なんだけど、それをこの美術館屈指の名作椅子に座りながら観るという体験もできます。
「有酸素ナンパ」と題された、街ゆく人々を半強制的に巻き込む映像は面白かった。
そしてここはいつもコレクションも面白くて、日欧の絵画がお互い影響しあった関係を示す展示が改めて新鮮でした。


そしてもう一つ、エルメスでやってたイズマイル・バリー。
友達に薦められて行ったんですが、やられたー!って感じ。
エルメスのガラス張りで自然光が入ってくる建物の構造を生かして、逆に新たに箱を作って閉ざし、そこから漏れくる光で作品を作り出してて、この発想は今までこの空間でありそうでなかったなぁと。
縦のスリットをテープで閉じてる感じとかめちゃくちゃ美しかったし、作品が光を通して、しかも壁の向こうの空気の流動で微妙に揺れて光が漏れる様とかめちゃくちゃ美しかった。
さらに壁の向こう側に回れるとか、僕のやりたかったことめっちゃやってる。。。
悔しいぐらい美しく詩的な空間構成でした。
こちらも1月13日までやってるのでまだの方は是非!

窓展:窓をめぐるアートと建築の旅 @ 東京国立近代美術館

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東京国立近代美術館で開催中の「窓展」に行ってきました。
もう窓というテーマを聞いた時点で興奮します。
昔「風景」をテーマに展覧会を作ったことがあって、そこにも「窓」は重要な要素だったし、僕は絵画をやってたので、窓は切っても切り離せないし、僕のインスタレーション作品にも窓は大きな要素を占めてる。
「窓」は本当に豊穣な世界を持ったキーワードなんです。
さらに担当学芸員が蔵屋美香さん。
そして五十嵐太郎らの窓研究所とのタッグ。
もはや面白くない要素がない!

とかなりハードル上げて行ったんですが、そのハードルをさらに超える素晴らしい展示でした!
まず美術館中庭には藤本壮介の代表作House Nのモックアップ。
実物は見たことないですが、中に入ると窓枠と窓枠が重なり合って、空を幾何学に切り取る様は爽快。
中は入れ子構造になってるので、どこを切り取っても違う幾何学が登場する。
この日は快晴の秋晴れだったので、余計青い空とのコントラストが素晴らしかった。

会場に入るとまず飛び込んでくるのが、有名なバスター・キートンの名場面。
キートンの後ろの家のファサードが剥がれて倒れてくるんだけど、キートンは窓の部分にいたので無事っていう。
これはスティーブ・マックィーンも作品でやってたし、福山雅治もCMでやってましたね。
様々なジャンルから参照してくるキュレーションめっちゃ好きなんですよね。
しかも冒頭からですから、個人的にめっちゃテンション上がった。
最初のテキストにも、ちゃんとアルベルティの「絵画論」における「開かれた窓」が引用されてて完璧。
見知らぬ他人を窓から撮った横溝に、窓から外を覗く人々を撮った郷津雅夫の写真が並んで、もう一部屋目から完璧!

次の部屋には窓を巡る歴史年表と、建築家のドローイング。
この部屋は、こういう大きなテーマを掲げる展覧会において重要。
というのも、窓に関する作品もあれもこれもと集め出したらキリがないから。
なんであれがなかったんだろう、というのも一気に解決。
持ってこれない「最後の晩餐」なんかも、年表に織り込んじゃえばちゃんとおさえてることになるし。
これは中々賢い方法だと思いました。
窓の発展と、ああ、確かにこの作品も!っていう確認にもなって面白かった。
そして建築家たちのドローイングがすごい。コルビュジエのロンシャンのドローイングとか!

次からは近代の名作たちがこれでもかと登場して目眩がします。
なんといってもマティス。
彼の描く窓は本当にユニーク。
部屋の中と外の区別が曖昧で、窓を描いた画中画なんじゃないの?という錯覚も。
これはマティス自身が意識していたようで、解説に詳しく書いてました。
曰く

「私の感情にとって、空間は水平線から私のアトリエの室内に至るまで一体をなしていますし、通り過ぎる船は私の周囲のなじみの品物と同じ空間のなかを生きている。壁にしつらえられた窓は、2つの異なる世界を作り出しているわけではないのです。」

彼の絵の中では、外も中も全くの等価。
冒頭アルベルティが、絵画論で絵画を窓に捉えたのは、絶対的な「外」を描くための装置として触れていたのとは相反する態度です。
マティスの隣にティルマンスの写真があるのも面白い。
ここからさらに抽象画へ。
アルバースにロスコ。ロスコがやっぱり最高すぎる。
もはや窓は、外を眺めるものではなく、内面を見つめるためのメタファーになります。
そして極め付けがデュシャンの「フレッシュ・ウィドウ」。
最近デュシャンに関する本を改めて読んでたので、具に見られて棚ぼたでした。
リキテンスタインのキャンバスの裏を描いた作品も初めて見たけど面白かった。

この後展覧会は、個展形式で流れていくのも面白かった。
奈良原一高の修道院や刑務所の窓を捉えた写真や、日中韓(小沢剛、チェン・シャオション、ギムホンソック)のユニット西京人の国境を皮肉ったインスタレーション、ユゼフ・ロバコフスキの変わりゆくポーランドを22年間にも渡ってただただ窓から眺め続けた映像、ローマン・シグネールの窓を使った破天荒なアクション等々。
どれも「窓」というテーマ一つでここまでのことができるのか!と舌を巻くばかり。
途中、コンピューターのウインドウのセクションがあったけど、ここはもう少し広げられたように思う。
そして最後の方に来て、THE PLAYや山中信夫を持ってくるのはエモい。
彼らの作品は、マスト中のマストなのです。
そしてフィニッシュがリヒターっていう、出来すぎた展覧会。。。
本当に素晴らしかった。

敢えて難を言うなら、最初にキートン持ってきたんだから、もう少し美術や建築外からも窓に纏わる表現持ってきてほしかったなーと。
ヒッチコックの「裏窓」なんてまさにだし、あと日本画とかも。
個人的には久隅守景の「夕顔棚納涼図屏風」なんか最高だと思う。
日本の建築には元々窓という概念はなかったんだけど、この絵には窓を感じるんですよね。
まあ、この絵は東博のコレクションだけど、近美のコレクションにも絶対なんかあるはず。
本当に言い出したらキリがないんだけど、それだけ横にも縦にも延びるテーマなので、シリーズ化とかしたら面白いなぁ、などの妄想してみたり。
東京近美での展示は来年2/2まで。こちら
その後来年夏には丸亀へ。


ところでこの展示鑑賞後に真っ先に向かった先は、この美術館にある「眺めのいい部屋」でした。
これぞこの窓展を強化するであろう要素なので、展覧会出口に案内出すべきかと。
ここからは皇居が真正面に見られるんですよ。
いつもは素通りするけど、改めて堪能しました。
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あと、東京近美はコレクションも素晴らしいんですよね。
鏑木清方の新収蔵作品展も良かった。メインじゃないけど1年12ヶ月の作品は泣きそうになった。
あと驚いたのが、戦後のセクションで、当時の子供達の絵が展示されてたこと。
こんなものまで収蔵してるのか!と。
本当に素晴らしい美術館だな、と改めて。
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最近お店で「現代美術ってどう見たらいいんですか?」という最早普遍的な質問を受けるんだけど、もうね、答えは決まってて「勉強してください」としか言いようがないんです。
なんか美術って感覚的なものと思われがちだけど、特に近現代美術に於いてはほぼ学問に近い。
算数の知識がないと数学が解けないように、それなりの背景や歴史を知ってないと楽しめません。
ということで、今回の「窓展」は勉強してみたい人とってはうってつけかと。
あと近美のコレクションで補完もできて、こんな親切な場所はないかも。

あと最近僕が読んだ2冊は、とても平易な文章ながらめちゃくちゃ勉強になるのでおすすめ。

平芳幸浩著「マルセル・デュシャンとは何か」
森村泰昌著「自画像のゆくえ」

ちょっとでも近現代美術わかりたいって方はぜひ読んでみてくださいー。

加藤泉 -LIKE A ROLLING SNOWBALL @ 原美術館

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8月からやってる原美術館にて加藤泉展へ。
会期が1月までとめちゃ長いのでいつ行こうかと思いつつ中々行けてなかったけどついに。
ここ3年の近作がなんと69点も展示されてる超充実した展示。
なんとなく単発で近作観てきましたが、ここまで自由になってたのか!と驚きの連発。
素材は多岐に渡っていて、作品の素材見るだけでもおかしい。
例えば

「木にアクリル絵具、ソフトビニール、石、ステンレス、鉄、石にリトグラフ、アクリル絵具、綿布に木炭、アクリル絵具、ブリキ」

ってのがあるんだけど、所々被ってない?笑
特に石に描いてる作品なんかは、もはやこの人の中で絵画も彫刻もボーダーがないんだな、と思わせてくれて、爽快というか快活というか、すごいの一言。
石のザラザラした質感に描かれた絵は、洞窟壁画のようでもあり、複雑怪奇な様相。
ここまでとんでもないことになってるとは思わなかった!
凄まじい展示なので是非。来年1月13日まで。こちら
原ミュージアムアークでもやってるけど、こちらは遠すぎるのでパス。
カタログもようやく発売されてましたが、4000円オーバーはちょっと。。。


さて、この美術館も閉館まで残すところあと一年ちょっと。
あと何回来られるだろうか。
こんな素敵な場所がなくなると思うととってもとっても寂しい。
来年は6月から久門剛史と小泉明朗の展示もあるみたいなのでそれは絶対行く。

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山元彩香「organ」@ void+

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大学時代の同級生、山元彩香の展覧会に行ってきました。
今回僕が大好きなギャラリーvoid+でやると知った時はテンション上がりました!
これまでTaka Ishiiで発表してきた彼女でしたが、void+のあの独特な空間でどう展示するのかとても楽しみにしていたのです。
特にマンションの管理人室を改装したという小さな展示室。
まさに「ホワイトキューブ」で、天井に照明すらありません。
そこで今回彼女は初となる映像作品を発表しました。
展覧会タイトルにもなってる「organ」。
内容は少女がチェストに寝転がって鼻歌を歌っているというシンプルなもの。
この映像を観た時ようやく彼女のやってきたことが一本の線で結ばれた気がしました。
というか、その線がピンと張った感覚があったんです。調律が合うというか。
これまで彼女は写真というメディアを使って、海外、特に東欧の女性たちをモデルに作品を制作してきました。
一貫して青っぽい画面に無表情無気力な女たち。
それらの写真群を観て、僕には特にピンとくるものはなかったんですよね、正直。
僕の場合、彼女がコンセプトがあやふやな状態のまま撮ってる時から知ってるので、どこまで考えてるんだろう、というのが計りかねていたのもあって。
彼女の作品は、一見しただけではおしゃれなファッションフォトに見えなくもないので、実際そういう観られ方してる部分もあると思います。
でも、今回のこの映像を観て、一気に目を開かされました。
実は展示前にも携帯の小さな画面で見せてもらってたんですが、その時からこの作品は凄いという感じがあって、改めてこの真のホワイトキューブで観た時の衝撃!
観た、というのはちょっと足りなくて、体験したという言い方が正解。
小さなホワイトキューブで微かに反響するその鼻歌。
それは少女がその場で即興で作った歌らしいのだけど、何とも言えない懐かしさ。
聞いたことなんて絶対ないはずなのに遠い昔から知ってるような。
そして映像自体も、ほとんど動かない彼女の身体をひたすら定点で映していて、生きてるのか死んでるのかわからないのだけれど、メロディは確実に彼女から鳴っている。
そう、鳴っているんです。
「organ」というタイトルが示すように、彼女は楽器と化しているのです。
この作品は、贔屓目を抜きにして、この空間で観た今までの作品の中でダントツベストワークになりました。
本当にいつまでもそこにいられる。永遠に観ていたい。聴いていたい。
この作品はもっといろんな空間で見てみたいな。
例えばコンクリートの部屋とかだともっと反響して聞こえるだろうし、廃墟みたいなところで見たら更に作品の持つ霊性みたいなものが際立ちそう。
そうして彼女の写真作品を改めて見ると、どの女性たちも魂が抜けているように見える。
特に今回は作品を厳選してるのもあって、その感覚が凄まじい。
昔の人は写真に撮られると魂が抜かれると信じていたけれど、彼女は本気でカメラでもって女たちの魂を抜いているように思えてならないのです。
よく写真を評するのに「生き生きしている」というのが賛辞の一つではあるけれど、山元の作品はそれとは真逆。
青い画面も、そうした魂が抜けて体温が下がっていく感覚を覚える。
しかし、それは暴力的な行為ではなく、むしろ「浄化」という言葉がしっくりくるように思えます。
そして更に面白いのが、今回人物のポートレイトと並列して、オブジェや人形の写真も並べられています。
それらが本当に等価すぎて驚きの連続。
一体どれに魂があって、どれに魂がないのか。
今回の展覧会を通じて、彼女がなぜ女性だけをモデルにしてきたのかもわかったような気がしました。
というのも、女性と男性を隔てる最大の違いはやはり「命を生む」という点。
その為には女性は男性に比べて身体的なハンディキャップが有り余るほどある。
出産はもちろん、毎月訪れる生理なんて男の自分としては大変すぎて想像もできない。
女性は生きてる間に流す血の量が男性よりとてつもなく多い。
その度に彼女たちは一旦死を経験しているのかもしれない。
それ故か、女性には巫女のような、彼方と此方をつなぐ役割を担わされてきました。
魂が抜けたり、何かに憑依されたりするというのは、もしかしたら日常茶飯事に起きてることなのかもしれない。
そういうことを写真を見ながら考えられました。
今後彼女がどういう方向に向かっていくのか、とても楽しみになった展覧会。
11/30まで!ぜひ!

<展覧会概要>
■タイトル:Unknown Image Series no.8 #1 山元彩香「organ」
■会期:2019 年11月1日(金)— 11月30(土)14:00-19:00
・レセプション:11月1日(金)19:00-21:00
・トークイベント:11月29日(金)19:00-20:30
山元彩香+ 光田由里(DIC川村記念美術館学芸員)+ 中村史子(愛知県美術館学芸員)
■会場:void+ 東京都港区南青山3-16-14, 1F
■定休日:日、月、祝日
■入場無料
■お問合せ:Tel: 03-5411-0080/メール: info@voidplus.jp

お店にDMと作品集置いてます。
作品集はamazonでも買えますが、残部僅かとのことで購入検討の方はお早めに!
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その他に観た展示。
DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術 @ 埼玉近代美術館
碓井ゆい展 @ 河合塾美術研究所
原田裕規「One Million Seeings」@ KEN NAKAHASHI
植松奎二 「-見えない力と浮くこと-」@ Yumiko Chiba Associates
今井俊介「range finder」@ HAGIWARA PROJECTS
横村葵「little living room」@ INTERART7
「イメージの洞窟 意識の源を探る」@ 東京都写真美術館

カミーユ・アンロ「蛇を踏む」@ 東京オペラシティアートギャラリー/フィリップ・パレーノ展 オブジェが語りはじめると @ ワタリウム美術館

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カミーユ・アンロとフィリップ・パレノ。
アンロはパリ生まれ、NY在住のアーティスト。
パレノはアルジェリア生まれ、パリ在住のアーティスト。
それぞれ中々日本で作品をまとめて観る機会はなく、僕もよく知らない作家たちでした。
特にアンロは全くわからず、近所だからという理由だけで何の期待もなく、むしろトム・サックス、ジュリアン・オピーと僕的にアウトな展示が続いただけにむしろどうせまた良くないんでしょという態度で行ったのだけど、結構良かった。
(次の白髪さんは期待してます)
まず、最初の「革命家でありながら、花を愛することは可能か」という作品は、文学のタイトルと生花を組み合わせた作品で、生花を草月流の人たちに任せてるのが面白い。
アンロはお題目を選んで、華道家たちがそれに応えるという形。
それぞれ確かに面白くて、それにしてもこの花たちは会期中どうなるのかしらと思いきや何と草月流の方々が毎朝来てメンテナンスしてるんだとか!なんて作品!
そんな花々の展示を見終えるとドローイング。これはちょっと僕的にはなかった。。。
その先の「青い狐」というインスタレーションが素晴らしかった。
無秩序なのかと思いきや、4つの壁はそれぞれライプニッツの四つの原理がそれぞれ割り当てられるらしいのだけど、結局よくわからなかった笑
そして映像「偉大なる疲労」は、国立スミソニアン博物館とパフォーマンスアーティストのアクウェテイ・オラカ・テテーによって紡がれる宇宙史とも言える壮大な物語。気づいたら全編通して見てました。
何だろう、何がいいとか具体的に言えないんだけど、圧倒的な空間の使い方のうまさ。
そしてそれはフィリップ・パレノもそうで、この展示ほどワタリウムの空間が美しく見えた展示は未だかつてなかった。
個人的に、マリオ・ボッタの作ったこの建物は美術館としてほぼアウトなんだけど、今回彼の作品が置かれることで、気づかなかった建築のディテールに気づかされました。
作品自体は、もう謎だらけで良くわからないんだけど、その作品たちがあることで空間が生き生きと呼吸してる感じがして、とても清々しかった。
氷の雪だるまは僕が行った時は溶けてなかったのだけど、その残骸みたいなのも味があって良かった。
どの作品も以上も以下もなく収まっていて、とにかくいい。
フランスの作家ってこういう空間の使い方ホントうまいですよね。
ソフィ・カルもダニエル・ビュレンもそうだけど。
いつかピエール・ユイグの大きな展覧会も見てみたいなぁ。
あまり感想になってないけど、巧みな空間的アプローチを観たい人は必見の展覧会です。

カミーユ・アンロ「蛇を踏む」@ 東京オペラシティアートギャラリー -12/15
フィリップ・パレーノ展 オブジェが語りはじめると @ ワタリウム美術館 -2020/3/22

ちなみにオペラシティは上の李禹煥も見応えがあります。
そして今回カミーユ・アンロのカタログがすごすぎる。。。
展覧会というか「青い狐」のドキュメントなんだけど、めっちゃ凝ってる!
思わず買ってしまいました。。。店でご覧いただけます。
パレノの方は今回カタログないらしい。残念。

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あいちトリエンナーレ2019 ④ 豊田市、まとめ

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最終日は豊田市。
僕はのんびり名古屋でモーニングを食べたかったのだけど、一緒だった友人が「ホー・ツーニェンの作品が9時から並ばないと観れない」ということで9時から豊田へ。(ちなみにモーニングは6時半に起きて7時から無理やり食べに行きました。美味。)

このツーニェンの作品が展示されているのが「喜楽亭」という元旅館。
着いたらすでに10人ほど並んでいました。ツワモノ。。。
もうずっと喜楽亭がすごいという話を聞いていたのでこの作品は見逃すわけにはいかなかった。
10時になって開場。なんと津田さんも様子を見に来られてました。
後ろを振り向くと長蛇の列。。。朝早く並んでおいて良かった。。。

中では全部で6つの映像を見るんだけど、それぞれ12分ずつなので、終わる度に次に行く感じでよくできた構成だなぁと思いました。
内容はこの旅館に泊まっていた特攻隊の若者から、「神風」という言葉、そして軍歌など、映像ごとに通底したテーマがあるのだけれど、ベースになる映像は小津安二郎と横山隆一。彼らが国家の求めに応じ戦意高揚を目的とした映画やアニメを作ったことが語られ、京都学派の言説なんかも出てくるとても複雑な物語がこの旅館全体で綴られます。
詳しい説明はREAL KYOTOの記事に任せます。こちら
旅館全体を使って物語化していく様はとてもうまいなぁと思いつつ、期待してたほどではなかったかな。。。
まあ、観られて良かったとは思います。
外に出たらさらにすごい行列で、こんなのに並んでたら他のが観られない。。。
行列を後にして豊田市美術館へ。

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豊田市美術館も名古屋市美術館同様あまり観るべきものがなかった。。。
同時にやってるクリムト展の最終日と重なって館内は大混乱でした。
まあ、唯一面白いと思ったのは社会主義彫刻、絵画を扱ったレニエール・レイバ・ノボぐらい。
30分もいなかった気がするけど次へ。。。


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高嶺格さんのこれ。もうすごすぎ笑
有無を言わさぬインパクトでやられました。
高嶺さんって美術館の外から出ると急に面白くなるよね。
この旧豊田東高校はこの後取り壊され、坂茂による建築ができるとのこと。

後、街中はいくつかあるけどこれといって感動できるものはなかった。
小田原のどかの作品は少し期待してたけど、ものとしての説得力がない。
今回コンテキストベースの作品が多いけれど、それに見合うビジュアルを獲得できてない作品がいくつか見受けられて少し残念だった。


さてさて、やっとまとめ。ってまとめられないけどつらつらと思うこと。
今回のあいちトリエンナーレ、展覧会として総じてよかった。とても良かった。
騒動抜きにして本当に素晴らしいテーマとキュレーション。
このトリエンナーレ、始まった当初は1回で終わると思ってたけど、もう4回目。
そして今回津田さんがディレクターに決まった時点で絶対面白くなる!と大きく期待してました。
その期待はもうすでに開幕前から叶えられてて、それは何と言ってもまず彼が今回の展覧会をジェンダーフリーにすると宣言して、作家の男女比を半分半分にしたこと。
とっても情けない話だけど、これだけのことが今まで実現できてなかった美術界。
このことで、なんと美術業界から「女に高下駄を履かせるのか」とか「質が落ちる」なんて馬鹿げた発言もあって、それを津田さんは「今まで男が履いてた高下駄を脱いでもらいます」と一蹴。格好良すぎる。
リベラルなはずの美術業界ですら男中心の古すぎる世界。うんざりです。
この一石のおかげで美術手帖でも「ジェンダーフリーは可能か?」という特集も組まれて、今までなんとなくわかってはいたけど、改めて向き合うきっかけになりました。
このことで美術業界から「一生分の罵倒」を浴びたそうですが、美術界の外の人だからこそできたことかもしれません。情けないですが。
しかしその後一生どころか何十生分の罵倒を浴びることになろうとは。。。

開幕後の騒動はいうまでもなく、何と言っても展覧会は終わりましたが、まだ文化庁の助成金不交付問題はまだ終わっていません。
これは本当にまずい事態だと思います。
案の定その後、文化庁は「公益性の観点で不適当なら助成金は不交付」という条件をつけ、映画「宮本から君へ」にピエール瀧が出てたという理由だけで不交付を決定しました。

文科省外郭団体「公益性の観点で不適当なら助成金は不交付」
映画『宮本から君へ』の助成取り消し、交付要綱も改正。プロデューサーは「文化芸術にとって由々しき事態」と怒り

この国は本当に地に堕ちましたね。
これでは文化が死んでしまいます。
国家にとって都合のいい作品だけが残る。
まさにツーニェンの作品の世界。
にしても文化庁長官の宮田良平自身が作家であり元東京藝大の学長ってのがもう皮肉しかない。
まあ、彼の作品観てたら然もありなんで、失望も何もないけど本当にゴミ。

この展覧会は、大きな功罪を残しました。パンドラの箱を開けたという言い方もできましょう。
ここまで社会と美術が激突したのは「千円札裁判」以来かもしれません。事態はさらに深刻ですが。
この「不自由」と闘うためにも是非とも記録に残して欲しい。
今回不交付となったことで、カタログを作れないという話を聞きました。
クラウドファンディングでもなんでもいいから絶対に作って欲しい。見返りはいりません。
それだけ時代のマイルストーンとなる展覧会の枠を超えた出来事として残さなくては。
そして、大村県知事も最後に宣言してくれましたが、なんとしてでも次回のあいちトリエンナーレ2022を実現して欲しい。
課題は山積み。
何ができるか表現に関わる全ての人々が考えなければなりません。
この展覧会を通して、本当にいろんなことを考えました。
ひとまず会期を全うし、最終日には全ての作品を見られる状態に戻してくれたこと、関係者の方々には感謝しかありません。
お疲れ様でした。そしてありがとう。


最後に大村県知事の会見を貼っておきます。素晴らしい演説。一生忘れたくない。
この騒動で唯一の救いでした。


あいちトリエンナーレ2019 ③ 田中功起、小泉明朗

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田中功起「抽象・家族」。
僕の中でこの作品は今回のあいちトリエンナーレのベスト作品。
この作品観られただけでも愛知に来た甲斐がありました。
正直田中さんは前の水戸芸術館の展示で相当失望しちゃったし、今回の展示ボイコットもかなり疑問で、それはそのことで最も被害を被るのが観客だからです。
なのに田中さんはそれに追い打ちをかけるような発言をTwitterでしていました。



この発言を観た時、なんて傲慢なんだろうと思いました。
ただでも観客は「観る機会」を奪われてるのに、そこをさらに責めるの?まじで?
責めるべきは他にたくさんいるだろう。
観客が責められる筋合いはこれっぽっちもないだろう。
と。

エキソニモの発言が個人的には最もしっくりきます。



そう、作家なら態度じゃなくて、作品で示せよと思う。
いい作品というのは総じて作家の態度がそのまま作品に反映されてる。
僕は「態度が形になるとき」が観たいんです。
それを「観せない」というのは如何なものかと。

なので最後の最後に皆が展示再開に至ったことは本当に良かった。
そして、もし展示が閉ざされていて、田中さんの作品が観れなかったとしたら、僕の中でこのトリエンナーレの印象は大きく損なわれていたと思う。
それほどに今回の田中さんの作品は素晴らしかった。
あのヴェニスの感動が再び蘇りました。
そう、あの時のタイトルにも「抽象」が入っていました。
田中さんの作品においてこの「抽象」というのが重要な気がします。
以前の水戸の作品はあまりに「具体」すぎました。あれでは田中さんの魅力が発揮できない。
そして今回大きく扱われてるのが「家族」です。
これまで田中さんが描いてきた「関係」の究極という感じがして震えました。
そして実際見事なインスタレーション。

このインスタレーションは三つの映像を軸としています。
この映像には4人の「ハーフ」と呼ばれる人たちが登場して、彼らが共同生活を送りながら、その成果物として4人で抽象画を描いてもらうという過程が映されています。
会場にはその抽象画がたくさん展示されていて、その中を観客が自由に過ごすんですが、この観客たちの開放感がとってもいいんですよね。
流石に展示がうまいなぁと思うんですが、本当に自由度の高い空間に仕上がってる。
映像の前には座り心地のいい椅子が置かれていて、ゆっくり観ることもできるし、映像の間をすり抜けることもできる、非常に緩い空間構成。
全ての行動がここでは肯定されていて、本当に清々しかったし、いつまでもここにいたいと思わせてくれました。
そして映像。
その4人の生い立ちや「ハーフ」だからこそ背負ってきた苦労が共有されていき、まるで家族のように過ごすんですが、もうこの感覚って坂元裕二のドラマ好きには堪らないと思います。
家族も故郷も自分で獲得していくものだと思うんですよね。
血の繋がりだけが家族じゃないし、生まれ育った場所が無条件に故郷になるわけじゃない。
田中功起自身が語る家族観に「たまたまそこに空いてる席があったから座っただけ」みたいな言葉があったけど、もうわかり過ぎて辛い。
自分も親と確執とかほとんどないけど、子供の頃から「たまたま居合わせた他人」以上に思えなくて。
昔「世にも奇妙な物語」でやってた「レンタル家族」って話があって、実は本当の親は物心つく前に事故で死んでて、その遺言と遺産に従って、息子が20歳になるまでの契約で「レンタル家族」を雇って、20歳の誕生日に家に帰ったらバースデーケーキと契約満了の紙が置かれてるっていうめっちゃ怖い話なんだけど、僕はそれを信じちゃったんですよね笑
今もその感覚が消えなくて、大人になったら家族なんて解散するものだと思ってた。
その感覚がまさにこの作品に落とし込まれていて、沁み方がどうしようもなかった。
こんなこと思っててもいいんだ、と肯定してもらえた気がして本当に感動しました。
あとちょうどポール・オースターの「孤独の発明」を読んでいて、そこには彼のお父さんが亡くなった時の話が書かれていて、結局最後までわからない人だったことが延々と綴られるんだけど、本当に家族って近くて遠い他人だよなぁとつくづく思ってしまう。
この作品は本当に色んな広がりがあって、生涯忘れられない作品だと思います。
本当に観られて良かった。


あと、この日は小泉明朗さんの新作「縛られたプロメテウス」を鑑賞しました。
毎回15人程度の定員制で、VRを使った作品。
これは先日無人島プロダクションで見たようなものを想像しいたのだけどちょっと違った。
もう終わったのでネタバレしてしまうけれど、最初の30分はVR装置を装着して、ナレーションを聞きながら抽象的な映像を味わうんだけど、後半はバックヤードみたいなところに移動して、目の前にあるテレビを観ていたらALSの車椅子に乗った男性が現れ、彼がALSになった経緯を話すんだけど、それはさっきまで聞いてたナレーション通りで、そのナレーションは彼の発言をなぞっていただけのことがわかる。
そして、カーテンが開くと、その後に入ったグループがVR装置を付けながら彷徨う様が現れる。
僕らのグループもその前のグループに見られていたというわけ。
僕らは知らない間にパフォーマーになっていたということ、なんだけど、なんか安易だなぁと思ってしまいました。
僕はてっきり無人島で見た「サクリファイス」のようなものを期待していたので、VR体験も普通の不思議体験になっちゃってたし、僕は「サクリファイス」を体験した時に、小泉さんが今まで映像の中で人々にさせていた「憑依」を自然な形で観客にさせてしまったということに衝撃を受け、感動したのだけど、今回はまた今までの小泉さんの作品の領域を出てない感じで少しがっかりでした。
この表と裏みたいなのって前にも森美術館でやってたしね。
とはいえこの作品を体験するために最終日にしたので、そのおかげで全ての再開した作品も観れたので感謝といえば感謝。
今後の小泉さんの作品、期待してます!


つづく。

あいちトリエンナーレ2019 ② 愛知芸術文化センター

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愛知芸術文化センター。
何と言ってもウーゴ・ロンディノーネに救われる。
彼も当初不自由展の中止を受けて展示延期を訴えたけど、説得の末なんとか展示継続してもらって、これがあるのとないのとでは全体の雰囲気が大きく変わるぐらいのインパクト。
今回やはり政治的な作品が大きくフィーチャーされがちだけれど、彼のカラフルなピエロたちが各々寛ぐ空間に入るととってもスカッとするんですよね。
もちろんピエロって時点でいろんな意味を含んでるんだけれど、それも含めて今回のテーマ「情の時代」にぴったり合うし、メインビジュアルになるのもわかる。
彼の作品そこまで好きじゃないんだけど、前の横トリの時もそうだけど、メインビジュアルになりやすいキャッチーな形態を取りながら、人間の深い感情にも潜り込んでくる感じはすごいなぁと。
この作品は写真で観るよりすごかった。観客が各々楽しんでる雰囲気もとても良かった。

他にもアンナ・ヴィットの作り笑いを1時間継続させる映像や、dividual inc.の遺書を書いてもらう作品など、「情の時代」というテーマがすんなり染み込んでくる作品群で物凄くよくできたキュレーションだな、と感心しました。

中でもタニア・ブルゲラ。
今回の騒動を受けて、展示ボイコットを早急に訴えた作家の中でも特に強い印象を持ちました。
その理由はこのインタビューを読むとよくわかります。
彼女の国キューバで行われてる「検閲」がいかに酷いものか。僕も衝撃でした。

タニア・ブルゲラ、小泉明郎「「表現の自由を守る」・その後」

そんな彼女の作品も無事展示再開されて、実際体験することができました。
メンソールが充満した部屋で、強制的に涙を流させるという作品で、本当にすごかった。
まあ、フロア全体にかすかにその匂いが充満してたのはどうかと思ったけど笑
彼女の作品は「視覚」に頼ることなく、嗅覚的刺激のみで物凄く深いところまで到達していて本当にすごい。
それまで彼女のことよく知らなかったけど、昨年のテートモダンのタービンホールをやってたんですね。
どこかドリス・サルセドに通づるものがあるなぁと。
次のヒロシマ賞あたりとって個展が観たいなと思いました。


そして途中退場して不自由展。
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最後の1週間ほど展示が再開され、毎回抽選で入れる人を決めます。
その際身分証明書の提示と同意書に署名が求められる厳重っぷり。
それにしてもすごい人。。。
一応並びましたがちゃんと落選でした笑
ここまできたら観たかったけど仕方ない。
それにしても本当によく再開できたよなぁと改めて関係者たちの努力に頭が下がる。
正直最終日にはほとんどの作品が観られなくなってるんじゃないかと半分諦めてたんですが。
ところで半分閉じられた不自由展の入り口、めちゃ神秘的笑


ここからは観られなかった負け惜しみでもなんでもないんだけど、この「表現の不自由・その後」、僕は最初から懐疑的でした。
この展示は開幕直前まで周知されてなくて、プレオープン時に僕は確かTwitterか何かで知って、とても不穏な空気を感じたのを覚えています。
正直これトリエンナーレに必要?と思いました。
まずそもそもこれキュレーションというべきものが何もない。
そう、展覧会内展覧会にしても展覧会としての質が全くないんです。
ただ「検閲を受けた作品を集めました」というだけ。
これなら博物館の陳列に近い。
そして問題になった少女像。
ここまで日韓関係が冷え切った中で騒動を巻き起こすことは自明だし、作者の意図なんてその前ではなんの力も無くなるんだろうなぁと。
僕は後にも書くけど、津田さんがディレクターに決まった時点でこのトリエンナーレは今までとは違ったものになると確信していたし、開幕前からとても楽しみにしていただけに、あの少女像を見た時点で、あれ、これ自分が見たかったものじゃないな、と思ってしまったのが正直なところです。
そして案の定あの結果。
僕ですら「炎上商法じゃないの?」と思ってしまいました。
僕は嫌韓なんてこれっぽっちもないけれど、あの少女像はとっても不快なんですよね。
あの像に色んなものを押し付けて背負わせてる感じがとても気味が悪い。
これをもって「表現の自由」って言われてもと思ってしまう。
「表現の自由」と聞いて思い出すのが2015年パリで起きたシャルリ・エブド事件。
アッラーを嘲笑うような風刺画を表紙にした雑誌社がイスラム過激派に襲撃され、「表現の自由」を巡り大きなデモになりました。
でも僕はそんなの「表現の自由」ではなくただの暴力だろうと思いました。
誰かが強く信じているものを揶揄するものを「表現」という名前で呼んでほしくない。
それと今回は少し違うけれど、あの少女像はその表象だけで少なくない人たちを不快にさせる力があるんです。
まあ、不快にさせるだけならいいんだけど、今回そのバイアスを払拭できるだけの力が作品にあったのか。
僕は実際観てないのであまり強くは言えないけれど、でもやっぱりなかったよねぇと。
要は作品の質の問題なんです。
その他にも大浦信行氏の「遠近を抱えてPart2」やChim↑Pom「 気合い100連発」等悪い意味で話題になっちゃったけど、特に後者の「 気合い100連発」は本当に好きな作品なので、個人的に大きな「分断」を感じました。
にしても皆ちゃんと観てもないのによくもまああそこまで好き勝手言えるよなぁと半分感心。
「放射能最高!」を「放射能最高!」ととっちゃうなんて馬鹿丸出し。
リテラシーって言葉も知らないんだろうなぁ。。。だからすぐフェイクニュースにも飛びついちゃうんだよね。
あんなに震災に対する悔しさや苛立ち、悲しみや怒りを表した作品を僕は知らない。
彼らはあの震災直後の反応がすごすぎて、その後の作品がパッとしないけれど、それにしてもあれらの作品たちは本当に一級品です。
再来年、彼らの大きな展覧会が森美術館であるけど、どこまで展示されるんだろう。
また「検閲」が行われそうで、僕らはそこをしっかり見届けなくてなりません。

つづく。

あいちトリエンナーレ2019 ① 名古屋市美術館、四街道・円頓寺エリア

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満を持しまくってあいちトリエンナーレへ。
言うまでもなく今年アート界の台風の目となってしまった展覧会です。
その辺は美術手帖さんが会期中に50以上も記事にしてるので詳しく知りたい方はこちら
あとは津田さん自身のインタビュー。これは長いけど読むべき。衝撃。

あいちトリエンナーレ津田大介芸術監督インタビュー

そして最終日間際になって本物の台風まで来てしまいました。。。
愛知入り、かなり遅くなって全部は見れないだろうなぁと絶望的な気分で眠りについたのが13日深夜。
なぜか3時間ぐらいで目が覚めてしまい、なんとなく交通情報を見るとなんと新幹線朝から動いてる!
と言うことでそのまま起きて名古屋へ!
新宿まで来たらJR在来線は止まってたけど挫けず丸ノ内線で東京駅へ。
新幹線は動いてるのに在来線止まってるの不思議。。。
とはいえなんとか午前中に名古屋入りできて、ホームできしめん食って、まずは名古屋市美術館へ。

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正直30分ほどで観終わってしまった。。。
唯一見応えがあったのは藤井光の映像。
戦時中、日本の植民地で行われていた「日本教育」を、今日本に住んでる移民の人々に実践してもらう映像で、観ていて本当に不快なんだけど、今回のトリエンナーレを体現しているように思えて。
「不快なものに税金を使うな」という言論が今回とても印象的で、あぁ、まだ人々は「美」術を信じてるんだなぁと絶望的な気分になったんだけど、まさにその人たちにとってこの映像なんかは格好の標的になり得ただろうなぁと。
でもね、観たいものだけを観てたら本当に視野って狭くなるんですよね。
特に現代アートを観る最大のメリットって不快なものも見せてくれるところにあると思うんですよね。
不快な現実を直視するのは辛いけれど、それを作品に昇華して観せてくれるんだからこれほど親切なことはないと思うし、それで世界は大きく広がるんですよ。
まあ、大半の人には響かないんだろうけど、少なくとも僕はそこに救われたので。
この作品も一時閉鎖になってたそうだけれど、最後になって再開して本当に良かった。
モニカ・メイヤーの作品とか全然好きじゃないけど、「展示再開」の文字を観ると胸が熱くなりました。
この辺の今回明らかになった「分断」はこの記事が一番的を得ているかと。

「あいトリ」騒動は「芸術は自由に見ていい」教育の末路かもしれない


続いて円頓寺エリア、の前に途中の長者町にある大山エンリコイサム。すごかった。
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で、円頓寺エリア。
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まずは伊藤家住宅。
もう会場がすごすぎる。なんだこの素晴らしすぎる家は。
その中でも蔵を使った岩崎貴宏の作品がすごかった。
このエリアで最も印象に残ったのは葛宇路の作品。
嘘から出た誠とも言うべきドキュメンタリーで、彼の名前「葛宇路」で標識を無許可で名もなき道(北京には無名の道が多いらしい)に掲示したら、マップにこの名前で登録され、当局もしばらく気づかなかったらしい。
この作品確かにすごいけど、彼は今後どんな作品を作るのか興味深いです。
にしても細々と会場が多く、夏に来なくて良かった。。。と思った。
キュンチョメは混みすぎて見れず。
このエリアと愛知芸術文化センターとつなぐシャトルカーが30分おきに出てるんだけど、一回に3人までしか乗れず要予約で、ダメ元で行ってみたら予約してた人が来なくて奇跡的に乗れた!助かったー。。。
そしてメイン会場愛知芸術センターへ。

つづく。

バスキア「MADE IN JAPAN」@ 森アーツセンター

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話題のバスキア展へ。
こんなに有名な作家なのにここまで大きな日本の美術館での個展ってそうそうない。
僕も実際にバスキアの絵をちゃんと観るのは初めてでとても楽しみにしてた展覧会。
PENのバスキア特集で予習したりして臨みました。
が、そこまで感動はなかった。。。
以前シュナーベルが撮ったバスキアの映画とかも観てたので、描いてるところがそのまま立ち現れるような臨場感があったのだけど、正直彼の絵とどう向き合っていいのやら。。。
そもそもウォーホルもキースも自分は苦手。
やっぱ僕は抽象的な表現じゃないと入ってこないというのがあると思います。
もちろんバスキアにも抽象性はあるんだけど、どうしても冠やら骸骨やらが邪魔をする。
むしろ最後に展示されてた文字だけのやつとかが一番良かったかも。
彼の文字ってとても人柄が表れてて好きなんですよね。
最近大山エンリコイサムの「アゲインスト・リテラシー」を読んで、そこにグラフィティのことが色々書かれてるんだけど、中でも「識字リテラシー」と「文脈リテラシー」という言葉が印象的で、前者はグラフィティの単純に読み方で後者はその意味するところ。
バスキアの場合はSAMO時代から培った複雑な「文脈リテラシー」が最大限生かされてると思う。
正直ちょっと何言ってるかわからないって感じの文章がそこかしこに書かれていて、それがとてもミステリアスだし、バスキアの「識字リテラシー」の美しさもあってそこは本当に魅力的。
特に100YEN 200YEN 300YEN、、、と書き連ねてるだけの作品がとても良かった。
あと日本語が出てきたりするのも興味深かった。
ただね、やっぱ絵画としてのダイナミズムがそれだけでは弱いんですよねぇ。
文字を使ってるという点でよくサイ・トゥオンブリーの名前が出てくるけど、やっぱトゥオンブリーの絵画画面の強さって異常で、それはあの圧倒的な絵の具の存在感にあると思います。
バスキアはどっちかというとイラストなんですよね。
画集でわかっちゃうというか、実際観てもそこまで印象変わらないというか。
トゥオンブリーの絵画はもう現物の強さがすごすぎて画集では全然伝わらない。
フィラデルフィア美術館で観たトゥオンブリールームはいまだに忘れられない。。。
そんなこんなで、とりあえず現物観れたのは良かった、ぐらいの展覧会でした。
とはいえこんな機会本当にそうそうないので少しでも興味のある人は行った方がいいですよー。
もう作品が高騰しすぎてセキュリティチェックとか中々厳しかったです。
かの前澤さんが123億で買った絵も展示されてます。11/17まで。こちら

そしてちょうど今六本木のアートコンプレックスがアツいです。
僕が観たのは以下。

ホンマタカシ@ TARO NASU
グレゴール・シュナイダー@ WAKO
シュテファン・バルケンホール@小山登美夫
戸谷成雄@ ShugoArts
法貴信也@タカイシイ

どれも素晴らしかった!

ホンマタカシは特に好きでもないんだけど、今回の作品はコルビュジエの建築の窓を撮った作品で、すごく新鮮な建築の眼差し。そしてとてもリアルな眼差しでもあって、生活者としての視線というか、体温のある建築写真という感じでとても良かった。

グレゴール・シュナイダーは先日お客さんでドクメンタで彼の作品を体験してその体験が忘れられないと聞いてから気になりまくってる作家。名前はなんとなく聞いたことあったけど、そこまで気にしてなかったので今回実際ギャラリーで鑑賞してとても興味深かった。
以下ギャラリーのサイトから直接引用。

本個展は、ナチス・ドイツの国民啓蒙宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッペルスが実際に生まれた生家で、2014年にシュナイダーが行ったプロジェクトを、立体作品や映像作品によるインスタレーション構成で展示する試みです。同年にワルシャワのザヘンタ国立美術館とベルリンのフォルクスビューネ劇場とで『UNSUBSCRIBE』展として公開されましたが、それ以降は展示されることがなく、本個展で5年ぶりに、アジアでは初めて公開いたします。このプロジェクトは、自らの出生地の近隣にかつてゲッペルスが暮らした家があり、かつ現存している事実を知った作家が家を買取り、家財や目録を丁寧に調べ上げ、そして建物の内部を徹底的に破壊し残骸を廃棄するまでを一連の流れとします。ゲッペルスが去った後、この家屋の歴史が公になることは今までに殆どありませんでした。戦後から約75年間、ゲッペルス一族ではない人々が暮らしながら一般の家として街の中に存在し続けています。

内容からもとても不気味な作品群で、一つ一つのピースが具体的にどういう意味を持つのかまではわからなかったんだけど、断片的に伝わってくる不気味さみたいなのがすごかった。
引用にもある元になった展覧会のカタログを買いました。
神戸で今大規模なグレゴール・シュナイダーの展示をしてるので、観に行くつもりなかったけど行く気満々。楽しみ。

バルケンホールと戸谷成雄が同時にやってるのはアツい。
どっちも木を使った作品だけど、表現方法が全然違うけど、どちらも素晴らしい作品群。
バルケンホールは台座と人物が一体となって、アンソニー・カロ以来の彫刻と台座の関係を考えさせられました。
戸谷さんの作品も今までのような森のような作品ではなく、もはや塊といっていいほどぶっきらぼうな彫刻で、ものすごくかっこよかった。前半の大きなのも後半の小さなのも一つ一つの密度が素晴らしいバランスで感動。

法貴さんの作品は、これまでスッキリした印象だったのに、今回はかなりヌメッとしてるというか、正直「汚い」とすら思ってしまって、それもそのはず今回の作品のテーマの一つが「汚れ」だったから。
「汚れ」をテーマに絵画を描くなんて聞いたことないのでとても面白い主題だとは思うのだけど、絵画として全く気分のいいものではないので、もっと改良の余地があって楽しみな作品。

といった感じ。
バルケンホールが明日(10/5)までなので是非この5つは観て欲しいところ!
森美では塩田千春もやってるし、新美では「話しているのは誰?」もやってるので併せたらかなりのボリュームですが、どれも見逃せない展覧会ばかり!

大垣美穂子「immortal moment」@ KEN NAKAHASHI / 手塚愛子「Dear Oblivion 親愛なる忘却へ」@ スパイラルガーデン

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昨年東京に出てきてすぐに初めて行ったKEN NAKAHASHI。
真っ暗な中にプラネタリウムのように光る空間。
光源は床に転がった人型の中から発せられてて、それが大垣美穂子の彫刻でした。
そこからこのギャラリーは展示が変わる度にほぼ通わせてもらってるお気に入りのギャラリー。
そんな大垣美穂子の個展がまた開催中です。
正直前述の彫刻にはあまり感心しませんでした。
その光の演出に心打たれることがなかったんですよね。
今回はどうだろうと思いつつ行ったのですが、今回は彫刻ではなくペインティング。
これがものすごく良かった。泣きそうになった。

去る3月、大垣さんのパートナーで、当時KEN NAKAHASHIで個展を開催中だった佐藤雅晴さんがこの世を去りました。
ずっと闘病生活を共にした大垣さん。
その個展の為に佐藤さんが絵を描き始める同じタイミングで大垣さんも絵を描き始めたそうです。
アクリル絵具で打たれた無数の点。
前回の彫刻と通づる部分はあるのですが、この点の一つ一つが物凄い覚悟を持って打たれてるように感じられて、心が動きました。
まるであらゆる感情をその点に込めてるような。
祈りのようでもあり、写経のようでもあり、瞑想のようでもあり、とても神聖なものを感じました。
あまり作家の背景と作品をごっちゃにしてしまうのは良くないと思いつつも、こうした繰り返しの作業を続けることで、大垣さんは自分を保っていたのではないかな、と想像してしまいました。
これまでも生と死をテーマに作品を作ってきた大垣さんだからこそ、この作業は本当に重い。
しかし出来上がった作品が悲しいほど美しいんですよ。
特に上の写真の馬の作品。崇高でした。
他にも手を描いた2点もものすごく感動させるものがありました。
線ではなく点で描かれたそれらのモチーフは、まるで生と死のあわいを描いているようでもあります。
そのまま点が解けて輪郭を失ってしまいそうな危ういモチーフたち。
それでも踏ん張って輪郭を保っている。
途方もないエネルギーを持った作品群です。ぜひ。9/21まで。詳しくはこちら



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続いてベルリン在住の手塚愛子さんの展覧会。
現在東京2箇所とドイツで同時開催中。
そのうちスパイラルの個展とMA2ギャラリーの個展に行ってきました。
スパイラルは2007年の展示以来で、当時の作品は実際には観てないのですが、吹き抜け空間をフルに使った大きな作品で、写真で見てとても印象的でした。
またあの大空間をどう使うのか楽しみにしていました。
行ったらちょうどアーティストトーク中で手塚さんが今回の展覧会の解説をされてました。
今回の展覧会は二つ大きなテーマがあって、一つはレンブラントの「夜警」をテーマにしたものと、もう一つは日本の近代化に着目したもの。
説明はこちらを読んでください。
正直これらの新作で僕はほとんど感動できませんでした。
あまりに背景を重視しすぎているというか、これまでの手塚さんの仕事が孕んでいた普遍性が失われている気がしてとても残念でした。
今回他にもこれまでのように織を解体したものがいくつか展示されてましたが、これがとてもいい。
無名の織物が解体されることで新たな生命を吹き込まれる様はとても美しく、今回のように改めて布を一から製作して解体するのとはコンテキストが全く違ってくると思います。
MA2の方もほとんどスパイラルと変わりないですが、オーガンジーの作品は良かったです。
とはいえ日本で手塚さんのこれほど大きな展示があるのは稀なので、ぜひ足を運んでみてください。
スパイラルは9/18まで。MA2は9/27までです。


この日はさらにスパイラルの近所の渋谷ストリームとワタリウムへ。
店のお客様でジュエリー作家のお二人がそれぞれ展示販売をされていました。
一人は「ててて」という展示会にて、itiitiというブランドを展開している田中典子さん。
下の写真のジュエリーなのですが、なんとい草でできてます!
熊本で製作されていて、熊本ならではのジュエリー。
もう一人はMalaNocheというブランドを展開している中田チサさん。
ワタリウムのon sundaysにて販売中です。
お二方ともそれぞれずっと憧れていた場所での展示だったそうです。
こういう瞬間に立ち会えるのは本当に嬉しい。
お二人ともおめでとうございました。今後のご活躍も楽しみにしております!

itiiti https://www.itiitiitiiti.com
MalaNoche http://malanoche.g.dgdg.jp

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あとついでに、ワタリウム裏にあるpejite青山さんで展示台を購入してしまいました。
以前買った地球儀を置く台をずっと探していたのですが巡り合ってしまった。。。
少し値は張りましたが、こういうのはご縁なので一度逃すと中々出会えないのです。
実際地球儀置いてみると、マジでぴったりサイズでびっくり。
脚の造形が面白いんです。ぜひお店で見てみてください。

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「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」/ クリスチャン・ボルタンスキー展 - Lifetime @ 国立新美術館

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2つの展覧会を観に国立新美術館へ。
1つは「話しているのは誰?」という、文学とアートを手掛かりにしたグループ展。
超絶ハイコンテクストな展示です。

最初の田村友一郎から飛ばしてます。
まず壁にはニューハンプシャー州のナンバープレートが展示されています。
ナンバープレートには州のスローガンである「LIVE FREE OR DIE」というメッセージが書かれていて、山の絵もプリントされています。
この山は地元で「オールド・マン・オブ・ザ・マウンテン」と呼ばれていて、岩の形がおじいさんに見えるとのこと。
更に進むとガラス越しに部屋が見えて、机の上にはファストフード店の模型が置かれている。
また進むと、今度はまたガラス越しに、今回の展示を作るために使った廃材やらダンボールやら、でこぼこのナンバープレートやらが置かれていて、まるで美術館のバックヤードのよう。
またまた進むと天井から吊るされた4台のテレビ画面にCとOが知恵の輪のようにつながったマークがぐるぐる回っていて(このマークは最後まで謎)、その下にはオールがたくさん並び、壁にはコーヒーとミルクとマドラーが写った写真が2枚展示され、それぞれミルクを入れる前と入れてかき混ぜた後の様子。
と、ここまで書き出してみたはいいけれど、全く伝わらないですよね笑
それぞれ「空目」や「聞き間違い」を表してるんだけど、かなり難解。
インスタレーションとしてはとても優れています。

続いてミヤギフトシの作品。
複数の写真と映像、音声で構成されたインスタレーション。
音声は、多分ミヤギさん本人と友人の会話。とても聞き取りづらいので、3つの画面に出てくる英語字幕を手掛かりに聞いてました。
これ、ミヤギさんが今年出した小説「ディスタント」を読んでいった方が理解が深まると思います。
今回の展覧会が文学xアートだったので、まさに自身の文学作品と絡めての展示だったんだろうけど、読んでないと正直なんのこっちゃかもしれません。展示室で読むのはきついけど、「ディスタント」を展示してても良かったんじゃないかな。。。
本の内容にも触れると、沖縄の離島に住んでいた主人公(ミヤギさん?)が、子供時代に双子と仲良くなり、その後本島に渡った主人公はその二人と疎遠になるんだけど、大人になって兄のジョシュに大阪のクラブで再会し一緒に飲んだ後、ジョシュはアメリカへ。主人公もアメリカに留学することになるんだけど結局ジョシュとは会わずじまい。
今回の展示は、当時大阪でジョシュに会った時に使っていたカメラと同じソヴィエト製のレンズで撮影した沖縄の写真と、ジョシュの弟との会話。
大阪でミヤギに会ったジョシュはアメリカに渡る前に沖縄に寄り、公園で弟に自身のセクシャリティをカミングアウトし、それを受けた弟の心情が語られます。
またミヤギは小説を出したことで両親にカミングアウトするべく帰ってきたが、結局原稿を母親に渡すだけで自身の口から言えなかったことを語る。
会話の中でも小説の中でも出てくる、ミヤギと双子3人の思い出の曲、ヴェートーベンの「ピアノソナタ第32番」のレコードが映像から流れ、また別の画面では弟がたどたどしくもその曲を演奏する。
今回は徹底して、自身の物語を紡いでいました。

そして続く小林エリカの展示が圧巻でした。
現在のチェコにあった聖ヨハヒムの谷から展示(物語)は始まります。
ここは銀の採掘で有名で、ここの銀で作られた貨幣は「ヨハヒムスターラー」と呼ばれ、これは現在のアメリカの貨幣ドル(ダラー)の語源だと言われています。
後に採掘場で黒光りする鉱石が採掘されるようになり、採掘場では坑夫達が原因不明の病にかかり、この石は「不幸の石(ビッチブレンド)」と呼ばれることになるが、実はこれはその後ウランと名付けられる物質だった。
このウランを気化させガラスに混ぜると紫外線で緑の蛍光色に発光することから、ヨーロッパ中でこのガラスが大流行するのだけれど、展示室にはそのガラスで作られたドルの形をしたオブジェが展示されています。
更に、ここから周知の通りウランは核爆弾へと使用されていくのだけれど、それとナチス政権下に開催されたベルリンオリンピックと、幻に終わった1940年の東京オリンピックの聖火をたどる物語へとつながっていきます。
聖火リレーは1936年のベルリン大会から採用されていて、この火はプロメテウスの炎の神話から発生しています。
展示では聖火リレーの炎と、プロメテウスの炎、そして人間が手に入れてしまった最大の炎をテーマに物語が丁寧に紡がれていて、展示も本当に美しい素晴らしいインスタレーションとなっています。
惜しむらくは、聖火を待ち望む女たちのイメージをイラストレーションで表現してしまったこと。
このイラストの癖が結構強くて、せっかくの物語のノイズになってしまってました。。。
イラスト、描きたかったのかな。。。
それはともかく今回の展覧会で白眉の展示でした。

その後、豊嶋康子、山城知佳子、北島敬三と続くのですが、最初の3方で繋いできたリレーが完全に断ち切れます。残念極まりない。
多分キュレーターが、このままでは観客が疲れてしまうと危惧したのかと邪推しちゃうほど。
豊嶋さんと北島さんは物語を観客に投げ出しちゃってるし、山城さんに関しては物語を意識しすぎて、超絶中途半端な映画みたいなものを作ってて、あまりに酷いので途中退場しました。無理。
最初の3方のような方向性で最後まで突っ走って欲しかった。他にもいくらでもいい作家いただろうに。
そもそももう田村さんから展示始まってる時点で観客は腹くくりますから。
観客をもっと信じてほしいな、と思いました。
ちなみに自分がキュレーターなら豊嶋さんの代わりに牛島光太郎、山城さんの代わりに荒木悠、北島さんの代わりに木村友紀を、と想像したりして。
とはいえ3方の展示見るだけでも価値はあるのでぜひ。11月11日まで。こちら


さて、ボルタンスキー。
周囲の評判があまりによくなくて、行きたくねー!と思いつつ、まあ観とくべきだろうとのことで、これを観るためだけに国立新美術館まで行くのも嫌なので、上の「話しているのは誰?」展と会期がかぶる8/28-9/2の5日間のうちに行きたかったのです。
で、感想は「そこまで悪くなかった」です。
前回庭園美術館で見た展示があまりにも酷くてもはやブログにも書いてないほどだったので、かなーりハードル低くしてたのが良かったのかも。
とはいえ初っ端の最初期に作られていた映像がとても良かったのです。
ポール・マッカーシーを思わせる超絶気持ち悪い映像で、そのうちの一つ「咳をする男」は咳どころか、口からなんか茶色い液体吐き散らかしてる映像で、驚きなのが1970年に大阪でテレビ放映されたと解説に書いてて、どういう経緯で!?とめっちゃ気になるんですが笑
「なめる男」もキモくて良かった。
とにかく最初期の小作品たちが中々いいのです。
「罠1970/71」という作品の解説が秀逸。

「1968年から72年にかけて、作家はとても孤独な生活を送り、こうした偏執的な作業をやり遂げたのだった。」


何があってんw
とツッコミどころ満載なのですが、こうした無自覚にガムシャラに作ってた時期の作品がとてもいいんです。
その後、大展示室で展開されてる、この作家を一気にスターダムに伸し上げた、写真に照明を当てた祭壇のような作品群「モニュメント」シリーズまでは本当に良かった。
特に配線の処理が本当に上手くて、唸りました。
新聞記事からランダムで死亡写真を選んでるのもすごい。
しかしこの展示室以降の作品はもはや惰性です。
「孤独な生活」からの跳ね返りなのか、もう自意識半端ない。
解説に一切触れられてないんだけど、「アニミタス(白)」の映像の前にある紙丸めたやつ何なの?
友達と自慰行為の産物かな?とか言ってたんだけどそれだったらすごい。キモいけど。
他は一切特筆すべき作品がないです。
作家の高田冬彦氏が呟いてたツイートがまさに言い当ててる気がします。



こないだの塩田千春展もそうなんだけど、空間が大きいとどうしてもスペクタクルを要求されますよね。
作家自身が作っているのか空間に作らされてるのか。
難しいけど、そこをブレずに作るのは確かに至難の業かもしれません。
まあでも見たことなかった初期作品を見られたので良かったです。


ちなみに順序としては、ボルタンスキーを先に見てたんだけど、この二つの展覧会の差がすごくて、改めて現代美術の奥深さを思い知りましたw

「美学校クロニクル1969-2019 51年目の現在」 @ 美学校

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みなさん、美学校って知ってますか?
僕もぼんやり名前を知ってるぐらいだったのですが、最近美学校出身者(講師は会田誠!)と知り合って、なんとなく興味が湧いてきて、そしたらちょうどが出てるってんで買ってみたわけです。

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僕の認識だと、Bゼミに並んで日本近現代美術史に出て来る歴史上の学校だったのですが、なんとまだ現役!今年で創立50周年という恐ろしい事実が!
本もその50周年を記念しての発行で、なんとその美学校で50周年記念展示をやってるとのこと。
こんな機会でもないとそんなとこ行けないので、行ってきました神保町。
そこは令和とは思えない昭和空間www

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やー、すごかった!ものすごく興奮しました!
なんてったって50年ですよ。歴史の厚みがすごい!
美学校のロゴは赤瀬川原平。
創立時の案内に書いてある講師陣の豪華さが異常。
中西夏之、赤瀬川原平、松沢宥、中村宏、菊畑茂久馬、小杉武久、澁澤龍彦、唐十郎、瀧口修造、土方巽、、、
嘘みたいな本当の話。
赤瀬川さんも捨てがたいけど、松沢宥の授業は受けてみたかったなぁ。。。
本にはこれらの講師陣の貴重な授業の様子などが書かれています。

「澁澤龍彦さんはすごい人気でした。当時はマイクを使わない上、ほとんど聞き取れない蚊の泣くような小さな声でしゃべるので、一生懸命耳を澄まさないと何を言っているのかわからないというような授業でした。それと、どの先生の時もそうですが、横にサントリーレッドとかのウイスキーとちっちゃいグラスが置いてあるんです。先生もだいたい緊張しているので、それを飲みながら話していました。特に澁澤先生は緊張しているように見えました。」

「(土方巽先生の授業は)1回か2回あったと思います。すごく面白い授業で、着流しみたいな格好で座って、わけがわからんことをおっしゃっていました。いまでも覚えているのは藁半紙を七輪でさっさと炙って醤油をつけて食べるんだって言っていて、ああそうですか、と思いました。そんな感じの授業でした。1回休講になったことがありましたけど、「今日は脳の調子が悪いので休講します。」というお知らせがあって、本人がその通りおっしゃったんでしょうけれど、ちょっと不思議な人でした。」

「美学校1969-2019 自由と実験のアカデメイア」 P122より


なんの脚色もなくこんな感じだったんだろうなぁと想像します笑
この美学校は、こうした現役の作家たちが教えてることが何と言っても特徴的。
そして、「美術学校」ではなく「美学校」であることも。
もちろん技術も教えるけれど、ここではもっと精神的な部分を教えて来る場なんだろうな、と想像します。
本当に豊かな空気が流れていました。
会期は8/25とこの記事上げてる当日までですが、間に合う人はぜひ!
歴史の空間に居られるだけで幸せでした。いけてよかった!
ちなみに廊下にあった美術手帖の蔵書はうちの店が勝ってましたw


ところで神保町。
学校のある場所もいいよなーと思う。
何と言っても古書店がひしめき合い、レコード屋もたくさん。
ディスクユニオンに行ったらずっと欲しかったMax Richterの「SLEEP」が売ってた!
しかもやすい!即買い!
これはトータル8時間に及ぶ壮大な音楽で、タイトルの通り、睡眠時に聞く音楽。
買ってから本当にこれかけながら寝てます。幸せ。
古本の収穫はなしでした。

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大山エンリコイサム個展「VIRAL」 @ 中村キース・へリング美術館

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山の日に山梨へ初訪。
久々の18きっぷ。
下諏訪ー上諏訪ー小渕沢ー甲府の旅。

下諏訪と甲府では建築を。
山梨文化会館 by 丹下健三 / 下諏訪町立諏訪湖博物館・赤彦記念館 by 伊東豊雄
昔から見たかった丹下健三の山梨文化会館はやはり神でした。上まで登りたかった。。。
伊東豊雄の中期の作品はふーんって感じ。。。せんだい以前の公共建築はいまいちですね。

さて、今回の旅のメインはキース・ヘリング美術館。
前から存在は知ってましたが、キース・ヘリングに特に興味はないので行く機会もなく。
今回は特別展で大山エンリコイサム展がやってるのでいい機会だと思い行くことにしました。

大山さんは僕と同い年の1983年生まれ。
日本人とイタリア人のハーフで現在NY在住とのこと。
先月までポーラ美術館で個展やってたり、現在NYのビルでも巨大作品展示していたり大活躍中。
コムデギャルソンとのコラボも記憶に新しいし、今とてもキてる作家です。
ストリートアートのような作品ですが、一目見て大山の作品とわかるインパクトがあります。
ずっと気になってたけど生で見る機会がなかったので行こうと思い立ちました。

それにしても遠い。
小渕沢からさらにタクシー。
18キップで行ってるのにタクシー往復だけで4000円近いんですけど。
駅前からバス出して欲しい。。。

たどり着いた先は木々の生い茂る高級リゾート地感満載のポッシュエリア。
美術館の近くには同じ建築家によるホテルが。
中にも作品が展示されてるようだったので、宿泊客でもないけど見せていただきました。
しかしそれより何よりロビー奥にあったバーがヤバすぎた!
プレミアウイスキーの数々が並んだ壁。神々しすぎる。
勧められたけど車で来てるんでと嘘ついて逃れました笑
ちなみに一室4万ぐらいだそうです。

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それよかいい加減展覧会について。
前半はもちろんキース・ヘリングの展示。
僕、本当にこの作家に興味ないんです。ほとんどスルー。。。
そして後半が大山エンリコイサム展。

まずキースの写真のコラージュと大山のストロークのコラボレーションがエモすぎて泣きそう。
この展覧会の目玉って何と言っても二人の関係性だと思うんです。
僕はポーラではなくこっちに来た理由もそれにあって、ストリートとアートを難なく結んじゃってる時代を超えたこの二人の親和性は見事で、その二人が織りなす空気感が本当に素晴らしかった。
ストロークの点でもエッジは違いますが、完全に精神を引き継いでる。

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そして大画面の作品も本当に素晴らしいけど、僕は小品に目が釘付けになりました。
目の力がとても試される絵ですが、これはすごく欲しい。。。

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展覧会は11月17日まで。遠いですが行く価値はあると思います。こちら

ちなみにカタログ欲しかったけど4500円は流石に高い。。。
まだまだこれから大活躍するであろう作家なので、将来包括的な作品集が出たら欲しいな。
画集より先に彼の評論集が出てるみたいなので読んでみたいですね。こちら

サイモン・フジワラ「The Antoinette Effect」@ TARO NASU

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2ヶ月ぶりのアートの記事です。。。
観てはいるんですが書く気力が。。。昔はなんであんなに書けてたんだろう。

さて、そんな中で最も良かったのがタイトルのサイモン・フジワラ展です。
というか新しいタロウナスがめっちゃ良かった。
馬喰町から六本木のギャラリーが集まるピラミデビルの4階に移動。
前の地下ギャラリーはあまり好きじゃなくて、今回のは外光も入って気持ちいい空間。
同階にはコルビュジエやペリアンなどのモダニズム家具を扱うGALLERY SIGNも新たに入居。
広島を本拠地にしていて、ここが企画する家具展に足を運んでたので東京にギャラリーができたの嬉しい。
しかもタロウナスとゲストルームをシェアしてるのか、ペリアンらの椅子が並び、壁にリアム・ギリックの作品が掛かった部屋があってめちゃくちゃ気になりました。
それはそうと展覧会。

前回タロウナスでやった時は確か自分の母親と父親の馴れ初めであった帝国ホテルをテーマにしてたと思うんだけど、今回はタイトルが「アントワネット現象」で、これまでの個人史を扱った作品とはまた違った趣。
入ってすぐに気がつくのは香りです。
これは部屋の奥でラデュレの「マリー・アントワネット」という名前のアロマを焚いているせい。
嗅覚が導入になるってすごく素敵だなと思いました。
そして視覚に入ってくるのはヴェルサイユ宮殿の門のミニチュア模型。
奥には金の水滴モチーフがいくつも壁に貼り付けられて、手紙、金の大きなオブジェ、そしてマリー・アントワネットと思われる頭の頭部の模型。
さてはて何のこっちゃですが、ここはテキストを読まねば始まらない。
なのにテキストがどこにも置いてない。。。スタッフの方に尋ねるとテキスト出てきました。
なぜテキストを自由に取れるようにしてないんでしょう。。。テキスト必須の作品なのに。
気になりつつ、読んでると、これは2017年にブレゲンツ美術館で開催された個展「HOPE HOUSE」の続編ともいうべき展覧会で、その「HOPE HOUSE」とは、アンネ・フランクの家の模型がお土産として大ヒットしているという事実から端を発し、美術館の中に、その模型を大きくした家を建てた凄まじい展示。



今回はマリー・アントワネットの死がエンターテイメント化していく人々の欲望に焦点を当てていて、なんといってもアントワネットの頭部の模型は、実際マダム・タッソーで当時彼女のデスマスクとしてとても人気があったとか、金色の大きなオブジェは、当時彼女の首を刎ねたギロチンをモチーフにしたイヤリングが発売されてたとか、彼女の死がいかに民衆を熱狂させてたかがわかります。
が、それは今でも変わらないどころか、ネットやSNSの発達によってさらに強化されています。
フジワラの面白いのは、アンネの作品をオランダではなくオーストリアで、アントワネットの展示をフランスではなく日本で発表している点にもあると思います。
これまでの地域性の概念を全く無視していて、これこそ現代のどこにいても世界中の情報が入ってくる感覚をそのまま享受しているようでとても自然な態度だと思います。
にしても何で今回アントワネットなのか。
僕の勘ですが、アントワネットの享年37歳というのに関係しているかと思います。
というのも、それはサイモンの今の年齢でもあるからです。
テキストにはそういうことは書いてませんが、なんとなく。
サイモンの作品はとても難しいとは思いますが、読み込んでいく楽しさがあって、わずか10点とはいえ豊穣な世界が広がっていてとても満足できました。
明日(8/10)までですが、お時間あればぜひ。こちら
近くのcomplex665のタカ・イシイでは木村友紀展がやっており、同じく読み込み系なんですが、ちょっとネタ切れ?感がすごい。。。全く広がりのない世界でとても残念でした。


さて、六本木といえば今最も話題なのが森美術館でやってる塩田千春展でしょう。
下の森アーツセンターでやってるPIXAR展の影響もあり子供づれがたくさん。
平日でもチケット売り場めっちゃ混んでて、10分ほどは並びました。つら。
そして入ったら入ったですっかりインスタスポット。。。
写真撮影をかいくぐる様にして観なきゃいけないのでとても不快です。
とはいえ、もはや僕の中で塩田さんはほとんど響かない作家さんになってしまった。。。
どれ観ても魂ふるえないよ。。。
やっぱ読み解く楽しさがこの人の作品にはあまりないんですよね。
見た目のインパクトがすごいので、ビジュアルだけでお腹いっぱいになっちゃう。
多分彼女は今後まだまだ活躍するし、いずれは草間彌生を継ぐ女性作家になるとは思うけど、僕みたいなアートクラスタはあまり満足できないかもしれません。
とはいえインスタでもアートの裾野が広がるのはいいことなので、こういう作家さんがいるのは大事だと思います。
ところで、彼女の作品、写真映えしすぎる問題。実際より絶対写真の方がいい。
入り口の舟とかも実際見ると小さい印象だし。
唯一驚いたのが、枠の中にドレスが2体収まってる「時空の反射」という作品で、中に鏡が仕込んであるんだけど、何周しても構造がわからなかった。。。鏡は確実にあるのにどういう風に収まってるのか全くわからない。
鏡で2対に見えるのと実際に2対あるってのも面白かった。

それよか、ミュージアムショップ抜けた先でやってる高田冬彦展に魂がふるえた!
トータル1時間弱ありますが、全部観るのをお勧めします。
笑えるんだけど、ものすごく深い哀愁が漂う映像作品郡。
まだ若いのに、どうしてこんなことに笑 必見!
どちらも10/27まで。
どうせだったら9/21からバスキア展も森アーツセンターで始まるので、両方みれる時に行けばいいかと。

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他ここ最近観た展示リスト。
川北ゆう Be still @ 日本橋高島屋
本多康司写真展 @ poubelle
佐藤雅晴 I touch Dream @ KEN NAKAHASHI
今村文展 @ SHISEIDO GALLERY
“Robert Morris − Jiro Takamatsu & Robert Morris from the 1970’s” @ Yumiko Chiba Associates
ジュリアン・オピー @ 東京オペラシティアートギャラリー
松延総司 "See the Shades" @ HAGIWARA PROJECTS
塩田千春 @ KENJI TAKI GALLERY
小泉明郎展「Dreamscapegoatfuck」 @ 無人島プロダクション
伊庭靖子展 まなざしのあわい @ 東京都美術館


ユミコチバのモリスと高松次郎のドローイングは驚異的だった。
特に高松次郎。
世界的にはモリスの方が断然有名だけど、今回のドローイングは完全に高松次郎の凄さに驚く。
世界はもっと高松を知るべき!!
どちらも手を使ったドローイングなんだけど、本当にかっこいい
前期で高松次郎のドローイングはなかったけど、8/31までやってます。(8/11-19休み)
近くで塩田千春、松延総司、ジュリアン・オピーもやってるのでぜひ。オピーは3分で観終わっちゃった。。。


無人島は清澄白河から錦糸町に移転第一弾。
倉庫みたいな巨大空間で初のVR体験。
小泉さんが今までやってきたことと、VRの親和性がすごい。
彼の作品のキーワードの一つに「憑依」ってのがあると思うんだけど、その憑依をまさか観客が味わえるなんて。
VRの中の人物と同じ動きをする場面があって、本当に感覚が重なる体感があった。
すごく不思議な体験でした。
10月のあいちトリエンナーレ企画の新作も予約済み!
ちなみにこの無人島の作品も要予約です。ぜひ。8/31まで。予約ページはこちら


そして伊庭さん。
ずっと絵画を超えて触感にまで触れそうな作品を描いてきた伊庭さんですが、新作ではついに触感を超えて、触れられそうで触れられないという、まさに「あわい」を描いていて、ここまできたかと思わず唸りました。
最後の版画と映像は正直よくわかりませんでしたが、新作絵画郡がとにかく驚異的。
10/9までやってるのでぜひ。インタビューはこちら

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