地点「汝、気にすることなかれ」@アンダースロー

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相変わらず地点を追いかけております。
とはいえ、正直最近の新作は僕の中でイマイチ腑に落ちないものばかりでした。
素直に面白かったのは去年の夏の「みちゆき」ぐらい。
それ以降「ブレヒト売り」、「ヘッダ・ガブラー」、「ロミオとジュリエット」、「忘れる日本人」と、怒涛の新作ラッシュだったのですが、どれも自分の中でヒットに至らず。
最近の新作は特にあの独特の「地点語」とも呼ばれる発語が抑えられていたせいもあるかも。

しかし、この夏に発表された「汝、気にすることなかれ」は最高に面白かった!
これぞ地点!という感じ。
面白すぎて2回も観に行ってしまいました。。。
やっぱり地点とイェリネクの相性は抜群ですね。
「光のない。」「スポーツ劇」に続くイェリネク3作目ですが、前2作が大劇場で大掛かりな舞台セットなのに対して、今回は小劇場。しかも河野早紀さんのいない5人の少人数。
劇場に入ると舞台には鏡が敷き詰められて、真ん中には蓄音機。手前は人工芝とお花畑と謎だらけ。
舞台が始まると、白い全身タイツみたいな衣装に包まれた演者登場!謎すぎ!笑
今回も前2作同様衣装はコレット・ウシャール。
そして音楽も同じく三輪眞弘。
前2作は合唱団を結成していたのに対し、今回は舞台中央に置かれた蓄音機が音楽担当。
これが素晴らしかった!
元々この作品には「シューベルトの歌曲にちなむ死の小三部作」という副題がつけられいて、章ごとにシューベルトの「魔王」「死と乙女」「さすらい人」が音楽として指定されてる。
にも関わらず三輪さんに改めて音楽を依頼するあたり三浦さんはひねくれ者笑
そして改めて三輪さんが導き出したのが、シューベルトの音楽を破壊すること。
舞台中、蓄音機は音楽を奏でては止まり奏でては止まるを繰り返します。
実際蓄音機は機械で動かしているだけで音楽は別でなってるそうですが、レコード盤に今回のDMのイラストが描かれているので、音楽がレコード盤の回転として視覚化されているのはうまいなぁと唸りました。
この音楽が容赦なく演者のセリフを遮断します。
そして演者のセリフで印象的だったのが、全力で発話した後に捨て台詞のように吐かれる「ま、いっか」という言葉。
これ、実際「汝、気にすることなかれ」と仰々しい邦題になってるものの、実際のタイトルはドイツ語で「Macht nichts」。英語で「Don't mind」。そう、「ま、いっか」なのです。
この言葉が、これまでの台詞を全て無効化するぐらいの破壊力。
このセンスはやはり地点の真骨頂。
にしても、どうして日本語タイトルがこんなに仰々しいのか。
それは、「Macht nichts」というドイツ語にあります。
実は「Macht」には権力という名詞でもあり、「nicht」が否定。
つまり「権力を否定する」という仰々しい裏テーマがあるのです。
実際演劇の至る所にナチスを思わせる台詞もあり、その辺はやはりイェリネク。
あと、西洋演劇にはどうしてもキリスト教がつきまといます。
ブレヒトもベゲットもどこかにキリスト教を忍ばせる。イェリネクも同様。
アートもそうですが、そこらへんがどうしても日本に素直に輸入困難な代物。
でも地点にかかればそこを笑い飛ばすかのように、陳腐な演出のオンパレード。
この演目では「死」が大きなテーマですが、それを敢えてチープにするために客側の人工芝とお花畑。これは葬儀場の「セレマ」をイメージしたそうです笑
そもそも全身白タイツもふざけてるとしか思えない笑
そんなこんなであっという間に繰り広げられる3章の物語。
最後の最後、蓄音機のノイズだけがなり続けてレコードが終わって暗転は完璧なエンディング。
素晴らしかった。。。
2回目の終演後に、Contact Gonzoの塚原さんとのトークがあったのだけど、そこでどうしてこんな謎の舞台セットなのかという説明に、イェリネクは抽象的に表現しないと大怪我するという話が面白かった。
確かに前2作の舞台セットも抽象的なセットでした。
中身はあまりに社会的で具体的なんだけど、難解なテキストで煙に巻くイェリネクと対峙するには正攻法ではやってられないという話。
あと、今回の舞台は所々笑うしかない場面が多いのだけど、「笑い」はどこまで重要なのかと質問したら、「全てです」と即答する三浦さん笑
確かに地点の作品でよかったなぁと思えるのは笑える舞台。「ワーニャ伯父さん」とかも最高に笑える。
チェーホフが「人と人がわかりあえないのは喜劇だ」と言ってますが、地点はまさにそれを体現している。
発音が変だったり、ストーリーもバラバラにされたり、わからないんだけど妙に笑える。
それが地点の大きな魅力だと思う。
この「汝、気にすることなかれ」はそれが見事に結実していました。


しかし、その次の新作「どん底」は微妙だったなぁ。。。
黒澤明も映画化したゴーリキーの「どん底」で、ある程度ストーリーも理解してるし、音楽も空間現代だし、演者も客演も含めて8人と多いし(なぜかまた河野さんがいない・・・)、もう期待するしかない!って感じだったのですが。。。
何と言っても台詞の途中で挟まれる「どん」「ぞこ」がダサかった。。。
「汝」の「まいっか」と違って、あまりにまんますぎた。
「忘れる日本人」の「わっしょい」もダサかったけど、「どんぞこ」はないよなぁ。。。
あと、客演の何人かは完全に地点のカラーではなかった。
田中祐気さんはさすがでしたが。。。てかなんで河野さんいないの?
そして空間現代がまさかの録音。。。
イマイチピンとこない作品で残念でした。
ちなみに「どん底」は元旦から再演がスタートらしい。元旦から「どん底」って笑


ところでやっと空間現代のライブハウス「外」、に行きました。
アンダースローのすぐ近くという、どんだけ仲ええねん笑
にしても、こんなアングラなバンドが自身のライブハウス持てるってすごいことですよね。
自前でライブハウス持ってるバンドってそんなにいるんだろうか?
そしてそこで聞いた彼らの「オルガン」は最高だった。
1曲1時間というすごい曲なんだけど、全然飽きない。
それがギターとベースとドラムというシンプルな楽器のみで奏でられてるのがすごい。
「オルガン」ってタイトルだけどオルガンは登場しません。
こないだ名村造船所跡地で演奏された「擦過」も聴きたかった。。。
にしてもDMの感じといい地点の影響受けすぎ!
舞台装置が変なLEDってのはもう少し学んだ方がいい。というか演出なんてなくてもいいのに。。。
「どん底」でもLED使われてますがセンスが全然違う!

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江之浦測候所/草間彌生美術館/長島有里枝

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杉本博司の夢の舞台が小田原に完成しました。
その名も「江之浦測候所」。
根府川駅からシャトルバスで10分弱。遠い。遠いよ!
で、いきなり感想としては

「一体何を見てきたんだろう?」

です。
正直感想と言える感想はないです。
予約とって入館料3000円と交通費かけてわざわざ行ったんだけどね。
まあ、行く前からなんとなくそんな感じなんやろうなとは思ってたけど。
この人って自己完結の人だなぁと改めて思いました。
ここには批評はないです。いいも悪いもないのです。
だから行って後悔ってのもないです。
とまあ、のっけからネガティブですがとりあえず写真バンバンのっけちゃいます。

まず全体図。広いです。
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待合棟。ここで受付。
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100mギャラリー。
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先からの海景。
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隣の小庭。
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下へ。
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100mギャラリーの下を斜めに突き抜ける道。このアプローチは直島の護王神社みたい。
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外から。
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上も登れます。
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隣は能舞台。
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大庭園?から門。
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茶室への道程。
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茶室。
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以上こんな感じ。
一体何の施設なのか謎・・・。人に話す時に困ります。
ご興味ある方は公式サイトからご予約くださいませ。こちら
帰りはシャトルバスを待ちきれずタクシーで小田原へ。絶品の鯵がいい思い出。


あと東京では開館したばかりの草間彌生美術館にも行って来ました。
なんか年内はもうチケット予約完売らしいですね。すごい人気。。。年明け以降の予約はこちら
こちらも写真でぱぱっと。外観はすごく地味。中は階段で上がらないといけない。
こちらも感想らしい感想はないです笑

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他には東京都写真美術館で開催中の長島有里枝展。
これまでの彼女の写真シリーズが一気に見られるベスト盤みたいな展示。
僕は彼女の写真といえば、彼女のパートナーを撮った「not six」が忘れられません。
学生の時に本屋で見て、赤裸々にパートナーとの私生活を覗き見してるようでドキドキしました。
表紙も赤裸々に「テント張ってる」写真笑
僕が持ってる唯一の彼女の写真集です。
それから10年以上が経って、今回の展示で彼女がその彼と離婚してることを知りました。
めっちゃ不思議なんだけど、なんかショックでした。
あの写真集にはそれだけ彼女と彼に感情移入させちゃう力があったんですよね。
どんな言葉よりもあれらの写真って単純に時間や関係性がビジュアルに詰まっちゃってる。
写真の持ってる力を改めて思い知らされたような気がします。
あと、その写真集にも写ってた赤ちゃんだった息子が大きくなってる写真もあって、まるで親戚の子のように「大きなったなぁ」と感慨深く見ちゃいました。
それと、僕の友人がモデルになっててびっくり。
長島さんが神戸にレジデンス来た時に撮ったみたい。
他にも家族じゃない人たちが家族みたいに一緒に写真に写ってる初期のシリーズとか、彼女のデビュー作でもある家族で裸で写ってる写真とか、僕はてっきり彼女の写真は「関係性」が重要なんだと思ってたんだけど、カタログとか彼女の発言とか見てるとかなりフェミニズムの人なんだなぁとわかって正直がっかり。
なんかもっと大きな広がりを彼女の写真に見てたのです。
とはいえ、やっぱり彼女の写真は面白い。11月26日まで。こちら

あと土屋信子が駒込倉庫でワーク・イン・プログレスみたいなのやってたから見に行ったけど、会期終了間際だったのにプログレスすぎてなんのこっちゃでした笑
scaiからカタログが出るらしいのでとりあえずそれをたのしみにしてます。

MUM&GYPSY『あっこのはなし』『ΛΛΛ かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと──────』@AI・HALL

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マームとジプシーの十周年ツアーを観劇して来ました。
彼らのことは以前から知人に噂は聞いてて、機会があればと思てったら巡って来ました。
それにしても代表の藤田さん若いですね。僕より年下。それで十周年とはすごい。
これまでの彼らの活動に関しては10周年記念サイトのインタビュー記念書籍に詳しいですが、とりあえず前知識なく伊丹のAIホールへ。
(公演後に読みましたが前半はやはり相当苦労していて読むのも辛いですね。。。)

今回のツアーは全国6都市を回るツアーで、この伊丹が最終地点です。
全部で4つの過去の演目をやるんだけど、伊丹では2演目のみ。とりあえずどっちも観ました。
感想としては、4つ全部みたかった!はい、おもしろかったです。

まずは「あっこのはなし」。
これは5年くらい前にやった演目みたいなんだけど、その時はメンバーも20代で、その30代バージョンが去年改めて再演されて、今回はさらに再再演。
前のやつ見てないからわからないんだけど、自分も30代で、中で出てくる会話がいちいちわかりすぎた。
30代のガールズトークとかもめちゃくちゃ楽しいし、未来への不安とか葛藤とかわかるわかる。
実際演者の本名がそのまま役名になってたり、台詞も彼らの実際の体験だったりでとてもリアル。
でもこの「わかる」ってのが案外ネックで、この演目を純粋に観るのにノイズになっちゃってたかも。
舞台としては、時系列がバラバラだったり、同じシーンが繰り返されたり、色々面白い演出がたくさんあったんだけど、なんせその30代の共感覚が強すぎちゃって、客観的に舞台を観るのを邪魔しちゃってた。

その点もう一作の「ΛΛΛ」は、逆に共感できないことが多くて、舞台自体を楽しめたと思う。
何が共感できないって、この作品の根幹の「郷愁」とか「故郷」とかの感覚。あと「海」。
正直都会で生まれ育った僕には全くわからない。
生まれ育った家なんてただのマンションだし、そっから何回も引っ越してるし、なくなっててもへっちゃら。
今もまあ故郷で住んじゃってるし、海も馴染みがない。
このわからないづくしって、いつも見てる地点にも言えることでだから地点が好きなんだな、と再認識。
この作品も、演出が本当に楽しい。
演者が全員で、裏方までやっちゃってるというか、舞台転換から小道具を渡すのも全部演者。
そして、この作品から藤田さんの映像的なフェティッシュが伺えるのも楽しい。
例えば映画とかって、ワンシーンを何ショットかに分けて撮ったりするけど、まさに舞台上でそれをやっちゃってる。
同じシーンを繰り返し演者の配置を変えて言わせるとか、舞台自体を動かしちゃうとか。
まるで観客が固定カメラで、舞台や演者そのものが動くことで映像のように映る。もちろん不自然極まりないんだけど。
時系列がバラバラなのも、映画の撮影時は実際の時系列で撮らない感覚。
観客が能動的に編集作業を経ることで作品として完成するというか。
そういうのがもう楽しくて楽しくてすっかりハマってしまいました。
今後他の作品もぜひ色々追いかけていきたいです。
来年また2回目のツアーがあるみたいなのでチケット取ります!
MUM & GYPSY Official Website: http://mum-gypsy.com


あと、最近ようやくべゲットの「ゴドーを待ちながら」を観ました。
近代演劇を語る上でどうしても外せない一作。
京都造形大学内の春秋座で行われたアイルランドのマウス・オン・ファイアによる舞台。
もうべゲットもこの世にいないし、完全な「オリジナル」は見れないものの、限りなく忠実だそう。
正直、中身も演出も特に面白くもなかったんだけど、まあ、一度もは観られてよかったな程度。
なぜか後ろで大爆笑してる人が前半いたんだけど何がそこまで彼を抱腹絶倒に追い込んだのかが謎。後半いなくて演出だったんじゃないか説を友達としてました。。。
「世界の涙の総量はあらかじめ決められている」みたいな台詞は残りました。
ちなみに今回の企画はReal Kyotoの小崎さんも噛んでて、舞台前にべゲットに影響受けた現代美術作家たちの画集とかも置いてました。
べゲットと現代アートとの関係はこちらに詳しいです。

舞台関係、最近特によく観てますが、やはり歴史を知らないといけないなぁと最近よく思います。
アートもそうですが、やはり文化は一朝一夕で楽しめるほど甘くない。だから面白い。
アルトーやブレヒトなんかの舞台も機会があれば観てみたいなぁ。


さて、今日でブログ開始からなんと12年。私も12年歳をとりました。。。
13年目を迎えるにあたり、改めてタイトル変えました。前のに近くなった。
今後ともダラダラと更新していきますのでゆるりとよろしくお願いします。

アジア回廊 現代美術展 @二条城・京都芸術センター

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正直特記することもないんだけど、せっかく行ったので書きます。
それにしても京都ってこういう現代美術展が全く根付きませんね。
数年前のパラソフィアもあれ一回きりなんでしょうか?
今回のこれもこれっきりだと思います。
そもそも京都は観光資源に恵まれすぎてて、あえて現代美術で打ち出す必要がないんですよね。
わざわざ二条城とか使っちゃってますけど、その辺の必然性が得られない。
その辺の街中とか原っぱとかでやった方がよっぽど面白いですよ。

そしてもう一つ。
これはまあ自分の確認不足もあったんですが、謎の盆栽展のために草間彌生と宮永愛子の展示が見られなかった!
会期中に他の展覧会とぶつかって、展覧会期間中にもかかわらず一部なくなっちゃうとか辛すぎ。
ぶつかっちゃうぐらいならそこにそもそも展示するなよと言いたい。お金返して欲しい。
そう、入城料と展覧会で1200円もするんですよ。

とまあ、文句ばかり言っちゃってますが、いい作品もありました、もちろん。
花岡さんと久門さんです。特に久門さんは毎度ほぼハズレなしですね。
花岡さんの作品はいつものぶっ飛んだ感じが場所柄もあってか静謐な感じになってて僕は好みでした。
久門さんのは空間贅沢に使わせてもらってて素晴らしかった。

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そしてもう一会場は京都芸術センター。
こちらはもう楊福東狙い。これ見るだけでも大いなる価値。そしてこっちは無料。
映像48分もありますが、映像が美しすぎて何ループでも見てたいです。
一コマ一コマが一幅の絵画。
場所も畳の間でとても美しい調和。完璧。

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後は茶室の今村源さんはさすがというかやっぱりすごい。
写真は撮れませんでしたが、茶室と作品の境目が見事に融合してました。
芸術センターはこの二作見るだけでも本当に価値があると思います。無料だし。
二条城の方は、個人的に二条城自体が好きなので、まあ二条城ついでくらいのノリならありです。
10月15日まで。こちら

「パターソン」 by ジム・ジャームッシュ



近年稀に見る更新頻度ですが、またまたいい出会い。
なんとなく観に行ったジム・ジャームッシュ監督の「パターソン」。
今年観た映画で間違いなくベストフィルム。
とはいえ涙は出ません。泣かせる映画=いい映画ではないんです。
以下ネタバレ含む、かも?

続きを読む

S-House Museum

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丸亀途中に岡山寄るので前から気になりすぎてたS-House Museumへ。
岡山駅からバスと徒歩で約30分。想像以上に遠かった。。。
本当にこんなところに?という場所に本当にありました。

元々個人住宅だったこの建物。なんと設計は妹島和世!
奈義現代美術館の元学芸員である花房香さんが昨年開館させた個人美術館。
困難なアクセスの上に土日のみの開館というハードルの高さ。
しかしそのハードルを越えてでも行く価値がありました。

恐る恐るチャイムを鳴らすと館長自らお出迎え&ご説明。
まずはChim↑Pomの間。
有名なSUPER RATや震災の被災地で撮った気合の映像がお出迎え。

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建物内部は箱の中に箱があるような構造で、周囲をぐるっと廊下が囲む。

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引き戸を開けていくとそれぞれ部屋があって、それぞれ作品が展示されてます。

目「Distribution Works #2017」
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伊東宣明「生きている/生きていない」
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高田冬彦「Cambrian Explosion」
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下道基行「漂う/泊まる」
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毛利悠子「子供部屋のための嬉遊曲」
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2階へ。

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加藤泉「Untitled」
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伊東宣明「預言者」
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などなど。
現代美術好きならご覧いただいてわかるように、作家のラインナップが旬な作家ばかり押さえてます。
以前に観たことある作品もありますが、ここで展示されるとまた一味違います。
毎年少しずつ展示も変わってるそうです。
最後は奥様からお菓子とドリンクのサービス。至れり尽くせりです。
現代美術ファンなら一度は訪れてみるべき場所だと思います。難易度高めですが。。。こちら
最後は記帳と投げ銭お忘れなく。

志賀理江子「ブラインドデート」@丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

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やっぱり気になって最終日ギリギリに行っちゃいました、丸亀。
はい、青春18きっぷです。いつになったらやめられるんだろうか。。。

志賀さんの個展は10年以上前にグラフでやってた「リリー」の展示以来。
以前から不気味な写真やなぁと思ってましたが、「螺旋海岸」で極地を極められたんじゃないかと。
写真集買いましたが本当にホラー。恐すぎてあまり見てません。。。
せんだいメディアテークの展示は行けませんでしたが、行った友達が
「鑑賞者とやたら目が合う」
って言ってて、どういうことなんだろうとずっと気になり続けてました。
そしてその視線の問題がいよいよ作品に現前化したのが今回の新作「ブラインドデート」。
タイでバイクタクシーに乗っていたら、バイクに乗ってるカップルと視線がやたら合うことをきっかけに100組以上のカップルを撮影した作品。
作品の詳しい説明はartscapePENの記事に詳しく書かれています。

で、展示なんですが、以下会場図面。

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なんのこっちゃって感じですが、なんと21台ものスライドプロジェクターを使っています。
入ると会場は暗くて、スライドが回るカシャッって音が鳴り響いてます。
しかもこのスライドがついたり消えたりしてて、正直「見せる気あるのか?」とすら思えたり。。。
ブラインドって言葉を展示に活かしてるんだろうけど、ちょっとどうなの?って感じでした。
不気味感が凄すぎて作品に集中できない。させる気もないんだろうけど。
対照的に奥の空間(写真だと上の部分)では、今回のタイトルにもなってる「ブラインドデート」のプリントが一点一点小さな照明に照らされて展示されてて、これがものすごく良かった。
光が絞られていることによって、さらに写真の中の視線が強調されてて、写真から眼差されているのをひしひしと感じて、一瞬動けなくなります。
それだけ眼差しっていうのは強いんだなぁと実感。
静止した写真というメディア性と彼女たちの無表情がさらに何も読み取れないもどかしさを誘発しています。
「目は言葉以上に語る」と言いますが、写真になるとこれだけ語らなくなるのは面白い発見。
今までの志賀さんの作品って、抽象的な恐さがあったんだけど、今回の作品では眼差しという具体的な対象があって、さらにその視線がこっちを向いているという恐さがとても新鮮でした。
とてもとても強い作品。素晴らしかったです。
それだけにプロジェクターの展示が残念。
もうこの「ブラインドデート」だけに絞って展示しちゃっても良かったと思います。
なんにせよそれだけ力のある作品でした。

最後の通路には志賀さんの手記や、弔いをテーマにしたアンケートなどが壁にびっしり書かれていましたが、ちょっと死や生のテーマに縛られすぎてる感じがしました。まあ、それが彼女の制作を突き動かすモチベーションなのかもしれませんが。

写真集欲しかったけど8640円は高い。。。
来年に発売されるというカタログだけ予約して帰りました。にしても遅いな。。。

川俣正 -「 工事中 」再開 @ アートフロントギャラリー

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急遽東京へ。
まさかあの伝説の作品が「再開」されるなんて。。。
1984年に川俣正の名をアートシーンに確かに刻んだ「工事中」。
北川フラム氏からヒルサイドテラスの改修に合わせて何かやらない?と誘われて作った作品。
建物を囲むように木材で組まれたそれは、テナントからのクレームで中止に追い込まれますが今や伝説。
これ以降の活躍は周知の通り。ここから「work in progress」というスタイルを築いていくのです。
その作品が30年以上の時を超えて「再開」とな。これは逃すわけにはいかない。
とはいえ当時のように建物を囲むことはなかったものの、建物の屋根を這うように組まれた木材たち。
数年前に「TOKYO IN PROGRESS」というプロジェクトの木材を使ったそうです。
さらにこの作品は、今後取り壊される予定の歩道橋から見られることを前提とされてます。
とはいえフラム氏から、やっぱ構造の中に入って観られた方がいいでしょ、ということで土日のみ予約制で観覧可。
当日は雨予報でしたが、そんな予報もどこ吹く風。夕方の涼しい風と青い空とのコントラストが気持ち良かった。
9/24まで。こちら

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O JUN x 棚田康司「鬩(せめぐ)」展 @ 伊丹市美術館 / ミヤギフトシ「How Many Nights」@ギャラリー小柳

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最近観て素晴らしかった東西の展示を二つご紹介。

まずは兵庫の伊丹市美術館で開催中のO JUN x 棚田康司「鬩(せめぐ)」展。
正直二人展ってとってつけたようなのが多くて苦手やし、そもそもこの二人もそこまで好きじゃない(汗)
ですが、なんとなく行ってみたらものすごく良かった!
ここまで究極な二人展って観たことないです。
二人とも人物をモデルにすることが多いとか、いろんな共通点は見つけようと思えば見つけられるけど、そこを越えて驚くほど個と個を隔てる境界線が融解していました。
展覧会タイトルは鬩ぐ(誰が読めんねん)ですが、そこから連想される反発のようなものはなくて、かと言って調和のような生ぬるいものじゃない。緊張感は担保しながらも、作品たちが勝手に遊んでる感じ。
なんだかうまく表現できないんだけど、どの展示室も物凄く心地よくていつまでも居たい感覚。
こういう感覚って、二人展だと中々生み出せないんですよね。なんだか対峙する感じが出ちゃって。
仲良しこよしというわけでもない、この絶妙な緊張感が本当にたまらなく愛おしかった。
特にO JUNの「遊園」シリーズと棚田康司の「初年少女のトルソ」が一緒に展示されてる部屋はすごい。
だって、絵の上に彫刻乗っちゃってるんですよ?しかも他人同士の。こんな展示見たことない。
それ以外にも壁にかかった絵に寄り添うように彫刻が置かれていたり、もう縦横無尽な展示室。
展覧会中のテキストにも「自己」とか「他者」とかいう言葉が頻出しますが、完全に越えちゃってる。
確かに二人の作品はそれぞれ強烈な個性を持ち合わせています。
しかし、そんなオリジナリティーだの個性だのいう言葉が陳腐になるぐらい、二人の作品は自由。
アートはこれらの言葉にあまりに縛られていると思う。
誰かに似ているとか、模倣だとか、パクリとか、それでも成立する世界の豊かさを僕は見てみたい。
この豊かさは、2月に聞いた蔵谷美香さんのトークや、イヴ=アラン・ボアが企画した「マチスとピカソ」展でも展開されてる通り。
その実証がこの展覧会にはあふれています。
さらに、二人の子供時代をお互いが作品にしあったり、6日間の合宿で同じモデルを使って制作したり、さらに美術館で一緒に公開制作までしちゃってる。(行った時は棚田さんが制作中でした。木っ端一ついただきました。)
この展覧会、本当にすごいです。ここまでのエネルギーを感じられる展覧会は近年稀。
企画されたキュレーターさんとお二方には感服。あと広報のアートディレクションもいい。
こういう展覧会が地方の美術館でやってるのはすごいことだと思います。
8/27までなので是非!こちら
これに加藤泉さんとかが加わっても面白そうとか勝手に妄想しちゃってます。

そしてもう一つが東京の小柳でやってるミヤギフトシ展。
ミヤギさんが小柳かぁという感慨もありますが、そんなことより作品が本当に素晴らしい。
メインは戦前から戦後を生きた女性たちの物語で、38分の映像。
38分かぁと思って見始めたら止まらなかった。
映像作品って5分越えると大体はキツイです。
ただ、5分じっと観られたら大体は最後まで観られる気がする。
ミヤギさんの作品は、ストーリーもそうなんだけど、やはり映像の力が圧倒的に強い。
どこまでが本当でどこまでがフィクションなのか全くわからないんだけど、そんなことは瑣末なこと。
それよりも目に入ってくる映像と耳に入ってくるナレーションが心地よすぎて困った。
映像に付随する展示品も、作品というより資料みたいな趣でとても興味深かった。
8/30まで。こちら
上映スケジュールが載ってるので時間合わせていくのが吉。

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ライアン・ガンダー ―この翼は飛ぶためのものではない @ 国立国際美術館

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2017年も半分過ぎ、気づいたらアートの記事今年に入って一つも書いてないのに気づいた!
観てないわけじゃないんだけど、書きたいっていう情熱が前ほど湧かないのが問題。
実際今年に入って観た展覧会を書き出してみました。何個か抜けてるとは思うけど大体こんな感じ。
以前よりかは減ったけどどうなんでしょう。

2月
「この世界の在り方」@芦屋市立美術博物館
越野潤「Beyond Time」@Galerie Ashiya Schule
写真家片山攝三 肖像写真の軌跡@福岡県立美術館
アート横断V 創造のエコロジー@福岡アジア美術館
3月
PSMG@中津界隈
竹之内祐幸「Things will get better over time」@STUDIO STAFF ONLY
山岡敏明展@Gallery PARC
石田竜一「草に沖に」@アンダースロー
4月
半田真規「トーキョーパレス」@statements
Subjective Photography vol.2 大藤薫@スタジオ35分
新宮晋の宇宙船@兵庫県立美術館
KYOTO GRAPHIE@京都市内各所
堤加奈恵「Forest of gretel」@同時代ギャラリー
キュレトリアル・スタディズ12: 泉/Fountain 1917-2017 Case 1@京都国立近代美術館
5月
草間彌生「わが永遠の魂」@国立新美術館
ライアン・ガンダー ―この翼は飛ぶためのものではない @ 国立国際美術館
6月
キュレトリアル・スタディズ12: 泉/Fountain 1917-2017 Case 2@京都国立近代美術館
田中真吾「Phantom Edge」@Gallery PARC
黒宮菜菜・二藤健人・若木くるみ「のっぴきならない遊動」@京都芸術センター
エレナ・トゥタッチコワ「With My Dinosaurs」@クマグスク

ほとんど知合いの作家とかキュレーターの企画とか気になるスペースってことで回ってます。
そんな中でも白眉はやっぱり表題にもなってる国立国際のライアン・ガンダー展。
今年度で唯一楽しみにしてた企画だったけど、やはり期待は裏切らない。
というか、国立の美術館がガンダーを取り上げる日が来るなんてという感慨がすごい。
そして、いつもならB2でやって、その下でブロックバスターな展覧会を開催するところを今回は全館ガンダーに開放。
B3ではこれまでの作品がズラーーッと並んでて壮観。
とはいえ一つ一つ丁寧に見ていったところでわけわかんないものばっかり笑
とりあえず先にガンダーの似非ドキュメンタリーを見てから展示を観るのがおすすめ。
にしてもこんなわけわかんないもん作ってて、スタッフたくさん雇ってるというのはやっぱりすごい。
将来無償のアートスクールまで作っちゃうそうです。
展示室に行くと、全体のこのわけわからなさに浸る気持ち良さというか、重力からの解放というか。
世界は「わけのわかる」ものとして捉えようと皆躍起になってるけど、あ、わからなくていいんだという解放感。
なんか救いにも似た崇高な気持ちにすらなった展示でした。
そしてその上ではガンダーがキュレーションした国立国際のコレクション展。
似た者同士を合わせるっていうシンプルなコンセプトやったけど、これまで観たことのない組み合わせで楽しかった。
草間彌生と高松次郎が一緒に展示されてるなんてっていう新鮮さとか。
このキュレーションもガンダーの作品になってて、トータルでとても楽しめます。
コアな現代美術ファンは必見の展覧会。7月4日まで。こちら
なんだかんだでこの辺の作家日本の美術館でも取り上げられてきましたね。
マーティン・クリード、サイモン・スターリング、サイモン・フジワラ、リクリット・ティラバーニャ
あとは岡山芸術交流も企画したリアム・ギリックとか。個人的にはピエール・ユイグが一番観たい。

他は初めてちゃんと観た「KYOTO GRAPHIE」が良かった。
と言っても観たのはヤン・カレンとメープルソープとTOILET PAPERの3つだけだけど。
ヤン・カレンの展示されてる無名舎ってのがまたすごくて、有形文化財指定建造物。
そしてそれに負けないくらいヤン・カレンの写真が良かった。
和紙に刷られた黒がものすごく美しくてうっとり。どうやってプリントしてるんやろ。
展示もスマートで建物とともに楽しめました。台所とかすごい。
メープルソープは90点以上展示されててすごかった。なかなかこんな機会ないと思う。
TOILET PAPERはアホらしくてまあ楽しめました笑

あと兵庫県美の新宮晋展も良かった。
あんな野外の作品どう展示するのかしらと思ってたけど、一室一室ものすごく贅沢に使ってて見応えがあった。
僕は彼の講演を聞いて美術の道に進んだので、感慨深い展示でした。

知り合いでは中津のパンタロンでやってた森太三さんとパルクの山岡敏明さんの展示が良かった。
これまでやってきたことが見事に結実してる感じで、通観して観てきた甲斐があったなぁとしみじみ。
こないだ観たパルクの田中真吾もここ最近の展示では一番良かったと思う。
直接知り合いではないけど前から観てた黒宮菜菜さんたちの芸センのグループ展も良かった。

あとは京都近美のデュシャン泉百周年企画ですね。
この美術館、デュシャン作品のレプリカ散々持っておきながら中々展示しないんですよね。
常設の小さなコーナーですが、泉百歳のお祝い事ってことで第5弾まで全部見ていきたいと思ってます。
とはいえ、第一弾でほぼ全てと言っていいぐらいの代表作を展示しちゃってたけど続くのかしら笑
第二弾は藤本由紀夫さんがキュレーションしてて、半分彼の作品でした笑
今後どう展開して行くのか楽しみです。

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今後気になるのは丸亀の志賀理江子展と広島のモナ・ハトゥーム展やけどそこまで行く情熱が・・・。
東京は特にないので、行った時になんかやってたらって感じかなぁ。ジャコメッティは行くかもやけど。
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